収入印紙を郵便局で購入する方法とは?郵便局以外の購入場所や用途についても解説 最終更新日: 2023/03/13   公開日: 2022/05/23

収入印紙は、税金や手数料を国に支払う際に発行される証票です。収入印紙は様々な場所で購入することが可能ですが、主な購入場所としては郵便局が挙げられます。
本記事では、郵便局で収入印紙を購入するときのポイントを解説します。あわせて郵便局以外で購入できる場所や、収入印紙の基礎知識、貼り間違いや貼り忘れた場合の対処法もご紹介します。

収入印紙って?

収入印紙は国に対する税金や手数料等の支払いにおいて発行される証票のことです。切手のような形状をしています。

事業者が作成する契約書や領収書などの書面の中には、印紙税を国に納めなければならないものがあります(印紙税が必要な書面を「課税文書」といいます)。その場合、印紙税法に書面の種類や対価の額等に応じて定められている印紙税と同額の収入印紙を課税文書に貼り付けます。課税文書に貼り付けられた収入印紙に消印が押されることで、印紙税を納めたと認められます。

課税文書は20種類あり、身近なものだと領収書があげられます。営業に関する領収書については、税抜き5万円以上の支払に対して紙の領収書を発行する場合は、収入印紙を貼る必要があります。

また、収入印紙は印紙税の支払いのほか、手数料を国に支払う目的でも使用され、具体的にはパスポートの発行などが挙げられます。

なお、印紙税がかかるのは課税文書を紙で作成する場合のみで、電子契約書や領収書等を電子発行する場合はかかりません。さらに、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を利用し領収書を発行する場合も、金銭をその場で受領していないため印紙税はかかりません。ただし領収書には『クレジットカード利用』等の記載が必要になります。

このように印紙税がかからない場合は収入印紙を用意する必要がないということになります。

収入印紙について詳しくはコチラ▼
収入印紙とは?収入印紙にかかる金額は?領収書の貼り方や購入方法を解説

収入印紙が必要になる場面

収入印紙が必要になるのは印紙税法に基づく課税文書の作成時です。前述した通り、課税文書に印紙税と同額の収入印紙を貼り付け、消印を押すことで『印紙税を納めた』という証になります。代表的な課税文書は以下のとおりです。

・不動産売買契約書
・金銭消費貸借契約書
・土地賃貸借契約書
・工事契約請負書
・領収書
・約束手形/為替手形
・預金証書
・株券
・定款
・保険証券

このような文書が、課税文書として該当します。なお、課税文書の種類はほかにもあり、全部で20種類に分類されています。

収入印紙の種類

1円から最大で10万円の額面の収入印紙があり、その数は合計すると31種類になります。印紙税の納付は200円からですが、パスポートの申請などにかかる手数料は50円から必要になります。さらに、郵送代として収入印紙を使用するケースがあるため、切手と同様に、必要な額分を過不足なくそろえられるように、収入印紙は1円単位・10円単位で用意されています。

領収書を発行する場合、必要になる収入印紙は、売上代金の受領か否かと受領金額により異なります。

売上代金の領収書の場合

 領収書の金額(税抜) 必要な収入印紙代
5万円未満不要
5万円以上~100万円以下200円
100万円超~200万円以下400円
200万円超~300万円以下600円
300万円超〜500万円以下1,000円
500万円超〜1000万円以下2,000円

売上代金以外の領収書の場合

領収書の金額(税抜)  必要な収入印紙代
5万円未満不要
5万円以上200円

受領した額が税抜5万円未満の場合は、印紙税は非課税となるため収入印紙も不要です。例えば、受領金額が税込53,998円の場合、税抜金額は49,999円なので収入印紙は不要ということになります。ただし、受領した金額を税込でのみ表示しており、消費税の内訳を表示していない場合には、たとえ税抜5万円未満であっても、表示されている金額が税込5万円以上であれば収入印紙が必要になるので注意しましょう。

郵便局で収入印紙を購入する場合

一方デメリットとして挙げられるのは郵便局の営業時間です。郵便局の営業時間は平日9時〜17時のため、夜間や土日祝日には購入することができません。あらかじめ余裕を持って準備することや、普段からよく使用する場合はストックを用意しておくと安心でしょう。
また、数は少ないですが『ゆうゆう窓口』を設置している郵便局であれば、平日21時、土日祝日18時まで購入できるところもあります(2022年5月現在)。

※ゆうゆう窓口の最新の営業時間詳細はHPよりご確認ください

郵便局で収入印紙を購入する方法

ここからは、郵便局で収入印紙を買うときの手順をわかりやすく紹介していきます。基本の手順は次のとおりです。

1.窓口に行く
2.購入希望を伝えて支払う
3.収入印紙を受け取って確認する

1.窓口へ行く

まずは郵便局へ行き、収入印紙を取り扱っている窓口へ行きます。混雑時は整理番号を発行していることもあるので、その場合は整理番号を受け取り呼ばれるまで待ちます。
なお、『ゆうゆう窓口』を設置している郵便局では、『ゆうゆう窓口』で購入することができます。

