
確定申告の期限が迫ると、「いつまでに何をすればいいのか」と不安に感じていませんか。もし期限に間に合わなくても、正しい手順を踏めば、ペナルティを最小限に抑え、安心して手続きを終えることができます。
この記事を読めば、あなたは確定申告の正確な期限を理解し、万が一遅れた場合でも落ち着いて対処できるようになります。
国税庁の最新情報に基づき、2025年に提出する確定申告の各種期限から、遅れた場合の具体的なペナルティ、そしてその解決策までを網羅的に解説します。個人事業主やフリーランスの方、副業をしている会社員の方など、確定申告に悩むすべての方が対象です。
「手続きが複雑でわからない」「もし遅れたらどうしよう」という心配はもう不要です。この記事に沿って一つひとつ確認すれば、あなたも必ず確定申告を乗り越えられます。さあ、まずは基本となる申告期間から見ていきましょう。
目次
2025年に提出する確定申告の期間はいつからいつまで?
「確定申告の期限」と一言でいっても、実は対象となる税金や納税方法によって複数の締め切りが存在します。この違いを理解することが、計画的な申告への第一歩です。所得税だけでなく、個人事業主の方は消費税の期限も確認が必要です。
所得税・贈与税の申告と納付期限
2024年1月1日から12月31日までの所得に対する所得税、および贈与税の確定申告期間は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までです。
通常、申告期間は2月16日から3月15日までと定められていますが、2025年は開始日と終了日の両方が土日にあたるため、それぞれ翌月曜日にずれます。この期間内に、申告書の提出と納税の両方を完了させる必要があります。申告だけ済ませて納税を忘れるといったことがないように注意しましょう。
個人事業主の消費税の申告と納付期限
個人事業主で消費税の納税義務がある方(課税事業者)は、所得税とは別に消費税の申告と納税が必要です。消費税の申告・納付期限は、所得税よりも少し長く、2025年3月31日(月)までとなっています。
所得税の申告に集中していると、うっかり消費税の期限を忘れてしまうケースもあります。対象となる事業者、原則として2年前の課税売上高が1,000万円を超える方などは、この期限を別途管理することが重要です。
振替納税を利用する場合の納付期限
納税方法として口座からの自動引落としである「振替納税」を選択すると、実際の納付日を遅らせることができます。これは資金繰りに余裕を持たせるための非常に有効な手段です。
振替納税を利用する場合、2025年の納付日(口座引落日)の目安は以下の通りです。
- 所得税および復興特別所得税:2025年4月23日(水)頃
- 消費税および地方消費税:2025年4月30日(水)頃
この制度を利用するには、申告期限である3月17日(月)までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を税務署または金融機関に提出しておく必要があります。一度手続きをすれば翌年以降も自動で適用されるため、まだ利用していない方はこの機会に検討することをおすすめします。
税金が戻ってくる還付申告は5年間いつでも可能
確定申告は、税金を納めるためだけのものではありません。払い過ぎた税金を取り戻すための「還付申告」も確定申告の一種です。例えば、会社員の方が医療費控除を受けたり、年の途中で退職して年末調整を受けていなかったりする場合がこれにあたります。
還付申告の場合、申告義務はないため、厳しい期限はありません。対象となる年の翌年1月1日から5年間、いつでも申告することが可能です。例えば、2024年分の還付申告は、2025年1月1日から2029年12月31日まで手続きできます。
「確定申告の時期を逃してしまった」と諦めていた方も、過去5年分を見直してみると、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。
確定申告の期限に遅れたらどうなる?知っておくべき4つのペナルティ
確定申告の期限を守ることは非常に重要です。もし正当な理由なく期限を過ぎてしまうと、本来納めるべき税金に加えて、ペナルティとしていくつかの追加の税金(附帯税)が課せられる可能性があります。ここでは、その代表的な4つのペナルティについて解説します。
無申告加算税
無申告加算税は、申告をしなかったこと自体に対するペナルティです。税務署から指摘を受けて申告した場合、納付すべき税額に対して、納付税額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%の税率が課されます。
しかし、このペナルティには重要な軽減措置があります。税務調査の通知を受ける前に、自主的に期限後申告を行った場合、税率は一律5%に軽減されます。この差は非常に大きく、期限に遅れたと気づいた時点ですぐに行動することがいかに重要かを示しています。
さらに、一定の要件を満たせば、無申告加算税が免除される場合もあります。例えば、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告していることや、過去5年間に無申告加算税などを課されたことがない等の条件が挙げられます。
延滞税
延滞税は、税金の納付が遅れたことに対する利息のようなものです。法定納期限(所得税の場合は3月17日)の翌日から、実際に税金を納付する日までの日数に応じて、日割りで計算されます。
税率は2段階に分かれており、納付が遅れるほど負担が大きくなります。納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.4%(令和6年の場合)、それを過ぎると年8.7%(令和6年の場合)となります。
延滞税は、無申告加算税と同時に課されることがほとんどです。遅れれば遅れるほど、この「利息」は雪だるま式に増えていきます。特に2か月という期間が大きな分岐点となり、それを過ぎると税率が3倍以上に跳ね上がるため、1日でも早い納付が求められます。
