
応募先が病院の場合、履歴書を郵送する際には独特のマナーや注意点があります。単に履歴書を送るだけでなく、適切な封筒の選び方や宛名の書き方、さらには添え状である送付状の用意など、細かな配慮が必要です。特に「送付状」は、応募書類を受け取る採用担当者に最初に届く挨拶状として重要な役割を果たします。
本記事では、病院への履歴書の送り方から送付状の書き方・マナーまで、詳しく解説します。封筒準備の基本から送付状に盛り込むべき内容、病院の種類による違いや敬語表現のポイント、さらに採用担当者に好印象を与えるコツや職種別の送付状例文も取り上げます。
初めて病院に履歴書を送る方でも安心して準備できるよう、わかりやすく丁寧に説明していきます。
目次
病院へ履歴書を郵送する際の基本マナー
まず、履歴書を郵送する際の封筒や宛名、送付方法についての基本的なマナーを確認しましょう。封筒は、市販の白無地の封筒を使用するのが基本です。履歴書が折り曲がらないように、A4用紙がそのまま入る大きさ(角形2号など)の封筒を選びます。
封筒の表面には、送り先である病院の正式名称と部署名・担当者名を丁寧に書きます。
例えば、応募先が「○○病院 人事課」の場合は「○○病院 人事課 御中」とし、個人名がわかっている場合には「○○病院 ○○部 ○○様」と書くのが一般的です(部署宛てで担当者名が不明な場合は「御中」、担当者名を指定する場合は「様」を使用し、両方は併記しない点に注意します)。
宛名は縦書きでも横書きでも構いませんが、読みやすさを優先し、正式名称を省略せずに記載しましょう。
封筒の裏面には、差出人である自分の郵便番号・住所・氏名を忘れずに記入します。氏名には必要であればふりがなも添え、自宅の電話番号も書いておくと親切です。
封をしたら、封筒の表面左下あたりに赤字で「履歴書在中」あるいは「応募書類在中」と明示するのもマナーです。市販の赤いスタンプを利用しても良いでしょう。これにより、受け取った側は一目で応募書類が入っていることが分かります。
送付方法にも配慮が必要です。履歴書などの大切な書類は普通郵便でも送れますが、確実に届けたい場合は郵便局の「簡易書留」や「レターパック」など追跡可能な方法を利用すると安心です。特に採用締切が迫っている場合や貴重な書類(資格証の写しなど)を同封する場合には、追跡サービスを利用すると良いでしょう。
また、郵送するタイミングにも注意が必要です。応募締切日がある求人ならば、必ず余裕を持って投函し、先方に遅れず到着するよう心がけます。ポストに投函する場合は集配時間も確認し、可能であれば郵便局の窓口から送付すると確実です。これら基本マナーを守ることで、履歴書郵送の第一歩として相手にきちんとした印象を与えることができます。
送付状の必要性と役割
履歴書を郵送する際に同封する送付状(添え状)は、単なる形式上の紙と思われがちですが、実は非常に重要な役割を果たしています。送付状とは、送付する書類の内容や目的を相手に伝えるための挨拶状です。ビジネス文書のマナーとして、履歴書や職務経歴書などを郵送する際には、この送付状を添えるのが一般的です。
なぜ送付状が必要なのでしょうか。まず、送付状があることで「誰が」「何のために」書類を送付したのかが一目で分かります。採用担当者は日々多くの応募書類を受け取りますが、送付状により、あなたがどの職種に応募し、何の書類を同封したのかをすぐに把握できます。
また、送付状には応募にあたっての簡単な挨拶や志望動機の要約を記載することができます。これにより、履歴書本体を読む前にあなたの熱意や人となりの一端が伝わり、丁寧で熱心な印象を与えることができます。
送付状は言わば最初のコミュニケーションです。履歴書は経歴やスキルを伝えるものですが、送付状はそれらの書類を送るに至った動機や心配りを示す場でもあります。送付状が丁寧に用意されていると、「この応募者は基本的なマナーができている」「細かい気配りができる人だ」という良い印象につながります。
反対に送付状がない場合、形式を軽んじている印象を与えてしまう可能性もあります。特に病院はマナーや礼節を重んじる職場でもあるため、書類段階から誠実さや丁寧さを示すことが大切です。
