
コンサルティング業務の対価としてクライアントに請求書を発行する際には、正確でわかりやすい請求書を作成することが重要です。
コンサルティング請求書は、コンサルタント自身やフリーランスの個人事業主にとっては売上を確実に回収するための基本書類であり、
またクライアント企業の経理担当者にとっても正確な経理処理のために欠かせないものです。
本記事では、コンサルタントが請求書を書く前に準備すべきことから、請求書の具体的な書き方、見積書・納品書・契約書との関係、
そして実際の請求書フォーマット例や最新の法令・税制への対応ポイントまで、ビジネスライクなトーンで詳しく解説します。
目次 [hide]
請求書発行前に準備すべきこと
請求書を作成する前段階として、まず以下の準備をしっかり行いましょう。事前準備を怠らないことで、請求内容の齟齬や記載漏れを防ぎ、スムーズな支払いにつなげることができます。
契約内容と業務内容の確認
請求しようとしている金額や項目が、契約書や合意内容と一致しているかを確認します。契約で定められた報酬体系(固定報酬か時間単価か、成果物単位かなど)に従い、実際に提供したコンサルティング業務の範囲・期間・成果物を洗い出しましょう。
納品物(報告書など)がある場合は、クライアントが受領・承認済みか確認し、未完了の業務がないかチェックします。
クライアント指定の形式・手続きの確認
クライアントから請求書のフォーマットが指定されていないか、提出方法や締め日などのルールを事前に確認します。
特に官公庁や大企業が相手の場合、請求書に記載すべき事項や提出書類の様式について細かな指定があることが多いため注意が必要です。指定がない場合でも、先方の要望(例えば請求書に案件番号を入れる、担当者名を明記する等)があれば漏れなく反映しましょう。
請求タイミング・金額の最終確認
請求書を発行するタイミングと請求金額を再確認します。多くの企業は月末締め・翌月○日払いなど支払いサイクルを持っています。
クライアントと合意した締め日・支払条件に従い、適切な発行日・支払期限で請求書を作成しましょう。また、見積書の金額から変更がないか、追加業務に対する追加請求が必要な場合は事前に先方の承認を得ているかも確認します。
必要情報・書類の準備
請求書に記載する自社(または自分)の情報や振込先情報、クライアントの正式名称・住所などを用意します。法人宛ての場合は「〇〇株式会社 御中」、個人宛てなら「〇〇様」といった宛名表記を確認しましょう。
また、請求書番号の付番ルールを自社で定めている場合は、重複がない新しい番号を割り当てます。経費(交通費・通信費など)を別途請求する契約であれば、その領収書や内訳資料の準備、源泉徴収が必要な取引なら控除額の計算も行っておきます。
以上の準備を経てから、実際の請求書作成に取りかかります。事前に契約内容と突き合わせるプロセスを踏むことで、後々のトラブル防止と信頼関係の維持につながります。
コンサルティング請求書の基本項目と書き方
コンサルタントがクライアントに請求書を発行する際、請求書には以下のような基本項目を盛り込みます。漏れがないよう項目ごとに書き方のポイントを押さえましょう。
タイトル(件名)
書類のタイトルとして「請求書」と明記します。これは書類上部に大きく記載し、ひと目で請求書と分かるようにします。
加えて、任意で「◯◯コンサルティング業務に関する請求書」のように件名を付けるケースもありますが、基本的には「請求書」の表記で問題ありません。
宛先(クライアント情報)
請求書を送付する相手の正式名称を書きます。企業宛てであれば「〇〇株式会社 御中」、部署や担当者名を書く場合は、「〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様」のように記載します。公共機関の場合は役職名や担当課など、指定通りの宛名を書きましょう。
宛名の誤りは信用問題につながるため、正式名称や表記ゆれに注意します。
発行日
請求書を発行した日付を記載します。基本的には実際に請求書を作成した日付か、その請求締め日の日付を用います。例として、月末締めで翌月払いの契約ならば「請求日:〇年〇月末日」、随時支払いの契約なら作成日の年月日を記載します。
発行日を明記することで請求のタイミングを明確にできます。
請求書番号
請求書に固有の番号(または符号)を付けて管理します。自社で通し番号を設定したり、案件ごとに分かるような番号体系にすると後からの照合が容易です。
例えば「2023-001」「CONSULT-05」など、規則性を持たせると複数の請求書を発行する場合でも追跡しやすくなります。クライアントから参照される場合もあるので、分かりやすい番号付与を心がけましょう。
