
日本赤十字社は、災害救護活動、医療事業、献血事業、そして福祉支援など、多岐にわたる人道的な活動を展開しています。
これらの貴重な活動は、多くの場合、皆様からの温かい寄附によって支えられています。皆様一人ひとりの支援が、困難な状況にある人々への助けとなります。
日本赤十字社へ寄附(募金)を行う際、その証明となる書類、一般的に「受領証」と呼ばれるものを受け取ることが極めて重要です。
この受領証は、皆様が行った貢献を公式に証明する大切な書類となります。
特に、寄附によって税制上の優遇措置、すなわち「寄附金控除」を所得税や住民税で受けようとする場合、この受領証の存在が不可欠です。
適切な書類がなければ、税金の控除を受けることはできません。
この記事では、日本赤十字社への寄附に伴う領収書(受領証)の入手方法、関連する申込書などの記入方法(書き方)、そしてその書類を用いた税金控除(確定申告)の手続きについて、公式情報に基づき詳しく解説します。
目次
なぜ領収書が必要なのか?寄附金控除との関係
日本赤十字社が発行する領収書(受領証)、またはそれに代わる有効な証明書類は、税務署に対して寄附の事実を証明するための最も重要な証拠となります。
寄附金控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。寄附先が日本赤十字社のような税法上の特定公益増進法人であること、そして年間の寄附合計額が一定額(通常2,000円)を超えることなどが挙げられます。
領収書(受領証)は、これらの条件を満たしていることを具体的に示す書類です。
寄附金控除には、所得から一定額を差し引く「所得控除」と、算出された税額から直接差し引く「税額控除」がありますが、日本赤十字社への寄附は主に所得控除の対象となります。
どちらの控除を適用するにしても、その計算根拠と申請には領収書(受領証)が必要不可欠です。
重要な点として、寄附金控除は、通常、会社員が行う年末調整では手続きできません。控除を受けるためには、寄附者自身が年間の所得と税金を計算し、税務署に申告する「確定申告」を行う必要があります。
その際、領収書(受領証)を確定申告書に添付するか、提出時に提示することが求められます。
このことから、寄附を行う際には、後々の税金控除手続きを見据え、必要な書類を確実に取得するという意識を持つことが肝要です。日本赤十字社では、寄附金の使途を優先するため、領収書の発行は希望者のみに行う場合が多いとされています。
つまり、自動的に送られてくるとは限らず、場合によっては寄附者側からのアクションが必要になるのです。
また、振込票の控えなどが代替書類として認められる場合もありますが、それには厳格な条件があり、寄附者自身がその有効性を確認する必要があります。
税金控除を確実に受けるためには、寄附を行う時点、あるいはそれ以前から、どのような書類が必要で、どうすれば入手できるのかを把握し、能動的に準備を進める姿勢が求められます。
確定申告の時期になってから慌てても、適切な証明書類が手元になければ控除を受けられない可能性があるため、事前の確認と準備が非常に重要です。
赤十字の領収書(受領証)を入手する様々な方法
日本赤十字社は、寄せられた寄附金を有効に活用するため、領収書(受領証)の発行は、原則として寄附者からの希望に応じて行っています。全ての寄附方法で自動的に送付されるわけではない点に注意が必要です。
寄附の方法によって、領収書(受領証)の入手方法や代替となる書類が異なります。
郵便局・銀行の窓口/ATM/振込
郵便振替を利用した場合の「払込金受領証」(半券)や、銀行振込の場合の「振込票の控え」またはATMの「ご利用明細票」は、多くの場合、確定申告時に領収書の代わりとして使用できます。
ただし、これらが代替書類として認められるためには、寄附者の氏名、寄附年月日、寄附金額、寄附先の口座番号(日本赤十字社の口座であること)が明確に記載されている必要があります。
