個人事業主が屋号付き口座を開設するメリット・デメリット 手続きや必要書類も解説 最終更新日: 2024/04/17   公開日: 2024/04/17

個人事業主が銀行口座を持つ際は、個人名で開設することも可能ですが、屋号付き口座を選択することもできます。本記事では、個人事業主が屋号付き口座を開設するメリット・デメリットなどについて開設します。

個人事業主が屋号付き口座を開設するメリット

個人事業主は、名義を「屋号 + 個人名」にして銀行口座を開設することが可能です。このような屋号付き口座を開設するメリットを2つ紹介します。

信頼性が高まる

個人名だけで銀行口座を開設すると、顧客からの信頼が得にくいケースがあります。例えば、お金を振り込もうとした顧客が振込先を確認した際、会社名や屋号ではなく個人名が記載されていれば「本当に振り込んでも大丈夫なのか」といった不安を与えてしまうかもしれません。特に、顧客との関係性が築けていない場合や、ネットショップなど顔が見えない取引を行う場合には、相手に不信感を与えてしまうこともあるでしょう。

屋号付き口座を選択すれば、ビジネス用の口座であるということが伝わり、顧客が安心して振り込みを行える可能性があります。

事業ごとに口座を分けられる

屋号付き口座を選択すると、事業ごとに口座を分けることによって口座をわかりやすく管理することができます。例えば、個人事業主として飲食店を経営する傍らフリーのカメラマンとしても働いているなどのケースです。このように複数の屋号を持っている場合は、口座も分けることをおすすめします。

屋号ごとに口座を開設することで、事業ごとの取引を明確に分けられ、経理業務が行いやすくなります。残高を確認したり、確定申告を行ったりする際も便利です。

また、個人事業主はプライベート用も含めて複数の口座を持つことになりますが、屋号付きの口座にすることでそれらを管理しやすくなります。「これは何用の口座だろう?」と、通帳を見て毎回迷う必要もありません。

個人事業主が屋号付き口座を開設するデメリット

屋号付き口座を選択するデメリットについても把握しておきましょう。

口座開設の手間がかかる

個人としての口座であれば、本人確認書類や印鑑があれば比較的簡単に開設できます。

しかし、屋号付き口座を開く際は、それらに加えて開業届の控えや、事業を営んでいる事実が確認できる書類などが必要になることがあります。「事業を営んでいる事実が確認できる書類」とは、事務所の賃貸契約書・公共料金の請求書・会社のチラシなどです。

また、事業の財務状況を確認するために確定申告書の控えが求められるケースもあります。通常の口座と比べて必要とする書類が多いため、口座を開設する際は余裕を持って準備を行う必要があるでしょう。

開設できる銀行は限られている

全ての銀行で屋号付き口座を開設できるわけではありません。個人事業主の屋号付き口座に対応していない銀行も多くあります。屋号付き口座に対応しているかどうか、各銀行の公式ホームページなどで確認してみましょう。

通常の口座と屋号付き口座の違いとは?

屋号付き口座は通常の口座とどこが違うのでしょうか。表記・開設方法といったポイントから解説します。

名義人表記

通常、個人として口座を開設する際は個人名が口座の名義となります。しかし、屋号付き口座を選択した場合は屋号と個人名が口座の名義となります。

個人事業主は、税務署に開業届を提出することでビジネス用の名称である屋号を設定することが可能です。飲食店であれば「カフェ〇〇」、建設業であれば「〇〇リフォーム」などがこれに該当します。口座の名義に店名などの屋号が含まれていた方がわかりやすく、顧客から銀行口座に直接入金してもらう場合にも安心してもらえるでしょう。

開設方法

通常の口座だと、窓口の開設のほかにもインターネットや郵送・電話といったさまざまな方法で口座を開設できます。しかし、屋号付きの口座は通常の口座よりも開設する条件が厳しいことが多く、開設方法も限られているケースがあります。

提出する書類は、屋号付き口座の方が多くの書類を提出しなくてはなりません。屋号を確認するために開業届の控えを提出することが一般的で、そのほかにも納税証明書や確定申告書の控えなど、銀行によっては何種類もの書類を提出することを求められることがあります。

