会計ソフトを導入した際の勘定科目は?仕訳の一例や注意点も解説 最終更新日: 2024/03/15   公開日: 2024/03/15

会計ソフトにかかった費用を計上する際は「通信費」や「消耗品費」などの勘定科目を使います。本記事では、会計ソフト導入時の勘定科目や、実際の仕訳例などについてわかりやすく解説します。

会計ソフトを仕訳する際の勘定科目

会計ソフトにかかった費用を計上する際は、通信費もしくは消耗品費の勘定科目を使って仕訳することが一般的です。会計ソフトにはクラウド型とインストール型の2つのタイプがあり、このタイプによって勘定科目を選択することをおすすめします。

・クラウド型:クラウドを通じて操作し、月額もしくは年額を継続して支払う
・インストール型:ソフトを購入した後、パソコンに直接インストールして操作する

クラウド型は通信費、インストール型は消耗品費を使って計上しましょう。

勘定科目を決める際の注意点とは?

勘定科目の決め方は明確なルールがなく、法律で定められているわけでもありません。事業の状況に応じて、会社独自の勘定科目を作成することもあります。

しかし、だからと言って何も考えずに勘定科目を選択していいというわけではありません。勘定科目には以下の5つのグループがあり、この分類を逸脱しないように計上することが求められます。

・資産:会社が持っている財産
・負債:これから支払わなくてはいけないお金
・純資産:資産から負債を差し引いたお金
・収益:会社の活動を通して得たお金
・費用:収益を得るためにかかったお金

会計ソフトの導入時は、一般的には費用の勘定科目を使用します。誤ったグループの勘定科目を使うと、正しい決算書や確定申告書が作成できない点に注意しましょう。

クラウド型の会計ソフトの勘定科目は?

クラウド型の会計ソフト費用は通信費の勘定科目を使って計上します。通信費は、電話代やインターネットの回線の契約料、切手代などに対して利用できる勘定科目です。また、料金を継続的に支払うサブスクリプション型のサービスの費用に関しても通信費で計上できます。

ただし、会社によっては以下の勘定科目によってクラウド型の会計ソフト費用を計上することもあります。

・消耗品費
・外注費
・諸会費

基本的には通信費を使って計上し、会社に独自のルールがある場合にはそちらに従うといいでしょう。

クラウド型の会計ソフト費用の仕訳の一例

クラウド型の会計ソフト費用を通信費で計上する場合は、以下のように仕訳を行います。

<例①>クラウド型の会計ソフトを導入し、月額料金2万円が口座から引き落とされた

借方貸方
通信費 20,000普通預金 20,000

月額料金を継続的に支払い、普通預金口座から引き落とされた場合、引き落とされた日付で計上します。

<例②>クラウド型の会計ソフトを導入し、年間料金24万円が口座から引き落とされた

借方貸方
通信費 240,000普通預金 240,000

会計ソフトの中には、年間の料金をまとめて支払う仕組みのものもあります。その場合も、引き落としのあった日付で上記のように計上しましょう。

インストール型の会計ソフトの勘定科目は?

インストール型の会計ソフトは消耗品費の勘定科目で計上します。消耗品費は、文房具やコピー用紙、棚、デスクなど、幅広いものに対して使える勘定科目です。会計ソフトのようなソフトウェアに関しても、消耗品費として計上できます。

なお、消耗品費として計上するためには、取得価額が10万円未満である必要があります。

取得にかかった費用が10万円を超える場合は減価償却が必要となる

10万円以上の高額な会計ソフトは、消耗品としてではなく、固定資産として扱います。固定資産とは、短期で売ったり手放したりせずに長期間保有する資産のことです。固定資産の例として、車や工場の設備などがあります。

固定資産は、物理的な形のある「有形固定資産」と、形のない「無形固定資産」があります。会計ソフトは形のない無形固定資産であり、計上する場合は「ソフトウェア」という勘定科目を使用します。他の固定資産と同じく、年数に応じて価値を少しずつ減らす減価償却という処理が必要です。

なお、取得に10万円以上かかったインストール型の会計ソフトであっても、特例を利用することで事務的な手間を減らせることがあります。詳しくは国税庁のホームページもあわせてご覧ください。

参照:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

インストール型の会計ソフトの仕訳の一例

<例①>インストール型の会計ソフトを購入後、代金5万円が口座から引き落とされた

借方貸方
消耗品費 50,000普通預金 50,000 

取得価額が10万円未満の場合、上記のように引き落とされた日付で消耗品費として計上します。

<例②>インストール型の会計ソフトを購入後、代金20万円が口座から引き落とされた

借方貸方
ソフトウェア 200,000普通預金 200,000   

<例③>年度末であるため、インストール型の会計ソフトの減価償却を行った

借方貸方
減価償却費 40,000ソフトウェア 40,000

インストール型の会計ソフトをソフトウェアとして資産計上する場合、購入時に例②の仕訳を行います。年度末には例③の減価償却の処理を行い、耐用年数である5年に渡って少しずつ減価償却費として計上していきます。

追加費用が発生した場合の勘定科目は?

会計ソフトのアップデートや、操作方法で困った時のサポートに対して、追加で費用を支払う必要が生じるケースもあります。これらの費用は「諸経費」や「支払手数料」の勘定科目を使って計上できます。

しかし、本来の利用料にアップデートやサポートの費用が含まれている場合には、通常時の勘定科目と同じものを使ってもいいでしょう。

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会計ソフトの勘定科目についてのまとめ

会計ソフトにかかった費用を計上する際は、会計ソフトのタイプに応じて勘定科目を選択します。基本的には、クラウド型は通信費、インストール型は消耗品費もしくはソフトウェアの勘定科目を使います。

仕訳時の勘定科目は自由に選択できますが、取引の内容とかけ離れた勘定科目を使うと正しい決算書を作成できなくなることに注意しましょう。また、勘定科目を選択する際のルールがすでに会社に存在している場合には、そちらに従うことも大切です。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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