青色申告特別控除額の減額
個人事業主の方にとって、金銭的に最も大きな打撃となるのがこのペナルティかもしれません。節税効果の高い青色申告を選択している場合、期限内に申告を行うことで最大65万円(または55万円)の特別控除を受けることができます。
しかし、確定申告の期限に遅れてしまうと、この特別控除額は一律で10万円にまで減額されてしまいます。
例えば、所得税率が20%の方の場合、55万円の控除が受けられなくなると、それだけで11万円(55万円 × 20%)も納税額が増えることになります。これは、5%の無申告加算税よりもはるかに大きな負担となる可能性があります。
悪質な場合は重加算税や刑事罰も
もし、申告をしなかった理由が単なるうっかりではなく、意図的に所得を隠したり、書類を偽造したりといった悪質なケースだと判断された場合、無申告加算税に代わって重加算税という、さらに重いペナルティが課されます。
無申告の場合の重加算税率は40%です。これは、税務当局が脱税行為に対して厳しい姿勢で臨むことを示しています。さらに、極めて悪質なケースでは、所得税法違反として5年以下の懲役または500万円以下の罰金といった刑事罰の対象となる可能性もあります。
期限に間に合わない・遅れてしまった場合の具体的な対処法
確定申告の期限に遅れてしまった、あるいは間に合いそうにないと気づいたとき、パニックになる必要はありません。取るべき行動は明確です。状況に応じて適切な手続きを行うことで、ダメージを最小限に食い止めることができます。
1日でも早く「期限後申告」を行う
期限に遅れてしまった場合の最も基本的で重要な対処法は、1日でも早く申告と納税を済ませることです。期限後に行う申告を「期限後申告」と呼びますが、手続き自体は通常の確定申告と何ら変わりません。
使用する申告書の様式も同じですし、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用して作成・提出することができます。
急ぐべき理由は主に2つあります。一つは、日割りで計算される延滞税の増加を食い止めるためです。もう一つは、税務署から指摘される前に自主的に申告することで、無申告加算税の税率を大幅に軽減できるためです。
「もう遅れたから」と放置することが最も悪い選択です。気づいたその日にでも、申告の準備を始めましょう。
災害や病気など、やむを得ない理由がある場合は「期限延長」を申請
単なる準備不足や多忙といった理由では認められませんが、災害(地震、風水害など)や、本人または税理士の病気、システムの障害など、やむを得ない理由によって期限内に申告ができない場合は、申告期限の延長を申請することができます。
この場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」という書類を作成し、所轄の税務署に提出します。申請が承認されると、その「やむを得ない理由」がなくなった日から2か月以内の範囲で期限が延長されます。
この手続きは、あくまで特別な事情がある方のための救済措置です。自分が該当するかどうか不明な場合は、税務署に相談してみましょう。
一括での納税が難しい場合は「延納」や「納税の猶予」制度を活用
申告はできても、納税額が大きく、一括での支払いが困難な場合もあります。その場合、納税の負担を軽減するための制度が用意されています。
延納制度
所得税の納期限である3月17日までに、納めるべき税額の2分の1以上を納付すれば、残りの税額の納付を5月31日まで延期できる制度です。延納期間中は年0.9%程度の利子税がかかりますが、延滞税の税率に比べるとはるかに低いため、資金繰りに困った際には有効な選択肢となります。
納税の猶予制度
災害や病気、事業の著しい損失などにより、納税が著しく困難になった場合に利用できる制度です。税務署に申請し、承認されると、原則として1年以内の期間で納税が猶予されます。財産の差し押さえなども猶予されるため、深刻な状況に陥った場合のセーフティネットといえます。
これらの制度は、納税者の状況に応じた救済措置です。納税が難しいからといって放置せず、まずは税務署に相談することが大切です。
こんなときはどうする?確定申告のよくある疑問

確定申告の期限を意識し始めると、さまざまな疑問が浮かんでくるものです。ここでは、特に多くの方が悩む「申告内容の間違い」「医療費控除」「ふるさと納税」の3つのケースについて、具体的な対処法を解説します。
申告内容を間違えた際の修正申告と更正の請求
確定申告書を提出した後に、内容の誤りに気づくことがあります。その場合、納税額が本来より少なかったか、多かったかによって手続きが異なります。
納める税金が少な過ぎた場合の修正申告
売上計上漏れや経費の計算ミスなどで、本来納めるべき税金よりも少なく申告してしまった場合は、「修正申告」を行う義務があります。誤りに気づいたら、できるだけ速やかに正しい内容で申告書を再作成し、提出してください。
税務署の調査で指摘される前に自主的に修正申告をすれば、ペナルティである「過少申告加算税」が免除または軽減されます。追加で納める税金には、法定納期限の翌日からの延滞税がかかるため、1日でも早い対応が重要です。
納める税金が多過ぎた場合の更正の請求
控除の適用漏れなどで、本来より多くの税金を納めてしまった場合は、「更正の請求」という手続きをすることで、払い過ぎた税金の還付を受けられます。こちらは義務ではなく権利であり、法定申告期限から5年以内であれば請求が可能です。
過去の申告内容を見直して、適用できる控除がなかったか確認してみるのもよいでしょう。
医療費がたくさんかかった際の医療費控除
1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費の合計が一定額を超えた場合、所得控除を受けられるのが「医療費控除」です。
原則として、支払った医療費の合計額が10万円を超える場合に適用されます。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%を超えれば対象となります。
