会計の基礎知識

試算表とは?作成から経営分析、融資獲得まで解説

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試算表

「数字が苦手」という意識を卒業し、会社の健康状態を瞬時に把握して、自信ある経営判断を下すための羅針盤、それが試算表です。毎月の業績を正確に理解し、問題点を早期に発見できれば、経営の舵取りはもっと確実なものになります。

この記事を読むことで、あなたは試算表を単なる経理書類ではなく、会社の未来を照らす強力な戦略ツールとして使いこなせるようになります。

会計の専門家でなくても、ポイントさえ押さえれば誰でも実践できる、具体的でわかりやすいステップで解説しますので、安心して読み進めてください。

目次

そもそも試算表とは?経営に不可欠な理由をわかりやすく解説

試算表は、経理業務の正確性を確認し、会社の財政状態や経営成績をタイムリーに把握するための重要な書類です。多くの経営者が決算書に注目しますが、日々の経営判断においては、より迅速に作成される試算表が大きな力を発揮します。

試算表は会社の「健康診断書」

試算表を一言で表すなら、それは会社の「健康診断書」です。年に一度の決算書が総合的な人間ドックだとすれば、毎月作成する試算表は、定期的に血圧や体重を測るような日常的な健康チェックにあたります。

この健康診断書は、日々の取引を記録した「仕訳帳」から、勘定科目ごとに整理された「総勘定元帳」へと数字を転記する過程で作成されます。その最大の目的は、転記や計算にミスがないかを確認することです。

会計には「複式簿記」というルールがあり、すべての取引は「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」という二つの側面に分けて記録されます。そして、最終的に借方の合計金額と貸方の合計金額は必ず一致するという大原則があります。

試算表を作成し、借方と貸方の合計が一致すれば、仕訳や転記のプロセスに大きな誤りがないことを確認できます。もし一致しなければ、どこかでミスが発生しているという明確なサインです。このチェック機能により、決算期末に一年分の帳簿を遡って修正するという膨大な手間を防ぎ、経理業務の正確性を担保できるのです。

このエラーチェック機能は、単なる手続き以上の意味を持ちます。それは、会社の財務情報の信頼性を根底から支える土台です。信頼性の低いデータに基づいた経営判断は、誤った方向に進むリスクをはらみます。試算表は、その土台が盤石であることを定期的に確認するための、不可欠なプロセスなのです。

決算書(貸借対照表・損益計算書)との決定的な違い

試算表と決算書(貸借対照表や損益計算書など)は、どちらも会社の財務状況を示す書類ですが、その目的と役割には明確な違いがあります。この違いを理解することが、試算表を有効活用する第一歩です。

両者の関係は、「下書き」と「完成した本」に例えられます。試算表は、本を出版する前に誤字脱字や話の矛盾がないかを確認する「下書き」や「校正刷り」の段階です。

一方、決算書は、株主や銀行、税務署といった読者に向けて正式に発表される「完成した本」です。完璧な本を出版するためには、念入りな校正作業が欠かせないのと同様に、正確な決算書を作成するためには試算表による途中チェックが不可欠なのです。

目的と利用者の違い

試算表の主な目的は、内部での経営状況の把握と帳簿の正確性を検証することにあります。そのため、主な利用者は経営者や経理担当者といった社内関係者です。

対照的に、決算書は株主、金融機関、税務署などの社外関係者に対して、会社の経営成績や財政状態を公式に報告するために作成されます。

作成頻度と法的義務の違い

試算表は、月次や四半期ごとなど、会社が任意で設定した頻度で作成され、法的な作成義務はありません。

一方、決算書は事業年度に一度(年次)の作成が会社法などで義務付けられており、株主への報告や税務申告のために必須となります。

速報性と確定性の違い

両者の最も重要な違いは「速報性」と「確定性」です。試算表は月次で作成されるため、経営者はリアルタイムに近い形で自社の状況を把握し、迅速な意思決定を下すことができます。例えば、7月の試算表で売上の減少傾向が見られれば、すぐに8月から対策を講じることが可能です。

