契約書の割印とは?押し方や位置、他の押印との違いを解説! 最終更新日: 2024/02/11   公開日: 2024/02/11

契約書に使用される印鑑に「割印」がありますが、これはどのような状況で必要になるのでしょうか。本記事では、契約書における割印の定義や押し方や位置、綺麗に押すためのコツ、そして他の押印との違いについて詳しく説明します。また、割印に関するよくある質問にも答えていますので、ぜひご参照ください。

契約書の割印とは?

契約書の割印とは、複数ページの文書に使用される印鑑の手法です。この方法では、各ページを重ね合わせ、その箇所に印鑑を押すことで、契約書全体にわたって一貫性を確保します。通常、契約者は各自が一部を受け取りますが、割印することで複数の文書が同一、あるいは相互に関連していることが証明されます。

契約書が万が一改ざんされた場合、割印があれば容易に改ざんを検知することが可能です。このように割印は文書の信頼性を向上させ、改ざんを防ぐ一助となります。したがって、株主総会や取締役会の議事録など、複数ページにまたがる文書においても、割印は有益な手法です。

割印の押し方・位置

割印の押し方に関しては、特に法律上の具体的な規定は存在しません。文書全体に押されていれば、割印としての効力を果たすとされています。

契約書に割印を押すには、まず契約書を上下または斜め方向に少しずらして重ね、その重なった部分に押印します。これにより、各契約書に印影が割れて半分ずつ押されている状態になります。通常、割印は契約書の上部または側部に配置されることが一般的です。
ただし、文章や装飾で押印が見えにくくなるというような特殊な理由がない限り、上部に割印することが無難かもしれません。

複数人が署名・捺印する場合、各人の割印が必要ですが、最初に押した割印がずれないように気をつけましょう。また、複数ページにわたる文書の場合、全ページに割印されていることが必要です。縦長の印章を使えば複数ページに押すことができますが、丸形の印章を使うと長さが足りないことがあり、その際は2ヵ所に割印を行う必要があります。

領収書に割印を押す際には、原本と写しをわずかにずらし重なった部分に押します。割印の場所に厳格な規定はなく、領収書の上部または側部のどちらかに押すことが適切です。原本と控えを分ける方法をとる場合は、事前に切り取り線の部分に押しておくと良いでしょう。

課税文書に収入印紙を貼付する際には、印紙税法(第八条第2項)に基づき、消印を行う必要があります。この消印は、課税文書と印紙の彩紋(幾何学的模様)の双方にかかるように押します。

また、以下のうちいずれかの印章(または署名)が必要です。

・自己
・自己の代理人(法人の代表者を含む)
・使用人その他の従業者

契約印と同じものを利用する

割印に使用する印鑑は、通常、契約印と同じものが用いられます。異なる印章を使っても問題ありませんが、基本的には印章を分ける必要はありません。ただし、3部以上の契約書の場合丸い印章を用いると、長さが足りなくなることがあるため、縦に長い割印専用の印章を用意しておくと良いでしょう。

割印を綺麗に押すポイント

割印を押すとき、押印が綺麗にならなかったり、擦れたりしてがっかりしたことはありませんか。このような失敗は割印の効果には影響しませんが、契約書への押印は重要な場面であるため失敗は避けたいものです。割印をクリアに押すためのポイントは、適切な印章サイズ、印鑑マットの使用、捺印面の高さを揃えることです。各ポイントについて見ていきましょう。

サイズ

割印に適したサイズは、以下の3つです。

①12×30mm、②13.5×33mm、③15×36mm

印章のサイズに応じて、入れることができる文字数が変わります。
改行が必要な法人名、20文字以上など文字数が多い場合には、15×36mmのサイズがおすすめです。

印鑑マットを使う

印鑑マットは、綺麗に割印を押す際に使用する基本アイテムです。特に、重ねた紙にまたがって押す割印の際に頼りになる存在です。印鑑マットの上に、文書を丁寧に重ね合わせて置きましょう。面倒だからといって省略せず、印鑑マットを使って美しい割印を押してください。

捺印面の高さを揃える

割印での主な失敗原因は、捺印面の高さが均等でないことです。そのため捺印面の高さを整えることがポイントです。前述したように、印鑑マットを捺印面の下に敷き、高さが一致しない場合は、厚紙などを使用して調整すると失敗せずに綺麗に押せます。

他の押印と割印の違い【契印・捨印・消印】  

ビジネスにおいては、さまざまな種類の「◯印」が存在し、割印だけでなく契印、捨印、消印など、押印方法が多岐にわたります。これらの押印方法はそれぞれ異なる意味があるので、誤って押すことがないように、それぞれどのような場合に使われるのかを理解しておきましょう。