最寄りの郵便局や『ゆうゆう窓口』の有無、営業時間等こちらで検索することができます。
郵便局をさがす _日本郵便

なお前述した通り、全種類取り扱っていない郵便局もあります。特に5万円以上の額面が大きい収入印紙を購入予定の場合などは事前に電話で問い合わせておくと安心です。

2.購入希望を伝え、支払う

混んでいない場合は直接窓口へ、整理番号を受け取っている場合は呼ばれたら窓口へ行きます。事前に申請書・申込書などに記入する必要はありません。窓口へ行ったら、収入印紙が欲しいことを口頭で伝えます。『〇円分の収入印紙をお願いします』『〇円の収入印紙を△枚ください』と、いくら分の収入印紙が何枚欲しいのか分かるように伝えましょう。

なお、支払方法は現金のみです。クレジットカード決済などの別の支払方法はできませんので注意しましょう。

3.収入印紙を受け取り、確認

支払いを済ませた後は、窓口の担当者から収入印紙が渡されます。受け取ったあとは、万が一間違いがあっては困るため、その場で額面や枚数を確認するようにします。同時に『収入印紙』と記載されているかも確認しておきましょう。可能性は低いですが、『収入証紙』『特許印紙』等と間違って渡される可能性も否定できません。確認は忘れずにしておきましょう。

また、収入印紙を購入した領収書を会社へ提出する必要があるかもしれません。すぐに破棄せず保管しておくことをおすすめします。

郵便局以外で購入できる場所

収入印紙は、郵便局以外の場所では下記のような場所で買うことができます。

・コンビニ
・役所
・金券ショップ
・法務局
・ネットオークション

それぞれの特徴や購入時のポイントなどを紹介していきます。

コンビニ

郵便局以外で収入印紙を購入できる場所としては、コンビニが代表的です。すでにコンビニで収入印紙が買えることを知っている方も多いでしょう。

コンビニは基本的にどの店舗も24時間営業なので、時間を問わずいつでも収入印紙が買えるのが大きなメリットです。収入印紙を購入したい旨をレジで伝えれば、レジの担当者が必要な分だけ収入印紙を用意してくれます。商品棚には並んでいないので、購入の際には直接従業員に伝えます。

ただし、コンビニに置いてある収入印紙にはあまり種類がありません。基本的には、よく使用される200円の収入印紙しか置いていないことが多いため、他の額の収入印紙が欲しい場合は郵便局など別の場所で購入するようにしましょう。

役所

市役所・区役所などの自治体の役所でも、収入印紙を購入することができます。収入印紙は戸籍を発行する際に手数料として使用するため役所ではあらかじめ収入印紙を用意しているケースが多いです。

ただし、どの役所でも必ず購入できるとは限りません。役所によっては扱っていないこともあるため、できるだけ事前に確認しておくことをおすすめします。

金券ショップ

切手や商品券を扱う金券ショップでも、収入印紙が購入できる場合があります。金券ショップは通常の購入価格よりも最大1割引き程度の安い金額で販売しているケースが多く、同じ額面の収入印紙でも、金券ショップならより安い費用で購入できる可能性があります。ただし金券ショップで購入する場合には消費税が発生します。

法務局

登記や戸籍関連の手続きで収入印紙が必要になるため、法務局に併設の印紙販売所でも収入印紙を購入できるようになっています。

何らかの手続きの必要があって法務局を訪れた際には、そのまま印紙販売所で収入印紙の購入も済ませられるでしょう。なお、土日祝は基本的に営業しておらず、平日8:30〜17:15が対応時間となります。

ネットオークション

必ず購入できるとは限りませんが、ネットオークションで収入印紙が購入できる場合もあります。使用しなかった収入印紙をオークションに出品している方がいるのです。金券ショップと同様、ネットオークションで購入すれば、安く購入できる可能性もあるでしょう。

ただし、ネットオークションの多くは個人が利用しているため、オークションサイトが仲介してくれるとはいえ、取引のトラブルには注意しましょう。

収入印紙は払い戻し可能か

一度購入した収入印紙は払い戻しすることができません。文書偽造などの違法行為を防止する目的から返金や購入の取り消しは行ってもらえません。しかし郵便局で他の収入印紙に交換することはできます。その際手数料を1枚につき5円支払う必要があります。また、差額を返金してもらうことはできません。

