請求書の管理 請求書を電子化するメリットや注意点は?電子帳簿保存法や移行時のポイントも解説 最終更新日: 2022/10/29   公開日: 2020/10/23

書類電子化(ペーパーレス・Web化)の流れは年々加速しており、請求書においても実施されております。
今回は、請求書の電子化するメリットや関連する法律について解説します。

請求書は電子化して問題ないのか?

請求書は紙媒体で保存しなければならない時代は過ぎ去り、現在では、e-文書法と電子帳簿保存法によって電子取引や証憑や契約書などの電子データによる保存が認められています。

e-文書法は2005年から施行された「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」を指します。法律による保管義務のある書類の保存手段として電子データを認めた法律です。

e-文書法では原本性があって改ざんされるリスクがないことを条件に電子データによる保存が認められています。電子署名とタイムスタンプの利用によって原本性を担保すれば、現物確認の必要性が高い許可証などを除いて書類を電子化できます。請求書も電子保存が可能ですが、電子帳簿保存法の定めに従うことが必要です。

電子帳簿保存法における請求書について

請求書は税務に関連する書類なので、電子帳簿保存法によって定められている要件を満たすように保存する必要があります。電子帳簿保存法とは納税義務を適正に果たせるようにしながら、税務関連書類の保存の負担を軽減する目的で定められた法律です。「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」が正式名称で、国税に特化した特例を定めています。

電子帳簿保存法は1998年に施行されてから改正が続けられています。2022年1月の改正では大きな変更があり、今までは税務署長による事前承認が求められていましたが、この改正によって廃止されて領収書の電子化をしやすくなっています。しかし、電子取引のときには紙媒体による請求書の保存ができなくなりました。取引の仕方によって書類の保存方法を考えなければならない状況になったので注意が必要です。

電子帳簿保存法についてのコラムはこちら▼
電子帳簿保存法とは?改正後の対象書類や適用要件を解説!

紙で受け取る請求書はスキャナー保存可

請求書が紙媒体で発行された場合には、スキャナーで電子データとして取り込んで保存することが認められています。クラウドシステムなどを利用して国税関係の帳簿書類を一貫管理しても構いません。紙で受け取った請求書だけを別に紙媒体のまま保存しても問題はなく、都合の良い方法を選んで保存できる仕組みになっています。検索要件についての緩和もおこなわれたため、スキャンして保存するのが容易になったのも今回の改正のポイントです。

電子取引の請求書は電子保存が義務化

2022年改正の電子帳簿保存法では電子取引の請求書の電子保存が義務化されました。改正前は電子データの請求書をプリントアウトして紙媒体として保存することが可能でした。しかし、2022年1月1日からは電子保存が原則になり、電子署名やタイムスタンプなどに対応することが求められています。

移行措置として2023年(令和5年)12月31日までの電子取引については紙媒体での保存でも認められます。2024年(令和6年)以降は電子取引の請求書をすべて電子保存しなければなりません。もし電子保存可能なシステムがなければ電子取引が困難になります。猶予期間内に電子文書としての要件を満たすシステムの導入が必要になります。

発行側が請求書を電子化するメリット

請求書を電子化することで、4つのメリットがあります。

単純作業をなくす

紙ベースの請求書の場合、毎月決まった時期に作成して郵送し、入金の確認などルーティン化していることが多いです。ルーティン業務となれば、普段から慣れた作業ですので迅速に行えるかもしれません。しかしながら、人による作業がほとんどの業務は人為的なミスの可能性をゼロにするのは困難です。

請求書の作成、封入、郵送、入金確認、ファイリングというのが、紙ベースの請求業務です。これらは単純作業でありますが、いずれも人為的なミスの可能性が潜んでいます。

入力ミス、誤郵送、入金確認漏れ、未収確認漏れなど、さまざまなミスが考えられます。単純作業とはいえミスはトラブルのもとになりますので、極力防ぎたいところです。そこで、請求書の電子化を導入すると、顧客管理機能などを使ってミスを防ぐことが可能です。

利用するサービスによっては毎月決まった日に請求書が自動作成される場合もあり、作成忘れや未送信を防げます。従来の請求業務のほとんどの工程を自動化できるため、単純作業が無くなります。それにより、ほかの業務に注力できる時間を確保できるでしょう。

