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経理の資格おすすめ15選!未経験からの挑戦、キャリアアップのためのロードマップ

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経理 資格

現在のキャリアパスに、心から満足しているでしょうか。経理の資格は、あなたの市場価値を劇的に高め、理想の未来を手に入れるための強力な武器になります。キャリアチェンジや専門性の確立は、資格取得という一つの行動から始まります。

この記事を最後まで読めば、数ある選択肢の中から自分に最適な資格を明確に選び取ることができます。そして、目標達成に向けた具体的な行動計画を立て、自信を持ってキャリアの次のステージへ踏み出せるようになっているでしょう。

専門知識は必要ありません。この記事では、未経験から経理を目指す方、実務経験を活かしてさらに飛躍したい方、そしてスペシャリストを目指す方まで、一人ひとりのレベルと目標に合わせた最適なロードマップを、豊富なデータと共にわかりやすく解説します。

あなたの目的別!最適な経理資格ロードマップ

経理の資格取得を考えるとき、最も重要なのは「何のために資格を取るのか」という目的を明確にすることです。ここでは、あなたのキャリアステージと目標に合わせて、最適な資格とその組み合わせを戦略的に解説します。

未経験から経理職へ!キャリアを始めるための最初の1枚

未経験から経理職への転職を目指す場合、資格は知識の証明だけでなく、熱意とポテンシャルを示すための重要なツールとなります。企業側が抱く「この人は本当に経理の仕事がしたいのだろうか」「基礎的な知識はあるのだろうか」という不安を払拭することが、採用を勝ち取るための鍵です。

すべての基本となる「日商簿記検定」

経理の世界に足を踏み入れるなら、日商簿記検定は避けて通れない、最も知名度が高く基本的な資格です。企業の経営活動を記録・計算・整理する会計の根幹をなすスキルであり、多くの企業が採用の基準として重視しています。

特に、転職市場で評価されるのは日商簿記2級です。3級が簿記の入門編であるのに対し、2級は商業簿記に加えてメーカーなどで必要な工業簿記も範囲に含まれ、企業の現場で即戦力となりうる実践的な知識を持っていることの証明となります。

実際に多くの求人で応募条件として「日商簿記2級以上」が挙げられており、未経験者にとってはキャリアをスタートさせるための必須のパスポートと言えるでしょう。

簿記と合わせてアピール!実務スキルを証明する資格たち

日商簿記2級が「経理の共通言語」を習得している証明だとすれば、それに加えて具体的な実務能力を示す資格を持つことで、他の候補者との差別化を図ることができます。これは、簿記の知識を実際の業務でどのように活かせるかを具体的にアピールする「簿記+1」戦略です。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、WordやExcelなどの操作スキルを客観的に証明できる国際資格です。経理業務はExcelを多用するため、特にExcelのスキルは、データ集計や資料作成など、日々の業務効率に直結し、実務能力の高さをアピールする上で非常に有効です。

給与計算実務能力検定は、給与計算に関する実務能力を直接的に証明するものです。給与計算は、社会保険や税金の知識が求められる専門性の高い業務であるため、この資格は即戦力としての期待を高めます。未経験からでも挑戦しやすく、取得すれば人事・労務分野への関心も示すことができます。

ビジネス会計検定試験®は、財務諸表を分析し、読み解くスキルを問う試験です。日商簿記が「財務諸表を作成する」スキルを問うのに対し、この検定は会計の視点から企業を分析する能力を養います。特に3級は簿記の知識がなくても受験できるため、会計知識をビジネスに活かしたい未経験者におすすめです。

経験者向け!市場価値を高める次の一手

すでに経理としての実務経験を持つあなたが次に目指すべきは、専門性を深め、自身の市場価値を客観的な指標で証明することです。これにより、昇進やより待遇の良い企業への転職など、キャリアの飛躍が現実のものとなります。

経理の専門性を深める「日商簿記1級」

日商簿記1級は、経理のプロフェッショナルを目指す上での一つの頂点と言える資格です。2級までで学んだ商業簿記・工業簿記に加え、会計学や原価計算といった、より高度で理論的な知識が問われます。

