
会社の数字、把握できていますか。「なんとなく儲かっているはず」という感覚だけで経営の舵取りをするのは、霧の中を手探りで進むようなものです。
もし、会社の経営状況をリアルタイムで正確に把握し、自信を持って次の打ち手を決められるとしたら、あなたのビジネスはもっと力強く成長するはずです。
この記事を最後まで読めば、あなたは単に「試算表」という言葉の意味を知るだけでなく、それを自社の経営改善に活かすための具体的な見方と使い方をマスターできます。会社の健康状態を示す数値を読み解き、データに基づいた的確な意思決定を下せるようになります。
経理の専門家でなくても大丈夫です。この記事では、難しい専門用語を一つひとつかみ砕いて説明し、明日からすぐに使えるチェックポイントを具体的にお伝えします。さあ、あなたの会社を次のステージへ導くための「経営の羅針盤」を手に入れましょう。
目次
試算表とは?経営の「健康診断書」をわかりやすく解説
試算表は、経理業務や経営分析において非常に重要な役割を担う書類です。しかし、その本質を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。ここでは、試算表の基本的な定義から、会計プロセス全体における位置づけ、そして決算書との違いまでをわかりやすく解説します。
試算表を一言でいうと「帳簿のチェックリスト」
試算表とは、一言でいえば「帳簿のチェックリスト」です。日々の取引はまず「仕訳帳」という帳簿に記録され、次にそれらの記録が「総勘定元帳」という勘定科目ごとの台帳に転記されます。試算表は、この総勘定元帳から各勘定科目の数値を集計し、一覧にしたものです。
会計の世界には「複式簿記」というルールがあり、すべての取引は「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」という左右の要素に分けて記録されます。そして、この借方と貸方の合計金額は必ず一致するという「貸借平均の原理」が存在します。
試算表の最も基本的な役割は、この借方と貸方の合計金額が一致しているかを確認し、仕訳や転記の過程でミスがなかったかを検証することです。
もし合計が一致しなければ、どこかで記帳ミスがあることが一目瞭然となります。この点から、試算表は会社の経理における「毎月の健康診断書」のようなものだと考えることができます。定期的に作成しチェックすることで、問題点を早期に発見し、健全な経理状態を維持できるのです。
会計処理の流れにおける試算表の立ち位置
試算表の役割をより深く理解するために、会計処理全体の流れを見てみましょう。一般的な会計プロセスは以下のステップで進みます。
- 日々の取引の発生(商品の販売や経費の支払いなど)
- 仕訳帳への記帳(取引を借方と貸方に分けて記録)
- 総勘定元帳への転記(仕訳帳の内容を勘定科目ごとに整理)
- 試算表の作成(総勘定元帳の数値が正しいかを集計・検証)
- 決算整理仕訳(在庫の棚卸や減価償却など、期末特有の処理)
- 決算書(貸借対照表・損益計算書)の作成
(最終的な経営成績と財政状態をまとめる)
この流れの中で、試算表は最終成果物である決算書を作成する前の、重要な中間チェックポイントとして機能します。試算表の段階で数値の正確性を担保することが、信頼性の高い決算書を作成するための大前提となります。
この役割は、単なる集計表という言葉では表しきれません。むしろ、会計プロセスの「品質ゲート」と呼ぶべき存在です。日々の取引記録から総勘定元帳への転記という工程を経てきた会計情報が、次の工程に進むための品質基準を満たしているかを判定します。
もしこのゲートでエラーが見過ごされれば、その誤りは決算書にまで波及し、税務申告の誤りや経営判断のミスにつながる可能性があります。
試算表と決算書(貸借対照表・損益計算書)の決定的な違い
試算表と決算書は、どちらも会社の財務状況を示す書類ですが、その目的や性質は根本的に異なります。試算表の作成は法律上の義務ではありませんが、正確な決算書を作成するためには事実上不可欠です。
| 項目 | 試算表 | 決算書 |
| 作成目的 | 帳簿の整合性確認、社内での経営管理 | 経営成績・財政状態の外部への報告、税務申告 |
