未入金の売掛金を回収するには?流れや対処方法を紹介 最終更新日: 2023/09/11   公開日: 2023/09/11

売掛金の未入金は、取引先との間で起こる可能性のあるトラブルの1つです。ここでは、売掛金とは何なのか、そして未入金の売掛金を回収する流れや対処方法をご紹介します。

売掛金とは何か?

売掛金は、商品やサービスを販売・提供し、後払いで取引をした場合に、代金の支払いを受け取る権利のことを指します。個人が飲食店で行うこともある「ツケ払い」のようなものですが、企業間で売掛金が発生する際は何らかの書面を交わしているのが通例です。

ツケ払いと同様に、その代金を後日きちんと回収できれば問題にはなりませんが、万が一回収できなかった場合は企業にとって損失となります。こうしたリスクはありますが、実際のところ企業間の取引ではよく用いられている方法であり、珍しいものではありません。

売掛金は、企業の貸借対照表にも掲載される勘定科目の1つです。タイムラグはあるものの、「お金を受け取る権利」である売掛金は、企業にとっては資産です。ただ、支払いまでのタイムラグにより、資金繰りを悪化させるリスクも持ち合わせています。

関連リンク:買掛金とは?売掛金・未払金・未払費用との違いや仕訳例を徹底解説

買掛金との違いは?

先ほど、売掛金は貸借対照表で「資産」になるとご紹介しました。この反対にあたるのが、買掛金です。

買掛金は、商品やサービスを購入した側が後日その代金を支払わなければならない「負債」であり、売掛金とは逆の「負債」の科目に記載されます。

売掛金が未入金の場合の対処法

商品やサービス提供を停止する

売掛金が発生するような取引の多くは、継続的に商品やサービスを提供するような状態になっているでしょう。しかし、売掛金の回収が遅れている場合、変わらず商品やサービスを提供し続けていても未回収の売掛金が増加していくリスクが高いです。支払いの目処がたつまでは、一時的にでも商品やサービスの提供を停止した方が無難です。相手側の企業にも、その旨をしっかりと伝えていく必要があります。

売掛金と買掛金を相殺する

自社との取引でお互いに売掛金と買掛金がある場合は、未回収の売掛金が自社の買掛金で相殺できれば、もし未回収のままだとしてもその損失を少なくしたりゼロにしたりすることが可能です。ただし、これはお互いに売掛金と買掛金がある場合しか行えない対処方法であり、相手側が法的な整理に入った場合は相殺できる期間も限られます。対処が遅くなれば相殺ができず、未回収の売掛金がそのまま損失になってしまう恐れがあるため注意しましょう。

契約書を確認する

もし、未回収のまま法的な対応に踏み切ることとなった場合、契約書の存在が重要になります。契約書だけでなく、発注請書など買主の捺印がある書面を探しましょう。こうした書類は、自社側が提供した商品やサービスの代金について相手側が納得し了解したことを証明するためのものです。もし、契約書が見つからない場合は、代金について合意したことがわかる書類などを揃えておくことをおすすめします。

期限の利益喪失条項

契約書には、「期限の利益喪失条項」が盛り込まれているケースがあります。これは、債務者が他の取引について支払いを滞らせた場合などにおいて、他の取引の支払い期限がきていなくても債務の全額をまとめてすぐに支払う義務を指します。この条項は契約に盛り込まれていないケースもあるため、まずは確認しましょう。

所有権移転時期

契約書には、「所有権移転時期」についての記載があるでしょう。これは、簡単に言えば商品の所有権がいつ誰にうつるのかを決めたものです。「引き渡し時」とあれば、商品を引き渡したタイミングで売り主から買い主に所有権がうつります。「支払い時」であれば、代金が支払われるまでの所有権が売り主にあるということになります。もし、「支払い時」で契約をして未回収の状態が続き、買い主が破産してしまった場合、売り主は商品を回収して引き上げることが可能です。

売掛金を回収するときの基本的な流れ

取引先に連絡する

未回収の売掛金が発生した場合、すぐに取引先に連絡をとりその旨を伝えるのが重要なポイントです。実は、相手側に悪意がなくても、振り込みの対応ミスや請求書の未処理等の理由で未回収になってしまうケースは少なくありません。しかし、何らかの理由をつけて支払いをしぶるような状況であれば、交渉など次の対応を考えていく必要も出てきます。まずは、相手側のミスがないか、未回収の理由について明らかにしましょう。

催促の連絡を行う

納品した商品に欠陥等がないにも関わらず、こちらから未回収である旨を伝えても支払いがない場合は、催促の連絡を行うこととなります。買主とこれからも取引を予定している場合は、できるだけ催促を行う以前に支払いを終えてもらい関係性が悪化しないようにつとめたいものですが、残念ながらそうでない場合は文書で催促をしましょう。