しかし、年に一度の決算書を待っていては、問題に気づくのが翌年になり、貴重な時間を失ってしまいます。このように、試算表は経営を積極的にコントロールするための「操縦桿」であり、決算書は一年間の航海を振り返るための「航海日誌」なのです。

会計の流れにおける試算表の重要な役割

試算表が会計プロセス全体の中でどのような位置づけにあるのかを理解すると、その重要性がより明確になります。一般的な会計の流れは以下の通りです。

  1. 日々の取引の発生(商品の販売、経費の支払いなど)
  2. 仕訳帳への記帳(取引を借方と貸方に分けて記録)
  3. 総勘定元帳への転記(勘定科目ごとに整理)
  4. 試算表の作成(総勘定元帳の金額を集計し、正確性を検証)
  5. 決算整理仕訳(期末の調整項目を計上)
  6. 決算書(財務諸表)の作成(最終的な報告書を作成)

この流れの中で、試算表は総勘定元帳と決算書をつなぐ「橋渡し」の役割を担っています。この橋がなければ、日々の膨大な取引記録から、整理された決算書へとスムーズに移行することはできません。試算表は、会計プロセスの正確性と効率性を支える、まさに縁の下の力持ちなのです。

目的別に使い分ける!3種類の試算表の特徴と見方

試算表には、主に「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類があります。それぞれに特徴があり、知りたい情報や目的に応じて使い分けることが重要です。

合計試算表:取引の全体像を把握する

合計試算表は、総勘定元帳の各勘定科目について、一定期間の借方合計金額と貸方合計金額をそれぞれ集計した表です。各勘定科目で期間中にどれだけの取引があったか、その総額(ボリューム)を把握するのに適しています。例えば、現金の勘定を見れば、期間中にいくら入金があり、いくら出金があったのかがわかります。

この試算表のメリットは、総勘定元帳からの転記が正しいかを検証する能力に優れている点です。元帳の合計金額とそのまま照合できるため、転記ミスを発見しやすいのが強みです。しかし、各勘定科目の最終的な「残高」がひと目でわからないというデメリットがあり、残高を知るためには差額を計算する必要があります。

合計試算表は、経理担当者が帳簿の正確性を詳細に確認する際に使う「監査官の視点」を提供します。経営判断に直接使うというよりは、財務データの信頼性を確保するための内部チェックツールとしての性格が強いと言えます。

残高試算表:会社の財産と損益を瞬時に把握する

残高試算表は、各勘定科目の借方と貸方の金額を相殺した後の最終的な「残高」のみを集計した表です。表がシンプルで非常に見やすく、会社の財政状態(資産、負債、純資産)や経営成績(収益、費用)を直感的に把握できるのが特徴です。

貸借対照表や損益計算書を作成する際の直接的な基礎資料となり、月次の経営会議などで、「今、現金はいくらあるのか?」「今月の利益はどうか?」といった問いに素早く答えることができます。一方で、取引の総額がわからないためボリューム感が掴みにくく、借方と貸方で同額の転記ミスがあった場合など、相殺されてしまう誤りを発見しにくいという弱点があります。

残高試算表は、経営者が会社の現状をスピーディーに把握し、次の打ち手を考える際に使う「経営者の視点」を提供します。3種類の中で最も広く利用されており、月次の業績管理に最適です。

合計残高試算表:詳細な分析を可能にする

合計残高試算表は、その名の通り、合計試算表と残高試算表を一つにまとめた形式の表です。各勘定科目について、「借方合計」「貸方合計」「借方残高」または「貸方残高」のすべてが一覧できます。最も情報量が多いため、取引の総額と最終的な残高の両方を同時に確認できるのが特徴です。

詳細な分析を行いたい場合に非常に有用で、例えば、現金の残高がなぜその金額になったのか、期間中の入出金の総額を見ながら分析することができます。ただし、情報量が多いために表が複雑になりがちで、手作業で作成するには手間がかかるという側面もあります。

合計残高試算表は、特定の勘定科目の動きを深く掘り下げて分析したいときに使う「分析官の視点」を提供します。売掛金の残高は増えているが、その内訳として入金と新規発生がどのくらいの規模で動いているのかを把握したい、といった詳細な資金繰り分析に役立ちます。