以上のように、送付状は単なる添え紙ではなく、採用担当者に向けた大切なメッセージです。履歴書や職務経歴書と同じくらい重要と考え、しっかりと準備しましょう。次に、具体的に送付状に何を記載すべきか、その内容について詳しく見ていきます。
送付状に記載すべき内容
送付状には一般的に盛り込むべき決まった項目があります。ここでは、宛名、日付、件名、挨拶文、本文(自己紹介・志望理由を含む)、結びの挨拶といった主要な要素について順を追って説明します。
宛名(送り先)
送付状の宛名には、履歴書の送り先である病院名と部署名、そして担当者名を記載します。ビジネス文書の形式では、宛名は文書の左上に書くのが一般的です。例えば「〇〇病院 人事課 採用ご担当者様」のように書きます。
担当者の個人名が分からない場合は「〇〇病院 人事課 御中」とし、部署名までしか分からないときは部署名+御中を用います。逆に、具体的な担当者名が判明している場合はその方の名前に「様」を付けます(この場合「御中」は併記しません)。
宛名は相手の正式名称を正確に書くことが重要で、「〇〇病院」を「〇〇 Hosp.」などと略さないようにします。また、病院名には「御中」や「様」の敬称を忘れずに付け、失礼のないようにしましょう。
日付
日付は送付状を作成した日付(投函日または前日)を記入します。通常、日付は用紙の右上に配置します(横書きの場合)。西暦でも和暦でも構いませんが、履歴書など他の書類と統一することが望ましいです。
日付を書き入れる位置は、宛名よりも上、用紙の一番上部に右寄せで記すのが一般的です。例えば「2025年4月17日」のように記載します。手書きの場合も忘れずに日付を入れましょう。日付がないと書類としての信頼性に欠けますし、受け取った側にも不親切です。
件名
件名とは、この書面の目的を一言で示すタイトルのようなものです。送付状では、履歴書等の応募書類を送りますという旨を簡潔に示す件名を文頭に記載することが多いです。たとえば、「看護師応募書類送付の件」や「応募書類(履歴書)送付のご連絡」などと書き、何のための書類かひと目で分かるようにします。
件名は他の本文よりも一行分空けて配置し、必要であれば強調のために下線を引いたりします。件名を書くことで、採用担当者は封筒を開け送付状に目を通した瞬間に「応募書類が入っている」と理解でき、スムーズに中身を確認できます。
挨拶文(頭語と前文)
件名の後には挨拶の言葉から文章を始めます。正式な手紙では「拝啓」「謹啓」といった頭語で始め、時候の挨拶や相手の繁栄を喜ぶ前文を添えることが多いですが、送付状では簡略化しても差し支えありません。
例えば「拝啓 貴院ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」のような一文で始めると丁寧です。ただし、あまり長々とした挨拶は不要で、簡潔に始めて構いません。
本文(自己紹介・志望理由)
挨拶に続く本文では、まず簡単な自己紹介と応募の経緯を述べます。自己紹介では自分の氏名や現在の職務・学歴など、相手に分かるように伝えます。
例えば、「私は〇〇大学看護学部を今年卒業予定の〇〇と申します。」や「現在〇〇クリニックにて看護師として勤務しております〇〇と申します。」のように書き、自分が何者であるかを明示します。次に、応募の動機や志望理由を簡潔に伝えます。
履歴書や職務経歴書には詳しい志望動機を書く欄がありますが、送付状でも要点を触れておくことで熱意をアピールできます。例えば、「貴院の地域医療に貢献する姿勢に感銘を受け、是非その一員として働きたいと考え応募させていただきました。」や「御院のチーム医療の体制に魅力を感じ、自分の経験を活かして貢献できればと存じます。」といった具合です。
志望理由は長くなりすぎないように注意し、簡潔ながらも具体性を持たせることがポイントです。また、「求人募集(または貴院ホームページ)で○○職の募集を拝見し、応募いたしました。」など、応募した経緯(どこで募集を知ったか)を一言添えておくのも丁寧です。
結びの挨拶