決算書を出してもらう

未回収の売掛金の支払いが滞っている場合、その取引先の会社の決算書を出してもらうよう依頼しましょう。この決算書で、経営状況や保有している資産の状況が明らかになります。もし、資産がはっきりすれば、万が一の際の差押えで売掛金が回収できるか予測もつきやすいでしょう。

債務確認書にサインしてもらう

債務確認書とは、未払いの債務の金額が記載された書面のことで、これにサインをしてもらうと取引先が債務を認めた証明となります。いずれ仮差押えや訴訟に発展した場合の法的な回収手続きで重要な役割を果たします。

債務書には、「当社は、貴社に対して、○年○月○日現在、△年△月△日に購入した××の代金として※※円の支払義務があることを認めます。」といった内容を記します。そして、買主である取引先の社名、住所と書いてもらって押印してもらうのが一般的です。

催告を行う

支払の催促をしてもそのまま状況が変わらず支払いがない場合は、書面で催告を行うこととなります。催促状よりも強い支払請求であり、郵便局の「配達証明付き内容証明郵便」で送ります。郵便局でこの手続きをすれば、郵便物の内容や発送日、確かに配達したことを郵便局が証明してくれます。

催告書は、弁護士を通して送るとさらに効果が出やすいです。取引先にとってはプレッシャーになり、内容には期日までに支払いがない場合、訴訟等の手続きをする旨も書いておくとよいでしょう。

交渉する

相手方との話し合いの席が設けられるのであれば、催告をした後で交渉の場が持てるとベターです。支払期限や支払ってもらう金額、その支払方法について双方が確認・合意できれば、訴訟などを避けることができるかもしれません。ここで大事なのは、合意書を作成することです。さらに、当事者同士だけで交渉せず、弁護士に加わってもらう方がより安心です。特に、話が難航しそうな場合は弁護士に代理人になってもらった方が話が進みやすくなるかもしれません。

商品を引き揚げる

買主のもとに商品が残っており、承諾が得られた場合は、商品の引き揚げも検討します。間違っても勝手に引き揚げてはいけません。罪に問われてしまいます。承諾を得たことを書面に残しておくと、トラブルに発展せずに済むでしょう。

買主の販売先である会社から代金を振り込んでもらう

すべての事例に当てはまるわけではありませんが、買主が自社の商品を別会社に販売し、その別会社から支払いを受けていない場合は、その代金の受け取りを自社に変更してもらって売掛金の回収に充てることも可能です。しかし、買主が破産してしまうとこの方法は使えません。

売掛金が未回収の場合のリスク

資金繰りが悪化する可能性がある

売掛金は本来後払いで支払われるべきお金です。数ヵ月先に回収できなければ、後に人件費や税金、取引先への支払いといった資金繰りに影響する可能性があります。

売掛金の入金を見込んで支払い計画を立てていると、取引の額が多い会社が増えれば増えるほど未回収による自社の損害リスクも高まります。実際、1つの会社が倒産したことをきっかけに、その会社と取引のあった複数の会社まで倒産してしまうという、連鎖倒産という現象も起こり得るのです。

売掛金の回収ができず自社の資金繰りが悪化し、今度は自社が支払うべき他社への売掛金が滞ってしまうと、信用問題にも発展します。

金融機関からの評価が下がる

金融機関から融資を受けている場合は、売掛金が回収できないことに対するマイナス評価もリスクになります。売掛金が回収できないということは、お金が管理できていないことの表れとして捉えられてしまうからです。

売掛金の回収能力が低く金融機関からマイナス評価を受けると、その後の融資の否認や融資期間の短縮、融資金利の上昇など不利な状況を生み出すきっかけになる可能性があります。

生産性が下がる

売掛金の回収にかかる業務は、本来ならば発生することのない非生産的な業務です。非生産的な業務にいくら時間を割いても、売上や顧客満足度を高めることはできません。売掛金の回収業務にあたる時間は、企業にとっての損失になります。実際に、回収業務にあたる社員の時給を換算して、回収業務に割いた時間を掛けると、どれだけの損失額になるのかイメージしてみましょう。それだけでも想像以上の損失額になるはずです。

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まとめ

売掛金が回収できない状況は、小さな規模の会社ほど影響が大きく、場合によっては資金繰りの悪化から倒産のリスクに発展することもあります。売掛金の未回収は珍しいことではないかもしれませんが、早いうちに回収に向けてアクションを起こすことが大切です。そして、その重要性をよく理解し、自社にとって脅威にならないよう請求管理をしておく必要もあります。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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