即日送付が可能

システムやサービスを活用して、請求書を電子化すると請求書の送信も行うことが可能です。紙の請求書では郵送となるため、早くても翌日の到着になります。その点、電子化した請求書は即日送付ができるので効率的です。

コスト削減できる

紙の請求書ではさまざまな費用がかかります。

・請求書の用紙代
・封筒代(専用の封筒作成を外注すれば、その外注費)
・切手代
・インク代(プリンターや印刷機) など

以上のコストは1通あたり数十円かもしれません。しかし、取引先が膨大になり、なおかつ毎月のように郵送するとなればコストも膨れ上がります。年間で考えると数十万円になることも珍しくありません。

一方、電子化した請求書は上記のコストが不要ですが、システムやサービスの利用料金が必要になるものの、年間で考えるとコスト削減になる場合が多いのではないでしょうか。

場所を問わず作業できる

請求書の電子化のサービスで、クラウド型を利用すると場所を問わず作業ができます。ソフトウェアの場合、それを入れているパソコンでしか作業できません。

一方、クラウドはインターネット上のサービスとなるため、ログインIDとパスワードがあればサービスの利用が可能です。サービスによりスマートフォンで編集して、そのままメールで送信できる場合もあります。

クラウド型であれば、部署内での情報やデータの共有もしやすく、訂正や変更があってもすぐに対応できます。また、営業部門で作成した請求書を経理部門に見てもらうなど、部署の垣根を超えたデータの共有は非常に便利です。

紙の請求書となると、事務所のフロアを移動して直接持っていくことになりますので、クラウド型のサービスがいかに利便性の高いツールであるかがわかります。

ただし、クラウド型サービスはインターネット環境が必要になります。

再発行や修正依頼にすぐに対応できる

請求書を発行した後に請求ミスに気が付いたり、先方からミスを指摘され修正依頼を受けたりした経験はないでしょうか。紙の請求書の場合、修正や再発行は非常に手間がかかります。しかし、電子請求書であればシステム上で完結するため即座に対応することが可能です。ただし、請求書の再発行は二重請求にならないように、十分に注意して発行する必要があります。

電子化された請求書を受領する側のメリット

発行当日の受領が可能

紙の請求書は、発行・郵送してから相手先に届くまでにタイムラグが生じます。また、請求書を確認するためには、オフィスに出社することが必要です。届いた請求書の内容に誤りがあった場合、再発行して再送してもらうには受け取るまでにさらに数日を要します。

しかし、電子請求書であれば、メール添付、またはダウンロード形式で送信されてくるため、発行当日に受領することができます。修正が必要な場合も速やかに発行してもらえるでしょう。「郵送では期日までに間に合わない」といった緊急の際にも電子請求書は重宝します。

過去のデータを照合できる

電子請求書の場合は、いつでも過去の請求データを簡単に検索できるため、探す手間がかからないこともメリットです。過去のデータとの照合もスムーズに行うことができます。CSVデータ形式で出力できる請求書システムであれば、さらに便利です。
紙ベースの請求書の場合は、目視による記載内容の確認と基幹システムへの手作業による入力の手間がかかるうえ、過去の請求書を探すのにも一定の時間がかかってしまいます。

返送の手間やコストが省ける

請求書を受け取ると、取引先によっては、受領書や領収書の返送が必要なケースもあります。そのような場合でも、電子請求書システムならば、専用のWebページへのアップロードに対応しているため、手間やコストを削減できます。

紙の請求書では、紙代に加えて、印刷代や郵送費といったコストがかかるのは、受領側も同じです。請求書を電子化することで、こうしたコストを省けるのは大きなメリットといえるでしょう。

請求書を電子化する際の注意点

請求書を電子化することで、様々なメリットがありますが、導入や運用には注意が必要です。

システム導入にはコストがかかる

システムを導入するには、コストが発生します。請求書の発行システムを導入する場合、一般的には導入時の初期費用に加えて、月額の費用がかかってきます。システムを導入し運用するにはどれくらいのコストが必要か、また請求書の電子化によりコストはどれほど削減できるかという点を検討することが重要です。

