事業開始等申告書とは?開業届との違いは?記入例や提出方法、未提出時の対応について紹介 最終更新日: 2023/12/13   公開日: 2023/12/13

事業開始等申告書は個人事業主として開業する際に必要な書類です。本記事では、事業開始等申告書の記入例や提出方法、開業届との違いなどについてわかりやすく解説します。

事業開始等申告書とは何?

都道府県税事務所に個人事業の開業を知らせるための書類を「事業開始等申告書」と言います。

事業開始等申告書は都道府県によって提出期限などの詳細が異なります。提出したいという方は、自分の都道府県の公式ホームページなどを調べてみましょう。なお、提出しなくてもペナルティを受けることはありません。

参照:事業を始めたとき・廃止したとき | 東京都主税局

開業届との違い

個人事業主として開業した際に提出する書類として、税務署に提出する「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」があります。

開業届は国税を管理する税務署に対して提出する書類であり、これから所得税を納めるという意思を示す意味合いがあります。一方で事業開始等申告書は、地方税を管理する都道府県税事務所に対して提出する書類であり、これから個人事業税を納めるという意思を示すものであるという違いがあります。

関連リンク:開業届って何?書き方や提出方法、メリット・デメリットまで解説

個人事業税とは

個人事業税とは、個人事業を行う人が支払う税金です。地方税の1つであり、都道府県から課税されます。

個人事業税の税率は職種によって以下のように定められています。

区分税率 事業の種類
第1種事業
(37業種)  
5%物品販売業、保険業、不動産貸付業、電気通信事業、駐車場業、旅館業、飲食店業、不動産売買業、製造業、印刷業など
第2種事業
(3業種)
4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5%医業、弁護士業、司法書士業、税理士業、コンサルタント業、デザイン業、理容業など
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他医業に類する事業、装蹄師業
参照:個人事業税 | 税金の種類 | 東京都主税局

関連リンク:
個人事業主とは?フリーランスや自営業との違いやメリット・デメリットも解説!
個人事業主にかかる所得税はいくら?計算方法や節税のための確定申告のポイントを解説

事業開始時に必要な手続き

個人事業の開廃業等届出書

「個人事業の開廃業等届出書」は個人事業を始めた時に税務署に提出する書類で、開業届とも言います。提出が遅れてもペナルティはありませんが、事業を始めた日から1ヶ月以内に管轄の税務署に提出する必要があると定められています。

参照:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

所得税の青色申告承認申請書

個人事業主が行う確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、新たに青色申告で申告をしたい場合には「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。青色申告は白色申告に比べて節税効果が高いため、本格的に事業を営みたいと考える人におすすめの申告方法です。

「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限は、確定申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以降に新しく事業を始めた場合は、その事業開始の日が期限となるため注意しましょう。

参照:A1-9 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

青色事業専従者給与に関する届出手続

生計を一にしている配偶者や親族が事業に従事する場合、支払う給与は必要経費になりません。しかし、青色申告者は一定の要件のもと、支払った給与を必要経費とする特例が認められています。

「青色事業専従者給与に関する届出手続」は、その特例を受けるために必要な書類です。原則として、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までに税務署に提出する必要があります。

参照:A1-13 青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁
  【確定申告書等作成コーナー】-事業専従者給与とは(青色申告の場合)

給与支払事務所等の開設届出書

新たに従業員を雇って給与を支払う際に税務署に提出するのが「給与支払事務所等の開設届出書」です。その事実があった日から1ヶ月以内に提出する必要があります。

なお、開業届には従業員に支払う給与に関する項目が設けられているため、この「給与支払事務所等の開設届出書」は開業時は必要ありません。開業時に給与について記載しなかったものの、新たに従業員を雇うことが決まったという場合にはこの書類を提出しましょう。

参照:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

車両や備品などの固定資産を持つ個人事業主は、基本的には定額法によって減価償却の計算を行うことになります。

「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」は、それ以外の方法で減価償却を行いたい場合に提出する書類です。計算方法を変えたい年の確定申告の期限までに税務署に提出します。

参照:A1-18 所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続|国税庁

業種別に必要な資格や許認可

飲食業における「食品衛生責任者」や「営業許可書」など、業種によっても必要な許認可が異なります。必要な許認可がないまま営業すれば、罰金や営業停止などの処分を受けることになるため、どんな許認可が必要なのかあらかじめ確認しておきましょう。

関連リンク
【2022】青色申告って何?白色との違いや節税メリット、申請方法をわかりやすく解説!
会社を設立する方法とは?必要な手続きや役立つ知識を手順に沿って解説!

