確定申告について 確定申告はいくらから必要?しなくていい条件やしない場合のペナルティを解説! 最終更新日: 2024/02/10   公開日: 2023/11/21

確定申告は、1年間で発生した所得に基づいて所得税を計算し、申告・納税する手続きです。本記事では「確定申告はいくらから必要なのか?」といった疑問にわかりやすくお答えします。また、確定申告が必要な人やその条件について、ケース別に解説します。

確定申告はいくらから必要?

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間で発生した所得を計算して申告する制度です。計算した結果に応じて、所得税を納税することもあれば、還付を受けられることもあります。

給与所得を得ている人に関しては、勤務先で年末調整をするため原則として確定申告をする必要はありません。しかし、副業で一定以上の所得があるなどの条件に該当すれば、会社員でも確定申告を行うケースがあります。

参照:No.2020 確定申告|国税庁

個人事業主・フリーランス

個人事業主やフリーランスは、勤務先で行う年末調整がないため、基本的に自ら確定申告を行うことになります。しかし、1年間の所得が48万円以下であれば、申告の必要はありません。

所得税の金額を計算する際は、所得から所得控除を差し引くことで、課税対象となる金額を減らすことができます。所得控除にはさまざまなものがありますが、そのうちの1つとして全員に対して適用される「基礎控除」があります。

基礎控除の金額は所得によって異なりますが、1年間の合計所得金額が2,400万円以下である場合には、48万円が控除されます。したがって、所得が48万円以下の個人事業主に関しては、基礎控除を差し引くことで課税対象となる所得が0円になるため、所得税が発生せず、確定申告も不要です。

参照:No.1199 基礎控除|国税庁

会社員・アルバイト・パート

会社員・アルバイト・パートなどの給与所得を得ている人は、勤務先の年末調整によって所得税の計算を行うため、確定申告をする必要は基本的にありません。

しかし、副業による収入が20万円を超えるなどの条件に該当する人は、個人的に確定申告を行う必要があります。また、副業によって源泉徴収を受けた際は、確定申告をすることによって払いすぎた所得税の還付を受けられる可能性もあります。

なお、確定申告は国に対して税金を申告するものですが、確定申告をしないと自治体がその所得について認識することができません。そのため、副業による収入が20万円以下で確定申告をしない場合でも、自治体に対して「住民税の申告」と呼ばれる手続きを行う必要があります。

参照:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
   令和5年度住民税の申告について|国税庁

関連記事:会社員(サラリーマン)で確定申告が必要な人は?判断方法ややり方を解説

バイトで103万円以下なら確定申告は不要?

バイトで年収が103万円以下なら、確定申告も年末調整も不要です。

課税対象となる所得は、給与所得控除(最低55万円)や基礎控除(48万円)を差し引いた金額です。55万円と48万円を合計した103万円を超えなければ、課税対象となる所得がないため、所得税及び復興特別所得税はかかりません。

確定申告や年末調整は、原則として所得税を納めた人やこれから納める人が行う手続きです。所得税が発生しないのであれば、どちらも必須ではありません。

参照:家族と税|国税庁

個人で確定申告をする必要がある人

確定申告が必要なケースについて、パターン別に解説します。

関連リンク:確定申告のやり方を流れで解説!対象者や必要書類から納税までわかりやすくご紹介

個人事業主・フリーランス

1年間の所得が48万円以上の個人事業主・フリーランスは確定申告が必要です。所得税の金額は以下のように求められます。

所得税 = 課税所得(売上 – 必要経費 – 所得控除)× 税率 – 税額控除

計算で使う税率や税額控除とは、課税対象となる所得金額に応じて決定されるものであり、国税庁のホームページで確認できます。また、1年間で生じた売上や事業に関する経費について、会計ソフトなどを利用して金額を把握しておく必要があります。

参照:No.2260 所得税の税率|国税庁

給与所得が2000万円を超えている

これまで解説してきた通り、給与所得のある方は勤務先で年末調整を行うため、自分で確定申告をする必要はありません。しかし、年収が2,000万円を超えていれば年末調整の対象外となるため、給与所得者であっても確定申告を行う必要があります。

参照:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

副業の所得が年間で20万円を超えている

副業による所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。なお、副業で受け取った所得の種類によっても考え方が異なります。

参照:No.2020 確定申告|国税庁

関連記事:副業の確定申告やり方は?申告が必要な金額や税金の計算方法について解説

給与を受け取っているケース

複数の勤務先があっても、年末調整は1カ所でしか受けることができません。年末調整はどの勤務先で受けても構いませんが、本業の勤務先で受けるのが一般的です。

したがって、本業での勤務先とは別に副業でアルバイトやパートをしている場合は、基本的に本業の勤務先からの給与所得の分のみ年末調整を行うことになります。

副業の勤務先から受け取る給与所得に関しては、1年間で受け取った給与が20万円を超えた場合に、自ら確定申告を行う必要があります。

報酬を受け取っているケース

本業の勤務先とは別に、副業として業務を受注して報酬を受け取っている場合には、その所得は事業所得もしくは雑所得として扱われます。これらの所得に関しては、報酬から必要経費を差し引いた金額が所得になります。

