請求書の基礎知識

請求書の書き方・作成例をわかりやすく解説!注意点や作成ツールもご紹介

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請求書とは、商品やサービスの対価を取引先に請求するために発行する書類です。本記事では、請求書の書き方や作成例、作成時の注意点などをわかりやすく解説します。

請求書とはどのような書類か

請求書とは、商品やサービスの提供によって発生した代金を請求するための書類です。

通常の請求書には法的な発行義務があるわけではないため、商品などの提供の際に必ずしも発行しなくてはいけないというわけではありません。また、法的に定められたフォーマットもないため、Excelや手書き、請求書作成サービスなど、さまざまな方法によって作成できます。

ただし、現在の慣習や経理業務の都合上、代金を請求する際は規定の事項を記載した請求書を発行するのが一般的とされています。

適格請求書とは?

2023年10月1日から施行されたインボイス制度は、消費税の仕入税額控除を行うために「適格請求書(インボイス)」と呼ばれる書類を求める制度です。

2019年10月1日〜2023年9月30日は「区分記載請求書」と呼ばれる請求書の様式が使われていました。区分記載請求書とは、8%や10%といった税率区分ごとに合計した金額を記載するなどの決まりがある請求書です。

新しく施行された適格請求書では、区分記載請求書の必要事項に加え、以下の事項を記載する必要があります。

・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
・税率ごとに区分した消費税額等

参照:適格請求書等保存方式の概要

請求書の作成で必要となるもの

請求書を作成して送付するにあたって必要なものは、以下の通りです。

・請求書のテンプレート
・封筒
・切手
・請求書在中のスタンプ

インターネットで配布されているExcelのテンプレートなどの中から、使いやすいものを選んで利用できます。また、請求書作成サービスを使うことも可能です。

郵送で請求書を送る際は、封筒や切手を用意しましょう。封筒のサイズに決まりはありませんが、A3の書類を三つ折りにして入れられる「長形3号」と呼ばれるサイズが多く使われます。

また、取引先に封筒の中身を伝えられるよう「請求書在中」のスタンプを押すことがあります。スタンプがなければペンで書いても構いません。

請求書を書く前に確認すべきポイント

請求書を作成するために、以下の事項を取引先に確認しましょう。

・発行日
・請求金額
・送付方法(メール、郵送、手渡しなど)

取引先によっては、金銭の支払日や、支払日までに支払うための締め日を設定しています。「○日までに請求書を届けてほしい」といったルールが存在していることもあるため、請求書の発行日は初回の取引の際に確認するといいでしょう。

請求書に載せる項目は?

適格請求書に記載する項目として、国税庁は以下のように定めています。

・書類作成者の氏名又は名称および登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
・税率ごとに区分した消費税額等
・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

また、法的な義務はありませんが、実務上以下の項目も記載することが一般的です。

・支払期限
・振込先となる銀行口座の情報

参照:No.6625 適格請求書等の記載事項|国税庁

請求書の書き方の例

①宛先
請求書の送付先となる会社名を記載します。わかる場合には、できるだけ部署や担当者名まで記載しましょう。

②発行日
請求書の発行日を右上に記載します。取引先によって発行日に指定があることがあるため、事前に確認しましょう。

③請求書番号
請求書をたくさん発行する場合は、通し番号があると請求書を管理しやすくなります。また、取引先から問い合わせがあった際に、どの請求書についての問い合わせか、特定しやすくなります。

④インボイス登録番号(適格請求書発行事業者登録番号)
適格請求書発行事業者の場合はインボイス登録番号を記載します。

⑤自社の情報
自社の会社名、住所、連絡先などを記載します。

⑥社印
必須ではありませんが、会社名・住所・連絡先などの横に社印を押すことがあります。

⑦合計金額
請求金額の合計を書類の目立つ位置に記載します。

⑧商品名
商品名や、それに対応する情報を順番に記載します。

⑨商品の数量

⑩軽減税率の対象品目である旨

⑪商品の単価

⑫商品の金額

⑬小計
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)、及び適用税率を記載します。

⑭消費税額等
消費税額等については、事前の契約や取り決めに基づいて計算します。
消費税額は税率ごとに区分した額を記載します。

⑮合計金額
税額を加味した合計金額を記載します。

⑯振込先
振込先の銀行口座の情報を記載します。

⑰振込手数料
振込手数料をどちらが負担するのか、取引先と事前に決めた上で記載しましょう。

⑱支払い期限
支払い期限に関しても、取引先と事前に相談の上記載します。支払期日が、土日祝日の場合は前営業日にするのかどうか相談しておくことも大事です。

請求書を書く時の注意点

請求書に記載する発行日は、書類の作成日にすることもありますが、基本的には取引先の締め日にあわせた日付を記載します。締め日は会社によって異なるため、請求書を発行する際は事前に取引先に確認をしておきましょう。