初心者でも安心!試算表の作成方法

初心者でも安心!試算表の作成方法

試算表の重要性がわかったところで、次は具体的な作成方法を見ていきましょう。作成方法には大きく分けて、手作業に近いExcel(エクセル)を使う方法と、会計ソフトで自動作成する方法があります。

基本の流れ:総勘定元帳からの転記

どの方法で作成するにしても、基本となるプロセスは「総勘定元帳の数値を集計し、試算表のフォーマットに転記する」ことです。

  1. 各勘定科目の集計(総勘定元帳の借方・貸方の金額をそれぞれ合計)
  2. 残高の計算(残高試算表の場合、借方合計と貸方合計の差額を計算)
  3. 試算表への転記(計算した合計額や残高を対応する勘定科目に転記)

この基本的な流れを理解した上で、具体的なツールの使い方を見ていきましょう。

Excel(エクセル)を使った試算表の作り方

会計ソフトを導入していない場合や、まずは手軽に始めてみたいという場合には、Excelが便利です。以下のステップで、簡単な残高試算表を作成できます。

  1. 新しいシートを開き、タイトルと見出しを入力します。
  2. 勘定科目を一覧で入力します(資産、負債、純資産、費用、収益の順が一般的です)。
  3. 総勘定元帳から各勘定科目の残高を計算し、借方・貸方の列に転記します。
  4. 合計行を作成し、SUM関数で借方・貸方の合計をそれぞれ計算します。
  5. 罫線や色、桁区切りスタイルなどを設定して表を見やすく整えます。
  6. 最後に、借方合計と貸方合計の金額が完全に一致しているかを確認します。

Excelを使うメリットは、低コストで始められ、自社の状況に合わせてフォーマットを自由にカスタマイズできる点です。しかし、すべての作業が手動のため時間がかかり、入力ミスや計算式のエラーが発生しやすいというデメリットもあります。また、簿記の知識がある程度必要になるため、業務が特定の担当者に依存しがちになる点にも注意が必要です。

会計ソフト導入のメリット:自動化で時間と精度を手に入れる

現在、多くの企業では会計ソフトを導入して試算表を作成しています。会計ソフトの最大のメリットは、日々の仕訳を入力するだけで、総勘定元帳や試算表が自動で作成される点です。

手作業による転記ミスや計算ミスが根本的になくなるため、データの信頼性が飛躍的に向上します。また、集計や転記にかかっていた時間を削減でき、経理業務を大幅に効率化できます。銀行口座やクレジットカードと連携できるソフトなら、取引データが自動で取り込まれ、仕訳作業そのものも簡略化できます。

さらに、仕訳を入力すればいつでも最新の試算表を確認できるため、経営者は常に現状に基づいた意思決定を行うことが可能になります。

Excelから会計ソフトへの移行は、単なるツールの変更ではありません。それは、経営者の役割を「記帳係」から「財務分析官」へと進化させることを意味します。Excelでは、時間の多くをデータの入力とエラーチェックに費やし、「数字が合っているか」に神経を使います。

一方、会計ソフトを使えば作業は自動化され、経営者は浮いた時間を「この数字は何を意味するのか」といった分析と戦略立案に使えるようになります。この「時間の使い方の質の変化」こそが、会計ソフトがもたらす最大の価値なのです。

試算表を経営に活かす!見るべき6つの重要ポイント

試算表を経営に活かす!見るべき6つの重要ポイント

試算表を作成するだけでは、宝の持ち腐れです。大切なのは、その数字を読み解き、経営に活かすことです。ここでは、経営者が毎月の試算表でチェックすべき6つの重要なポイントを解説します。

現預金と借入金のバランスは健全か?(安全性分析)

まず最初に確認すべきは、会社の生命線である「お金」に関する項目です。現預金の残高は、月々の売上や経費の支払いに困らないだけの資金が確保できているかを確認します。資金繰りの安定は、経営の最優先事項です。