本文で志望の意志を伝えたら、最後に締めくくりの挨拶を記します。結びの挨拶では、書類を送付した旨の報告と、選考への願いを述べます。例えば、「つきましては、履歴書および職務経歴書を同封いたしました。
ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。」や「まずは書中にて応募のご挨拶を申し上げます。何卒よろしくお願い致します。」といった表現が一般的です。さらに丁寧な印象を与えるために「末筆ながら、貴院の益々のご発展をお祈り申し上げます。」といった文章を添える場合もあります。
そして、正式な手紙の場合は頭語に対応する結語(例えば「拝啓」で始めた場合は「敬具」で結ぶ)を忘れずに入れます。結語まで記載したら、その下に自分の氏名を記し、必要であれば左下に連絡先(住所や電話番号、メールアドレス)を添えておきます。
以上が送付状に盛り込むべき主な内容です。次に、応募先である病院の種類によって送付状で気を付けたいポイントの違いについて説明します。
病院の種類ごとの違い
一口に病院といっても、規模や運営形態によって、応募書類を受け取る体制や重視するポイントに違いがある場合があります。ここでは、総合病院、クリニック(個人病院)、介護施設など、それぞれの施設への応募時に留意したい送付状のポイントを考えてみましょう。
総合病院への応募
大規模な総合病院や大学病院の場合、人事部門が整備されており、多くの応募者を受け入れる体制が整っています。送付状の基本的な書き方は前述のとおりで問題ありませんが、特に志望理由の部分で「貴院を志望する明確な理由」を簡潔に述べることが重要です。
総合病院は応募者も多いため、送付状で自分の熱意や適性が端的に伝わるように心がけます。また、宛名は「〇〇病院 人事課 御中」とするのが一般的ですが、募集要項に担当部署や担当者名の指定がある場合はそれに従います。
大病院では部署名も正式名称が長いことがあるので、略さず正確に書きましょう。例えば「人材開発室」などと正式に記載します。総合病院では形式を重んじる傾向が強いため、送付状の体裁や敬語がきちんとしているかも念入りに確認されるでしょう。丁寧で読みやすい文章を心がけ、誤字脱字のないように注意します。
クリニック(個人病院)への応募
個人経営のクリニックや医院に履歴書を送る場合、大病院とはまた異なる視点で送付状を準備すると良いでしょう。クリニックでは院長先生自身が採用に目を通すケースも多く、応募者一人ひとりの人物像に注目されます。
そのため、送付状でも志望理由に「なぜそのクリニックなのか」をしっかりと盛り込み、あなたの熱意が直接院長に伝わるようにすると効果的です。
例えば、「地域医療に根差した〇〇クリニックの方針に惹かれ…」など具体的なクリニック名や方針に触れるのも良いでしょう。また、宛名は「〇〇クリニック 院長 〇〇様」と個人名を入れるのが一般的です(院長名が不明な場合は「院長先生」としても構いませんが、可能であれば正式な氏名を調べましょう)。
クリニックは少人数でアットホームな職場が多いため、送付状の文面もあまりに形式的・事務的になりすぎず、人柄が感じられるよう工夫すると好印象です。ただし、丁寧な言葉遣いや敬称は大前提として守ります。
介護施設への応募
介護老人保健施設や特別養護老人ホームなど、医療機関ではなく介護施設に履歴書を送る場合も、基本は送付状を添えて丁寧に書類を準備します。介護施設の場合、宛名で用いる敬称は「貴施設」が適切です(病院であれば「貴院」、会社なら「貴社」ですが、施設に対しては「貴施設」と表現できます)。
例えば「拝啓 貴施設ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。」という具合です。また、介護施設では「施設長」や「事務長」が採用担当を兼ねている場合がありますので、募集要項を確認して宛名に肩書きを入れると良いでしょう(例:「〇〇施設 施設長 〇〇様」)。志望理由の部分では、介護施設の理念や入所者への思いに共感していることを伝えると効果的です。
