領収書の基礎知識

コクヨの領収書の書き方とは?【見本つき】正しい記入ポイントと注意点

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コクヨ 領収書 書き方 見本

ビジネスの現場で領収書を作成する機会のある方へ、「領収書の書き方がよく分からない」「正しく書けているか不安だ」といった経理担当者や個人事業主の悩みを解消します。本記事では、コクヨの領収書を例にとり、基本的な書き方と重要なポイントを解説します。

領収書は金銭の授受を証明する重要な証憑書類です。不備のない領収書を発行することは、社内外の信頼につながり、経費処理や税務対応を円滑に進めるために不可欠です。この記事を通じて、領収書の正しい書き方と押さえておきたい注意点を理解し、誰もが自信を持って領収書を発行できるようになるでしょう。

コクヨの領収書の特徴と準備すべきもの

文房具メーカーとして広く知られるコクヨ株式会社は、多種多様な領収書伝票を販売しています。一般的な文具店で手に入るコクヨの領収書は、小切手サイズの伝票からA4サイズの用紙まで様々ですが、いずれも領収書に必要な項目があらかじめ印刷されている点が特徴です。

日付、宛名、金額、但し書き、発行者情報、収入印紙欄など、法律や会計上で求められる情報を記入する欄が用意されており、初めて領収書を作成する方でも記入漏れが起きにくいように設計されています。

また、コクヨの領収書は用途に応じて、複写式(記入内容が控えにコピーされるタイプ)や、カーボン紙が不要なノーカーボン式、控えのない単票式など、複数の種類から選択できます。複写式であれば会社控えを同時に作成できるため、経理処理の観点からも便利です。購入時には、自社の運用に適したタイプを選ぶことをお勧めします。

領収書を記入する際は、黒のボールペン(消せるタイプは不可)を用意し、社判(会社の角印や代表者印など)も手元に準備しておきましょう。

領収書の記入項目と具体的な書き方

領収書の記入項目と具体的な書き方

領収書を作成する際には、定められた項目を正確に記入することが極めて重要です。ここでは、コクヨの手書き用領収書を想定した記入見本を基に、主要な項目ごとの正しい書き方を解説します。

領収書には、主に表題、通し番号と発行日、宛名、金額、但し書き、内訳、発行者情報、収入印紙欄といった項目があります。これらの項目別に、具体的な記入のポイントを見ていきましょう。

タイトル(表題)

領収書のタイトルとは、書類の上部に「領収書」または「領収証」と明記される部分です。市販の伝票の多くは、あらかじめ中央上部などに印字されています。もし自作する場合やタイトルが空欄の場合は、自分で書き加える必要があります。

表題をはっきりと示すことで、この書類が代金を受け取った証拠であることが一目で分かるようになります。用紙の中央、もしくは左上に大きく「領収書」と記載しましょう。

通し番号と発行日

領収書には、管理を目的として通し番号(連番)を振ることが一般的です。コクヨの領収書にも、伝票番号を記入する欄が設けられています。番号を付けておくことで、複数の領収書を発行する際の管理や照合が容易になります。番号は、日付とは別に右上などに「No. 001」のように記入します。

発行日には、実際に代金を受け取った日付を記入します。日付欄の「年月日」は、西暦(例:2025年6月25日)でも和暦(例:令和7年6月25日)でも構いませんが、省略せずに正確な日付を記載することが大切です。商品を先に渡し、後日入金があった場合は、入金日を発行日とします。日付の改ざんを防ぐため、消せる筆記具の使用は避けましょう。

宛名(受領者の氏名・名称)

宛名欄には、代金を支払った相手の氏名または法人名を正式名称で記入します。取引先企業からの支払いであれば、その会社名を「株式会社」まで含めて省略せずに記載します。個人から代金を受け取った場合も、フルネームを記載するのが望ましいでしょう。

店舗の領収書では、宛名を「上様」とする例も見られます。これは不特定の相手に対する宛名として慣習的に使われていますが、ビジネス上の正式な領収書では可能な限り避け、実際の名称を記載する方が適切です。

社内経理や税務調査の際に、誰からの入金であるかを明確にするためです。相手から宛名の指定がある場合は、その指示に従いましょう。宛名欄が空欄の状態は、領収書として不備になる可能性があるため、必ず何らかの名称を記入してください。