請求金額の総額
請求する合計金額を税込で大きく示します。多くの請求書では「請求金額 ○○円(税込)」といった形で明瞭に記載します(消費税を別記している場合でも、総額は税込で提示します)。この金額欄は目立つように書類の上部に配置し、円単位まで正確に記載します。
請求内容の明細
提供したコンサルティングの内容を具体的に列挙します。明細欄には通常「品目」「数量」「単価」「金額」といった項目を設け、それぞれ記入していきます。例えば単発のコンサルティング案件であれば、以下のように記載できます。
品目:コンサルティング料(業務内容や期間を括弧書きで補足)
数量:1
単価:100,000円
金額:100,000円
品目:交通費(打ち合わせや訪問にかかった交通費)
数量:1
単価:10,000円
金額:10,000円
このように具体的なサービス内容や経費を項目ごとに分けて記載することで、請求金額の内訳が明確になります。定期顧問契約の場合は、「顧問料 ○月分」として1ヶ月分の料金を品目に立てる、研修や会議出席など複数業務が含まれる場合はそれぞれ別の品目にする、といった形で整理します。
契約書であらかじめ料金内訳をまとめると合意している場合は、「コンサルティング業務一式」とひとまとめの項目にして金額を記載しても問題ありません。ただし、その場合でも請求書とは別に詳細内訳書を用意しておくと先方に安心感を与えられます。
消費税額の表示
コンサルティング料は消費税の課税対象です。請求金額が税込の場合でも、消費税額を明示することが望ましいです。
適格請求書(インボイス)制度に対応する場合、明細ごとまたは税率ごとに税抜金額と適用税率(10%など)を示し、請求書全体としての消費税額を記載する必要があります(詳細は後述)。
例えば税抜金額が100,000円であれば「消費税(10%)10,000円」のように記載します。仮に軽減税率(8%)対象の費用が混在する場合には税率ごとに区分して消費税額を計算・表示します。
なお、年間売上が1,000万円以下で消費税免税事業者の場合でも、取引上税込価格で請求すること自体は可能です。その場合、請求書上で消費税額の記載は任意となりますが、取引の透明性を高めるため税込・税抜の区別を明示する企業もあります。
支払期限(支払期日)
クライアントに代金を支払ってもらう期限を設定します。通常、契約書や業務委託基本契約で「検収後◯日以内」「当月末締め翌月末払い」など支払条件が定められています。
それに従い、「支払期限:〇年〇月〇日」あるいは「支払期日:〇年〇月末日」のように記載します。明確な期日を記載することで、クライアント側の支払予定管理にも資するため重要です。
特に取り決めがない場合でも、請求日から1ヶ月程度先の日付を目安に設定するのが一般的です。
振込先(支払方法)
請求代金の支払方法として、自社の銀行口座情報を記載します。銀行名・支店名、預金種目(普通/当座)、口座番号、口座名義を正確に書きましょう。振込以外の支払方法(例:オンライン決済サービス利用等)がある場合は、その旨を記載します。
多くの場合は銀行振込になるため、「振込先」欄を設けて上記情報を整理します。また、「※振込手数料は貴社(お客様)負担にてお願いいたします。」といった一文を添えておくと、振込手数料負担についての認識違いを防げます。
発行者情報(請求元情報)
請求書を発行する側の情報として、自社(自営業者)の名前・住所・連絡先を記載します。会社組織であれば会社名・所在地・電話番号・担当者名などを記載し、個人事業主であれば屋号や氏名・住所・連絡先を記載します。
近年は電子メールアドレスを含めておくと問い合わせの際に便利です。さらに、2023年以降は適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録している場合、登録番号(Tから始まる13桁の番号)の記載が必須となりました。
自社がインボイス登録事業者であれば、発行者情報欄またはその近くに「登録番号:TXXXXXXXXXXXXX」を忘れずに明記しましょう。
備考欄(摘要欄)
必須項目ではありませんが、自由記載できる備考欄を活用すると取引内容の補足説明に役立ちます。
例えば「※コンサルティング提供期間:2024年1月~3月分」「※契約書(契約番号ABC123)に基づき〇月分を請求」「※見積書No.1001の内容に準拠」などと書いておけば、どの期間・契約に対する請求か先方がひと目で理解できます。
また、イレギュラーな費用(交通費や追加調査費用など)を請求する場合、その根拠を「※〇月△日実施の追加訪問に伴う交通費」等と記載しておくと親切です。
