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確定申告で国民健康保険の控除額はいくらになる?受けられる対象をケース別に解説

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国民健康保険被保険者は、確定申告時にその支払った保険料を控除できます。この記事では、国民健康保険料の控除が受けられるかをさまざまなケースごとに解説します。また、控除額の計算方法などについても説明していますので、参考にしてください。

確定申告で国民健康保険の控除の申告は必要?

控除の申告が必要な場合と、申告が不要な場合があります。勤務先で年末調整により社会保険料が差し引かれている場合、確定申告は不要です。通常は、給与所得者が年末まで勤務している場合、年末調整されているため、確定申告は必要ありません。確定申告が必要なのは、年末調整が行われていない場合です。

国民健康保険の控除を受けられるか確認する方法

年末調整は、「あなたのために会社が確定申告を行ってくれる制度」です。つまり、年末に自分で確定申告をする必要がなく、会社が代わりに計算し、手続きをしてくれる仕組みです。例えば、会社で健康保険に加入しており、自身の健康保険料控除を受けている人が、さらに生計を共にする人の国民健康保険料を支払っている場合、その国民健康保険料に関する控除も年末調整を通じて受けられます。

ここでは、①国民健康保険から会社の健康保険(社会保険)に切り替えた場合、②退職後も健康保険を継続した場合、③他の社会保険料も支払っている場合の3ケースについて見ていきましょう。

4/1から会社の健康保険に切り替えた場合

国民健康保険から会社の健康保険(社会保険)に切り替えるケースとして、フリーランスや個人事業主だった人が、社会保険のある事業所に就職する場合が考えられます。

このように転職の場合、途中で年度が変わると問題が生じることがあります。具体的には、所得税の計算期間と会社の会計年度(4/1〜3/31)とにズレが生じることが挙げられます。このような場合、国民健康保険から健康保険への切り替えに関して、特別な対応が必要です。

まず、前職の源泉徴収票がある場合、それを新しい会社の人事部門に提出することで、現職の給与データと合算して、収入情報を正確に集計し、年末調整を行ってもらえます。しかし、前職で何らかの理由により年末調整ができなかった場合もあるかもしれません。その場合は、新しい会社の年末調整のときに、国民健康保険料の控除を適用する必要があります。
この場合、「給与所得者の保険料控除申告書」に、国民健康保険料の金額を記載します。この金額は、領収書や通帳などから集計できます。ただし、支払われていない保険料は含まれないので、支払い状況を確認するようにしましょう。金額が不明な場合は、市役所などに問い合わせてみましょう。

また、もし国民年金や国民年金基金を支払っていた場合は、同じく「給与所得者の保険料控除申告書」に必要な情報(※)を記入します。この場合は支払った金額の証明書の添付が必要です。

(※)
・社会保険の種類
・保険料支払先の名称
・保険料を負担する人
・あなたとの続柄
・支払った保険料の金額

控除をし忘れたらどうする?

年末調整で国民健康保険料の控除を忘れた場合、会社からもらった源泉徴収票を使って、確定申告を行えば、改めて社会保険料控除を受けることができます。具体的には、源泉徴収票に記載されていない所得控除を自分で確定申告書に追加することになります。確定申告の期限は通常3月15日ですので、猶予期間は3カ月半あります。
ちなみに、年末調整で対応できなかった医療費控除や寄附金控除なども含め、該当する15種類の所得控除を申告することが可能です。

関連リンク:確定申告の所得控除とは?【15種類一覧表】条件や控除額、注意点を解説

退職後も健康保険を継続した場合

退職したあとも、一定の条件を満たし、必要な手続きを行えば、退職後2年を上限として、会社の健康保険に引き続き加入できる「健康保険任意継続制度」があります。任意継続被保険者は、これまでと同様の給付を受けることが可能です。ただし、任意継続保険の手続きを行っても、1日でも保険料を滞納すると資格を失いますので、注意が必要です。なお、任意保険継続の保険料は、全額自己負担となります。
退職後、会社で働いていない場合は、確定申告時に社会保険料控除の対象となります。別の会社に勤務している人は、年末調整時に社会保険料控除として申告できます。

何かしらの社会保険料を支払っている場合

国民健康保険や協会けんぽの健康保険料の他にも、介護保険料、労働保険料など、控除の対象となる社会保険は幅広く存在します。

国民年金保険料や任意で加入できる国民年金基金の掛金も同様に控除対象となりますが、社会保険控除として申請する際には、領収書や証明書が必要です。これらの証明書類は、厚生労働省または各国民年金基金から発行されたものでなければなりません。

一方、国民健康保険料の控除を申請する際には、控除証明書の添付は必要ありません。

医療費控除や住宅ローン控除を使う場合は?