事業開始等申告書の書き方と記入例

【東京都の場合】事業開始等申告書の書き方

出典:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shomei/03-a.pdfを加工

①事業所の情報
所在地や電話番号など、事業所に関する情報を記載します。

②事業主の情報
住所、電話番号、氏名など、事業主に関する情報を記載します。自宅で開業する場合には、住所の欄に「同上」と記載しましょう。

③開始・廃止・変更等の年月日
開業した日付を記入します。

④事由等
「開始」に丸をつけます。

⑤申告日・申告者氏名
提出日を記入し、署名と捺印をします。

⑥宛先の都税事務所
管轄の都税事務所を記入します。

参照:事業開始等申告書(個人事業税)|東京都

【大阪府の場合】事業開始等申告書の書き方

出典:https://www.pref.osaka.lg.jp/annai/attach/s_0000-0002_1_2.pdfを加工

①申告日
書類の提出日を記入します。

②宛先
管轄の府税事務所の名前を記入します。

③住所、氏名、個人番号
項目に沿って記入し、押印します。

④開始・変更・廃止の別
「開始」にチェックします。

⑤事務所(事業所)の名称又は屋号
屋号があれば記入します。

⑥事務所又は事業所の所在地
店舗やオフィスなどの住所を記入します。

⑦事業の種類
事業の種類を記入します。

⑧開始・変更・廃止年月日
開業した日付を記入します。

参照:事業開始・変更・廃止申告書(個人事業税)|大阪府

事業開始等申告書はいつまでに提出すれば良い?

事業開始等申告書の提出期限は都道府県によって異なります。例として、東京都では事業を開始した日から15日以内に、大阪府では2ヶ月以内に提出するよう定められています。

参照:事業を始めたとき・廃止したとき | 東京都主税局
   大阪府ピピっとネット  個人の事業開始等の申告[開業、変更、廃止]

事業開始等申告書未提出のペナルティはある?

期限超過のペナルティはない

事業開始等申告書を出し忘れてしまっても、特にペナルティは存在しません。従って、通知が届いて書類の提出を催促されたり、罰金を支払うように求められたりすることはありません。

確定申告で納税通知書が届く

事業開始等申告書を出さなくても、確定申告をすれば個人事業主の所得の状況が都道府県に伝わるため、未提出でも納税に支障はありません。個人事業税の対象であれば個人事業主の元に納税通知書が届くため、届いた場合は書類の案内に従って対応しましょう。

関連リンク:確定申告に必要な書類とは?ケース別に準備する書類を分かりやすく解説!

事業開始等申告書に関するQ&A

事業開始等申告書の入手方法は?

都道府県税事務所のホームページからダウンロードできます。印刷したものに手書きをしても、Excelなどに入力してから印刷しても、どちらでも構いません。

事業開始日はいつにすればいい?

実際に事業を始めた日が事業開始日になります。決め方には特にルールがないため、一粒万倍日や天赦日など、縁起のいい日に設定することもあります。

事業開始等申告書はどこに出す?

都道府県税事務所に提出します。提出方法は都道府県によって異なるため、都道府県税事務所のホームページを確認してください。

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まとめ

事業開始等申告書は都道府県税事務所に提出する書類であり、事業を開始して個人事業税を支払う意思を示す意味合いがあります。提出しなくてもペナルティはなく、納税の必要があれば未提出であっても納税通知書が届きます。

また、個人事業主として開業するためには税務署に提出する開業届(個人事業の開廃業等届出書)のほか、状況に応じてそれ以外の手続きを行うこともあります。必要な書類について確認し、適切に対応しましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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