さらに、個人のコンサルタントが報酬を請求する場合で源泉徴収の対象となるときは、「※支払時に所得税額の源泉徴収をお願いいたします(報酬額の10.21%)」のように注記しておくと、先方の経理担当者に伝わりやすくなります。
押印(署名): 紙の請求書で従来は社判や個人の印鑑を押印する習慣がありました。しかし、請求書は契約書とは異なり印章の押印は法律上必須ではありません。現在ではPDF送付など電子請求書も一般化しており、押印省略も増えています。
ただし、取引先によっては従来通り押印済みの請求書を求めるケースもあるため、相手に合わせて対応しましょう。
電子的に発行する場合は、発行者情報の記載と送信元メールアドレス等で正規の発行者である証跡とし、必要に応じて電子署名やサービス上の認証機能を利用すると安心です。
以上がコンサルティング請求書の主な記載項目です。これらを網羅したフォーマットを用いることで、記入漏れを防ぎ、法令上の要件も満たすことができます。次に、これら請求書と他の関連書類(見積書・納品書・契約書)との関係性について確認しましょう。
見積書・納品書・契約書と請求書の関係
コンサルティング業務では、請求書だけでなく契約までのプロセスで見積書や契約書、業務完了時には納品書や成果物の提出など、様々な書類が関係します。
それぞれの書類と請求書のつながりを意識しておくことで、取引の一連の流れが明確になり、双方の安心感につながります。
見積書・提案書との連携
契約前に提示する見積書や提案書には、コンサルティングサービスの内容と見積金額が記されています。請求書を作成する際は、基本的に見積書で提示した金額や内訳と矛盾が生じないようにします。
案件ごとに内容が異なるコンサルティングでは、見積りの段階でサービスメニューや工数に応じた金額を提示しているはずです。
請求書ではそれを確定した形で金額を記載しますが、見積書の項目名や番号があれば備考欄に「見積書◯◯号に基づく」等と関連性を明示すると、クライアントも社内決裁を得やすくなります。
見積もりから変更が生じた場合は、請求書に反映する前にクライアントと認識をすり合わせ、必要に応じて追加の見積書や発注書を取り交わしましょう。
契約書との整合
コンサルティング契約書(または業務委託契約書)には、報酬額や支払条件、請求時期などが定められています。請求書作成時には、この契約書の条項に従うことが鉄則です。
例えば「毎月末締め翌月末支払い」とあればそのスケジュールで請求書を発行し、「成果物提出後〇日以内に請求書提出」とあれば期限内に出します。
契約書に契約番号やプロジェクト名が記載されている場合、請求書の件名や備考にそれらを記載すると先方管理側で紐付けしやすくなります。また、契約上で交通費や資料代を別途請求できる取り決めがあるなら、請求書に該当項目を立てて請求します。
契約書と齟齬がある請求は支払い遅延や信用低下につながる恐れがあるため注意しましょう。
納品書・業務報告書との役割
コンサルティングでは、完成した成果物(例えばコンサルティング報告書や分析資料)を納品物として扱うことがあります。その際、形式的に納品書を発行しクライアントに提出するケースがあります。
納品書には「◯年◯月◯日付で下記の成果物を納品しました」といった文面と、成果物名(例:「コンサルティング報告書(〇〇プロジェクト最終報告)」)を記載し、双方で内容を確認します。
納品書はモノの受け渡しに限らず、無形の成果物でも確認書類として用いられることがあります。クライアントの経理フローによっては、納品書の提出が支払い条件になっている場合もあるので指示に従いましょう。
納品書を発行した場合、その納品書番号や日付を請求書に記載し関連付けておくと、どの納品に対する請求か明確になります。
一方、定期的なコンサルティング(顧問業務等)では毎回の納品書は発行せず、月次の活動報告書や業務報告メールが納品に相当する役割を果たすこともあります。その場合も、請求書の備考欄に「◯月分業務報告提出済み」など記しておくと親切です。
書類の一貫性と保存
見積書→契約書→納品書→請求書と続く一連のドキュメントには一貫したストーリー性が求められます。例えば見積書で「コンサルティングフィー:100万円(3ヶ月間)」と提示し契約したなら、請求書でもその範囲内で請求します。
もし途中で追加費用が発生したなら、契約変更や追加合意の書面を交わした上で請求書に反映します。また、取引の透明性確保のため、これら書類は全て保存しておきましょう。
特にコンサルティングのように無形サービスの場合、税務調査等で実態を問われることがあります。その際、契約書や請求書だけでなく、打ち合わせ記録や業務報告書、メールのやりとりなども含めて保存しておくと、サービス提供の事実関係を裏付ける資料となります。