契印

契印は、2枚以上の契約書が連続した文書を構成していることを証明するために使用される印章(ハンコ)です。契印は通常、契約書の複数のページにわたって押され、これによって各ページが正確に連続していることが示されます。この手法により、途中のページが差し替えられたり、抜き取られたりするような不正行為があれば、契印が途切れ、改ざんされたことがわかります。つまり、契印は改ざんを防ぐ抑止力となるものです。なお、「契約印」という混同しやすい言葉がありますが、これは契約の際に使用される印鑑を指し、異なるものです。

捨印

捨印とは、契約書やその他の文書において、後で訂正が必要になった際に訂正印の代わりに用いるために余白に押す印鑑のことです。

通常、契約書の修正は、二重線を引いて訂正した箇所に「訂正印」を押しますが、相手方が文書を保管している場合、即座に訂正が難しいことがあります。そこで、捨印を余白に残しておけば、相手方が後で訂正できるため、遠隔地でもスムーズに対応できます。逆に、自身が文書を保管し、相手の訂正印を待たなければならない場合も、捨印を利用してこちらで訂正が可能です。このように捨印は、煩雑な訂正作業を迅速に行える利点がありますが、一方で自分の意図しない変更が行われるリスクもあるため、慎重な注意が必要です。

消印

契約書に収入印紙を貼り、文書と印紙にまたがって押印する手続きを「消印(けしいん)」と呼びます。この方法は印紙の再利用を防ぐだけでなく、「印紙税」においても重要な役割を果たしています。

契約書に印紙を貼る条件や金額に関しては「印紙税法」で規定されていますが、単に印紙を貼っただけでは納付が完了していません。実際に印紙税を納付するには、印紙を貼った後に必ず消印することが必要です。消印がない場合、印紙税は納められていないと見なされますので、注意しましょう。印紙を貼り付けた場合には、必ず消印を行うことが不可欠です。

割印についてよくある質問

割印についてよく寄せられる質問を以下にまとめましたので、参考にしてください。

失敗したらどう対処するの?

割印を適切に押せなかった場合、まず考えられる方法は「同じ位置に重ねて再度押す」ことです。しかし、綺麗に上手く重ねるのは不可能であり、この手法では不正行為と誤解される可能性があります。

割印が上手く押せなかった場合は、別の箇所に新たに割印を押せば問題ありません。失敗した割印に対しては、訂正印などは不要です。再度割印を押す際には、「割印を綺麗に押すポイント」で解説した方法で書類をきちんと設置してから慎重に押印しましょう。

割印を忘れた場合は法的に問題ある?

契約書に割印が押されていなくても、契約印や署名が存在する場合、その契約は無効になることはありません。割印は主に同一性や、改ざんを防止するためのもので、法的な効力には直接影響しません。割印を後から行うことも可能ですが、相手が契約書を手元に取り出せない状況なども考慮して、タイミングや具体的な状況を検討して相談することが肝要です。

参照:押印の有無に関する法的効力|経済産業省

割印は片方だけで良いの?

契約書には複数の関係者がかかわりますが、契約の妥当性においては、双方の割印がなく、片方だけでも問題ありません。通常、契約業務では両当事者で割印することが一般的ですが、割印の主な目的は再利用の防止であり、片方が割印(消印)しても契約は有効と見なされます。実際には、契約相手の確認が求められることもありますが、法的には片方だけの割印でも問題ありません。

割印はシャチハタでも良いの?

契約書においては、シャチハタの使用は認められません。シャチハタは商品名であり、インク内蔵型の印鑑のことで、スタンプのようなものです。契約書に使用されるべき印鑑は、通常「実印」が求められます。実印とは住民登録済の役所で登録された印鑑で、各個人につき1本のみです。

経理業務を楽にするならINVOY

割印の目的の1つが契約書の改ざんを防ぐことですが、不正な改ざんに対処するためには、電子化がより確実でかつ効果的な対策です。多くの企業が書類の電子的な発行や押印の省略などを通じて、業務をより効率的に進めています。経理業務を効率化する手段として、当社のサービス「INVOY」がおすすめです。INVOYでは印影をアップロードすることもできるため、押印が必要な場合でも安心して利用できます。INVOYは簡単な登録手続きで利用できますので、この機会にぜひご検討ください。

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まとめ

契約書の割印は、文書が複数ページにまたがる場合に採用される押印の手法です。割印を押すには、まず契約書を少しずつずらして重ね、その重なった部分に押印します。契約書に割印を押すことで、改ざんを防ぎ、契約トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。特に重要な契約書に対しては、割印を押すことが一般的です。割印をきれいに押すポイントは、印鑑マットを使用し、捺印面の高さを均等に合わせることです。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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