合格率は10%前後と非常に低く、その難易度の高さから、取得者は転職市場で高く評価されます。特に大企業の経理部門や、経営分析に関わるポジションでは、簿記1級レベルの知識が求められることが多く、昇進や重要な役割を任されるきっかけにもなります。

この資格の価値は、単なるスキルの証明に留まりません。日商簿記1級の合格者には、税理士試験の受験資格が与えられます。つまり、簿記1級は「企業の会計スペシャリスト」としてのキャリアを極める道と、「税務の専門家である税理士」への道を開く、2つのキャリアパスに繋がる戦略的な分岐点となるのです。

実務能力を客観的に証明する「FASS検定」

経理・財務スキル検定(FASS検定)は、経済産業省の事業として開発された、経理・財務の実務能力を測定するための検定です。日商簿記に比べて知名度は低いかもしれませんが、その価値は実務家や先進的な企業の間で高く評価されています。

この検定の最大の特徴は、合否ではなくスコア(800点満点)とレベル(A~Eの5段階)で評価される点です。これにより、自分のスキルを客観的なものさしで測ることができ、資産・決算・税務・資金の4分野における得意・不得意を明確に把握できます。

転職市場においては、レベルC(561点以上)が実務を支障なくこなせる目安とされ、レベルBやAを取得していれば、高い実務能力を持つ人材として強力なアピール材料になります。日商簿記の知識を持つ経験者がFASS検定で高スコアを提示することは、理論だけでなく実務のあらゆる場面で応用できる能力があるという何よりの証明となるでしょう。

スペシャリスト・管理職を目指す!最高峰の資格でキャリアを築く

トップクラスの経理・財務人材を目指すのであれば、民間資格の延長線上にはない、より高度な専門性を持つ国家資格や国際資格への挑戦が不可欠です。これらの資格は、単なるスキルアップではなく、プロフェッショナルとしてのキャリアを根本から変える力を持っています。

会計監査のプロフェッショナル「公認会計士」

公認会計士は、医師・弁護士と並ぶ三大国家資格の一つであり、会計資格の最高峰です。最大の強みは、法律で定められた独占業務である「財務諸表監査」を行える唯一の資格であることです。

試験の難易度は極めて高く、合格率は例年7%から8%程度の狭き門です。しかし、合格すれば大手監査法人(BIG4)への就職、経営コンサルティング、企業のCFO(最高財務責任者)といった、企業の経営中枢に関わるキャリアパスが大きく開かれます。学歴などの受験資格がないため、強い意志があれば誰でも挑戦できる点も特徴です。

税務の専門家「税理士」

税理士は、税務に関する専門家であり、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つを独占業務としています。企業の経営において税金は切り離せない要素であり、その専門家として経営者を支える重要な役割を担います。

税理士試験は、会計学2科目と税法3科目の計5科目に合格する必要がある科目合格制を採用しています。一度合格した科目は生涯有効なため、働きながら数年かけて合格を目指す社会人が多いのが特徴です。

会計科目は誰でも受験できますが、税法科目は日商簿記1級合格などの受験資格が必要です。独立開業を目指す道も開かれており、自分の裁量でキャリアを築きたい方に適しています。

グローバルキャリアの扉を開く「米国公認会計士(USCPA)」

米国公認会計士(USCPA)は、その名の通り米国の公認会計士資格ですが、その価値は国境を越え、日本国内でも急速に高まっています。特に、外資系企業、グローバルに事業を展開する日本企業、国際的な会計基準(IFRS)を扱う部署などで、その需要は非常に高いです。

試験はすべて英語で行われるため、会計知識に加えてビジネスレベルの英語力(一般的にTOEIC800点以上が目安)が必須です。日本人受験者の合格率は、言語の壁もあり全体の合格率(約50%)よりは低くなる傾向にありますが、取得すれば会計と英語の両方のスキルを証明でき、キャリアの選択肢を飛躍的に高めることが可能です。

資格が拓くキャリアの可能性と市場価値

資格が拓くキャリアの可能性と市場価値

資格取得は、単なる自己満足ではありません。それは、あなたの役職、そしてキャリアの可能性を具体的に引き上げるための、最も確実な投資の一つです。ここでは、資格がもたらすキャリアの変化を見ていきましょう。