適切な書類管理は自社と顧客双方を守ることにつながります。
コンサルティング請求書のフォーマット例(ケース別)
具体的にどのような請求書になるのか、ケース別にフォーマット例を確認しましょう。ここでは単発のプロジェクト契約の場合と、月次の定期契約(顧問契約等)の場合の2つの例を示します。
実際の請求書レイアウトは使用するテンプレートやソフトによって多少異なりますが、基本項目は共通しています。
プロジェクト型コンサルティング案件の請求書例
相談料
初回の打ち合わせやヒアリングに関する費用を指します。ここでは1件(数量1)あたり10,000円の相談料が発生しています。
コンサルタント料
コンサルティング業務そのものの報酬です。今回のプロジェクトでは5名×3ヶ月分のコンサルティング作業が行われたため、数量を「15」とし、単価50,000円、合計750,000円としています。
このように、人数と月数を掛け合わせて数量として表現することで、期間と体制に応じた金額であることを示しています。
出張費
プロジェクト遂行中に発生した交通費等の経費です。例では「新規コールセンター分(週1回の出張)×5名×3ヶ月」で延べ60回の出張が発生し、1回あたりの平均交通費540円として計算、数量60・単価540円で合計32,400円を請求しています。
交通費や通信費といった経費は、契約上別途請求できる場合にこのように明細に加えます。
この請求書では、品目ごとの金額を合計した小計(792,400円)に対して消費税額(79,240円)を計算し、合計請求額871,640円として明記しています。請求金額欄に「871,640円」と大きく表示され、税込総額であることがわかります。
また、請求書番号や発行日、支払期日(例では2019/11/31と記載)も記載され、振込先として銀行口座情報が示されています。備考欄には「振込手数料は貴社負担でお願いします」といった注意書きが添えられており、実務上の配慮もされています。
プロジェクト型の場合、このように契約期間全体をまとめて請求するケースと、マイルストーン毎に分割請求するケースがあります。いずれにせよ、契約で定めた請求スケジュールに沿って、成果物や進捗に見合った金額を請求書に反映します。
定期顧問契約の請求書例
定期契約の請求書では、通常「◯年◯月分」といった形で対象期間を明示します(上記サンプルでは品目名だけですが、実務では「顧問料(2025年4月分)」などと書くと親切です)。
契約書で毎月の役務内容と報酬額が決まっているため、基本的には毎回同じ内容で請求書を発行します。ただし、月によってイレギュラーな費用(例:臨時の出張対応など)が発生した場合は、契約に従い別途明細を追加します。
逆に、定期契約では契約書に「交通費等は報酬に含む」と定めている場合、個別の経費請求項目は立てずに済ませることもあります。
このような定期請求では、請求サイクルが決まっている分、請求漏れや計算ミスに注意が必要です。
特に年度をまたぐタイミングや契約更新月などは、請求期間の区切りを摘要欄に記載するなどして双方で認識を合わせましょう。例:「※本請求書は2025年度第1四半期分(4〜6月)顧問料です」等と書けば、後で見返した際にも期間の特定が容易になります。
インボイス制度への対応と税務上のポイント
最後に、請求書を発行・受領するうえで知っておきたい最新の法令・税制のポイントについて触れておきます。適切に対応しておくことで、法令順守はもちろん、取引先との信頼関係構築にも寄与します。
適格請求書(インボイス)制度への対応
2023年10月から開始されたインボイス制度では、適格請求書発行事業者が発行する請求書でないと、受領側(クライアント)は消費税の仕入税額控除を原則受けられなくなりました。
コンサルタントとして法人・個人を問わず事業を行っている場合、自身がこの適格請求書発行事業者に登録しているか確認しましょう。登録している場合、請求書に登録番号を記載し、請求書の明細は税率ごとに区分した形で記載する必要があります。
具体的には「①発行事業者の登録番号、②取引年月日、③取引内容(適用税率ごとに区分)、④税抜金額と適用税率、⑤消費税額、⑥取引先の氏名または名称」を満たす情報を請求書へ盛り込まなければなりません。
これらは上記で説明した基本項目を適切に記載すれば自然と満たされますが、特に登録番号と消費税額の記載漏れに注意が必要です。
もしあなたが免税事業者でインボイス未登録の場合、取引先によっては「税込金額の支払いしかできない」(=消費税相当分は支払わない)と交渉を受けるケースも考えられます。
