領収書の基礎知識

領収書に印鑑(はんこ)は必要?ない場合の対処法や経費にできるかを徹底解説

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領収書には、はんこが押されていることがありますが、経理の実務面や法律といった観点からは、必ずしも必要というわけではありません。本記事では、領収書のはんこにまつわるルールや押し方、よくある疑問などについてくわしく解説していきます。

はんこなしの領収書とはどんなもの?

領収書の中には、企業や店舗のはんこが押されているものがあります。具体的には、企業名・住所などの横、もしくは上に角印が押されている領収書です。今回の記事で説明する「はんこなしの領収書」とは、このようなケースに当てはまらない領収書を指します。

はんこなしの領収書でも問題はないの?

経理の観点から見た場合

領収書とは、支払いを経費として計上したり、事業用の経費であることを証明したりするために使われる書類です。
そのため、以下の項目について記載されていれば、はんこがなくても問題ありません。

・作成者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目はその旨)
・税率ごとの合計金額
・領収書の交付を受ける事業者の氏名または名称

なお、はんこがなくても経理業務の処理をすることはできますが、企業によっては領収書の押印が必要と定めているケースもあります。 領収書を経費として処理をする場合は、社内のルールを確認しましょう。

参考:No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた|国税庁

税法から見た場合

法律の観点から見ても、領収書のはんこの有無が問われることはありません。消費税法上大切なのは、領収書として必要な項目が漏れなく記載されているかどうかという点です。領収書に記載すべきポイントについては、次の項目で解説します。

領収書に必須な項目

では消費税法で領収書に記載すべき事項として求められているのは、どの様な項目でしょうか。国税庁のホームページでは、以下の項目を領収書に記載すべきと説明しています。

・書類作成者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
・税率ごとに区分して合計した税込対価の額
・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

参考:No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm

また、税率を区別する必要があるため、軽減税率の対象となる商品がある場合は注意が必要です。これらの項目が記載されていれば領収書として認められるため、はんこの有無が問われることはありません。

しかし「領収書にははんこが押してあるイメージがある」と感じる方もいるでしょう。法律上や経理業務上で必要ではなくても、次に説明する理由から、領収書にはんこを押すことをルールとしている企業や店舗も存在します。

領収書に印鑑があった方が良い理由

領収書の偽造防止のため

企業が発行する領収書にはよく企業の角印が押されていますが、これには偽造を防止する目的があります。

前述した5つの項目さえあれば領収書として認められるため、領収書を偽造することは容易です。領収書を偽造されればトラブルの要因になるとともに、企業としてのイメージにも影響しかねません。そのため、角印を押すことで領収書の偽造を防ぐ企業もいます。

領収書にははんこが必要と考える人もいるため

「重要な書類には必ずはんこが押してあるものだ」と考える人もいます。後から「はんこがないので押してください」と頼まれたり、トラブルになるぐらいなら、はじめから全ての領収書にはんこを押しておいた方が安全という考え方もあるでしょう。

また、重要な取引に関する領収書には、はんこがあった方が好印象と感じる人もいます。企業としての丁寧さや、相手への敬意などをアピールしたい場合には、あえてはんこを押してもいいでしょう。

領収書の印鑑の正しい押し方

領収書に印鑑を押す際の正しい押し方について、押さえておきたいポイントを解説します。

はんこの形や色に決まりはある?

領収書は一般的に、角印を使用します。角印は認印であり、領収書など取引先や顧客に渡す書類にも問題なく使えるためです。

企業で作成する印鑑には丸印もありますが、こちらは法務局に登録する実印です。偽造されるリスクを考えると、角印を使うべきでしょう。

また、はんこを黒で押しても構いませんが、文字と重なった時の見やすさや一般的な感覚から考え、赤で押印しましょう。

領収書の印鑑の押し方は?

印鑑を押す位置に決まりはありませんが、会社名や住所などと少し重なるように押すことが一般的です。

個人事業主の場合の領収書のはんこは?

