注文請書(発注請書)とは?発注書との違いや項目、印紙税、インボイス対応などを解説! 最終更新日: 2024/02/18   公開日: 2024/02/18

注文請書とは、注文を確かに受けたことを示すために、受注者が発注者に対して発行する書類です。本記事では、注文請書に記載する項目や印紙税、インボイスへの対応方法などについてわかりやすく解説します。

注文請書(発注請書)とは?

注文請書とは、注文を受けた受注者・売手が、指定の注文を確かに受けたことを発注者・買手に示すための書類です。そのため、注文請書は注文を受けた側から、注文をした側に対して送付します。例えば、リフォームの依頼についての注文であれば、リフォームの施工店(受注者)が顧客(発注者)に対して発行します。

注文請書には、注文の具体的な内容や納期、合計金額などを記載します。

なお、売買契約をする際に必ずしも書類を発行しなくてはいけないというわけではありません。通販サイトで商品を購入する際、契約書などの書類を毎回交わす人は少ないでしょう。注文請書も同様で、取引の際に必ず発行しなくてはいけないわけではなく、法的な発行義務もありません。

ただし、取引内容や社内ルールなどによって、注文請書の発行を求められることはあります。自社に注文請書を発行する決まりがなくても、発注者から注文請書の発行を求められた際には発行することが一般的です。

注文書(発注書)との違い

注文書とは、発注者が受注者に対して発行する書類です。会社によっては発注書と呼ぶこともあります。

注文書を受け取った受注者は、注文内容を確認後、問題がなければ注文請書を発行して送付します。注文書と注文請書に書かれた内容は基本的に同じですが「この内容で注文を受けました」という事実を残すために、注文書の後に注文請書を発行することがあります。

なお、これらの書類は必ず発行しなくてはいけないものではありませんが、下請法においては発注者が注文書を発行することが義務付けられています。下請法の対象となる取引であるかどうか、取引前に確認しましょう。

参照:下請法 知っておきたい豆情報 その1 | 公正取引委員会

関連リンク:発注書(注文書)とは?書き方・役割・作成方法を解説!テンプレートも配布!

注文請書への記載項目

注文請書は法的に発行義務がある書類ではないため、記載する項目についても特に定められているわけではありません。しかし注文請書の役割を果たすためには、両者が発注内容を確認しやすいように作成することが重要と言えるでしょう。

本項では、注文請書に記載したい内容を項目別に紹介します。

発行日(取引日)

発行日は注文請書を発行した日付を記載します。注文請書はいつ発行しても構いませんが、注文書に記載された日付より後、かつ実際に商品を納品する日よりも前の日付にすることが一般的です。また、取引がすぐに行われる場合には取引日を記入しても問題ありません。

発行者の名称

書類の宛先に該当する箇所に発注者の名称を記載します。基本的には書類の右上に記載すれば問題ないでしょう。

なお、手書きの注文書から複写する形式で注文請書を作成することもあります。その場合は注文書の様式とほぼ同じであるため、注文請書に記載する発行者の名称が右上などに記載されることもあるでしょう。

受注者の名称

受注者の名称は、書類の発行元となる会社名を記載します。発注者が問い合わせをしたいと思った時に連絡先をスムーズに確認できるよう、住所・電話番号・メールアドレス・担当者名を記載することが一般的です。

受注者が個人事業主であれば屋号と自分の名前を記載します。屋号がなければ名前だけで発行して構いません。

注文内容(取引内容)

注文を受けた内容について、商品の名前や数量、単価、商品ごとの合計を記載します。また、税抜の小計や消費税額、最終的な合計金額も記載しましょう。書類を見た人が「税込と税抜どちらの金額なのだろう」などと混乱しないように、注文内容について具体的に記載することを心がけます。

納期、納品方法、支払い条件

認識の相違を避けるために、納期や納品・支払い方法などについて記載します。基本的には注文書に記載された内容と同じものを記載します。注文書に書かれていない内容を勝手に付け加えると、トラブルの元となるため注意しましょう。

もし注文書の内容で対応できないという場合には、発注者に連絡をして内容のすり合わせを行います。その上で、双方が合意した内容で書類を発行することが重要です。

よくある質問

注文請書に関するよくある質問について、Q&A形式で紹介します。

注文請書は印紙税の対象ですか?

