住民税で副業がバレるって本当?自分で納付する場合の申告方法を徹底解説 最終更新日: 2023/12/17   公開日: 2023/12/17

副業をしている場合、住民税が増えることによって本業の勤務先に副業の存在がバレてしまうことがあります。本記事では、副業が住民税によってバレることを避ける方法や、住民税を自分で納付する方法などについてわかりやすく解説します。

住民税で副業がバレる?

多くの会社は、給与からあらかじめ住民税を差し引き、従業員の代わりに納付する「特別徴収」の仕組みを採用しています。副業によって所得が増えると住民税の金額が変わってしまうため、経理担当者などが不審に思うケースがあります。

また、副業がアルバイトやパートの場合は、自治体から勤務先に届く書類で副業がバレる可能性が高くなります。

副業の所得によって住民税額が上がる

給与から差し引かれる住民税は、前年の所得に対して負担する所得割と、所得にかかわらず一定の金額を負担する均等割から構成されています。副業によって所得の金額が上がれば、所得に応じて計算される所得割の存在によって住民税が高くなります。

ほとんどの会社は特別徴収の仕組みによって給与所得者の代わりに住民税を納税しているため、昇給などがなかったのにもかかわらず住民税が高くなれば、副業がバレてしまう可能性があります。

参照:個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局

アルバイトの場合は報告書を提出する

給料を支払った事業者は「給与支払報告書」を自治体に提出しなくてはいけないという決まりがあります。これはアルバイトやパートであっても提出義務があり、副業で少額の給与所得を得ている場合にも、自分の所得を自治体に知られることとなります。

本業の勤務先が給与から住民税を差し引く場合、自治体から勤務先に対して「給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書」が届きます。

この書類の中には「主たる給与以外の合算所得区分」という欄があり、副業の勤務先が給与支払報告書に記載した内容が反映されます。本業の経理担当者がこの欄を見れば、アルバイトやパートをしていることがバレてしまうでしょう。

参照:令和4年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引|国税庁

住民税で副業がバレないようにするには?

副業禁止の会社で副業がバレてしまえば、始末書の提出や減給、解雇などの罰則を受ける可能性があります。住民税で副業がばれないようにするための方法を3つ紹介します。

自分で住民税を納付する

これまでに解説してきた通り、勤務先が従業員の代わりに住民税を納付する特別徴収を選択していると、住民税が増えたことによって副業が会社にバレてしまう可能性があります。

副業の所得の部分だけ住民税を自分で納付する普通徴収を選択すれば、住民税が増えても会社が気づくことがないため、副業がバレずに済むことがあります。しかし、ほとんどの自治体は特別徴収を推奨しているため、普通徴収ができるとは限らない点に注意しましょう。

会社で副業のことを話すのは避ける

同僚などに副業の話をすると、副業をしていることが周囲に広まってしまうことがあります。また、すでに退職している同僚や取引先の人などであっても、どこからか話が漏れて会社に伝わってしまうことがあります。

信頼している人であっても、会社と少しでも繋がりがあれば副業のことは話さない方が賢明です。

特定できる内容をSNSで発信しない

SNSで副業がバレてしまったケースもあります。特に、本名や顔写真、それに近い情報を公開しながら副業に関する投稿をしていると、会社の同僚などに見られてバレてしまう可能性が高まります。

また、プライベート用のアカウントでも、本業の同僚にそのアカウントを知られている場合、うっかり副業に関する投稿をしてしまわないように注意が必要です。

副業の所得が20万円以下の場合

副業の所得が1年間で20万円以下であれば、確定申告の必要はありません。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。例えば、ハンドメイド品の販売で30万円を売り上げても、材料費などで15万円を支払っていれば、所得が20万円以下になるため確定申告は不要です。

しかし、所得が20万円以下の場合、確定申告は免除となりますが、住民税の申告は必要になります。この住民税の申告をしなかった場合、住まいの地域の市区町村から申告が漏れている旨の指摘が入る可能性があります。後から副収入があることを役所が知った場合には、その収入を加算して住民税額を決定し直し、本業である勤務先に住民税を増額するといった通知が送られる可能性もあります。このようにして、20万円以下の副業で確定申告をしていなくてもバレる可能性はゼロではありません。

なお、税務署に確定申告した場合は、住民税の申告は不要です。税務署から役所に申告内容が転送され、役所はそのデータを元に住民税を課税できるためです。

関連リンク:副業はいくらから確定申告が必要?税金の計算方法や20万以下の場合も解説

副業による所得がある場合の、住民税の申告方法

住民税によって副業が本業の勤務先にバレることを防ぐためには、副業の住民税を普通徴収で納付します。具体的には、確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項 住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付」に丸を記入します。

「自分で納付」を選択することによって、本業の会社には原則として副業に関する所得の情報が通知されません。

しかし、事業者の多くは特別徴収義務者として従業員の住民税を給与から差し引く必要があります。そのため、副業がアルバイトやパートの場合、普通徴収ができない可能性が高いことを覚えておきましょう。