同時に、借入金(短期および長期)の残高が会社の規模に対して過大になっていないか、返済計画に無理はないかをチェックします。現預金と借入金のバランスを見て、短期的な支払い能力に問題がないかを評価することが重要です。このチェックは、会社の短期的な安全性を見るための最も基本的なステップです。

売上高と利益は目標を達成しているか?(収益性分析)

次に、会社がきちんと稼げているか、その収益性を確認します。売上高が設定した月次目標に届いているか、前月や前年同月と比較してどのような推移をたどっているかを検証します。大切なのは、数字の大小だけでなく、計画に対してどうだったかを分析することです。

また、営業利益(本業の儲け)や経常利益(事業全体の儲け)が黒字であるか、利益率は目標水準をクリアしているかを確認します。売上が伸びていても、経費がかさみ利益が出ていなければ問題です。試算表を予算や計画と比較することで、それは単なる数字の羅列から「業績評価のスコアカード」に変わります。

売掛金・買掛金の動きは正常か?(効率性分析)

利益が出ていても、現金がなければ会社は立ち行かなくなります。いわゆる「黒字倒産」のリスクを避けるため、債権・債務の管理状況をチェックします。売掛金(未回収の売上代金)の残高が、売上規模に対して異常に膨らんでいないかを確認しましょう。残高の増加は、回収が滞っているサインかもしれません。

同様に、買掛金(未払いの仕入代金)の残高が適切であるか、支払いが滞っていないか、逆に支払いサイトが短すぎて資金繰りを圧迫していないかを確認します。このチェックは、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(現金化の効率)を監視する上で重要であり、将来の資金ショートにつながる危険な兆候を早期に発見できます。

経費に無駄はないか?(コスト管理)

利益を最大化するためには、売上を伸ばすだけでなく、経費を適切に管理することも不可欠です。地代家賃、人件費、広告宣伝費、接待交際費など、主要な費用項目に異常な増減はないかをチェックします。

前月や前年同月と比較して、突出して増えている費用項目があれば、その原因を調査します。一時的な要因なのか、構造的な問題なのかを見極め、コスト削減の余地を探ります。試算表は、お金が「どこに」「どれだけ」使われているかを詳細に示してくれます。定期的に内容を吟味することで、無駄な支出をなくし、筋肉質な経営体質を作ることができます。

純資産は着実に増加しているか?(成長性分析)

短期的な安全性や収益性も重要ですが、会社が長期的に成長しているかを見る指標も欠かせません。純資産(自己資本とも呼ばれる)は、会社の設立からの利益の蓄積です。純資産の合計額が、毎月着実に増加しているかを確認します。

特に、利益剰余金が増加していれば、会社が事業活動を通じて価値を生み出し、それを内部に留保できている証拠です。純資産の増加は、会社の体力が向上していることを意味します。これは、財務的な安定性を高め、将来の投資や不測の事態に備えるための基盤となります。長期的な視点で、会社が真の価値を築けているかどうかの最も重要なバロメーターです。

主要な経営指標で会社の体力を測る

個別の勘定科目を見るだけでなく、それらを組み合わせた「経営指標」を使うことで、より客観的で深い分析が可能になります。試算表の数値を使えば、以下のような重要な指標を簡単に計算できます。

自己資本比率

会社の総資本のうち、返済不要の自己資本がどれくらいの割合を占めるかを示す指標で、財務の安定性を測ります。計算式は「純資産 ÷ 総資産(資産合計) × 100」です。一般的に30%以上が目安とされます。

売上高経常利益率

売上高に対して、経常利益がどれだけあるかを示す指標で、会社の総合的な収益力を測ります。計算式は「経常利益 ÷ 売上高 × 100」です。

債務償還年数

借入金を何年で返済できるかを示す指標で、借入金の返済能力を測ります。これらの指標を定点観測することで、自社の経営状態を客観的に評価し、改善目標を設定することができます。

試算表に並ぶ無数の数字も、計算式に当てはめることで、「安全性」「収益性」といった意味のある情報に変わります。例えば、試算表の「純資産」と「資産合計」という二つの数字から「自己資本比T率」を計算し、それが業界平均より高いことがわかれば、「我が社の財務は安定している」という自信ある判断ができるようになります。このように、経営指標は試算表を実用的な情報源に変える強力なツールなのです。