特に、災害義援金の場合は、その振込口座が義援金の受付専用口座であることが確認できる書類(例えば、義援金の募集要綱など)を別途添付する必要が生じることがあります。
これらの情報が不足している場合や、正式な領収書が必要な場合は、別途発行を依頼する必要があります。
クレジットカードでのご寄附
クレジットカードでの寄附の場合、領収書発行の手続きは通常、寄附申し込みページの案内に従います。多くの場合、別途「受領証希望」の旨を伝える必要があるでしょう。
領収書に記載される日付は、クレジットカードの決済日ではなく、日本赤十字社に実際に入金された日付となる点に留意が必要です。
コンビニでのご寄附
コンビニエンスストアを通じた寄附の場合も、クレジットカードと同様に、個別の手続き案内に従う必要があります。領収書が必要な場合は、発行を希望する旨を伝える手続きが必要となる可能性が高いです。
インターネット経由(Amazon, Yahoo!など)でのご寄附
AmazonやYahoo!などの提携サイトを経由した寄附についても、各プラットフォームおよび日本赤十字社の指示を確認してください。領収書の発行には、別途手続きが必要となることが一般的です。
ただし、特定のポイントプログラムを通じた寄附(例:サンクスマイルからの寄附)は、領収書の発行対象外であり、税法上の寄附金控除も受けられない場合があります。
お近くの日本赤十字社窓口・支部での直接寄附
日本赤十字社の支部窓口や、一部の自治体(例:石川県庁出納室)の赤十字担当窓口に直接現金を持参して寄附した場合、その場で「現金領収証書」が発行されることがあります。ただし、場所によっては後日郵送となる場合もあります。
社費 / 町内会等での集金
日本赤十字社の「社員」としての会費(社費)や、町内会・自治会などを通じて集められる寄附金の場合、「社員加入申込書兼社費領収書」や「赤十字会員加入・寄附申込書(兼領収書控)」といった専用の様式が用いられることが多くあります。
集金担当者(世話人や役員など)が一時的な領収印を押したものや、様式に付属する領収書部分(控)を受け取る形になります。この場合も、確定申告に使用できる有効な証明書であることを確認する必要があります。
遺贈・相続財産からの寄附
遺贈や相続した財産からの寄附については、通常の領収書とは異なる「相続財産の寄附に関する証明書」という特別な書類が必要となります。これは相続税の申告に際して使用するもので、日本赤十字社に発行を依頼する必要があります。
このように、寄附の方法によって受け取る書類や手続きが大きく異なる点は重要です。銀行振込なら条件付きで振込票が使える一方、クレジットカードやコンビニ寄附では別途申請が必要になるなど、統一されたプロセスではありません。
寄附者は、自身が選択した方法に応じた正しい手続きを理解し、実行しなければ、税控除に必要な証明書類を確保できないリスクがあります。
特に、振込票の控えなどを代替書類として使用する場合、税務署が求める情報(寄附者名、日付、金額、専用口座であることの証明など)を寄附者自身が揃えなければなりません。
日本赤十字社側も専用口座を設けるなど便宜を図っていますが、最終的な証明責任は寄附者にあると言えます。募集要綱などの補足資料を忘れずに保管するなど、細心の注意が必要です。
表1:主な寄附方法と領収書(受領証)の入手
寄附方法 | 主な証明書類 | 入手方法・注意点 |
郵便局・銀行振込 | 振込票半券・控 | 条件付きで有効(寄附者名, 日付, 金額, 口座詳細が明記)。必要なら追加で募集要綱等。正式な受領証は要依頼。 |
赤十字窓口・支部(現金) | 現金領収証書 | 通常即時発行、後日郵送の場合も。 |
クレジットカード | 受領証 | 要依頼が基本。発行日は着金日。 |
コンビニ | 受領証 | 要依頼が基本。詳細は個別の案内に従う。 |
インターネット(提携サイト) | 受領証 | 要依頼が基本。詳細は個別の案内に従う。 |
会員としての社費 | 社員加入申込書兼社費領収書 等 | 専用様式を使用。住所等記入必須の場合あり。 |
ポイント寄附(一部) | 発行不可 | 税控除対象外となる場合あり。 |