取引先が電子化していない

請求書を電子化しても、取引先が電子化していないとやり取りができません。

取引先が普段から紙で請求業務を行っており、Webでのやり取りに慣れていないことも考えられます。

業務フローの変更は現場の混乱を招くことも考えられ、かえって業務効率が悪化する可能性もあります。取引先に強制することもできないため、取引先が請求書の電子化をしていないと紙の請求書でやり取りすることになり、業務効率化につながらないこともあるわけです。

社内ルールを決める

自社内外の状況を把握し、請求書の電子化が決まったら社内ルールを決めることも大切です。請求書の電子化をすると従来の業務フローが大きく変わり、現場が混乱しないように、あらかじめ請求業務の社内ルールも考えておきましょう。

請求書は税務に関することですので、下記3つのポイントを意識して、顧問税理士も交えて社内の管理者や経営者で社内ルールを作成してみましょう。

・誰が、いつまでに、何をするか明確にする
・やらされ感を持たれないようにする
・十分なトレーニングをする

既に実施している企業を参考にしたり、実施しながら社内ルールを整えたりしてみても良いかもしれません。

請求書を電子化するときのポイント

事前に取引先へ周知する

請求書の電子化を進めるためには、取引先への周知が必須です。取引先が電子請求書に対応できるかを予め確認しておくことで、導入後のトラブルを防げます。中には、電子データのやりとりに抵抗を感じる企業もあります。そのため、案内する際には、請求書の電子化が取引先側にもメリットがあることを説明すると、承諾してもらいやすくなるでしょう。

郵送の場合にも対応する

上述したとおり、一部の企業は、請求書の電子化に抵抗があり、紙の請求書を希望するケースもあります。そこで、電子請求書と従来通りの紙ベースの請求書の両方に対応することが必要です。こうした事態に対応するためには、メール配信か郵送かを仕分けできるシステムを選ぶとよいでしょう。

改ざんや情報漏えいへの対策が必要

電子データは、内容が改ざんされる危険性が考えられるため、請求書を電子化する際には、データが改ざんできないようなシステムを選ぶことが大切です。電子帳簿保存法に対応したシステムならば、タイムスタンプを付与できたり、訂正履歴が残せたりできるので有効です。もちろんこのような対策には、コストがかかりますが、自社内のITセキュリティの強化につながるでしょう。

電子請求書を選ぶ時のポイント

社内ワークフローに対応

電子請求書を選ぶ際には、現状の業務フローに連携対応できるシステムかを把握しておく必要があります。既存のシステムに対応できないと、運用の際に負担やミスが増える可能性があります。データをインポート・エクスポートする際のファイル形式や、その他具体的な連携方法を確認した上で検討することをおすすめします。

自動化が可能な範囲

システムで自動化できる業務は幅広くあります。自動化できる範囲が広ければ削減できる業務も多くなり、効率化に役立ちます。まずは自社の請求書発行において課題となっている部分はどこかを一つひとつ確認してから、自社の業務形態に合ったシステムを導入すると、業務上の負担を軽減できるでしょう。

請求書発行に関連した業務にも対応

請求書発行に際し、入金管理や督促、請求書の郵送といった関連業務が発生します。請求書発行システムでは、請求書の送付が可能なものもあれば、システム上で入金を管理して催促なども行ってくれるものもあります。関連業務を異なるシステムで行おうとすると、コストも手間もかかるものです。そこで、請求書発行業務全体をカバーできるようなシステムを選ぶと、追加コストや負担が軽減できるでしょう。

同業種の企業の導入実績を参照

システムの選定で迷ったときは、同業他社の導入実績を参照するのもおすすめです。システム販売会社のホームページで導入事例が掲載されている場合もあるのでチェックしてみましょう。同じ業種で同規模の企業の導入事例は、自社に導入した場合のイメージが湧きやすく、参考になります。

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INVOYで作成した請求書は、メール機能で取引先に送信可能で、取引先情報の管理をすることもできます。

作成を簡略化するだけでなく、請求業務全般を効率化することができる点が特に魅力的といえます。
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この機会に是非ご利用をご検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

電子請求書は、紙の請求書と比較すると、コストの削減、業務の効率化など、さまざまなメリットが得られます。さらにはテレワークなどの柔軟な働き方に対応するうえでも電子請求書は重要といえるでしょう。今回ご紹介した内容を参考に、請求書電子化の導入を進めてみてはいかがでしょうか。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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