金額

金額欄には、実際に受け取った税込みの総額を記入します。金額は、改ざんを防ぐための工夫を凝らして書くことが重要です。具体的には、数字の先頭に通貨記号の「¥」を書き、末尾には横線「-」を付けます。例えば、八万八千円であれば「¥88,000-」のように記載します。これにより、後から数字を書き足されたり、桁を変えられたりするリスクを低減できます。

また、3桁ごとにカンマ「,」を入れることで、見やすさが向上し、桁の誤読を防ぐ効果もあります。場合によっては、金額を漢数字(旧字体の大字)で併記することもあります。「¥88,000-(金八万八千円也)」のように括弧書きで加えると、より厳重な形式となりますが、一般的な取引では算用数字と記号の組み合わせで十分です。

金額は税込金額を記入し、消費税額などは後述する内訳欄で示します。領収書には、基本的に支払われた金額のみを記載し、振込手数料などが差し引かれている場合は、実際に受領した金額で発行する点にも注意が必要です。

但し書き(取引の内容)

但し書きの欄には、何の代金として金銭を受け取ったのかを具体的に記入します。「但し」は「ただし、~として」と読み、領収書の文面では「但し、○○代として上記正に領収いたしました」という文章の一部となります。

具体的な記載例としては、「事務用品代として」や「○月分コンサルティング料として」など、代金の用途や取引内容が明確に分かるように書くことがポイントです。品名を漠然と「お品代」と記載するのではなく、可能な範囲で品目やサービス内容を明記しましょう。

例えば、飲食店であれば「お食事代として」、通信販売であれば「商品代として」などが考えられます。複数の商品をまとめて領収する場合は、「○○他○点」と記載することもあります。但し書きを具体的に記載することで、後日、何の支払いだったかが明確になり、経費精算や税務監査の際にも説明が容易になります。

内訳欄(インボイス対応)

2019年の消費税軽減税率導入や、2023年に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、領収書にも取引ごとの税区分を記載することが求められています。領収書に内訳欄がある場合は、税率ごとに区分した金額や消費税額を記入しましょう。

例えば、飲食料品(軽減税率8%)とその他の商品(標準税率10%)を同時に販売した場合、それぞれの税込金額および消費税額を内訳に記載します。具体的には、「内訳:8%対象 ¥5,400(うち消費税額等¥400)、10%対象 ¥11,000(うち消費税額等¥1,000)」のように表記します。これにより、合計金額の内訳が明確になります。

インボイス制度に対応した領収書を発行する場合、発行者の適格請求書発行事業者登録番号(Tから始まる13桁の番号)を記載する必要があります。この登録番号は、通常、発行者情報欄や内訳欄の近くに「登録番号:T1234567890123」のように書き添えます。

コクヨから販売されている最新の領収書用紙には、この登録番号を記入する欄が設けられているものもあります。内訳欄を活用し、税率区分と税額を適切に示すことで、税務上有効な領収書となります。

発行者情報(住所・氏名・押印)

領収書の発行者欄には、代金を受け取った側の情報を記載します。法人であれば会社の正式名称、所在地、電話番号などを、個人事業主であれば屋号や氏名、住所を記入します。多くの場合、領収書用紙の下部にこれらの情報を書く欄が設けられています。会社名は「株式会社」などの法人格まで含め、正確に記載しましょう。

発行者名の横、または名称にかかるように印鑑(社判)を押すのが通例です。社名や代表者名が入った角印やゴム印を用意し、所定の位置に捺印します。複写式の場合は、領収書と控えにまたがるように押印すると、控えにも印影が残り、証拠能力が高まります。

近年、押印を省略する動きもありますが、取引慣行上、印鑑がないと正式な書類として認められない場合もあるため、押印しておく方が無難です。

前述の通り、インボイス発行事業者である場合は、発行者情報の近くに登録番号を記載します。社判のデザインに登録番号を組み込むことも有効です。発行者情報は領収書の信頼性を担保する重要な部分ですので、漏れなく正確に記入してください。

収入印紙の貼付と消印

現金取引の領収書で、受領金額が5万円以上の場合、印紙税法に基づき収入印紙の貼付が義務付けられています。コクヨの領収書にも、右上などに収入印紙を貼る欄が用意されています。例えば、領収金額が5万円以上100万円以下の場合は200円の収入印紙を、100万円を超える場合はさらに高額の印紙を貼付する必要があります。

