法人や個人事業主が融資を受けたい場合、銀行や日本政策金融公庫等を活用する他にも、ビジネスローンや法人向けカードローンといった手段もあります。ここでは、ビジネスローンと法人向けカードローンのそれぞれの特徴や違いについてご紹介します。
目次
ビジネスローンと法人向けカードローンの違いを紹介!
ビジネスローンや法人向けカードローンは、どちらも事業資金専用のローン商品ではありますが、いくつかの違いがあります。まずは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握していきましょう。
ビジネスローンとは
ビジネスローンとは、使用用途が事業用に限定されている、事業専用のローン商品のことを指します。したがって、申し込めるのは個人事業主または法人経営者に限られ、事業を営んでいない個人は対象外となります。
最近は多くの金融機関がビジネスローンを提供しており、銀行をはじめクレジットカード会社や消費者金融などが参入しています。
事業資金の融資は銀行融資や公的融資もありますが、ビジネスローンはこれらに比べると必要な書類や審査の工程が少ない傾向にあり、資金の調達手段として選びやすい方法と言えるでしょう。
ビジネスローンのメリット3選
ビジネスローンを利用するメリットを3つご紹介します。
総量規制の対象外
個人がお金を借りる場合、返済能力を超える借入を防ぐという目的で、本人の年収の3分の1以上の額を借りることはできないという決まりがあります。これを、総量規制と言います。
ビジネスローンの場合、個人向け融資とは異なり、総量規制の対象外となるため、たとえ年収の3分の1以上であったとしても借りることができる点は大きなメリットです。
融資をすぐに受け取れることが多い
銀行融資や公的融資に比べると、ビジネスローンの融資スピードは速い傾向にあります。場合によっては最短即日、時間がかかったとしても1週間程度で融資が受け取れることが多いです。
無担保、無保証人で申し込める
ビジネスローンでは、基本的に担保や保証人は不要です。一方、銀行融資や公的融資は担保や保証人を求められることが多く、申し込みのハードルも高くなります。多くの方が申し込みやすい点も、ビジネスローンのメリットでしょう。
ビジネスローンのデメリット4選
ビジネスローンには、知っておきたいデメリットもあります。具体的に見ておきましょう。
比較的金利が高い
ビジネスローンの金利の相場は10%~18%程度であり、これは銀行融資や公的融資よりも高くなっています。銀行融資の金利は2%程度、日本政策金融公庫の金利は0.3%~2%程度と考えると、ビジネスローンの金利はデメリットになるでしょう。
借入上限額が低い
ビジネスローンの借入上限額は、サービスを提供する会社によって異なりますが、基本的には数十万円~数百万円程度となる場合が多いです。同じ規模の会社でも、銀行や日本政策金融公庫の上限額と比べると、借入できる額は少なくなります。
銀行に融資してもらう際の審査に影響する可能性がある
ビジネスローンを組んだ後、新たに銀行や日本政策金融公庫からの融資を申し込みたいと考えた場合、審査に影響する可能性があります。既にビジネスローンで借入があると、決算書にその旨を記載しなければなりません。銀行や日本政策金融公庫からの融資も視野に入れる場合は、慎重に検討する必要があるでしょう。
担保や信用保証協会による保証が必要な場合もある
基本的に、ビジネスローンは無担保・無保証人で申し込めるとお伝えしました。しかし、金利の低い商品や借入限度額が大きい商品の場合、ビジネスローンでも担保や保証人が求められることも珍しくありません。
法人向けカードローンとは
法人向けカードローンもまた、事業用の資金の融資が受けられるサービスのことを指します。サービス提供会社によっては、法人向けカードローンのことをビジネスローンと呼ぶケースもあり、その区別は難しいかもしれませんが、ビジネスローンに比べると審査スピードが速い傾向にあり、金利はやや高めになるといった特徴があります。
融資金の使途は事業資金のみに限られますが、その使い勝手は個人向けカードローンと似た部分も多いです。限度額の範囲内であれば繰り返し融資を受けることができ、必要なタイミングでコンビニATMやインターネット等から資金を調達することができます。
法人向けカードローンのメリット4選
法人向けカードローンのメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
即日での融資も可能
法人向けカードローンは、申し込んでから融資を受けるまでの期間が短い点がメリットです。中には、申し込んだその日のうちに融資が受けられるサービスもあります。緊急で事業資金を用意しなければならない時などに、心強い存在ではないでしょうか。
少額で複数回の融資を受けられる
法人カードローンであれば、限度額の範囲内でいつでも融資を受けることができます。少額の資金が急に必要となった場合、銀行融資のようなある程度まとまった額の融資ではなく、少額で必要に応じて融資してもらえる法人向けカードローンの方が使いやすいかもしれません。
借入方法が多い
コンビニATMや銀行ATM、インターネットバンキングなど、法人カードローンの借入方法はバリエーション豊富です。インターネット環境が整っていない場所や、近くにATMがない場合は、電話をかけて指定口座に振り込んでもらうこともできます。場所や時間を気にせず融資を受けやすい点も、法人向けカードローンのメリットでしょう。
無担保・無保証でも審査を通りやすい
法人向けカードローンは、基本的に無担保・無保証で利用可能です。担保や保証人が必要なローンに比べると審査に通りやすく、確実に資金調達したいと考える方にとって選びやすい選択肢ではないでしょうか。
法人向けカードローンのデメリット3選
法人向けカードローンの場合、主に3つのデメリットを踏まえて検討する必要があるでしょう。それぞれ詳しく解説します。