| 利用者 | 経営者、経理担当者など社内の人間 | 税務署、金融機関、株主など社外の利害関係者 |
| 作成頻度 | 月次、四半期ごとなど任意で定期的 | 年1回(決算期末)で義務 |
| 記載内容 | すべての勘定科目を一覧表示 | 貸借対照表、損益計算書などに分けて表示 |
| 性質 | 修正や更新が可能 | 一度提出すると修正は原則不可 |
この違いは、両者の本質的な役割の違いから生まれます。試算表は、月次などで作成され、経営状況をリアルタイムで把握するための「未来のための対話ツール」です。経営者は試算表の数字を見て、「なぜ売上が下がったのか」「この経費は来月削減できないか」といった問いを立て、未来の行動を変えるための対話のきっかけとします。
一方で、決算書は年に一度作成される、社外向けの公式な報告書であり「過去を証明する公式声明」です。過去1年間の経営活動の結果を、利害関係者に対して一方的に報告する性格が強く、そこから未来に向けた社内での活発な議論が生まれるというよりは、過去の実績を確定させる意味合いが強いのです。
なぜ試算表は重要なのか?作成する4つのメリット
試算表の作成は、単に帳簿の正確性を確認するだけの作業ではありません。経営者にとって、事業を成功に導くための強力な武器となり得ます。ここでは、試算表を作成することで得られる4つの具体的なメリットを解説します。
経理のミスを早期に発見できる
試算表の最も基本的なメリットは、経理上のミスを早い段階で発見できることです。借方と貸方の合計が一致しない場合、仕訳や転記の過程で何らかのミスが発生していることが即座に判明します。
決算期末に1年分の帳簿をまとめてチェックするのは、膨大な時間がかかるだけでなく、ミスの原因特定も困難を極めます。しかし、毎月試算表を作成していれば、チェックする範囲が1か月分に限定されるため、エラーの発見と修正がはるかに効率的になります。これにより、経理業務の正確性と生産性が大幅に向上します。
会社の経営状況をリアルタイムで把握できる
年に一度の決算書だけでは、激しく変化する経営環境に対応することはできません。試算表を毎月作成することで、月ごとの売上、利益、資産、負債の状況をタイムリーに把握できます。
これにより、「売上は伸びているのに、なぜか手元の現金が減っている」「儲かっているつもりだったが、実は資金繰りが悪化していた」といった危険な兆候を早期に察知することが可能になります。感覚だけに頼らない、数字に基づいた客観的な現状認識が、健全な経営の第一歩です。
迅速な経営判断や戦略立案に役立つ
試算表は、過去の数字を確認するだけの書類ではありません。未来の経営判断を下すための重要な情報源となります。月次試算表を時系列で比較することで、売上や経費の増減トレンドを分析し、事業計画と実績の間にどれくらいの乖離があるかを発見できます。
例えば、広告宣伝費が計画よりも大幅に増加していることに気づけば、その費用対効果を検証し、マーケティング戦略を見直すといった迅速なアクションにつながります。このように、試算表は経営者が的確な意思決定を行うための強力なサポートツールとなるのです。
金融機関からの融資で有利になる
金融機関から融資を受ける際、決算書の提出は必須ですが、それに加えて直近の経営状況を示すための試算表の提出を求められるケースが非常に多くあります。
定期的に試算表を作成し、自社の経営状況をきちんと管理・把握している姿勢を示すことは、金融機関からの信頼獲得に直結します。正確な月次試算表を迅速に提出できる企業は、どんぶり勘定の企業に比べて「経営管理能力が高い」と評価され、融資審査が有利に進む可能性が高まります。
これら4つのメリットは、それぞれが独立しているわけではありません。「信頼性」を軸とした好循環を形成しています。まず、ミス発見によって会計データの内部的な信頼性が高まります。
この信頼性の高いデータがあるからこそ、リアルタイムな経営状況の把握が意味を持ちます。正確な現状認識に基づき、迅速な経営判断を行うことで、経営者としての判断の質が向上します。この一連のプロセスが、最終的に金融機関からの融資における外部からの信頼獲得へとつながるのです。