医療職とはまた違った視点で、「利用者様に寄り添った介護を実践したい」「御施設の家庭的なケア方針に魅力を感じた」など、介護に対する熱意や適性をアピールします。
介護施設への応募でもビジネスマナーは同様に重視されますので、形式面は病院同様に整えつつ、施設ならではのキーワード(「利用者」「ご家族」「ケア」など)を盛り込むとより興味を持って読んでもらえるでしょう。
このように、応募先の種類によって送付状で強調すべきポイントや書き方の細部が多少異なります。しかし、共通して大切なのは「応募先ごとに内容をきちんと合わせること」です。
相手先の名称や敬称を間違えないのはもちろん、その病院や施設の特徴や理念に触れた志望動機を述べることで、「この人は我が施設に合った人かもしれない」という良い印象を持ってもらいやすくなります。自分が応募する先に応じて、送付状の内容を調整しましょう。
送付状の文章構成と敬語表現の注意点
送付状を書く際は、文章の構成や言葉遣いにも十分配慮しましょう。まず文章構成としては、前述したように「宛名・日付・件名」で書類の概要を示し、「挨拶文」で書き出し、「本文(自己紹介と志望理由)」で要件を伝え、「結びの挨拶」で締めくくるという流れが基本です。
この順序に沿って書くことで、読み手(採用担当者)にとっても情報が頭に入りやすく、違和感のない文章になります。構成が前後したり必要な要素が欠けていたりすると、読みづらいだけでなくマナー面でも減点となりかねません。特に病院への応募というフォーマルな場面では、文章全体のバランスや形式にも注意が必要です。
次に敬語表現ですが、送付状では丁寧で適切な敬語を用いることが求められます。相手(病院や採用担当者)に敬意を示しつつ、自分の行動をへりくだる謙譲語を用いて表現するのが基本です。
例えば、自分が応募書類を送る行為は「送ります」ではなく「送付いたします」「お送り申し上げます」といった表現を使うと丁寧です。また、相手の病院を指す際は「御院」ではなく「貴院」という謙譲表現を用います(「御社」は企業向け、「貴院」は病院向けの表現です)。
同様に介護施設なら「貴施設」、大学なら「貴学」など相手に合わせた敬称を使い分けます。担当者個人に言及するときは「貴院の採用ご担当者様」や、名前がわかるなら「◯◯様」とし、「貴方」「御中」など不適切な敬称の混同に注意します。
敬語表現で陥りがちなミスとしては、二重敬語や誤用があります。「〜されられる」のような過剰な敬語や、「ご苦労様です」(目上に使うのは不適切)といった言葉は避けます。
また、「宜しくお願い致します」のような漢字の誤り(正しくは「よろしくお願いいたします」)や、送り仮名の間違いにも注意しましょう。パソコンで書く場合は敬語チェックの機能や校正機能を利用すると誤りを見つけやすいです。
文章全体としては、です・ます調で統一し、丁寧ながらも簡潔な表現を心がけます。長い敬語表現を重ねすぎると読みにくくなるため、敬意を示しつつも平易な日本語でわかりやすく伝えることが大切です。
また、一つの文章が長くなりすぎないよう適度に句点で区切り、読みやすいリズムを意識しましょう。採用担当者は多くの書類に目を通すため、要点がすぐ伝わる明瞭な文章はそれだけで好印象につながります。敬語の適切な使用と読みやすさの両立を意識して、送付状を作成しましょう。
よくある間違いとその改善策
送付状を準備する際に、応募者が陥りがちなミスと、その改善策について解説します。まず多いのが、送付状を同封しないという間違いです。応募要項に特に送付状について記載がなくても、履歴書を郵送する際には送付状を付けるのがマナーです。
送付状がないと、「書類をただ送りつけてきた」ような印象になりかねません。改善策として、応募書類一式を準備する段階でチェックリストを作り、送付状を必ず含めるようにしましょう。
次に、宛名や敬称の誤りです。例えば、病院への送付状なのに「御社」と書いてしまったり、担当者名に「御中」と「様」を二重に付けてしまったりするケースがあります。宛名は応募先に合わせて正しく書く必要があります。
