法人口座開設の方法を徹底解説!必要書類や審査基準は? 最終更新日: 2024/03/12   公開日: 2024/03/12

会社名義の口座である、法人口座を作ることは、会社の運営にとってメリットが大きいと考えられています。しかし、法人口座の開設には審査があり、開設を躊躇する人もいるでしょう。ここでは、法人口座を開設するメリットや申し込みにあたって必要な書類、審査についてご紹介します。

法人口座とは?

法人口座は、銀行口座の名義が法人の名称となっている、ビジネス用の口座のことを指します。多くの場合、法人設立時に口座を開設することが多いですが、これは義務ではありません。法人口座の開設は任意で行われ、、小規模で事業を行っているところなどは法人口座を設けていないケースもあるでしょう。

しかし、実際のところは、法人口座を持っている方が、ない場合よりも信頼を得やすいなどメリットが多く、敢えて作らないという選択肢を選ぶ方は少数のようです。安易に法人口座が必要ないと判断せずに、メリットやデメリットを知った上で検討されることをおすすめします。

法人口座を開設するメリットとは

法人口座を開設すると、以下のようなメリットがあります。

・会社の財務状況を把握できる
・社会的信用度が上がる
・金融機関からの融資を受けやすい
・法人のクレジットカードが作れる

具体的に、見ていきましょう。

会社の財務情報を把握できる

会社のお金の流れを1つの口座に集約できると、どの部分にどのくらいのお金がかかったのか、そしてどのくらいの売り上げがあるのかが把握しやすくなります。個人口座との併用では、プライベートの支出も混在し、お金の流れがスムーズに掴みにくくなりますが、法人口座ではそのような心配がありません。これは、事業の健全性を判断する上でも非常に大きなポイントとなります。

会社の財務情報が簡潔に分かれば、経理業務がスムーズになるだけでなく、資金繰りを考える上でも便利です。

このことからも、事業の規模に関わらず、法人口座を作ることは大きなメリットがあります。たとえ、個人事業主であっても、プライベートな個人口座とビジネス用の口座を分けることをおすすめします。経理業務を行う上で利便性の高さを実感するでしょう。

関連リンク:会社設立の流れとは?必要な手続き、費用、メリット・デメリットを紹介

社会的信用度が上がる

法人口座の開設は、金融機関の審査を受けることとなります。この審査は厳しいとも言われており、法人口座を持っていることが取引先の信頼を得ることにもつながります。また、個人口座を使用することは違法ではないものの、公私混同をしているという印象につながりやすく、税務署からのイメージが下がる懸念もあるでしょう。

法人口座を持つことは、取引先として安心できるかどうかの指標の1つになりやすく、信頼度をあげることができる点もメリットです。

金融機関からの融資を受けやすい

事業を行うにあたって、銀行からの融資を受けることも珍しくありません。融資が受けられるかどうかは、その企業が信頼できるかどうか、また返済能力があるかどうかが重要なポイントです。先程ご紹介したように、法人口座は個人口座よりも信頼を得やすく、それだけ融資が受けられる可能性も高くなると期待できるでしょう。

ちなみに、金融機関によっては、融資の振込先を法人口座のみにしているところもあります。法人口座を持つことが、会社の経営にも大きく関わってくる可能性があるということです。

法人のクレジットカードが作れる

法人口座を持つと、法人名義のクレジットカードが作れます。昨今は、インターネットでの物品の購入やキャッシュレス決済が当たり前になっており、クレジットカードを持っておくと何かと便利です。さらに法人のクレジットカードであれば、事業用と個人用をきっぱりと分けることができ、経理業務の効率化にもつながります。

法人口座開設で必要な書類

法人口座の開設は、個人口座を開設するのとは違い、以下のような準備が必要です。

・法人の印鑑登録証明書
・履歴事項全部証明書
・本店所在地の建物謄本もしくは賃貸借契約書
・代表者の本人確認書類
・主たる事業の許認可証

それぞれの書類について、もう少し詳しくご紹介します。

法人の印鑑登録証明書

印鑑登録証明書は、法務局の窓口で取得することができます。また、郵送で取得したり、ICカードリーダライタ等を使ってオンラインで入手することもできます。郵送で入手する場合の手順は、以下のとおりです。

1 法務省のホームページから「印鑑カード交付申請書」を取得する
2 申請書に記入し法務局へ郵送する
3 印鑑カードを入手する
4 手数料を納付する
5 印鑑証明書を取得する

法務省:印鑑カード交付申請書

履歴事項全部証明書(会社の商業登記簿謄本)

履歴事項全部証明書は、登記簿謄本や登記事項証明書などと言うこともあります。処理の方法によって呼び方は変わりますが、内容は同じです。履歴事項全部証明書には、社名や本店の所在地、役員の氏名、法人の事業目的などが記載されており、これは法務局の窓口に行くと直接受け取ることができます。その他にも、オンラインでの取得も可能です。