また「自分で納付」を選択した場合は住民税を自分で納付することになるため、払い忘れのないように注意しましょう。

住民税を気にせず副業をする方法

住民税によって勤務先にバレることを気にせずに副業をする方法を3つ紹介します。

株・投資信託

株の売買や投資信託による運用を通じて利益を得る方法です。取引のために使う証券口座には「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類があります。

このうち「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すると、利益に対する税金が自動的に徴収されるため、確定申告は不要です。

しかし、投資は自己責任のもと行うものであり、お金に対する知識や運用するための元手が必要である点に注意しましょう。

なお、ビットコインなどの暗号資産には、特定口座がないことがほとんどです。1年間で20万円を超える利益が発生すると確定申告を行う必要があります。

フリマアプリ

フリマアプリやオークションサイトなどを通じて利益を得た場合、その多くは「生活用動産の譲渡による所得」とみなされます。「生活用動産」とは、家具や衣服など、土地や建物といった不動産に該当しないものを指します。

これらの所得に関しては「生活用の資産を取り崩している」とみなされ、非課税になります。

ただし、貴金属や宝石などで、1個あたりの価額が30万円を超える場合や、せどりによって利益を得ている場合はこの限りではありません。

参照:No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法|国税庁

不動産投資

副業禁止の会社でも、不動産投資であれば可能としているところがあります。公務員に関しても副業は禁止されていますが、国家公務員の就業規則である人事院規則では、以下の場合に営利目的と判断されると記載があります。

・独立家屋では5棟以上
・それ以外の建物(マンションやアパート)に関しては10室以上
・賃料などによる収入が年額500万円以上

つまり、独立した家屋が5棟未満、マンションやアパートであれば10室未満であり、かつ収入が500万円未満であれば、公務員でも不動産投資の副業ができる可能性があります。

また、基準を超えてしまっても「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」を提出し、承認を受けることで、不動産投資が許可されることがあります。

不動産は親から相続する事例があることや、相続税対策として用いられることから、公務員だけでなく一般の会社でも許可されていることがあります。

参照:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

「普通徴収」で住民税を納付する方法

住民税によって副業がバレることを防ぐためには、普通徴収を選択し、副業の部分の住民税を自分で納付すると前述しました。普通徴収では、住民税の納付を以下の4回に分けて納付します。

・第1期:6月30日
・第2期:8月31日
・第3期:10月31日
・第4期:翌年1月31日

期限が土日の場合、次の月曜日が納付期限になります。

普通徴収を選択すると、自宅に納税通知書が届くため、案内に従って忘れずに納付しましょう。コンビニや金融機関で支払う方法をはじめ、口座引き落としやクレジットカード払いによる方法などがあります。

なお、住民税の納付方法は自治体によっても異なるため、詳細は各自治体のホームページなどもあわせて確認してください。

参照:住民税について|新宿区

住民税を納付する際の注意点

住民税を納付する際の注意点を3つ紹介します。

転職・退職した場合は別途手続きが必要

特別徴収であれば毎月の給与から自動的に天引きされるため、従業員が行う手続きは特にありません。しかし、転職や退職をした場合は、自分で納付するなどの対応が求められることがあります。

転職した場合

転職すると、前の会社から新しい会社へ特別徴収を引き継ぐため、従業員側で特別な手続きをする必要はありません。しかし、引き継ぎの手続きには時間がかかるため、間に合わない場合には一時的に自分で納税するなどの対応をするケースもあります。

また、前の会社に依頼して、新しい会社での手続きが済むまでの数ヶ月分の住民税をあらかじめ天引きしてもらう方法もあります。

退職した場合

退職をして次の会社に就職しない場合、退職した日付によって以下の方法で納付することになります。

・6月1日~12月31日に退職:退職月以降の住民税を自分で納付する
普通徴収への切り替えを、会社に依頼するか、役所で手続きする必要があります。
希望すれば、退職した月から翌年の6月までの住民税を、最後の給与もしくは退職金から一括して天引きしてもらえることもあります。

・1月1日~5月31日:その年の残りの住民税を一括で徴収される
退職した月の給与や退職金が住民税の金額よりも少ない場合は、普通徴収にして自分で支払うこともできます。

クレジットカードでの納付は領収証が発行されない

多くの自治体では、住民税をクレジットカードで納付することもできます。時間や場所を選ばずに納付できたり、クレジットカードのポイントが還元されたりする点がメリットと言えます。

しかし、領収証が発行されない点には注意が必要です。支払ったことを確認するためには、クレジットカードの明細や役所が発行する納税証明書を確認する必要があります。

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まとめ

副業をすると、住民税の増加などの理由で本業の勤務先に副業をしていることがバレてしまうことがあります。バレないためには、副業に関する部分の住民税を普通徴収にするなどの対策を行いましょう。

普通徴収にした場合は、1年分の住民税を4回にわけて納付します。また、株式投資や不動産投資などに関しては副業に該当しないと考える会社もあります。会社の就業規則などを確認し、総合的に判断して副業を行いましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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