個人事業主が領収書を発行する場合も、これまで説明してきた企業の場合と基本的には変わりありません。領収書の書き方や、はんこの押し方・収入印紙のルールなども同様です。

したがって、個人事業主も領収書にはんこを押すことは必須ではありませんが、印象や信頼性などの面からはんこを押してもいいでしょう。屋号の印鑑、もしくは日常的に使っている自身の印鑑でも構いません。

その他領収書関連でよくある悩み

レシートは領収書として認められる?

レシートには宛名が記載されていないため、領収書に必要な項目を満たしていないということになります。しかし、以下に当てはまる業種との取引で発行してもらった領収書に関しては、宛名がなくとも問題ないと認められています。

・小売業
・旅客運送業
・旅行業
・飲食業
・駐車場業

例えば、スーパーやコンビニなどの小売業でレシートをもらった際には、領収書をもらう必要はありません。

収入印紙を貼る場合は?

印紙税法により5万円以上の領収書には収入印紙を貼ることが定められていますが、その際は消印(割印)も必須です。領収書と収入印紙の境目の位置にはんこを押します。収入印紙のために押すはんこは、企業の角印でもシャチハタでも構いません。

この消印(割印)には、収入印紙をはがして別の領収書に使うといった悪用を防ぐことが目的としてあります。なお、収入印紙を貼り忘れた場合は過怠税として本来納付すべきだった金額の3倍の金額を支払うことになるため注意しましょう。

参考:印紙の消印の方法|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/03.htm

領収書は誰が書いてもいいの?

領収書は基本的にお金を受け取った者が発行する書類であり、正社員やアルバイトといった立場に関わらず発行できます。領収書を発行する可能性がある従業員には、領収書の書き方のルールを確認する機会を設けてもいいでしょう。

印鑑も代表者が押さなくていいの?

領収書の印鑑は、代表者のものでなくても問題ありません。また、収入印紙に消印(割印)のために使う印鑑も同じく、代表者のものである必要はありません。

担当者のシャチハタの印鑑も必要?

場合によっては、領収書に記載された会社名や担当者名の横に、担当者の印鑑が押されていることがあります。しかし、領収書の印鑑はそもそも必須ではないため、担当者の印鑑に関しても必須ではありません。ただし、作成者を明確にするなどの理由で、会社のルールとして押印することはあります。

領収書に電子印鑑は使える?

電子印鑑は、データで作成された印鑑で、パソコンで作られた文章に簡単に押印することが可能です。 電子印鑑の作成には、印影を作成するためのWebサービスの利用や、紙に押印した印影を自らスキャンするといった方法が挙げられます。

電子印鑑が普及していけば、領収書をはじめ、ビジネスシーンにおけるさまざまな書類を電子的に発行しやすくなります。しかし、電子印鑑を認めていない企業もあるため、 自社や先方のルールに基づいて利用するようにしましょう。

経理業務を簡単にするならINVOY

ビジネスシーンで目にすることの多い領収書ですが、いざ作成しようとすると、印鑑の有無など細かい点に迷うという方も多いのではないでしょうか。

そのような方におすすめしたいのが、弊社のサービスである「INVOY」です。INVOYは画面に従って必要な項目を入力・選択することで、領収書や請求書などの書類を簡単に発行できます。

また、近年は電子帳簿保存法の改正などにより、書類を電子的に発行する動きも加速しています。この機会にぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

領収書におけるはんこのルールについて解説してきました。領収書で必要とされている項目にははんこが含まれていないことから、はんこの有無にこだわる必要はありません。 しかし、偽造防止や暗黙のルールとしてはんこを押すケースもあるので、自社や取引先のルールにあわせて柔軟に対応することが求められます。

また、法改正などによって会計上のルールは変化していくものです。 最新のルールを把握し、実務面に取り入れていくようにしましょう。

この記事の投稿者:

reg@olta.co.jp

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