本店所在地の建物謄本もしくは賃貸借契約書

本店所在地の建物謄本や賃貸借契約書は、 確かに運営していることを金融機関側に伝える資料の1つとなります。必要に応じて提出することとなるでしょう。

代表者の本人確認書類

基本的に、法人口座の開設はその法人の代表者が行うのが一般的です。なぜなら、口座開設の目的や事業の内容を必ず問われるからです。本人が確認できる書類を持参しましょう。

主たる事業の許認可証

事業によっては、その営業のために許認可が必要となります。例えば、飲食業や旅館の営業は保健所の許可が必要になり、介護事業を行う場合は都道府県庁の許可が必要です。このように、許認可を要する事業は1,000以上にものぼり、法令のとおりに手続きを行わないと営業はできません。許認可が必要な事業に該当する場合は、提出しましょう。

定款の写し

金融機関によっては、定款の写しの提出を求められることがあります。定款とは、会社の社名や資本金、事業目的などを記載したもので、どのような事業を行うのかを金融機関側が把握します。

関連リンク:株式会社の定款変更とは?必要な場合や手続き、費用などを解説

法人口座開設までの流れ

ここからは、法人口座の開設までの流れについてご紹介します。

・必要な書類等を準備する
・口座開設を申し込む
・金融機関の審査の結果を待つ
・開設の手続きを行う

金融機関の審査が完了するまで、2週間~1ヶ月ほどかかることが多いため、必要性が高い場合は注意しましょう。また、複数の金融機関で法人口座を開設したい場合は、並行して行われることをおすすめします。

必要な書類等を準備する

先程ご紹介したような、法人口座開設に必要な書類を準備します。事前に金融機関のホームページで必要書類を確認しましょう。また、記載しなければならない書類については、不備がないか十分に確認することも大切です。

口座開設を申し込む

金融機関の案内に沿って、申し込みを行います。この時、代表者の経歴・実績、事業の内容、事業計画が問われることもあるため、きちんと正確に説明ができる資料を前もって準備されることをおすすめします。

金融機関の審査の結果を待つ

法人口座が開設できるかどうか、金融機関の審査の結果を待ちます。審査では、申請時のヒアリングの内容や調査の結果を見て総合的に判断されます。

開設の手続きを行う

審査をパスしたら、いよいよ法人口座の開設です。法人名義のクレジットカードを作成したい場合は、開設後に申し込みましょう。

法人口座開設の審査基準

法人口座を作りたいと考える人にとっては、審査の内容が非常に気になるところです。しかし、審査の基準は公開されていません。

銀行にも種類があり、それぞれ特徴が異なります。一般的には、都市銀行は審査が厳しく、そのぶん会社の信用度は高くなりやすいと言われています。一方、ネット銀行は審査が簡易的で、ハードルが低いぶん取引先からの信頼度は低めと考えられることも。ただ、審査が不安な人にとっては申し込みやすく、手続きもインターネットを通じてスムーズに行える点はメリットです。

銀行それぞれの特徴や業務形態、コスト、利便性などを総合的に判断し、自分の会社に合いそうな金融機関を選んでいきましょう。

資本金

会社設立時に決める資本金は、事業開始にあたり必要な金額を設定しておく必要があります。実際は資本金1円からでも会社設立は可能ですが、これはあまりお薦めできません。資本金が少ない場合、ペーパーカンパニーの疑いが持たれて審査が不利になることもあります。

事業の目的

事業目的の記載が多すぎると、審査では敬遠されることもあるようです。一見、様々なことに取り組むという良い印象につながると思われるかもしれませんが、銀行側からすると一貫性がなく、実態が掴みにくいという印象になるようです。事業項目には余計なものを加えないようにしましょう。

取引先と交わされた契約書や領収書

会社が健全に運営されていて、融資をしても返済能力があることを示すために、取引先と交わした契約書や領収書は準備しておきましょう。こうした書類がないと、実績が不明となり、審査が不利になることがあります。

公式サイト

公式サイトの有無が審査に影響することもあります。特に、ITサービスなどの業種では、公式サイトがないと不審に思われることもあるため注意が必要です。充実した公式サイトがあれば、日頃の会社の実績や健全性が見えてくる場合もあり、良い評価につながると考えられています。

固定電話

最近は、固定電話の契約をせず携帯電話のみで法人口座を開設する法人もあります。しかし、固定電話があると、ないよりも信頼性が高いと判断されやすいようです。金融機関によっては固定電話の有無を審査基準に含んでいることもあるため、できれば固定電話は契約しておいた方が良いでしょう。

「INVOY(インボイ)」では、法人口座とオンラインで連携できます

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まとめ

法人口座は、なくても事業を行うことはできますが、取引先からの信用や経理業務の効率化を考えると開設しておいた方が良いでしょう。個人口座とは違い審査があるため、必ず法人口座が持つことができるとは言い切れませんが、事前に審査を受ける上で知っておきたいポイントを抑えておくと良い評価につながる可能性があります。個人口座とビジネス用の口座が一緒になっていて不便さを感じている方や、これから事業を本格的に行っていきたい方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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