病院なら「貴院」、施設なら「貴施設」、会社なら「貴社」といった具合です。また、採用担当者名が分かる場合は「〇〇様」、不明な場合は部署名+「御中」とし、決して「様」と「御中」を併記しないよう注意しましょう。改善策としては、送付状を書いた後に第三者(家族や同僚)にチェックしてもらう、自分でも声に出して読んでみるなどして、不自然な敬称や誤字がないか確認することが有効です。
内容が冗長または不足していることもありがちな問題です。志望理由を長々と書きすぎて送付状が二枚以上になってしまったり、逆に簡潔にしようとし過ぎて挨拶も志望動機もほとんど書かれていなかったりする場合があります。
送付状はあくまで添え状ですので、長くてもA4一枚に収めるのが原則です。志望理由や自己PRは履歴書・職務経歴書に譲り、送付状では要点のみに留めましょう。簡潔で読みやすい文章にすることで、採用担当者に負担をかけず、肝心な点をしっかり伝えることができます。
逆に短すぎる場合は礼儀を欠いて見える恐れがあるため、挨拶や結びの言葉など基本的な要素は省略せずに入れます。
また、形式面の不備もチェックが必要です。例えば日付を書き忘れる、件名を付けない、頭語と結語(拝啓と敬具など)が対応していない、といったミスです。これらは書類の基本ルールとして必ず守るべき点ですので、完成後に形式面だけを確認する時間を設けると良いでしょう。
特にパソコンで雛形を使って作成した場合、別の応募先名が残ったままになっている、といったミスも散見されます(「株式会社〇〇御中」と前の応募先名を書き換え忘れる等)。応募先ごとに宛名や日付、件名などを正しく更新したか、送付前に必ず見直してください。
最後に、印象面での失敗として、丁寧さを欠いた表現やネガティブな内容を書いてしまうことが挙げられます。例えば「とり急ぎ書類を送りました」などそっけない一文で終わっていたり、自分の弱みや前職への不満などを書いてしまったりするのは避けましょう。
送付状は前向きで意欲的な内容とし、ポジティブな印象を与えることが大切です。過去の事情は履歴書や面接で必要に応じて触れるべきで、送付状には相応しくありません。改善策として、書き上がった文章を読み返し、「初めてこの人の文章を読む採用担当者」の気持ちになってみて、不快な箇所や疑問が残る箇所がないかチェックすると良いでしょう。
以上の点に注意し、丁寧で的確な送付状を作成すれば、書類選考で減点されるリスクを減らすことができます。しっかりと見直しと推敲を行い、自信をもって応募書類を送り出しましょう。
Wordで送付状を作成する際のレイアウトと形式
最近では、送付状もパソコンで作成し印刷するのが一般的です。Wordなどのワープロソフトを使えば、体裁の整った送付状を簡単に作成できます。ただし、形式上の決まりごとやレイアウトにも注意しましょう。
レイアウトの基本
送付状はA4縦置き用紙1枚に収めるのが基本です。Wordで作成する場合、上下左右の余白は均等に20mm前後とり、全体が中央に配置されるようにします。用紙の一番上に日付を右寄せで記入し、その少し下に宛名(送り先の病院名や部署名)を左寄せで配置します。
さらにその下に件名を中央揃え、本文をその下に続けます。必要に応じて、自分の氏名・住所・連絡先を用紙の下部(またはヘッダー部分など)に記載しても構いません。なお、送付状であることを明示するために、ページの上部中央に大きめの文字で「送付状」とタイトルを入れるケースもあります。
必須ではありませんが、形式的な書類であることが一目で分かるようにする工夫です。
フォントと文字サイズ
フォントは明朝体やゴシック体などの一般的なもので構いませんが、統一感を持たせます。履歴書や職務経歴書とフォントを合わせると尚良いでしょう。文字サイズは宛名や件名を少し大きめ(例えば12ポイント程度)、本文は10.5〜11ポイント程度が読みやすく一般的です。
強調したい部分(件名や「履歴書在中」など)は太字にする、または下線を引くなどの装飾をしても構いませんが、やりすぎるとビジネス文書としては品に欠けますので控えめにします。
Wordテンプレートの活用
Wordにはビジネス文書のテンプレートが用意されていることがあります。「送付状」テンプレートがあればそれを利用すると便利です。