交換の手続きはすべて郵便局での対応になるため、コンビニで購入した収入印紙でも交換を希望するときは郵便局に持っていくようにしましょう。

なお、汚れていたり、破損している収入印紙も偽造防止のため交換してもらうことができません。

収入印紙を貼り間違えた場合

必要以上の額面の収入印紙を貼り付けてしまったり、印紙税がかからない文書に誤って貼り付けてしまった場合には、税務署に申し出て還付を受けることもできます。その文書を作成してから5年以内であることが条件です。還付を希望する場合は、納税地の税務署で申請をし、還付請求をおこないましょう。なお、登録免許税や特許手数料(特許印紙)は対象になりません。

収入印紙を貼り忘れた場合

ときには収入印紙の貼付を失念してしまうことがあるかもしれません。この場合、印紙税を納付していないことになるため、過怠税という税金の支払い対象になります。

この税金では本来納付すべきだった印紙税の3倍にあたる額の支払いが発生します。しかし、税務調査が行われる前に収入印紙の貼り忘れを自己申告すれば、1.1倍に軽減されます。
過怠税を支払うことがないよう、課税文書には必ず収入印紙を貼り付けるよう徹底しましょう。

なお、課税文書に収入印紙を貼り忘れた場合でも、文書の効力がなくなることはありません。

電子契約書や電子領収書なら収入印紙は不要

オンライン環境の普及やITソリューションの導入促進に伴い、電子契約やオンライン領収書発行等の電子サービスによって契約締結や領収書発行を行う企業は近年増加傾向にあります。電子サービスならオンライン上で契約書や領収書等のやり取りができるため、今までかかっていた契約業務や領収書発行にかかる印刷や製本、押印、送付といった手間やコストを大幅に削減できます。

さらに、電子サービスで交わす課税文書は、印紙税の課税対象から外れるため、収入印紙を添付したり、印紙税を納める必要がありません。収入印紙を購入するコストや貼り付ける労力を削減できる点もメリットと言えるでしょう。

その他収入印紙にまつわる相談事

その他、収入印紙に関係する不安や疑問を、対処法とともにご紹介します。

収入証紙と収入印紙と間違えたとき

収入証紙と収入印紙は別のものです。収入印紙は国に印紙税や手数料を支払った証になるのに対し、収入証紙は主に自治体に許認可等を申請する際の手数料を収入証紙を貼付することで現金の代わりに納めることのできるものです。似た名前ですが、用途が異なるため、収入印紙を買おうとして収入証紙を買ってしまったときは当然ながら収入印紙として使用することはできません。

未使用の状態の収入証紙は返金対応を行ってもらえる場合があるため、まずは郵便局や自治体に相談してみましょう。

収入印紙が必要となる取引金額の変更

以前は、収入印紙の貼付が必要な領収書の金額は3万円超でした。しかし現在(平成26年〜)は5万円以上から収入印紙の貼付が必要という決まりに変更されています。

収入印紙に関する取り決め・ルールは、すべて印紙税法によって定められています。そのため非課税対象の額が変更されたのは、印紙税法改正があったためです。

印紙税法はほかの法律と同様に随時見直しがされているため、法改正には十分に注意を払うべきといえます。収入印紙を普段から仕事で扱う際には、印紙税法についてしっかりと理解を深めておきましょう。

収入印紙に消印はなぜ必要なのか

収入印紙に消印をするのは、収入印紙が偽造されたり、再利用されたりすることを防ぐためです。文書と印紙の模様部分の両方に印鑑が押されるよう、またぐようなかたちで押印します。
なお、署名で消印することは認められていますが、「ただの斜線や二重線」「〇に印と書いただけ」「鉛筆やシャープペンによる署名」は消印とは認められていません。なお、署名する人は代表者である必要はありません。

収入印紙を貼付した場合、貼付のみでは印紙税を納めたことにならないため、消印も忘れないよう注意しましょう。なお、消印を失念したときも過怠税が課税されます。

なお、裁判所に提出する書面に貼る場合など一部の場合には、消印をせずに提出するルールとされている場合もあるため、提出を行う場合には事前に確認しておきましょう。

まとめ

収入印紙は郵便物やコンビニなど身近な場所で購入できます。よく利用される200円の収入印紙であれば24時間営業しているコンビニでも簡単に入手することができますが、そのほかの収入印紙であれば全種類取り扱いがある郵便局がおすすめです。また事前に購入したい収入印紙を取扱っているか電話で確認するとより安心でしょう。

万が一額や枚数を間違えると、返金には応じてもらえないため注意が必要です。購入の際には、いくら分の収入印紙が必要なのか確認した上で、いくらの収入印紙が何枚必要なのか、分かりやすく伝えましょう。

収入印紙は契約書のやり取りにおいて重要なものの一つです。貼付を忘れると本来支払わなくてよい税金を納付する必要が出てきてしまいます。課税文書作成時には収入印紙を貼り付け、消印をするよう徹底しましょう。

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この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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