開業資金とは?相場や融資の条件、審査に通りやすくなる方法を解説 最終更新日: 2023/09/11   公開日: 2023/09/11

開業をするにあたり、用意しなければならないのが開業資金です。近年は、比較的少ない金額での開業も増えているものの、事業の内容によっては多額の開業資金を要する場合もあり、融資も含めて検討していく必要があるでしょう。ここでは、開業資金の相場や融資の条件等をご紹介します。

開業資金とは?

起業にあたって必要になる資金のことを開業資金といいます。事業の内容によって開業資金がいくら必要になるのかは千差万別ですが、設備投資を伴う場合などは多額の資金を要することも多く、いずれにしても計画的にすすめていく必要があるでしょう。

開業資金は、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2つがあります。設備資金とは、その名のとおり事業に必要な機械や店舗の取得・改装等の費用にあたります。また、運転資金は、事務用品や開業に必要な手続き・登記関連費用、保証金などが該当します。

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初期投資に優先順位をつけよう

まずは、開業にあたり何をすべきなのか、時系列に並べて細かく見積もりや調査をしていく必要があります。初期投資は、どこまで計画的に物事を考え、深く考察したのかが重要です。特に店舗を構えるなど初期投資に多額な費用が必要となる事業では、初期投資の使い途がその後の事業にも影響する可能性があることを踏まえて検討していきましょう。

初期投資として必要になる一般的な費用の項目は、全て一度洗い出し、何にどれだけの費用をかけるのか慎重に考えなければなりません。必要不可欠な要素から並べていき、個々について細かく見積もり・調査をしていくと、それぞれの妥当な金額も見えてくるでしょう。

ここが丁寧に行われると、無駄な出費を防ぎ大事な開業費用を計画的に使える可能性が高まります。予定外の出費が生じて慌てたり、「もっとしっかり考えれば良かった」と後悔するリスクも少なくなるでしょう。

開業時に必要な費用の種類

賃貸物件の敷金・礼金・保証料

物件を借りて店舗やオフィスを構える場合は、初期費用として敷金・礼金・保証料がかかります。賃料ばかりに気を取られずにしっかり把握しておきましょう。自宅で開業する場合は、この費用はかかりません。

リフォーム費用

賃貸物件でも、自宅を使用する場合でも、事業で使える形にリフォームが必要な場合は工事費用を準備しなければなりません。

通信回線工事

電話やインターネットを使うための工事費用は、現代の事業では必須と言えます。自宅開業では既に電話やインターネットが使えるケースも多いですが、事業専用の回線を用意しておくと利便性が高まります。

PC等の電子機器の購入・リース費用

パソコンやその他のOA機器も必要になるでしょう。家庭用に販売されているOA機器でも問題ない場合もありますが、事業の種類によっては家庭用プリンターよりも高機能なプリンターやコピー機があった方が良いケースもあるでしょう。購入だけでなく、リースにも選択肢を広げて考えると費用負担は少なくて済むかもしれません。

机・椅子・応接セット・備品などの購入費用

事務仕事を行うためのデスクや椅子、お客様用の応接セットなどが必要な場合もあります。また、空調機器の購入も忘れてはいけません。従業員がいれば、ロッカーなども必要になってくるでしょう。細かい部分にはなりますが、ボールペン等の文房具類、制服、パーテーション、飲食店なら食器や調理器具なども揃えることとなります。

広告にかかる費用

ホームページの開設や集客・宣伝のためのチラシ等、広告費用も意外と費用負担が発生します。名刺の作成も同様です。自分で制作する場合と専門の業者に依頼する場合とで費用は変わりますが、いずれにしても初期費用の一部に入れておきましょう。

開業資金の相場は?

日本政策金融公庫の「2022年度新規開業実態調査」では、開業費用の平均値等のデータを公表しています。この調査によると、開業費用の平均値は1,077万円、中央値は550万円という結果でした。しかし、全体の21.7%は250万円以下の費用で開業しており、その割合は年々増加傾向にあることが分かります。

ちなみに、2022年の開業費用の分布は以下のとおりです。

250万円未満21.7%  
250万円~500万円未満21.4%
500万円~1,000万円未満28.5%
1,000万円~2,000万円未満18.0%
2,000万円以上10.5%
参照:日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」

資金調達方法については、同調査の2022年度の結果によると、自己資金が平均271万円、金融機関等からの借り入れが平均882万円、配偶者・親・兄弟・親戚からの借入が平均49万円、友人・知人からの借入が52万円となっています。

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運転資金の目安

運転資金はなぜ必要?