キャリアパスを切り拓く資格の力

経理としてのキャリアは、経験と共に段階的にステップアップしていきます。資格は、そのステップを上がるための強力な推進力となります。

例えば、日商簿記2級は、実務担当者として月次・年次決算をこなすための基礎力を証明します。さらに経験を積み、日商簿記1級を取得すれば、連結決算や開示資料作成といったより高度な業務を担うリーダー・主任クラスへの道が開けます。

管理職である課長・マネージャー層では、マネジメント能力に加え、内部統制(J-SOX)や税務申告といった専門知識が求められます。税理士(科目合格含む)や公認会計士、USCPAといった資格がその能力を客観的に示します。

最終的に、企業の財務戦略を担う部長職やCFO候補といった経営層を目指すには、M&AやIPO準備などの高度な専門性が不可欠です。公認会計士や税理士などの最高峰資格が、そのキャリアを実現するための鍵となるでしょう。

転職市場で「選ばれる人材」になるための資格戦略

転職活動において、資格はあなたの能力を客観的に、そして雄弁に語ってくれる最高の推薦状です。

資格が客観的なスキル証明になる理由

採用担当者は、多くの応募者の中から自社に貢献してくれる人材を見極めなければなりません。その際、職務経歴書に書かれた経験だけでは、スキルのレベルを正確に判断するのは困難です。そこで資格が客観的な評価基準として機能します。

資格を持っていることは、以下の点で有利に働きます。

専門知識やスキルレベルが、公的な基準で証明されていることを示します。

同じような経験を持つ応募者がいた場合、有資格者の方が有利になる可能性が高まります。

業務外で学習し資格を取得した事実は、仕事に対する高い意欲と向上心の表れとして評価されます。

専門分野で差をつける業界特化型資格

一般的な会計スキルに加えて、特定の業界に特化した知識を持つことは、あなたを「替えのきかない人材」にします。多くの業界には、その業界特有の会計ルールや慣行が存在し、それに対応できる専門資格があります。

建設業経理検定は、建設業界特有の勘定科目や原価計算を扱うための必須知識を証明します。

銀行業務検定試験は、金融機関でのキャリアを目指す上で、銀行業務全般の知識を証明するのに役立ちます。

社会福祉法人経営実務検定試験は、社会福祉法人や介護施設の運営・会計に特化した知識を学べます。

農業簿記検定は、農業経営に特化した会計知識で、経営効率化や税務対策に活かせます。

これらの業界特化型資格は、一般的な経理職の求人市場では目立たないかもしれません。しかし、その業界を目指すのであれば、他の応募者をごぼう抜きにするほどの強力な武器となり、専門職としてのキャリアを早期に確立するための近道となり得ます。

主要な経理資格を徹底解剖!難易度・試験内容・合格への道筋

主要な経理資格を徹底解剖!難易度・試験内容・合格への道筋

ここでは、主要な経理資格について、その具体的な試験内容、難易度、そして合格に向けた学習のポイントを詳しく解説します。

日商簿記検定

日本商工会議所が主催する、最もポピュラーな簿記資格です。3級・2級はペーパー形式の統一試験(年3回)と、テストセンターで随時受験できるネット試験(CBT方式)があります。1級はペーパー試験のみ(年2回)です。

各級のレベル、合格率、学習時間の目安

3級は商業簿記の基本を学びます。企業の外部との取引を記録し、決算書を作成する基礎知識が問われます。合格率は40%から50%前後で、初学者の場合、学習時間は100から150時間程度が目安です。

2級は商業簿記に加え、製造業で必要な工業簿記(原価計算)が範囲に含まれます。実務で求められるレベルであり、転職での評価対象となります。合格率は15%から30%前後と3級に比べて難易度が上がり、3級合格レベルの知識がある前提で、200から350時間程度の学習が必要です。

1級は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目からなり、極めて高度な会計知識と経営分析能力が求められます。合格率は10%前後と非常に難関で、2級合格レベルから最低でも500から600時間以上の学習が必要とされます。

