売掛払いとは?メリットとデメリット、課題の解消方法について解説!

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売掛払い

売掛払いとは、商品やサービスの支払いを後日に一括して行う取引方法であり、企業間で一般的に採用される「掛売り」として知られています。この記事では、売掛払いのしくみやメリット、デメリット、そしてそのデメリットを解消する方法について説明します。また、外部サービスを導入した事例もご紹介します。

売掛払いとは?

売掛払いとは、売り手企業が商品やサービスを提供し、買い手企業が契約書に規定された期間内に取引代金を後日まとめて支払うシステムです。したがって、支払いは実際の取引時ではなく後日に行われます。そのため、取引時には現金のやり取りは起こりません。売り手企業は売掛金として、買い手企業は買掛金として記録します。この方法は一般的に「掛売り」とも呼ばれます。企業間の取引では、一定期間の取引を一括して決済する掛売りが一般的です。複数の取引を一括で決済することで、都度支払いの手続きを簡略化できるメリットがあります。

売掛払いのメリット・デメリットを解説!

売掛払い(掛売り)は多くの企業ですでに導入されていますが、どのようなメリットがあるでしょうか。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。デメリットについても確認しておきましょう。

メリットその1:決済業務の効率化ができる

売掛払い(掛売り)以外の支払い方法には、現金支払いがあります。掛売りと現金支払いの主な違いは、一定期間分の請求を一括支払いにするか、都度支払うかです。売掛払いは、事前に定めた期間分の請求をまとめて行うため、決済業務を大幅に効率化できます。一方、現金支払いでは、納品するたびに支払いや請求書の発行が必要であり、決済業務の手間が増えます。

売掛払いのメリットの一つは、取引する双方の企業の手間を減らせることです。都度取引では、取引が頻繁であれば売り手は何度も請求書を作成し、買い手は支払いのために頻繁に手続きしなければなりません。売掛払いでは、これらの手続きを一度にまとめることができます。

メリットその2:手元に資金がなくても取引ができる

売掛払い(掛売り)は、支払期日があらかじめ定められている後払いの方法です。これにより、商品やサービスの購入時に資金が不足していても、大規模な取引を行うことができます。ただし、返済が見通せない場合には、この方法は適していません。しかし、売掛金の回収時期を考慮し、支払期日内であれば支払える場合は、将来のビジネス拡大のために取引を望むこともあるでしょう。

売り手企業の立場から見ると、資金が十分な企業だけと取引することは、機会損失を招く可能性があります。買い手企業と売り手企業の両者が機会損失を回避しながら取引を行うためには、掛売りが有効な手段となります。

メリットその3:取引先の選択肢が広がる

多くの企業が掛売り取引を主体としているため、売掛払いに対応すると取引先の選択肢が増えます。特に大規模な企業では、請求業務の手続きが一般的に標準化されているため、イレギュラーな支払い方法への対応が困難だったり、承認を得るのに時間がかかったりすることがあります。そこで、柔軟な掛売りシステムを導入することで、取引プロセスをスムーズに進めることができるでしょう。

デメリットその1:与信管理の手間がかかる

売掛払いでの貸し倒れなどのリスクを軽減するための対策として、与信管理があります。この与信管理とは、取引先の資本金、売上高、主要取引銀行などを調査し、会社四季報や公式ホームページから財務状況を調べて信用度を評価する手法です。新規の取引先との取引を開始する前には、それぞれの取引先に設定された与信基準に基づいて信用度を判断します。

与信管理は賃借対照表や決算書などをもとに進めるもので、以下のような手順で行うものです。

  • 与信基準の設定
  • 顧客分析
  • 情報共有
  • 与信枠の定期的な見直し
  • 社内承認プロセスの確立

信用度調査には手間と時間がかかりますし、より厳しい与信基準を設定すると、さらに詳細な調査が必要となります。また、与信管理は取引の開始前だけでなく、取引が始まってからも定期的に実施することが重要です。

取引を開始してから時間が経つと、取引先の状況が変わることがあるため、1年に1回実施するなど定期的な与信管理の見直しが必要です。ただし、与信調査にかかる手間やコストが、取引の価値に見合っているかどうかを見極めましょう。

デメリットその2:信用取引のリスクが存在する

取引先との信頼に基づく掛け取引は一般的に「信用取引」と呼ばれます。しかし、取引先が業績悪化に陥ると、この信頼関係は揺らぎます。言い換えると、与信管理や決済業務に不手際があると、支払い遅れや支払いが滞ることがあり、これによって債権が滞留債権や不良債権に転化する可能性があります。滞留債権は指定された期日までに入金されない債権であり、不良債権は回収不可能と思われる債権のことです。

滞留債権や未入金の場合、まだ回収できる可能性がありますが、支払い遅延が続くと、不良債権になり、売掛金を回収できません。その結果、商品やサービスの代金を受け取れず、赤字処理を余儀なくされます。要するに、信用取引では、不良債権化するリスクが常に潜んでいるため、その発生を防ぐために努力することが必要です。

デメリットその3:催促の手間がかかる

売掛金は、一定期間内に一括して請求し、支払期限を設定しますが、全額が期限内に支払われるとは限りません。支払が遅れたり、時には支払われなかったりすることもあります。 支払いの遅延や未払いが発生した場合、取引先に支払いの催促や督促を行う必要が生じますが、この作業は業務負担だけでなく、精神的なストレスも伴う作業です。取引先が多ければ、催促に要する人件費も増えるでしょう。特に少額の売掛金を催促するのは、コストパフォーマンスが悪いと言えます。

売掛払いのデメリットを解消する方法を解説!