試算表は3種類!それぞれの特徴と使い分けを徹底比較
試算表には、主に「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類があります。それぞれに特徴があり、目的に応じて使い分けることが重要です。ここでは、各試算表の違いを明確にし、あなたの目的に合った選び方をガイドします。
合計試算表:取引の全体像を把握する
合計試算表は、総勘定元帳の各勘定科目について、借方合計と貸方合計をそのまま転記した表です。例えば、期間中に現金の入金が合計100万円、出金が合計80万円あった場合、借方に100万円、貸方に80万円と両方の合計額が記載されます。
この試算表のメリットは、一定期間内にどれくらいの規模の取引があったのか、その取引総額を把握できる点です。主に、総勘定元帳からの転記が正確に行われたかを検証するために使われます。一方で、各勘定科目の最終的な残高は、ひと目でわからないというデメリットがあります。
残高試算表:現在の財産と利益がひと目でわかる
残高試算表は、各勘定科目の借方合計と貸方合計を相殺し、その差額(残高)のみを一覧にした表です。先の例でいえば、現金の借方に残高である20万円だけが記載されます。
この形式は、現時点での資産、負債、純資産がいくらあるのか、また、期間中の利益がどれくらい出ているのかといった財政状態や経営成績が直感的に把握しやすいという大きなメリットがあります。そのため、経営状況の報告や分析など、実務で最も広く使われている試算表です。
合計残高試算表:取引の動きと残高を同時に確認する
合計残高試算表は、その名の通り、合計試算表と残高試算表を組み合わせたものです。各勘定科目について、期間中の取引合計額と最終残高の両方を同時に確認できる、最も情報量が多い形式です。
先の例では、現金の欄に「借方合計100万円」「貸方合計80万円」という合計額と、「借方残高20万円」という残高の両方が記載されます。これにより、特定の勘定科目について、なぜその残高になったのかという過程までを詳しく追跡できます。ただし、情報量が多い分、表が複雑になるというデメリットもあります。
どの試算表を選ぶべき?目的別の選び方ガイド
3つの試算表は、分析の「解像度」を決定するツールと考えることができます。見る人の目的や役割に応じて、情報の粒度を調整するために使い分けるのが賢明です。
残高試算表(低解像度ビュー)は、経営者が月次の経営会議などで全体像を素早く掴みたい場合に最適です。会社の財政状態を大まかに把握するのに適しています。
合計試算表(中解像度ビュー)は、経理担当者が仕訳や転記のプロセスに間違いがないかを徹底的にチェックしたい場合に有用です。取引の総量や流れを確認し、プロセスの正しさを検証するのに使います。
合計残高試算表(高解像度ビュー)は、CFOなどが特定の勘定科目の増減の内訳と最終残高を詳細に分析したい場合に最も役立ちます。流れと結果を同時に見るための高解像度なビューです。
| 項目 | 合計試算表 | 残高試算表 | 合計残高試算表 |
| 特徴 | 各勘定科目の借方・貸方の「合計額」を記載 | 各勘定科目の借方・貸方の「差引残高」を記載 | 「合計額」と「差引残高」の両方を記載 |
| 主な目的 | 仕訳・転記ミスの検証 | 経営状況の全体像把握 | 取引の動きと残高の詳細分析 |
| メリット | 取引の総額がわかる、転記ミスを発見しやすい | 残高がひと目でわかる、経営状況を把握しやすい | 情報量が最も多い、合計と残高を同時に確認できる |
| デメリット | 残高がわかりにくい | 取引の総額がわからない、転記ミスを見つけにくい場合がある | 表が複雑になる、作成に手間がかかる |
試算表の見方をマスター!経営改善に活かす分析ポイント

試算表を作成するだけでは不十分です。その数字から何を読み取り、どう経営に活かすかが最も重要です。ここでは、試算表を単なる数字の羅列から、行動につながる洞察に変えるための具体的な分析ポイントを解説します。
貸借対照表項目のチェックポイント(安全性分析)