FASS検定

経理・財務の実務能力を客観的に評価することに特化した検定です。上期(5月~7月)と下期(11月~1月)の年2回、期間中にコンピューターで受験できます。

スコア評価の仕組みと目指すべきレベル

試験はコンピューター上で受験するCBT方式で、資産・決算・税務・資金の4分野から100問が出題されます。合否ではなく、800点満点のスコアに応じてAからEの5段階でレベルが判定されるのが特徴です。2023年9月末時点のデータでは、Aレベル、Bレベルの取得者はいずれも全体の16%であり、高スコアは希少価値が高いと言えます。


レベルA (689点~) は、業務全体を正確に理解し、自信をもって遂行できるレベルです。
レベルB (641点~688点) は、ほとんどの業務を理解し、適切に対応できるレベルです。
レベルC (561点~640点) は、日常業務の基本的なスキルが身についているレベルです。

転職市場でアピールするためには、最低でもレベルC、できればレベルB以上の取得を目指したいところです。

公認会計士・税理士

経理・財務分野における最高峰の国家資格です。どちらを目指すかは、あなたのキャリアプランや働き方の希望に大きく影響します。

試験の概要とキャリアへのインパクト

公認会計士の試験は金融庁の公認会計士・監査審査会が実施し、短答式試験と論文式試験の2段階選抜です。受験資格に制限はありません。

合格後は監査法人で実務経験を積むのが一般的で、監査、コンサルティング、M&Aアドバイザリー、事業会社のCFOなど、幅広いフィールドで活躍できます。組織の中で大きなプロジェクトを動かしたい、経営の中枢に入り込みたいという志向を持つ人に向いています。

税理士の試験は国税庁が実施し、会計2科目、税法3科目の科目合格制で、一度に5科目合格する必要はありません。働きながら自分のペースで挑戦しやすいのが特徴です。キャリアとしては、税理士法人や会計事務所での勤務のほか、独立開業する道も一般的です。

専門性を武器に、顧客と長期的な関係を築きながら、自分の裁量で働きたいという志向を持つ人に向いています。この選択は、単なる専門分野の違いではなく、将来のワークライフバランスやキャリアの築き方そのものを選ぶことに等しいと言えるでしょう。

米国公認会計士(USCPA)

グローバル化が進む現代のビジネス界で、非常に価値の高い国際資格です。日本国内でも、外資系企業、海外展開を進める日系大手企業、監査法人の国際部門などで需要が急増しています。

日本での需要と求められる英語力

IFRS(国際財務報告基準)導入企業が増える中で、その専門知識を持つ人材は引く手あまたです。試験はAICPA(米国公認会計士協会)が実施する全科目英語のコンピューター試験であり、会計知識はもちろん、試験問題を理解し解答するための高い英語力が求められます。日本国内のテストセンター(東京・大阪)で受験可能です。

全世界の合格率は科目によりますが40%から60%程度です。しかし、これは英語ネイティブを含む数字であり、日本人受験者の合格率はこれより低くなる傾向があります。英語力と会計知識の両方を高いレベルで習得する努力が必要です。

まとめ

経理の資格取得は、あなたのキャリアを豊かにし、未来の選択肢を広げるための確実な一歩です。最後に、この記事の要点を再確認しましょう。

自身のキャリアゴールを明確にし、目的に合った最適な資格を選ぶことが重要です。

経理職を目指すなら、実務知識の証明として日商簿記2級が基本となります。

簿記の知識にFASS検定やMOSなどを組み合わせることで、転職市場での競争力を高められます。

管理職やスペシャリストを目指すなら、公認会計士や税理士といった国家資格が視野に入ります。

やみくもに資格を集めるのではなく、キャリアプランに沿った資格を戦略的に選びましょう。

この記事が、あなたの輝かしいキャリアを築くための一助となれば幸いです。まずは興味を持った資格の公式テキストを手に取ってみる、試験日を調べてみるなど、具体的な第一歩を踏み出してみてください。あなたの挑戦を心から応援しています。

この記事の投稿者:

hasegawa

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