遺贈・相続財産 | 相続財産の寄附に関する証明書 | 相続税申告用の特別書類。要発行依頼。 |
正式な領収書(受領証)の発行を依頼する手順
正式な領収書(受領証)の発行が必要となるのは、主に以下のようなケースです。
選択した寄附方法が、自動的に有効な証明書類(条件を満たした振込票など)を提供しない場合(例:一部のオンライン寄附)。
手元にある振込票の控えなどに、税務署が求める情報(寄附者名、日付、金額、口座詳細)が欠けている場合。
単に、代替書類ではなく日本赤十字社発行の正式な書類を希望する場合。
寄附金控除のために、単なる受領証以上の特別な証明書(例:免税措置希望者向けの証明書、相続財産寄附の証明書)が必要な場合。
発行を依頼する具体的な方法は、寄附の方法によって異なります。基本的には、寄附を行った際の案内(日本赤十字社のウェブサイトや送付された資料など)に記載されている手順に従います。
多くの場合、日本赤十字社の担当部署(例:本社 事業局 パートナーシップ推進部、各都道府県支部、寄附を受け付けた医療センター)に連絡を取るか、専用の依頼書(例:「義援金領収証明書発行依頼票」、「寄附金申請書」)を提出することになります。
依頼の際には、以下の情報が必要となることが一般的です。正確に伝えられるよう準備しておきましょう。
寄附者の氏名(フルネーム)
住所
電話番号
寄附した日付
寄附した金額
寄附の方法(例:銀行振込の場合は、振込人名義、振込先の金融機関名・支店名・口座番号など)
領収書(受領証)の宛名は、原則として申告された寄附者名となります。
発行までには時間がかかる場合があります。
特に、税額控除等を希望する場合に必要な証明書は、日本赤十字社本社が一括して発行処理を行うため、寄附を受け付けたセンターや支部からの報告を経て発行される流れとなり、寄附した月の2か月後に手元に届くこともあります。
確定申告の期限に間に合うよう、早めに手続きを行うことが推奨されます。
領収書(受領証)に記載される日付は、寄附者が支払い手続きを行った日ではなく、日本赤十字社が寄附金を受領した(着金した)日付となります。
また、一度の寄附(一回の入金)に対して、領収書を複数に分割して発行することは原則としてできません。
領収書の発行元が一箇所ではない点も理解しておく必要があります。
現金寄附なら受付窓口、税務署提出用の特別な証明書なら本社、災害義援金の領収書なら特定の連絡先、社費なら地域の取りまとめ役、といった具合に、寄附の種類や目的によって担当が異なります。
どの窓口に依頼すべきか、寄附の種類に応じて判断する必要があります。
寄附申込書・関連書類の具体的な書き方
「領収書の書き方」を知りたいという要望に対して、実際に寄附者が「書く」作業の中心となるのは、最終的に発行される領収書そのものではなく、
寄附の申し込みや意思表示のために提出する「寄附申込書」や「会員加入申込書」などの書類です。これらの書類を正確に、そして漏れなく記入することが、適切な領収書発行と、その後の税金控除手続きの第一歩となります。
これらの申込書には、以下のような項目が含まれていることが一般的です。記入時の注意点とともに解説します。
ご寄附金額
寄附する金額を明確に記入します。もし、前年の実績などに基づいて金額が印字されている用紙で、今回異なる金額を寄附する場合は、印字された金額を二重線で消し、正しい金額を余白などに記入します。
お名前(寄附者名)
寄附者本人の正式な氏名を記入します。フリガナの記入欄があれば、それも忘れずに。ここで記入した氏名が、領収書(受領証)の宛名となります。
ご住所・所在地
郵便番号を含め、正確な現住所を記入します。特に、日本赤十字社の会員になる場合や、税金控除のための書類発行を希望する場合は、住所の記入が必須となることが多いです。
ご連絡先
日中の連絡が可能な電話番号、場合によってはメールアドレスを記入します。
受領証のご希望