収入印紙を貼った後は、必ず消印(けしいん)を行わなければなりません。消印とは、貼付した収入印紙と領収書用紙の両方にまたがるように、会社の印鑑または署名を記すことです。これにより、収入印紙の再利用が防止され、印紙税を納税した証となります。消印には社判を用いるか、代表者のサインでも構いません。

なお、収入印紙が不要なケースも存在します。代表的なのは、クレジットカード払いです。カード利用の場合、信用取引であり現金の受領ではないため、領収金額が5万円以上でも印紙の貼付は不要とされています。

同様に、PDFなどで発行する電子領収書も、紙の文書ではないため印紙税の課税対象外です。ただし、顧客から紙の領収書発行を求められた場合は、支払方法を確認し、印紙の要否を判断する必要があります。

領収書作成時の留意点

領収書作成時の留意点

複写領収書の控えと保存期間

複写式の領収書を使用した場合、発行と同時に自社用の控えが作成されます。この控えは、会社の会計帳簿の証憑として適切に保管する必要があります。税法上の保存期間は、原則として7年間です。法人の場合は事業年度の確定申告提出期限から7年間、個人事業主の青色申告も同様です。

ただし、繰越欠損金がある事業年度においては、最長で10年間の保存が求められます。領収書の控えは、後日内容を確認する場面も想定されるため、発行日順や通し番号順に整理してファイリングしておくと管理が容易になります。

書き間違えたときの対処法

領収書を手書きしていると、金額や宛名を書き間違えてしまうことがあります。その場合、書き損じた領収書は破棄し、新しく作成し直すのが最も確実な方法です。複写式の場合は、控えも含めて破棄し、同じ番号の伝票は使用しないように管理します。番号が飛んでしまいますが、別途記録を残しておけば問題ありません。

やむを得ず訂正して発行する場合は、誤った箇所に二重線を引き、その上から訂正印(発行者の印鑑)を押します。そして、余白に正しい内容を記入します。しかし、訂正された領収書は見た目が良くないうえ、トラブルの原因となる可能性も否定できません。したがって、可能な限り新しい領収書を再発行することをお勧めします。

レシートと領収書の違い

スーパーやコンビニなどで受け取るレシートも支払いの記録ですが、領収書とは厳密には異なる書類です。レシートには店名、日付、金額、品目が印字されており、経費精算にも使用できます。ただし、宛名が記載されていないため、社内ルールによっては正式な領収証として扱われない場合もあります。

対して、手書きの領収書は宛名や発行者が明示され、収入印紙の貼付対象にもなる正式な証憑書類です。税務上の経費証明としては、多くの場合レシートでも問題ありませんが、どちらを使用するかは社内ルールに従って判断しましょう。

クレジットカード払いの場合の領収書

クレジットカードで支払いが行われた場合、発行者には領収書を発行する法的な義務はありません。支払側はカード会社が発行する利用明細をもって支払いの証拠とすることができるためです。しかし、実店舗では顧客の求めに応じて発行することも少なくありません。

その際は、但し書きなどに「クレジットカード利用」と明記し、現金の受領ではないことを示します。この場合、金額が5万円以上であっても収入印紙を貼付する必要はありません。オンライン決済や銀行振込など、現金の授受を伴わない取引においても同様の考え方が適用されます。

まとめ

本記事では、コクヨの領収書を例に、正しい書き方のポイントを解説しました。不備のない領収書を作成するためには、いくつかの重要な点を守る必要があります。

宛名は略さずに正式名称で記載し、会社名や個人名を明確にすることが大切です。「上様」の使用は極力避けましょう。日付は、代金を実際に受領した年月日を正確に記入します。金額は、改ざん防止のために「¥」マークや末尾の「-」を入れ、税込総額を記載します。

また、但し書きには「○○代として」のように、取引内容を具体的に記します。発行者情報として住所や名称を明記し、社判などを押印することも忘れてはなりません。インボイス制度に対応する場合は、登録番号の記載も必要です。5万円以上の現金取引では、収入印紙を貼付し、必ず消印を行いましょう。

これらの点を守ることで、法律上も実務上も有効な領収書を作成できます。正しい領収書の発行は、経理処理を円滑にし、取引先からの信頼を高めるための重要な業務です。最初は細かいルールが多く感じられるかもしれませんが、一度理解すれば難しくありません。本記事を参考に、適切な書類管理と信頼されるビジネスを実践してください。

この記事の投稿者:

hasegawa

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