事業所得・雑所得 = 総収入金額 – 必要経費

この計算の結果、事業所得もしくは雑所得が1年間につき20万円を超えた場合には、確定申告を行う必要があります。

参照:【確定申告書等作成コーナー】-事業所得の計算方法
   No.1500 雑所得|国税庁

両方受け取っているケース

アルバイトやパートによる給与所得と、事業所得もしくは雑所得の両方があるケースでは、それらを合計した金額が1年間に20万円以上であれば、確定申告が必要です。本業以外の収入を合計した金額で判断するものであるという点に注意しましょう。

参照:No.2020 確定申告|国税庁

公的年金を受給していて一定の条件を満たしている

国民年金・厚生年金をはじめとする公的年金の受給者は、以下の条件に該当すれば確定申告を行う必要があります。

・公的年金等の収入金額の合計額が400万円を超える
・それ以外の所得金額が20万円を超える

個人年金を受給している方であれば、年金による受給金額の合計が400万円を超えることがあります。iDeCoによる年金も忘れずに含めましょう。

参照:公的年金等を受給されている方へ|国税庁

株取引やFXの譲渡で利益がある

株取引やFXなどで1年あたり20万円を超える利益を出すと、確定申告が必要となることがあります。

取引を行う口座には特定口座や一般口座がありますが、源泉徴収なしの特定口座や、一般口座のみで取引をすると、利益に応じて確定申告を行うことになります。

源泉徴収ありの特定口座で取引をしている場合には、すでに源泉徴収されているため確定申告は不要です。このケースでは、利益が20万円以下であれば確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。

参照:株式・配当・利子と税|国税庁

不動産所得や譲渡所得がある

不動産の貸付による不動産所得や、不動産などを譲渡することによって生じる譲渡所得がある場合は、確定申告が必要です。

不動産所得がある場合

マンションやアパート経営をしている場合などに発生する所得を、不動産所得と言います。不動産所得の計算方法は、下記の通りです。

不動産所得 = 総収入金額 – 必要経費

ここで言う必要経費とは、固定資産税や損害保険料・減価償却費のほか、建物の修理などに支払った修繕費などを含みます。

参照:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁

譲渡所得がある場合

土地や建物といった不動産をはじめ、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することで生じる所得を譲渡所得と言います。譲渡所得の金額は以下のように計算します。

課税譲渡所得金額 = 収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額

計算で使用する特別控除額とは、譲渡した資産に応じて控除できる可能性のある金額です。

なお、事業用の商品などの棚卸資産や、山林などの譲渡による所得は譲渡所得にならない点に注意が必要です。

参照:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

確定申告をしないとどうなる?ペナルティは?

確定申告が必要にもかかわらず期限内に申告ができなかった場合、気づいた時点でできるだけ早く申告することが求められます。このような申告は「期限後申告」と呼ばれ、本来収めるべき税金に加え、加算税や延滞税といった税金が生じることがあります。

加算税は本来納付するべき税額に対して50万円の部分までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を使って計算した金額が加算されます。延滞税は、確定申告の期限から納付した日までの日数に応じて計算されるものです。

期限を過ぎれば支払う税金を増やしてしまう可能性があるため、余裕を持った申告を心がけましょう。

参照:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

申告が不要でも、確定申告した方がお得?

これまでに確定申告が不要と解説したケースでも、確定申告を行うことで税金の還付を受けられる可能性があります。副業で源泉徴収されて所得税を収めすぎている時などには、副業による所得が20万円以下でも確定申告をするといいでしょう。

また、以下の所得控除を受ける方に関しては、確定申告をすることで節税できるケースがあります。

・医療費控除
・寄付金控除
・雑損控除

これらの所得控除に関しては勤務先の年末調整で受けられないため、給与所得の有無にかかわらず、確定申告をすることを検討しましょう。

納めすぎた税金は還付申告で戻ってくる

その年の確定申告の期限が過ぎてしまっている時は、過去5年間にさかのぼって申告をすることも可能です。この申告は還付申告と呼ばれ、所得が生じた年の翌年1月1日から5年間の期間が設けられています。

・年途中で退職して年末調整を受けないで納税をした時
・多額の医療費を支払った時
・一定の要件に基づいてマイホームを取得して、住宅ローンがある時
・特定の寄付をした時

上記をはじめとする条件に当てはまる方は、後からでも還付申告をすることを検討しましょう。

参照:No.2030 還付申告|国税庁
関連リンク:還付金とは?いつ受け取れる?年末調整や確定申告で申告する方法も紹介

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確定申告にはさまざまなルールがあり、個人事業主やフリーランス、会社員で副業を行なっている方などは、毎年負担に感じているという方も多くいます。確定申告をスムーズに終えるためには、書類の発行や売上の管理といった経理業務を日頃から進めておくことが大切です。

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まとめ

確定申告はその年の所得が規定以上の金額になった場合、個人事業主やフリーランス、副業を行っている方などが行う必要のある手続きです。

確定申告をする必要のないケースでも、引かれすぎた所得税がある時や、年末調整ではできない所得控除を適用したい時などには、確定申告することで還付もしくは節税となることもあります。確定申告のルールを把握し、個人の状況に応じた対応を行うよう心がけましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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