売掛払いはメリットがありますが、同時にリスクも伴います。そのデメリットを解消するためには、各課題に対応したサービスの利用が有効です。

以下では、4つのサービスを詳しく見ていきます。

1.与信管理サービスの活用

与信管理サービスを活用すると、取引先の状況変化を監視し、取引を始める際の与信審査をスムーズに行えます。取引先の財務状況に変化があると、アラートが通知されるため、取引を継続するかどうかを判断するのに役立ちます。

2.売掛保証サービスの活用

売掛保証サービスは、売掛金が未入金の場合に保証を受けられるものです。このサービスを利用すると未回収リスクを削減でき、未入金による不安を和らげます。高額な取引にのみ保証を付けるなど、ニーズに合わせた柔軟な利用が可能です。

3.ファクタリングサービスの活用

ファクタリングサービスは、企業の売掛債権金を買い取るサービスです。企業間の取引では与信取引が一般的であり、多くの場合、売掛債権金が発生します。ファクタリングサービスを提供する企業にこれらの売掛債権金を売却することで、手数料を差し引いた額がすぐに手に入ります。この仕組みにより、企業はキャッシュフローを改善できます。利用料を支払う必要はありますが、早期に現金化したい場合に有効です。

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大手ファクタリング会社のおすすめ4社!種類の違いと選択のポイント

4.請求代行サービスの活用

請求代行サービスは、請求に関連した業務を委託できるサービスです。このサービスには、督促業務を含むさまざまな業務が含まれています。また、与信管理、請求書の作成・発行・送付、代金回収、入金消込なども委託でき、請求業務の効率化が可能です。支払遅延や未入金に対する保証が付帯している場合もあります。

外部サービスの導入事例

自社の運用には限界があり、外部サービスの導入を検討している方は、以下の成功事例を参考にして、どのような点が課題解決に貢献したかを理解してください。ここでは、2つの事例を紹介します。

具体例1. ラクスル株式会社の成功事例

ラクスル株式会社は、クラウド型ネット印刷を通じてチラシの制作から配布までのサポートを提供している企業です。

ラクスル株式会社では、2つの大きな課題がありました。

1つ目は、事業の性質上、多くの小額取引があり、サービスを提供する前に入金を確認していました。そのような状況の中、取引先企業からは、掛売りに対するニーズが高かったことです。

2つ目は、大規模企業との取引においては、支払い日や締め日が決められており、契約や決済などの細かい部分に柔軟に対応する必要があったことです。

そこでNP掛け払いを導入した結果、顧客ニーズに応えることだけでなく、「締め日・支払い日の自由設定機能」を利用することで、要望への柔軟な対応が実現できました。さらに、決済業務の代行が可能となり、取引先が増えたにも関わらず、社内の人員を費やさずに、事業展開できるようになりました。

具体例2. 株式会社トレタの成功事例

株式会社トレタは、高級レストランや居酒屋などさまざまな飲食店向けに、1つのタブレットで予約を完結させるサービスを提供している企業です。

株式会社トレタは、従来のシステムでは決済業務の負担を減らせなかったことと、コンビニ払いを導入したいという2つの課題に直面していました。これまでにも決済システムを導入していましたが、さまざまな店舗がサービスを利用するようになったことで、自社の請求業務負担が増え続けました。また、利便性を向上させるためにはコンビニ払いにも対応したいというニーズがありました。

そこで、NP掛け払いを導入した結果、請求書の数が95%以上削減され、大きな負担軽減効果が生まれました。これにより請求担当が他の業務も担当できる余裕が確保され、さらに、コンビニ払いにも対応できるようになり、顧客満足度も向上しています。

参照:NP掛け払いとは  |  BtoB・企業間後払い決済/請求代行サービス「NP掛け払い」

関連リンク:ファクタリングの手数料について。申請に必要な経費や手数料率の計算について解説

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まとめ

売掛払いは、商品やサービスの代金を後日一括で支払う方法で、企業間取引で一般的な「掛売り」の方法です。売掛払いのメリットには、業務の効率化だけでなく、資金不足でも取引が可能であり、取引先の選択肢が増えるという点が挙げられます。一方で、与信管理や催促業務にかかる手間がデメリットです。これらの問題解決には、外部サービスの活用が役立つ場合がありますので、ぜひ検討してみてください。

この記事の投稿者:

hasegawa

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