試算表は、大きく分けて上半分が貸借対照表の項目(資産・負債・純資産)、下半分が損益計算書の項目(収益・費用)で構成されています。まずは上半分から、会社の財政的な安全性や支払い能力をチェックしましょう。
現金・預金は会社の生命線です。事業を継続するための運転資金が十分にあるかを確認します。一般的には、最低でも月商の3か月分を維持できているかが一つの目安となります。
売掛金・受取手形は、売上は計上されているものの、まだ回収できていないお金です。この金額が売上高に対して異常に増えていないか、回収サイクルが長期化していないかをチェックします。回収の遅れは資金繰りの悪化に直結するため、注意が必要です。
借入金では、負債の状況を把握します。総資産に対して借入金の割合は適切か、すぐに返済が必要な「短期借入金」と、長期的に返済する「長期借入金」のバランスはどうかを確認します。短期借入金の割合が高いと、資金繰りが圧迫される可能性があります。
流動比率は、短期的な支払い能力を示す重要な指標です。この比率が200%以上あれば理想的、最低でも100%を超えていることが望ましいとされます。100%を下回っている場合、1年以内に返済すべき負債を、1年以内に現金化できる資産で賄いきれていない危険な状態を示します。
自己資本比率は、会社の長期的な安定性を示す指標です。この比率が高いほど、返済不要の自己資金で経営が賄われており、倒産しにくい健全な会社と評価されます。業種にもよりますが、30%以上が一つの目安です。
損益計算書項目のチェックポイント(収益性分析)
次に、試算表の下半分である損益計算書の項目から、会社がどれだけ効率的に利益を生み出せているか(収益性)をチェックします。
売上総利益(粗利)は、商品やサービスの根本的な収益力を示します。売上高から売上原価を引いたもので、これが全ての利益の源泉です。売上高総利益率(粗利率)を計算し、業界平均や過去の実績と比較することで、自社の価格設定や仕入れ戦略が適切かを評価できます。
営業利益は、本業での儲けを示す、最も重要な利益です。売上総利益から、人件費や家賃などの販売費及び一般管理費を差し引いて計算されます。ここが赤字の場合、事業の根幹に問題がある可能性が高いです。売上高営業利益率を計算し、本業の収益性を評価します。
経常利益は、会社の総合的な収益力を示します。営業利益に、受取利息などの営業外収益と、支払利息などの営業外費用を加味して計算されます。本業が好調でも、借入金の利息負担が大きいと経常利益は圧迫されます。
時系列で比較する重要性
試算表の真価は、単月分の数字を眺めるだけでは発揮されません。過去のデータと比較することで、初めて意味のある洞察が得られます。この時系列での分析は、企業の「健康状態のストーリー」を可視化する行為です。
単月の試算表は、健康診断における「今日の体重」という静的なデータに過ぎません。しかし、これを時系列で並べると、「3か月連続で売上は伸びているが、粗利率は低下し続けている」といった動的な変化、つまりストーリーが見えてきます。このストーリーは、未来のリスクと具体的なアクションの必要性を示唆してくれるのです。
前月との比較では、短期的な変化や異常値を素早く把握できます。前年同月との比較では、季節による変動要因を取り除き、1年前と比べて事業が成長しているかを正しく評価できます。累計での目標比較では、年度初めに立てた計画に対して、現在の進捗が順調かどうかを管理できます。
試算表の作成方法と注意点

試算表の重要性や見方がわかったところで、次は実践です。ここでは、具体的な作成方法と、初心者がつまずきやすいポイントへの対処法を解説し、あなたが実際に行動に移せるよう後押しします。
3つの作成方法のメリット・デメリット
試算表を作成する方法は、主に「会計ソフト」「エクセル」「手書き」の3つです。それぞれに一長一短があるため、自社の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
会計ソフトは、日々の取引を入力するだけで、総勘定元帳や試算表が自動で作成されます。計算ミスや転記ミスが起こりにくく、最も効率的で正確な方法ですが、導入や利用にコストがかかります。