領収書(受領証)や税金控除用の証明書が必要な場合は、「希望する」「有」などの欄にチェックを入れるか、丸をつけます。2,000円以上の寄附で税の優遇措置(免税措置)を希望するかどうかを選択する欄がある場合もあります。
入金方法等
どのように寄附金を支払ったか(または支払う予定か)を示します(例:「銀行振込」)。
銀行振込の場合は、振込先の銀行名、支店名、口座種別、口座番号、そして「振込人名義」(実際に振込手続きで使用した、または使用する予定の名前)を正確に記入することが求められます。申込書の氏名と振込人名義は一致させることが重要です。
寄附の種類
寄附金が、一般的な赤十字活動全般に使われる「活動資金」なのか、特定の災害に対する「〇〇災害義援金」なのか、あるいは「社費」なのかなど、寄附の目的を明記します。
日付
申込書を記入した日付や、寄附(振込)を行った(または行う予定の)日付を記入します。
具体的な様式の例
寄附申込書: 一般的な寄附や特定の目的への寄附に使用されます。多くの場合、上記のような詳細情報(特に支払方法に関する情報)の記入が必要です。一回の寄附(振込)につき、一枚の申込書が必要となる場合があります。
申込書の提出が確認できないと、寄附として受け付けられない可能性もあるため注意が必要です。
赤十字会員加入・寄附申込書(兼領収書控): 主に「社員」としての会費(社費)や、地域(町内会など)で集められる寄附金に使用されます。多くの場合、記入後に切り取って寄附者に渡される領収書部分(控)が付いています。
氏名、住所、金額の記入が必要です。2,000円以上の寄附の場合、会員登録を希望するかどうかを確認する欄があることもあります。
義援金領収証明書発行依頼票: 特定の災害義援金に対する領収書(証明書)の発行を依頼するための専用様式です。
納入書兼領収証: 一部の地域での集金活動で使われることがある様式で、役場提出用と寄附者本人用(領収証)に分かれている場合があります。裏面に連絡事項を記入する欄(連絡票)が設けられていることもあります。
印字済み用紙の修正・更新
前年の情報が印字された用紙を受け取った場合で、内容に変更がある場合は、適切に修正・報告する必要があります。
金額: 前述の通り、金額が異なる場合は二重線で消して訂正します。
寄附者の状況変更: 寄附者が亡くなられた場合、転居された場合、あるいは今年度は寄附を休止する場合などは、用紙の裏面などにある「連絡票」の該当欄(例:「ご逝去」「転出」「脱退」)に印をつけたり、必要事項を記入したりします。
家族内で引き継ぐ場合は、引き継ぐ方の氏名を記入します。これにより、次年度以降、不要な用紙が送付されるのを防ぐことができます。
申込書の正確な記入こそが、「書き方」に関する最も重要なステップです。氏名、住所、金額はもちろん、領収書の要否、振込情報など、求められる情報を正確に記載することが、スムーズな手続きと確実な書類発行につながります。
記入漏れや誤りがあると、領収書が発行されなかったり、税金控除が受けられなくなったりする可能性もあるため、細心の注意を払って記入しましょう。
表2:寄附申込書等の主な記入項目
項目名 | 記入内容・注意点 |
氏名 | 寄附者本人の正式名称。フリガナも忘れずに。受領証の宛名になる。 |
住所 | 正確な現住所。郵便番号も記載。税務書類や会員登録に必須の場合が多い。 |
寄附金額 | 寄附する金額を明確に記入。 |
受領証希望 | 必要なら「希望する」「有」等を選択。税控除希望を明記する場合も。 |
連絡先(電話等) | 日中連絡可能な電話番号など。 |
振込人名義 | 銀行振込の場合、実際に振込手続きで使う名義を記入。申込者名と一致させる。 |
寄附の種類 | 活動資金、災害義援金、社費など、寄附の目的を明記。 |
日付 | 申込日や寄附(振込)日など。 |
領収書を使った寄附金控除(税制優遇)の手続き概要
日本赤十字社への寄附は、税制上の優遇措置(寄附金控除)の対象となる場合があります。控除を受けるための主な条件と手続きの概要は以下の通りです。
控除の対象となるかの確認
寄附先: 日本赤十字社は「特定公益増進法人」に該当するため、原則として寄附金控除の対象となります。