また、インターネット上でも履歴書送付状のひな型が多数公開されています。それらを参考にするのも良いですが、安易にコピーせず自分用にカスタマイズしましょう。他者の名前や会社名が残っていないか、提出前にしっかり確認することも忘れずに。
印刷と仕上げ
完成した送付状はプリンターで清潔な白い用紙に印刷します。印刷前に改行位置やページ送りが乱れていないか最終チェックしましょう。
印刷後は日付や宛名、署名欄などに手書きで署名を加える必要は通常ありません(履歴書と違い、送付状はワープロ書きで問題ありません)が、万が一誤字を発見した場合は修正液などを使わず、再度印刷し直すほうが良いです。
折り曲げずに履歴書と重ねて封筒に入れ、きれいに封をしましょう。Wordで作成された整然とした送付状は、応募者の事務スキルの高さも感じさせ、好印象につながります。
採用担当者に好印象を与えるポイント
最後に、送付状を通じて採用担当者に好印象を与えるための工夫やポイントをまとめます。まず何より、読み手への配慮が感じられることが大切です。読みやすいレイアウト、過不足ない簡潔な文章、誤字脱字のない正確さといった基本を押さえるだけでも、「丁寧できちんとした人だ」という印象を与えられます。
送付状はあなた自身を映す鏡といっても過言ではありません。一字一句に気を配りましょう。
次に、応募先に合わせた内容になっていることです。汎用的な内容をコピペしたような送付状では、熱意が伝わりません。
応募する病院や施設の理念・特色に触れた志望理由や、自分の経験がどうその病院で活かせるかを述べることで、「この人は我が院のことを理解している」と感じてもらえます。ただし、あまりにお世辞的になったり事実と異なることを書くのは逆効果です。自分の言葉で、しかし応募先ごとにカスタマイズしたメッセージを心がけましょう。
また、前向きで明るい印象を与えることも重要です。送付状の文面は丁寧さが求められますが、その中にも前向きな姿勢や熱意を滲ませます。
例えば志望理由で「〜したいと考えております」「〜に貢献できれば幸いです」といった前向きな表現を用いる、結びの挨拶で「御採用いただけました暁には誠心誠意努力する所存です」など意欲を示す一文を加える、といった工夫です。控えめながらも意志の強さが感じられる文章は、採用担当者の心にも残りやすくなります。
さらに、提出書類一式に統一感や清潔感があることも好印象につながります。履歴書の書き方や写真の貼り方、封筒の宛名書きなども含めてトータルで見られることを意識しましょう。送付状だけが丁寧でも、履歴書が手抜きであれば評価は下がってしまいます。
逆に、すべての書類が整然と整えられていれば、「この人はどんな仕事も丁寧にこなしてくれそうだ」という期待感を抱かせることができます。
最後に、人柄や熱意が伝わるエピソードを一つ入れるのも検討してみてください。送付状は短い文書ですが、一文二文で構いませんので自分のモットーや仕事に対する姿勢がわかるエピソードや信条を盛り込むと、読み手の印象に残ることがあります。
例えば看護師志望であれば「常に患者様の声に耳を傾け、寄り添う看護を心掛けております」といった一文を入れるだけでも、人となりが垣間見えるものです。ただしくどくならない程度に簡潔に盛り込みます。
これらの工夫により、送付状を読んだ採用担当者に「この人に会ってみたい」「話を聞いてみたい」と感じさせることができれば理想的です。送付状は自身を売り込む最初の機会でもあります。形式を守りつつ、内容面でも工夫を凝らし、好印象につながる一枚に仕上げましょう。
職種別の送付状例文(看護師・医療事務・薬剤師・理学療法士)
最後に、職種別に送付状の例文をいくつかご紹介します。以下では、看護師、医療事務、薬剤師、理学療法士それぞれの職種について、応募時に用いる送付状の文例を示します。自身の経歴や志望先に応じてアレンジし、参考にしてください。
看護師の送付状例文
拝啓 貴院ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