また、口座開設までにかかる期間も屋号付き講座の方が長くかかるケースがあります。通常の口座であれば、申し込みに不備がなければオンラインによって即日で口座を開設できることもありますが、屋号付き口座は数日から1ヶ月程度かかることも珍しくありません。場合によっては、店舗に行って事業内容などをヒアリングされるケースもあります。

【個人事業主向け】屋号付き口座の開設が可能な銀行(店舗)

屋号付き口座を開設できる店舗型の銀行を紹介します。

三菱UFJ銀行

個人事業主が屋号付き口座を開設するには、開設したい支店の窓口へ行って申し込みを行います。屋号で営業を行っていることを確認するために、社会保険料の領収書や事務所の賃貸契約書、税務署の収受印が押されている確定申告書などを準備する必要があります。

みずほ銀行

みずほ銀行で屋号付き口座を開設したい場合、法人向けのサービスに対応している店舗に行って申し込みを行います。店舗では口座を開設する理由や目的についてヒアリングを受け、内容に問題がない場合に開設が認められます。

三井住友銀行

三井住友銀行についても、屋号付き口座を開設する場合には店舗に来店し、窓口で申し込みを行う必要があります。個人事業主は「営業性個人」として口座を開設することが可能です。来店時にはあらかじめ予約を行いましょう。

りそな銀行

法人であればオンラインで口座の開設を完結できる場合もありますが、個人事業主の口座開設は店頭にて手続きを行う必要があります。公式ホームページなどで対象の店舗を探してみましょう。開設後は、法人向けのインターネットバンキングサービスである「りそなビジネスダイレクト」が有料で利用できます。

ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行では、現に屋号などで個人事業を営んでいる方で、かつ48万円以上(給与所得があれば20万円以上)の所得のある方に限り、個人事業用の口座を開設できます。また、本人確認書類や開業届の控えをはじめ、個人事業を営んでいる事実がわかる書類、個人事業の財務状況を確認できる書類などの提出が求められます。

【個人事業主向け】屋号付き口座の開設が可能な銀行(ネット)

屋号付き口座を開設できるネット型の銀行を紹介します。

楽天銀行

楽天銀行で屋号付き講座を持つためには、まずは個人としての口座を開設する必要があります。個人用の口座を開設したのちに個人事業用の口座を開設しましょう。ネットショップを運営する方は、少額決済にも適した決済手数料で取引できる「楽天銀行かんたん決済サービス」などが便利です。

PayPay銀行

PayPay銀行では、スマートフォンで情報を入力し、書類をアップロードすることで簡単に屋号付き口座を開設できます。開設にかかるまでの期間は最短当日〜7日程度と比較的短いため、早く口座を使いたい場合に適しています。また、Visaデビット機能付きのキャッシュカードで、口座の開設後すぐにカードが利用できます。

GMOあおぞらネット銀行

GMOあおぞらネット銀行で屋号付き口座を持ちたい場合、まずは個人用の口座の開設を行います。その後、本人確認書類のアップロードもしくは郵送を行うことで屋号付き口座を開設できます。目的別に資金を管理する「つかいわけ口座」や、入金管理を行う「振込入金口座」の機能で、事業用の資金の流れをわかりやすく把握できます。

経理業務の効率化なら「INVOY」

「INVOY」は、請求書や領収書といった経理書類を発行・保存するためのプラットフォームです。金額や日付、税率などを設定することで、簡単に経理書類を発行できます。

また、取引先から受け取った請求書をクラウド上で保管することも可能です。2022年1月に改正した電子帳簿保存法にも対応しているため、法制度への対応が手間という方にもおすすめできます。

そのほかにも、INVOYで作成したデータをCSVによって会計ソフトに取り込むなど、業務に役立つさまざまな機能を備えています。経理業務の負担を軽減したいと考える個人事業主の方は、この機会にぜひご利用ください。

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まとめ

個人事業主が銀行口座を持つ際は個人名で開設することもできますが、屋号付き口座として開設することも可能です。屋号付き口座は、顧客や取引先などからの信頼を得やすい点や、お金を管理しやすい点にメリットがあります。

屋号付き講座は通常の口座よりも開設に時間がかかることが一般的です。複数の書類を用意しなくてはいけないケースもありますので、開設時は時間に余裕を持って申し込みを行いましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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