しかし、公正取引委員会の通達により、インボイス未登録業者に対し一方的に代金減額(事実上の値引き)を強要することは不公正な取引とみなされうるとされています。
適切な取引のために、インボイス未対応の場合は事前に取引先と税込金額の扱いについて認識を合わせておくことが望ましいでしょう。将来的に事業規模拡大を目指すならインボイス発行事業者への登録を検討することをおすすめします。
源泉徴収への留意
個人のコンサルタントが企業から報酬を受け取る場合、その支払い側(クライアント)には所得税を源泉徴収する義務が生じるケースがあります。
コンサルティング業務の報酬は税法上「一定の報酬・料金」として扱われ、弁護士や税理士などと同様に支払金額の10.21%(復興特別所得税込)を源泉徴収する対象となります。
したがって、個人事業主のコンサルタントが100,000円の報酬を請求した場合、実際の振込額は源泉税10,210円を差し引いた89,790円となり、差し引かれた源泉税はクライアントから税務署に納付されます。
請求書自体には通常、源泉徴収額を相手方が記載することはありませんが、自分が受け取る額に影響する重要な点です。クライアント側の経理担当者は支払いの際に源泉税を控除し、翌年1月には支払調書を発行する義務があります。
コンサルタント側としても、源泉徴収の有無を必ず確認し、控除されていない場合は丁寧に先方に説明して適切な処理を依頼しましょう。
逆にコンサルタントが法人である場合や、支払先が源泉徴収義務のない個人(例:副業でない個人事業主)である場合は源泉徴収は不要です。自分のケースが該当するか、契約時に税理士等に確認しておくと安心です。
経理処理と監査対応
請求書を発行する側・受領する側双方にとって、正確な経理処理は基本です。コンサルティング費用はクライアント側では外注費やコンサルタント料として経費計上され、コンサルタント側では売上高となります。
近年、コンサルティング費用の経費計上が税務調査でチェックされるケースが増えていると言われます。架空のコンサル料計上が問題視されている背景もあり、実際にコンサルティング業務が行われた証跡を残すことが双方に求められます。
前述したように契約書や請求書の整合性はもちろん、業務報告書や成果物を適切に残し、クライアント側でもそれらの受領記録を保存しておきましょう。そうすることで、監査や税務調査の際にも説明が付きやすくなります。
電子インボイス・デジタル化の動向: 2024年現在、請求書の電子化やデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。インボイス制度開始を機に、多くの企業が紙の請求書からPDFや電子データでのやり取りに移行しつつあります。
電子帳簿保存法の緩和により、受領側も電子データで請求書を保存しやすくなっています。コンサルタントとしても、PDF請求書の発行やクラウド請求書サービスの利用を検討すると良いでしょう。
これにより、郵送の手間や押印の必要がなくなり、迅速かつ確実に請求書を届けることができます。ツールを使えばテンプレートに沿って項目を埋めるだけで簡単にインボイス対応の請求書を発行でき、記載漏れ防止にも役立ちます。
時代の流れに合わせて請求業務を効率化しつつ、法令順守も万全にしておきましょう。
まとめ
コンサルティング請求書の作成は、コンサルタントにとってプロジェクトの締めくくりであり、適切な対価を得るための重要なプロセスです。
本記事で解説したように、請求書発行前の準備から基本項目の正確な記載、関連書類との一貫性確保、ケース別の書き方、そして最新制度への対応まで、注意すべきポイントは多岐にわたります。
特にインボイス制度開始後は請求書の様式にも変化が生じていますので、常に最新のフォーマットを利用し、法定の記載事項を満たすよう心がけましょう。
正確でわかりやすい請求書を発行することは、健全なキャッシュフローの確保だけでなく、クライアントとの信頼関係を構築・維持することにも直結します。
請求内容に不明点がなければ、クライアント側でもスムーズに支払処理が進み、結果として早期入金につながるメリットがあります。逆に不備や齟齬がある請求書は余計な確認作業や修正対応を招き、支払い遅延の原因ともなりかねません。
ビジネスライクな正確さと丁寧さを兼ね備えた請求書を作成し、必要に応じて専門家のアドバイスや請求書作成ソフトも活用しながら、適切な請求業務を行っていきましょう。
それがコンサルタントとしてのプロフェッショナリズムの発揮につながり、貴社(あなた)のビジネスの信頼性を高める一助となるはずです。
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