エクセルは、多くのPCに標準で搭載されており、コストをかけずに始められます。フォーマットの自由度も高いですが、関数や計算式を自分で設定する必要があり、簿記の知識が必須です。手入力によるミスも起こりやすく、業務が属人化しやすいというデメリットもあります。
手書きは、紙とペンさえあれば始められます。一つひとつの処理を手作業で行うため、簿記の仕組みを学ぶには良い方法ですが、手間と時間が非常にかかり、計算ミスのリスクも最も高くなります。
初心者には会計ソフトがおすすめな理由
結論から言うと、経理の専門家でない経営者や初心者の方には、会計ソフトの導入を強く推奨します。
最大の理由は、日々の取引を入力するだけで試算表を含む各種帳簿が自動で作成されるため、経理業務にかかる時間を大幅に削減し、本業に集中できるからです。また、銀行口座やクレジットカードと連携できるソフトも多く、仕訳入力の手間さえも自動化できます。
初期費用や月額利用料はかかりますが、時間と正確性を買うと考えれば、その投資価値は非常に高いと言えるでしょう。
| 項目 | 会計ソフト | エクセル | 手書き |
| メリット | 自動作成で速くて正確、簿記の知識が少なくても可 | 導入コストが低い、フォーマットの自由度が高い | コストがほぼかからない、簿記の仕組みが身につく |
| デメリット | 導入・利用コストがかかる | 簿記と関数の知識が必要、手入力によるミスが起こりやすい | 非常に手間と時間がかかる、計算ミスや転記ミスが起こりやすい |
| こんな人におすすめ | 経理に時間をかけたくない経営者、経理初心者 | 簿記とエクセルに詳しい人、コストをかけたくない人 | 簿記の学習をしたい人、取引量が極めて少ない人 |
「貸借が合わない」よくある原因と対処法
試算表を作成していると、借方と貸方の合計が合わなくなることがあります。初心者がパニックに陥りがちなこの状況も、冷静に対処すれば必ず原因は見つかります。以下のステップでチェックしてみてください。
ステップ1:差額の金額を確認する
まずは、借方合計と貸方合計の差額がいくらなのかを正確に計算します。
ステップ2:差額を「2」で割ってみる
差額が2で割り切れる場合、その答えの金額の取引で、借方と貸方を逆に入力してしまった可能性があります。例えば、差額が20,000円なら、10,000円の取引の貸借を間違えていないか確認します。
ステップ3:差額を「9」で割ってみる
差額が9で割り切れる場合、桁間違いや数字の入れ替え(例:12,000円を21,000円と入力)をしている可能性があります。入力ミスがないか、慎重に見直しましょう。
ステップ4:仕訳や転記の漏れがないか確認する
差額と同じ金額の取引の仕訳や転記が、丸ごと漏れていないかを確認します。
ステップ5:期首残高の設定が正しいか確認する
特に期首に試算表を作成した場合、前期からの繰越残高(期首残高)の設定が間違っている可能性もあります。会計ソフトを使っていれば、そもそも貸借が合わない仕訳は入力できないようになっていることが多く、このようなトラブルは大幅に減らすことができます。
まとめ
この記事では、試算表の基本から、その重要性、種類、見方、作成方法までを網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントを再確認しましょう。
試算表は、単なる帳簿のチェックリストではありません。それは、経理ミスを早期に発見する「品質ゲート」、会社の健康状態をリアルタイムで把握する「月次健康診断書」、データに基づいた迅速な意思決定を可能にする「戦略ツール」、そして金融機関からの信頼を獲得する「信頼の証明書」という、経営に不可欠な複数の役割を担うツールです。
難しく考える必要はありません。まずは今月の試算表を作成し、前月の数字と比較することから始めてみましょう。その小さな一歩が、あなたの会社をどんぶり勘定から脱却させ、持続的な成長へと導く大きな力となります。試算表を定期的に確認する習慣を身につけ、それを事業成功への道を照らす「経営の羅針盤」として活用してください。



複式簿記とは?経営が変わる仕組みを初心者向けに解説
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