支払い期限も同様に、取引先に事前に確認しておくことをおすすめします。見積書や契約書にすでに記載されている場合は、その通りに記載します。例えば「月末締め、翌月末払い」であれば、月末までに請求した金額が翌月末までに支払われることとなります。

また、請求書の金額は、一般的には以下のルールに従って記載します。

・3桁ごとにカンマを入れる
・「円」か「¥」のいずれかを使う
・税込みか税抜きのいずれかを記載する

特に、トラブルを避けるために税込みか税抜きのどちらの金額を指しているのかを明記することが大切です。基本的には、商品ごとの単価や合計金額、小計は税抜きで記載します。その後、小計に対して消費税率を乗じることで税込みの最終的な合計金額を出すといいでしょう。

請求書の送付方法は?

求書を記載した後は、メール・郵送・FAXなどの方法で請求書を送付します。メールアドレスや住所などの送付先を間違えてしまうと情報の流出などにつながるため、誤りがないかよく確認して送付しましょう。

宅急便を利用して請求書を送ることはできません。なお、荷物に添える形で、かつ封がされていないものであれば、宅急便として送ることも可能です。

参照:信書に該当するものを教えてください | 日本郵便
   請求書や契約書・申請書などの書類は、送れますか? | ヤマト運輸

請求書の作成に使えるツールは?

請求書は手書き・ExcelやWord・請求書作成ツールといった方法によって作成します。それぞれの作成方法や特徴などについて解説します。

手書きによる作成

請求書の用紙は、文房具店や100円ショップ、事務用品を扱う通販サイトなどで購入できます。基本的な情報だけ記載するシンプルなものや、商品コード・伝票番号といった細かい情報まで記載できるものなどがあり、用途に応じた用紙を選ぶことが可能です。

手書きで作成すると、パソコンやコピー機を使えない環境でも手軽に請求書を発行できます。しかし、計算ミスが生じやすいため、注意して作成することが大切です。

Excel・Wordなど

インターネットで配布されているExcelやWordのテンプレートを利用すると、請求書がスムーズに作成できます。現在は多様なテンプレートが公開されているため、取引の状況や好みなどにあわせて選択できるでしょう。

特に、Excelのテンプレートはすでに計算式が挿入されているものが多いため、消費税や源泉徴収といった計算も手軽に行えます。ただし、これらのツールを使って作成する際は、改ざんしにくいようにPDFに変換して取引先に送付することを忘れないようにしましょう。

請求書作成ツール

請求書作成ツールとは、必要な事項を入力するだけで簡単に請求書が作成できるサービスです。作成した請求書をツール上で保管・管理することもできます。

また、毎月作成する請求書を登録することで自動的に発行したり、会計ソフトとの連携機能を備えているツールもあります。業務に適したツールを選択することで、請求書作成にかかる時間の効率化ができる可能性があるでしょう。

素早くかんたんに請求書を作成するなら「INVOY(インボイ)」

「INVOY(インボイ)」は、請求書などの経理書類を作成・管理するためのクラウド型のサービスです。パソコンやスマートフォンから簡単に書類を作成できるため、経理業務の効率化につながります。

また、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しているため、制度への対応ができるかどうか不安という方も、安心してご利用いただけます。

その他にも、請求書のデータ化やカード支払いなど、経理業務に役立つさまざまな機能を備えていますので、この機会にぜひご利用ください。

請求書の書き方についてのまとめ

通常の請求書に法的な発行義務があるわけではありませんが、経理業務の都合上、発行することが一般的です。金額や日付などを正しく記載することで、取引先とのスムーズなやりとりを目指しましょう。

2023年10月からはインボイス制度が施行され、取引先が仕入税額控除を行うために、必要な事項が記載された適格請求書を求められます。税金の計算や制度の理解が心配という方は、Excelのテンプレートや請求書作成ツールなどを利用することも検討しましょう。

経理・財務企画室 室長 丸本哲也
監修:丸本哲也
経理・財務企画室 室長
ナイル株式会社のコーポレート本部にて、経理/財務/経営企画/営業管理等を中心に従事。単体決算、連結決算、各種開示資料や監査法人/証券会社対応など幅広く担当。2023年9月よりOLTAにジョイン。

この記事の投稿者:

hasegawa

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