寄附金額: その年に支出した特定寄附金の合計額が2,000円を超える必要があります。控除される額は、基本的に「年間の寄附金合計額 – 2,000円」となりますが、上限額があります。
所得に応じた上限額: 所得税の寄附金控除(所得控除)の対象となる寄附金の合計額は、その年の総所得金額等の40%が上限とされています。
住民税の控除: 住民税についても、寄附金税額控除が適用される場合があります。
控除額は、多くの場合「(寄附金合計額 – 2,000円)× 10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)」で計算され、対象となる寄附金合計額の上限は総所得金額等の30%とされることが一般的です。
ただし、住民税の控除を受けるには、お住まいの自治体の条例で日本赤十字社(多くの場合、その都道府県支部)への寄附が控除対象として指定されている必要があります。
特定の寄附金: 災害義援金として日本赤十字社に寄附した場合、その義援金が最終的に被災地方公共団体の義援金配分委員会等に拠出されるものであれば、地方公共団体への寄附として扱われ、ふるさと納税と同様の控除(特例控除)の対象となることがあります。
確定申告に必要な書類
寄附金控除を受けるためには、確定申告が必要です。申告の際には、主に以下の書類が必要となります。
確定申告書: 税務署指定の様式に必要事項を記入したもの。寄附金控除に関する欄への記入が必要です。
寄附金の受領証(領収書): 日本赤十字社が発行した正式な受領証。
代替となる証明書類: 郵便振替の半券や銀行振込の控えを利用する場合は、前述の通り、寄附者名、日付、金額、寄附先口座が明記されていることが必須です。
補足書類: 代替書類を用いる場合、特に義援金の場合は、その振込口座が義援金専用口座であることを証明する書類(募集要綱、募金趣意書、団体のウェブサイトの写しなど)の添付が必要になることがあります。
その他の証明書: 寄附の種類によっては、日本赤十字社が特定公益増進法人であることを証明する書類の写しや、相続財産からの寄附の場合は専用の証明書が必要になることがあります。
源泉徴収票: 給与所得者の場合、その年の収入や源泉徴収された税額を証明するために必要です。
マイナンバー(個人番号)関連書類: 本人確認および番号確認のために必要です。
手続きの流れ
上記の書類を揃え、確定申告期間(通常、翌年の2月16日から3月15日まで)に、住所地を管轄する税務署に確定申告書を提出します。提出方法は、税務署窓口への持参、郵送、またはe-Tax(電子申告)があります。
確定申告書の第一表だけでなく、第二表の「住民税に関する事項」欄にも寄附金額を記入することを忘れないようにしましょう。
年末調整では不可
繰り返しになりますが、寄附金控除は年末調整の対象外です。控除を受けるためには、給与所得者であっても原則として自身で確定申告を行う必要があります。ふるさと納税に関する「ワンストップ特例制度」は、通常の日本赤十字社への寄附には適用されません(特定の災害義援金がふるさと納税扱いとなる場合を除く)。
確定申告で寄附金控除を申請する際には、このように複数の書類を正確に準備し、申告書に正しく記入する必要があります。
領収書(または代替書類)はもちろんのこと、場合によっては口座の性質を証明する補足資料や、寄附先の法人格を証明する書類の写しまで求められる可能性があります。
税務署が定める要件は厳格であり、一つでも書類が不足したり、内容に不備があったりすると、控除が認められないことも考えられます。
したがって、寄附の証明書類を受け取ったら、確定申告に必要なその他の書類とともに、紛失しないよう大切に保管し、申告時にはチェックリストを作成するなどして、提出漏れがないように万全の準備を整えることが重要です。
知っておきたい注意点とQ&A
日本赤十字社への寄附と領収書に関して、いくつか注意しておきたい点があります。
領収書が出ない寄附