医療費控除は還付申告にあたるため、対象年の翌年から5年間申告できます。申告の際には、「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付して提出します。以前は領収書の添付が必要でしたが、現在は不要です。
その代わり、医療費の領収書は自宅で5年間保管する義務がありますので、捨てずにまとめておきましょう。健康保険組合などから送られてくる「医療費通知」を活用すると、明細書の記入を簡略化できます。
ふるさと納税をした際のワンストップ特例と確定申告の違い
ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法には、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2つがあります。この2つの関係性を正しく理解していないと、控除を受けられない可能性があるため注意が必要です。
ワンストップ特例制度は、もともと確定申告が不要な給与所得者(会社員など)で、年間の寄付先が5自治体以内である場合に利用できる簡便な制度です。
最も重要な注意点は、ワンストップ特例の申請をした人でも、医療費控除や副業所得の申告などで確定申告を行うと、その年に申請したすべてのワンストップ特例が無効になることです。
この場合、控除を受けるためには、確定申告書にふるさと納税の寄付金全額を記載し直さなければなりません。これを忘れると、ふるさと納税の控除が一切受けられなくなってしまいます。「自分はワンストップで申請済みだから」と思い込まず、確定申告をする際は、必ずふるさと納税の情報も申告に含めるようにしてください。
初めてでも安心!確定申告の基本ステップ

これまで確定申告をしたことがない方にとっては、何から手をつければよいのか分からず、不安に感じるかもしれません。ここでは、確定申告の全体像を把握できるよう、基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。
確定申告が必要か確認する
まず、ご自身が確定申告をする必要があるのかどうかを確認しましょう。以下に該当する方は、原則として確定申告が必要です。
- 個人事業主やフリーランスの方で、事業所得が基礎控除額48万円を超える
- 会社員の方で、給与以外の副業所得が年間20万円を超える
- 会社員の方で、年間の給与収入が2,000万円を超える
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
- 医療費控除や住宅ローン控除(1年目)などを受けたい
必要書類を準備する
確定申告が必要だと分かったら、申告書の作成に必要な書類を集めます。申告内容によって必要書類は異なりますが、主に以下のようなものがあります。
申告書・決算書
- 確定申告書
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
本人確認書類
- マイナンバーカード
- または、マイナンバー通知カードと運転免許証などの身元確認書類
収入を証明する書類
- 給与所得の源泉徴収票(給与収入がある場合)
- 公的年金等の源泉徴収票(年金収入がある場合)
- 事業の売上や経費がわかる帳簿や領収書
各種控除証明書
- 生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書、iDeCoの掛金払込証明書
- 医療費の領収書、寄付金の受領証(ふるさと納税など)
これらの書類は、申告書を作成する際に数値を転記したり、内容を確認したりするために必要です。早めに整理しておきましょう。
確定申告書を作成・提出する
書類が揃ったら、いよいよ確定申告書を作成します。作成・提出方法は、主に以下の3つです。
e-Tax(電子申告)で提出する
国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」や、市販の会計ソフトを利用して申告データを作成し、インターネット経由で提出する方法です。税務署に行く必要がなく、24時間いつでも提出できるため最も便利な方法といえます。最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、e-Taxでの申告が要件の一つとなっています。
印刷して郵送または持参する
「確定申告書等作成コーナー」などで作成した申告書を印刷し、所轄の税務署に郵送するか、窓口に直接持参して提出する方法です。郵送の場合は、通信日付印が提出日とみなされます。
税理士に依頼する
手続きが複雑で自信がない、あるいは時間がないという方は、税理士に依頼するのも一つの選択肢です。費用はかかりますが、正確かつ最適な内容で申告を行ってくれます。
まとめ
この記事では、2025年に提出する確定申告の期限と、万が一遅れてしまった場合の対処法について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを再確認しましょう。
- 所得税の申告・納付期限は2025年3月17日(月)です。
- 消費税(個人事業主)の期限は2025年3月31日(月)です。
- 医療費控除などの還付申告は、過去5年間さかのぼって手続きが可能です。
- 期限に遅れた場合でも、自主的に、1日でも早く「期限後申告」を行うことが、ペナルティを最小限に抑える鍵です。
- 災害や病気などやむを得ない理由がある場合は、期限の延長申請を検討しましょう。
確定申告は、年に一度の重要な手続きです。期限を正しく理解し、早めに準備を始めることで、不安や焦りをなくすことができます。もし分からないことや困ったことがあれば、一人で抱え込まずに税務署や税理士などの専門家に相談することも大切です。この記事が、あなたの確定申告をスムーズに進めるための一助となれば幸いです。
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