この度、貴院の看護師募集の求人情報を拝見し、応募書類をお送りいたします。
私は現在総合病院の外科病棟で看護師として勤務しております〇〇と申します。看護師歴は5年目となり、急性期から終末期まで幅広い患者様の看護を経験してまいりました。
以前より貴院の「地域に開かれた医療」という理念に強く共感しており、私の経験を地域医療の発展に役立てたいと考えております。
つきましては、履歴書および職務経歴書を同封いたしましたのでご高覧いただけますと幸いです。
まずは書中にて応募のご挨拶を申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
医療事務の送付状例文
拝啓 貴院ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
この度、医療事務職の募集を拝見し、応募書類を送付いたします。
私は〇〇医療専門学校を卒業後、〇〇クリニックにて医療事務として3年間勤務してまいりました〇〇と申します。受付業務やレセプト処理を通じ、患者様に安心していただける対応を心がけております。
貴院は地域医療の中核を担う病院であり、医事課の一員として正確で温かみのある窓口対応で貢献したいと考え、応募いたしました。
つきましては、履歴書および職務経歴書を同封いたしますのでご査収くださいますようお願い申し上げます。
まずは書中にて応募のご挨拶を申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
敬具
薬剤師の送付状例文
拝啓 貴院ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
この度、貴院薬剤部の薬剤師募集を拝見し、応募書類を送付いたします。
私は大学卒業後、調剤薬局にて薬剤師として5年間勤務してまいりました〇〇と申します。外来調剤から在宅医療まで幅広く経験し、患者様に安全で的確な薬剤提供を心掛けております。
病院薬剤師としてチーム医療に携わりたいという想いが強く、このたび地域医療に貢献する貴院でその志を実現したく志望いたしました。
つきましては、履歴書および職務経歴書を同封いたしましたのでご高覧いただけますと幸いです。
まずは書中にて応募のご挨拶を申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
理学療法士の送付状例文
拝啓 貴院ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
この度、理学療法士(PT)の募集を拝見し、応募書類を送付いたします。
私は〇〇リハビリテーション学院を卒業後、回復期病棟のある〇〇病院にて理学療法士として2年間勤務いたしました〇〇と申します。脳卒中の後遺症をお持ちの方や高齢の患者様のリハビリに従事し、チームの一員として多職種連携の経験も積んでまいりました。
貴院の最新リハビリ設備と「患者様本位のリハビリテーション」という理念に魅力を感じ、ぜひその一員として更なる研鑽を積みながら貢献したいと存じ応募いたしました。
つきましては、履歴書および職務経歴書を同封いたしましたのでご高覧いただけますと幸いです。
まずは書中にて応募のご挨拶を申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
まとめ
病院への履歴書の郵送と送付状の準備について、基本マナーから具体的な文例まで詳しく説明してきました。送付状は応募者の熱意や人柄を伝える重要な役割を担う書類です。形式的な決まりを守りつつ、自分の言葉で丁寧に思いを綴れば、きっと採用担当者の心にも響くことでしょう。
封筒の書き方や送付状の体裁など、細かな点まで気を配ることは一見大変に思えるかもしれません。しかし、そのひと手間があなたの誠実さやプロ意識を示すことにつながります。正しいマナーで送付状を添えた履歴書を受け取った採用担当者は、きっと良い印象を持ってくれるはずです。
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