全ての寄附が領収書発行や税金控除の対象となるわけではありません。例えば、特定のポイントプログラムを利用した寄附は、領収書が発行されず、税控除の対象にもならない場合があります。
また、一般的に街頭募金なども、税務申告に使える正式な領収書が発行されないケースが多いとされています。税金控除を目的とする場合は、寄附を行う前に、その方法で領収書が発行されるか、控除の対象となるかを確認することが賢明です。
領収書の宛名
領収書(受領証)の宛名は、寄附申込書に記載した氏名、または日本赤十字社に登録されている氏名で発行されます。確定申告で控除を受ける人と、領収書の宛名は一致している必要があります。
領収書の再発行
領収書(受領証)を紛失した場合、再発行は原則として困難である、または対応不可(いたしかねます)と案内されていることが多いです。受け取った領収書は、確定申告が完了し、税務調査等の可能性がなくなる期間(通常数年間)が過ぎるまで、確実に保管してください。
発行タイミング
前述の通り、領収書、特に税務用の証明書は発行までに時間がかかることがあります(例:最長で寄附の2か月後)。確定申告の準備期間を考慮し、余裕をもって発行依頼を行うか、代替書類の準備を進めましょう。
日付のズレ
領収書に記載される日付は、日本赤十字社への着金日であり、寄附者が支払い手続きをした日と異なる場合があります。税務申告上は通常、この着金日で問題ありませんが、日付が異なることは認識しておきましょう。
分割発行不可
一回の寄附手続き(一回の入金)に対して、金額を分けて複数の領収書を発行することはできません。
法人からの寄附
法人が日本赤十字社へ寄附する場合も、税法上の損金算入が認められます。全額損金算入が可能な「指定寄附金」(期間限定・要件あり)や、法人の資本金や所得に応じて損金算入限度額が定められる「特定公益増進法人への寄附金」などの区分があります。
法人税の申告には、個人とは異なる手続きや書類(寄附金の損金算入に関する明細書など)が必要となります。
寄附行為は、お金を渡して終わりではありません。
特に税金控除を視野に入れる場合、寄附方法の選択(控除対象か、領収書は出るか)、申込書への正確な情報記入、発行された領収書の厳重な保管、そして発行までの期間の認識など、寄附後にも続く一連の管理プロセスが伴います。
これらの点を怠ると、せっかくの寄附に対する税制上のメリットを受けられなくなる可能性があります。寄附を行う際には、これらの付随する手続きや注意点も念頭に置くことが、より効果的な支援につながります。
まとめ:正しい領収書の取り扱いで、赤十字への支援を確実に
日本赤十字社が行う人道支援活動への寄附は、社会貢献として非常に価値のある行為です。そして、その寄附の証明となる領収書(受領証)を正しく取り扱うことは、寄附金控除という形で税制上の優遇措置を受けるための鍵となります。
重要なステップを振り返りましょう。まず、選択する寄附方法で領収書(または有効な代替書類)が得られるかを確認します。必要であれば、忘れずに発行を依頼します。
次に、寄附申込書などの関連書類には、氏名、住所、金額などの情報を正確に「書き込む」こと。これが、寄附者自身が行う最も重要な「書き方」の作業です。
そして、受け取った領収書や代替書類は、確定申告に必要な他の書類と共に、紛失しないよう大切に保管します。最後に、確定申告の際には、必要書類を漏れなく揃えて手続きを行います。
寄附の申し込みから、申込書の記入(書き方)、領収書の受領・保管、そして確定申告に至るまでの一連の流れを理解し、適切に行動することで、皆様の尊い支援が正式に記録され、認められることになります。
それは、皆様自身の税負担の軽減につながる可能性があると同時に、日本赤十字社の活動への確かな貢献を形にするものでもあります。
もし、個別のケースで不明な点があれば、日本赤十字社のウェブサイトを確認するか、最寄りの支部、または税務署に相談することをお勧めします。
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