法人カードのキャッシング機能とは異なる
簡単に言うと、法人向けカードローンは事業資金の調達に特化したローンに対し、法人カードのキャッシング機能は法人カードを使って現金を借りる機能です。
法人カード(クレジットカード)のキャッシング枠は、総利用限度額の一部として設定されることが一般的です。例えば、総利用限度額が100万円の場合、そのうち50万円がキャッシング枠として設定されることがあります。このキャッシング枠内であれば、何度でも借り入れが可能です。
比較的金利が高い
法人カードローンは、ビジネスローンや他の融資に比べると金利が高くなる傾向があります。無担保・無保証で利用できる分、金利は高くなりやすいことを覚えておく必要があります。
返済方法が商品ごとに違う
融資を受けた後の返済方法は、金融機関の商品ごとに異なります。返済方法には、元利定額方式、元金定額返済方式、残高スライドリボルビング方式などがあります。どの返済方法になるか、その特徴とともに事前によく確認しておく必要があります。
ビジネスローンと法人向けカードローンの違い6選
ビジネスローンと法人向けカードローンの違いについて、分かりにくいと感じる方も多いでしょう。主に、以下の6つの観点の違いを押さえておくと、その違いを理解しやすくなります。
- 金利
- 借入限度額
- 融資までのスピード
- 資金の使い道
- 総量規制の対象となるか
- 申し込みに必要な担保、保証人
それぞれについて詳しく解説します。
【金利】
ビジネスローンよりも法人向けカードローンの方が、金利は高い傾向にあります。
しかしビジネスローンも法人向けカードローンも、金利に幅があり、実際に適用される金利は状況により変わります。
【借入限度額】
銀行融資や日本政策金融公庫の融資に比べると、ビジネスローンや法人向けカードローンの借入限度額は少ない傾向にあります。
【融資までのスピード】
ビジネスローンは3〜5営業日程度、法人向けカードローンは即日からとなっています。少しでも早く資金を用意したいのであれば法人向けカードローンの方がおすすめです。
【資金の使い道】
ビジネスローン、法人向けカードローンともに、事業資金として用いることができます。
【総量規制の対象となるか】
ビジネスローン、法人向けカードローンともに、総量規制の対象にはなりません。たとえ個人事業主で年収額が低くても、個人向けカードローンよりは融資額が大きくなる可能性があります。
【申し込みに必要な担保、保証人】
基本的に両方とも無担保・無保証で申し込みが可能ですが、ビジネスローンの場合は商品によっては担保や保証人を要することもあります。
ビジネスローン、法人向けカードローンを選ぶ5つのポイント
ビジネスローンや法人向けカードローンを検討する際は、以下の観点から選んでみてはいかがでしょうか。
- 融資までのスピード
- 金利
- 申し込み条件
- 利用限度額
- 借入に来店が必要か
それぞれのポイントを掘り下げて解説します。
①融資までのスピード
すぐに事業資金を工面したい場合は、融資までのスピードが肝心です。いくら審査に通る可能性が高くても、融資スピードが遅ければビジネスチャンスを逃す恐れがあります。即日融資を希望するのであれば、それに対応するビジネスローン・法人向けカードローンを選びましょう。
②金利
金利によって返済時の負担は大きく変わってきます。上限金利に近い金利か、下限金利に近い金利かは審査の結果が明らかになるまで分かりません。上限金利と下限金利のどちらも想定してローンを組むようにしましょう。
③申し込み条件
ビジネスローンや法人向けカードローンの申し込みは、事業を行う者に限られます。さらに、事業を開始してどのくらいの年数が経っているかなどの条件も設けられている場合があるため、自分が当てはまるかどうかのチェックが必要です。
④利用限度額
実際にどのくらいの金額が融資してもらえるのかは、審査の結果によるため申し込み時には分かりません。しかし、融資を希望している金額よりも少ない限度額の商品では意味がないため、希望額よりも大きな限度額設定となっている商品から選びましょう。
⑤借入に来店が必要か
オンライン上で手続きが完結するのか、それとも来店して手続きをする必要があるのか、よく確認されることをおすすめします。特に、融資を急いでいる場合、金融機関の営業日・営業時間に予定を合わせることが難しい場合もあるでしょう。できるだけ手間なくスピーディーに融資を受けたい場合は、オンライン手続きが充実している商品を検討してみてはいかがでしょうか。
ビジネスローン、法人向けカードローンの利用手順
ビジネスローンの利用手順は、以下のとおりです。
- 申し込み
- 仮審査
- 必要書類の提出
- 本審査
- 契約、融資実行
取り扱い事業者によっては、仮審査を経ずに手続きが進む場合もあります。
法人向けカードローンの利用手順についても、確認しておきましょう。
- 申し込み
- 仮審査
- 必要書類の提出
- 本審査
- 契約、融資実行、カードの発行
法人向けカードローンとビジネスローンの利用手順は、ほぼ同じです。どちらも仮審査がある場合とない場合とがあります。法人向けカードローンの場合は、契約手続き後にローンカードを受け取ります。このローンカードを使って、銀行やコンビニのATMで融資を受けることができます。
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まとめ
事業資金の融資を受けたい場合、ビジネスローンや法人向けカードローンといった選択肢もあります。銀行融資などと比較して、それぞれの特徴をよく理解し、状況にあった方法を選びましょう。ビジネスローンや法人向けカードローンは、総量規制の対象外で融資スピードも速く便利なものですが、計画性をもって活用することが大切です。
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