運転資金は、事業の実施のために必要となるお金のことを指します。事業を始めるにあたって、仕入れや必要経費の支払いが不可欠で、その後に売上が発生しますが、開業してすぐは事業が軌道に乗らないこともしばしばあります。

また、売上がたっても、そのお金が現金としてすぐに手元に入ってくるとは限りません。決済方法によっては、売上が入るまでにある程度の期間を要することもあるのです。

そんな状況にあっても、人件費や賃料といった経費は毎月発生します。運転資金は、その間に現金が不足しないように備えておくべきお金です。

3か月~6か月分の運転資金を用意しよう

開業時は、少なくとも3ヶ月、場合によっては6ヶ月程度の支払いができるよう運転資金を準備しておくことが望ましいと言われています。軌道に乗るまでに時間がかかると見込まれる場合には、6ヶ月の運転資金があるとベターです。

売掛金が回収されるまでの期間が短く、スモールスタートで始める場合には、運転資金を少なめに見積もることも可能でしょうが、しっかりとした事業計画に基づいて検討しなければ不安ばかりが残ってしまうかもしれません。

開業時に融資を受けるために必要な条件

開業資金の融資は、誰もが簡単に受けられるわけではありません。まず、最低条件と言われるのが以下のポイントです。

・脱サラして同業を開業する場合は勤務経験6年以上
・大学で得たスキルに関連する業種に勤務経験2年以上
・多様なニーズに対応できる事業など、融資の対象となり得る業種で開業する場合

以上は、融資を受けるにあたって確実に求められるポイントと言っても過言ではありません。3つ全てを満たす必要はなく、どれかに該当すれば融資が受けられる可能性があります。ただし、たとえ全ての条件を満たしていたとしても、必ず融資が受けられるわけではありません。

保証人の有無については、いた方が有利かもしれませんが、いなくても受けられるケースはあります。自己判断をせずに審査を受けてみると良いでしょう。

融資を受けることができる金額はどれくらい?

融資してもらえる金額の目安は、自己資金の5倍程度までと言われています。したがって、自己資金が少なければそのぶん融資額も少なくなります。自己資金がほとんどなく、融資に頼りきりの状態では開業は難しいということです。

融資は返済を前提としています。そのため、きちんと返済できるかどうかが重要であり、過剰だと判断される融資は行われないことを覚えておきましょう。もし、自己資金と融資だけでは開業資金が足りない場合は、補助金として利用できるものがないか自治体のホームページ等を参考にして検討したり、開業の規模を小さくしてみたりと、打破できる方法を探してみると良いでしょう。

融資を受けやすくする方法

保証人を用意する

融資を行う側からすると、貸し倒れのリスクは重要なポイントとなります。保証人がいると、もし自分で返済が難しくなった場合も返済を肩代わりしてくれる人がいるという状況になり、融資元も貸し倒れのリスクが少ないと判断しやすくなるでしょう。保証人がいることで、そのハードルは低くなるのが一般的です。

融資元を複数に分散する

リスクがある相手に高額のお金を融資するのは難しいものです。しかし、その額が少額なら、融資を認めてもらえる可能性も高まるでしょう。融資元を複数に分散して、少額ずつを借りて目標額に近づけるのも1つの方法です。しかし、融資元が増えれば増えるほど、返済の管理は大変になります。できるだけ融資元を少なく抑える方が良いでしょう。

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫は、開業資金の融資を希望する方に対して事業資金を貸し出してくれる金融機関の1つです。融資は積極的に行われており、個人事業主や中小企業としての開業を支援しています。

日本政策金融公庫

審査

基本的に、先でご紹介した融資の条件を満たしているかが重要になります。そして、保証人や担保の有無も確認されますが、場合によっては保証人や担保がなくても融資を受けられる可能性はあると言われています。ハードルが高いと考えられる状況でも、粘り強い相談によって融資を受けられる可能性はあります。

金利

日本政策金融公庫での融資の金利は、保証人や担保の有無や状況によって異なります。低い場合は年利0.5 %未満であり、借りやすいと感じる方も多いでしょう。最高金利でも3%程度、利息の支払いで困るリスクは少ないのではないでしょうか。

開業資金の融資を受けるデメリット

当然ながら、融資が必要ないのであれば受ける必要はありません。一方で、融資は出来るだけ受けない方が望ましいという考え方もあります。それは、着実に返済をするために事業の方針が制約されることと、利息の支払いで借りたお金以上の金額を返さなければならないことが主な理由です。融資を受けなければ開業が困難な場合でも、その額を減らせるように検討されることをおすすめします。

融資を最小限にするには?

融資をできるだけ受けないようにするには、まず自己資金を増やせないか検討する必要があるでしょう。家族や親族からの借り入れができないか、相談してみてはいかがでしょうか。そして、積極的に活用したいのが補助金や助成金です。これらは、融資のように利息をつけて返済する必要がありません。補助金や助成金を受ける条件を確認し、積極的に申請していきましょう。

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開業資金を集めて念願の事業がスタートしたら、できるだけ早く経営を安定させたいものです。そこで大事なのが、業務の効率化です。コア業務に注力できる体制を作るためには業務の効率化が不可欠。特に個人事業主など少ない人数で始める事業は、いかに無駄なく仕事ができるかといった視点の重要性を実感しやすいでしょう。

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まとめ

開業資金は、事業の開始に必要なお金のことをいい、運転資金とはまた別のものとなります。融資を受けるには条件をクリアして審査を通過する必要がありますが、必要に応じて上手に活用していきましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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