医療費控除や住宅ローン控除を利用するために、年末調整後に確定申告を行う人も多いのではないでしょうか。この際、確定申告書には、源泉徴収票に記載された「支払金額」、「給与所得控除後の金額」、さらに「所得控除の額の合計額」を記入します。
年末調整の際には、社会保険料などがすでに控除されているため、確定申告時に再度社会保険料控除欄に記入すると、二重の控除となってしまうため気を付けましょう。

関連リンク:年末調整で医療費控除は受けられる?対象となる費用や申請方法などをわかりやすく解説

国民健康保険の控除額の計算方法

<条件>
・東京在住の35歳の独身者
・転職後年末までの年収が350万円
・前年度も同程度の収入あり
社会保険としては、以下の2つについてのみ考慮します。
・転職前3か月分(※1月~3月)の国民健康保険
・転職後9か月分(※4月~12月)の健康保険と厚生年金保険料

まず、9か月分の収入①から所得控除(給与所得控除②+健康保険料・厚生年金国民健康保険料③+基礎控除④)を差し引いたものが、課税所得⑤になります。課税所得⑤に所得税率⑥を乗じると、所得税(年税額)⑦が算出できます。

課税所得⑤=収入①ー(給与所得控除②+健康保険料・厚生年金国民健康保険料③+基礎控除④)
課税所得⑤×所得税率⑥=所得税(年税額)⑦

実際の数値を使って、控除額を計算してみましょう。
では、1月〜3月の国民健康保険料分を申告した場合の計算方法について説明します。

<所得控除の計算>
収入①:3,500,000円
給与所得控除②:1,130,000円(年収×30%+80,000円)
健康保険料③-1:167,751円
厚生年金③-2:312,930円
国民健康保険料③-3:86,277円(年345,108円にて計算※東京都中央区)
基礎控除④:480,000円(給与や収入を得ている人はだれでも一律で引ける控除金額)

所得控除が上記の数値の場合、課税所得⑤は、1,323,042円となります。

350万円−(1,130,000円+167,751円+312,930円+86,277円+480,000円)=1,323,042円

課税所得⑤に所得税率⑥5%を乗じ、さらに復興特別所得税⑥(2.1%上乗せ)を足すと、

1,323,042円×5%=66,150円(※課税所得千円未満の端数は切り捨て)
66,150円×2.1%=1,389円
66,150円+1,389円=67,539円

となり、所得税(年税額)⑦は67,539円です。

この計算方法では、その他の所得控除などを省略しているため、年税額はもう少し下がる可能性があります。申告した国民健康保険料の額が大きいほど、課税所得を抑えることができるため、税金が安くなります。

控除額の早見表

給与所得控除額は、収入金額に応じた計算式を用いて算出します。収入金額とは、1年間における会社から受け取った給料やボーナスの総額を指します。ご自身の収入に基づいてこの金額を計算してみてください。なお、給与所得控除額の計算式は、景気の変動などに応じて定期的に改定されていますので、最新の情報を確認してください。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)
<給与所得控除の速算表>
※令和2年分以降
参考:引用元:No.1410 給与所得控除|国税庁

※上記の計算例の場合、年収が350万円なので、給与所得控除額は、
<収入金額×30%+80,000円>の計算式で求められ、113万円になります。

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まとめ

国民健康保険料の控除を受けるためには、年末調整が行われていない場合は申告が必要です。また、国民健康保険から健康保険への切り替え時には特別な手続きが必要ですが、前職の源泉徴収票があれば、新しい会社に提出することで現職の給与データと合わせて年末調整をしてもらえます。確定申告時に控除を受ける場合は、申告書に記入して郵送または税務署に提出するだけです。年末調整で控除されていない方は、確定申告を忘れずに行うようにしましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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