銀行融資を引き出す!金融機関がチェックする試算表の勘定科目

試算表は、社内での経営管理だけでなく、銀行から融資を受ける際にも極めて重要な書類となります。金融機関は、決算書だけでなく最新の試算表の提出を求めることが一般的です。なぜなら、彼らはあなたの会社の「今」を知りたいからです。

融資審査における試算表の重要性

銀行が融資審査で最新の試算表を重視するのは、年に一度の決算書よりもタイムリーに、企業の足元の業績や財務状況を把握できるためです。決算書の内容が良くても、その後の業績が悪化していれば、返済能力に疑問符がつきます。

逆に、前期の決算は赤字でも、その後の試算表で業績が回復傾向にあれば、融資の可能性は高まります。つまり、試算表は「会社の将来性」をアピールするための重要なプレゼンテーション資料なのです。定期的かつ正確に試算表を作成し、管理していること自体が、「この会社は経営管理がしっかりしている」という信頼の証にもなります。

評価を高める貸借対照表項目

金融機関は、試算表の貸借対照表部分(資産・負債・純資産)を見て、会社の「安全性」と「返済能力」を厳しくチェックします。評価を高めるためには、以下の項目を良好な状態に保つことが重要です。

まず、十分な現預金を確保することです。最低でも月商の2〜3ヶ月分を確保することが一つの目安とされ、潤沢な手元資金は事業の安定性を直接的に示します。

次に、高い自己資本比率を維持することです。純資産が厚く、自己資本比率が高い(一般的に40%以上あると優良とされる)ことは、財務体質の健全性を証明します。利益を積み重ねてきた結果である利益剰余金が多いことも、高く評価されます。

最後に、安定した負債構成です。返済期間が1年以内の流動負債よりも、長期の固定負債の割合が高い方が、短期的な資金繰りが安定していると見なされます。

評価を下げる危険な勘定科目

一方で、試算表に特定の勘定科目が存在すると、金融機関の評価を著しく下げてしまう可能性があります。融資を申し込む前には、これらの「危険な勘定科目」を整理しておくことが不可欠です。

役員貸付金(会社から役員への貸付)は、「会社の資金が私的に流用されている」と見なされ、最も厳しい評価を受ける項目の一つです。使途が不明瞭な仮払金も同様に、利益操作や私的流用を疑われる原因となります。これらは速やかに精算すべきです。

また、長期間回収できていない売掛金や、売れ残っている古い棚卸資産(在庫)は、資産価値がない「不良資産」と見なされます。これらが売上に対して不自然に多い場合、粉飾決算を疑われることさえあります。純資産の部がマイナス、つまり負債が資産を上回っている「債務超過」の状態も、実質的に倒産状態にあると判断され、新規融資は極めて困難になります。

金融機関は、提出された試算表の数字をそのまま鵜呑みにするわけではありません。彼らは、これらの危険な勘定科目の価値をゼロと見なすなどして、「実態貸借対照表」を頭の中で作成し、会社の真の価値を評価します。このことを理解し、融資申込前に不要な資産を処分するなどの「決算書の掃除」を積極的に行うことが、金融機関との信頼関係を築く上で非常に有効です。

まとめ

本稿では、試算表の基本的な役割から、具体的な作成方法、そして経営分析や融資獲得への活用法までを網羅的に解説してきました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  • 試算表は財務の正確性を担保する土台です。
  • 試算表は会社のタイムリーな健康診断書として機能します。
  • 試算表はデータに基づいた客観的な意思決定を可能にします。
  • 試算表は外部からの信頼を獲得する武器となります。

試算表は、決して経理担当者だけのものではありません。それは、会社の現在地を正確に示し、進むべき未来への針路を照らし出す「経営の羅針盤」です。この羅針盤を使いこなし、数字という共通言語で自社のビジネスを語れるようになること。それこそが、変化の激しい時代を乗りこなし、持続的な成長を遂げるための確かな一歩となるでしょう。

この記事の投稿者:

hasegawa

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