注文の内容によっては、注文請書に収入印紙を貼り付けなくてはいけないケースがあります。収入印紙は、印紙税の課税対象となる文書に対して貼り付けることで納付する税金の一種です。収入印紙が必要な例として、以下のような種類が挙げられます。

・工事請負契約書
・工事注文請書
・物品加工注文請書
・広告契約書
・会計監査契約書

必要な収入印紙の金額は契約内容によって以下のように異なります。

記載された契約金額税額
1万円未満のもの非課税
1万円以上、100万円以下のもの200円
100万円を超え、200万円以下のもの400円
200万円を超え、300万円以下のもの1千円
300万円を超え、500万円以下のもの2千円
500万円を超え、1,000万円以下のもの1万円
1,000万円を超え、5,000万円以下のもの2万円
5,000万円を超え、1億円以下のもの6万円
1億円を超え、5億円以下のもの10万円
5億円を超え、10億円以下のもの20万円
10億円を超え、50億円以下のもの40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

契約書を作成する時であれば、発注者と受注者の両方が印紙税を負担することが一般的です。しかし注文請書は1部しか発行しないものであるため、発行する側だけが負担するケースがあります。

参照:No.7102 請負に関する契約書|国税庁

電子化した場合は印紙税が不要

印紙税の課税対象となるのは、紙で発行された書類に限ります。前項で解説した書類に該当していても、電子的に発行および送信されたものなら、課税対象とはなりません。具体的には、以下のようなケースを指します。

・メールで送付する場合
・受発注システム上で発行する場合
・ファイル転送サービスを利用して送った場合

なお、2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子取引における電子保存の義務化に関するルールが定められました。それにより電子的に授受した取引データに関しては、電子的に保存しなくてはならなくなりました。

したがって、メールなどで受け取った注文請書などを紙に印刷して保管していた事業者は、業務フローの変更が求められます。電子帳簿保存法に対応する共有フォルダやクラウドサービスなどを利用することで、改正への対応を行いましょう。

参照:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁

消印が必要

収入印紙を貼付する際は、消印(印紙と書類にまたがって押す印)が必要です。印紙税は課税文書に対して収入印紙を貼り付けた上、消印することで納付を行うものと定められています。消印を忘れると印紙税を納付していないものと見なされ、ペナルティとして過怠税が生じる点に注意しましょう。

ただし、消印は印紙税の納付に関する事項であるため、消印を忘れてしまっても注文請書としては機能します。

参照:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁

印紙の代金はどちらの負担ですか?

課税文書の作成者に印紙税を納める義務があります。また、共同で書類を作成した場合には、連帯して印紙税を納めます。

注文請書は書類を発行する側である受注者が代金を負担すれば問題ないでしょう。記載する合計額が大きい場合には、事前に印紙税の扱いについて話しあうケースもあります。

参照:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

インボイス対応は必要?

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を行うためにインボイス(適格請求書)の発行を求める制度です。2023年10月に施行された法律であり、正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。

インボイスとして認められるのは、規定の事項が記載された請求書といった「支払いに関する書類」です。しかし、注文書や注文請書は「注文に関する書類」であるため、インボイス制度の影響はありません。社内でテンプレートなどを使用している場合は、インボイス制度の施行後もそのまま使用することができます。

参照:インボイス制度の概要|国税庁

インボイス制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連リンク:2023年からのインボイス制度とは何か、わかりやすく解説!【図解あり】

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まとめ

注文請書は、注文書に記載された注文を受けることを示すための書類です。法的な発行義務があるわけではありませんが、一部の取引では発行が必要となることがあります。

注文請書を作成するときは、双方で注文内容が認識しやすいよう、商品名や単価、数量などをわかりやすく記載することが大切です。また、発行する方法に応じて、収入印紙の貼付や電子帳簿保存法への対応などを行いましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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