インボイス制度の基礎知識

顧問料のインボイス制度対応とは?中小企業・フリーランスが押さえておきたいポイント解説

公開日:

顧問料 インボイス

2023年10月から始まった「インボイス制度」によって、中小企業の経営者やフリーランスが日々支払う顧問料の扱いにも大きな変化が生じています。
最近、「顧問料のインボイス対応って何をすればいいの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、インボイス制度とは何かという基本から、顧問料のやり取りへの影響(支払う側・受け取る側)、課税事業者と免税事業者の違いと対応の分岐点、そして顧問契約の見直しポイントまで、丁寧に解説します。

また、インボイス制度に対応した請求書の書き方や保存義務、よくある疑問Q&A、さらには電子インボイスサービス「INVOY」を活用して煩雑なインボイス対応を簡単にする方法まで幅広く網羅します。

専門用語もできるだけかみ砕いて説明しますので、「インボイス制度って難しそう…」という初心者の方でも安心して読み進めてください。顧問料のインボイス対応に悩んでいる経営者さん・フリーランスの方は、ぜひ最後までチェックしてみましょう!

目次

インボイス制度とは?制度の目的と導入背景

まずは基本となるインボイス制度について、目的や導入の背景を含め分かりやすく解説します。これを理解することで、後ほど説明する顧問料への影響もスムーズに飲み込めるはずです。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは、正式には「適格請求書等保存方式」と呼ばれる新しい消費税のルールです。2023年10月1日から開始した制度で、企業が仕入れにかかった消費税を控除する(仕入税額控除)ためには、一定の要件を満たした請求書を保存する必要がある、というものです。

ここでいう一定の要件を満たした請求書のことを「適格請求書」(いわゆるインボイス)と呼びます。

一言でいうと、「消費税を計算する際に必要な正式な請求書(インボイス)を発行・保存しましょう」という制度です。インボイス制度が導入される以前も、消費税の帳簿保存などのルールはありましたが、インボイス制度ではその要件がより厳格かつ明確になりました。

特に、インボイス(適格請求書)の発行者として税務署に登録された事業者(後述する「適格請求書発行事業者」)が発行した請求書でなければ、受け取った側は消費税の控除ができなくなる点が大きなポイントです。

制度導入の目的と背景

インボイス制度が導入された背景には主に2つの目的があります。

複数税率への対応

日本では2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられた際、食品など一部に軽減税率8%が導入されました。つまり現在は消費税率が10%と8%の2種類存在しています。

取引ごとにどの税率が適用されているかを明確にしないと、納税計算がややこしくなってしまいます。そこで、請求書に税率や税額を明記するインボイス制度によって、経理処理をより正確に行えるようにする目的があります。

適正な消費税の納税と公平性

従来、小規模な事業者(後述の免税事業者)の発行した領収書でも、受け取った側は仕入税額控除を受けることができました。しかし免税事業者自身は消費税を納める義務がないため、ある意味消費税を納めていない取引からも控除だけ行われる形になっていました。

インボイス制度では、発行側もきちんと税務署に登録し消費税を納める事業者であることを要件とすることで、納税の公平性を担保する狙いがあります。

適格請求書発行事業者でない事業者との取引は控除が受けられなくなるため、結果的に消費税の納税漏れや不公平を是正する効果も期待されています。

こうした目的からインボイス制度が導入され、2023年10月1日より本格的にスタートしました。企業間の取引においては新しいルールへの対応が求められており、特に日々の経理実務に密接に関わる制度となっています。

顧問料のやり取りに及ぼすインボイス制度の影響

では、本題である「顧問料」のやり取りにインボイス制度がどのような影響を与えるかを見ていきましょう。顧問料とは、中小企業などが専門家(税理士・弁護士・コンサルタントなど)に継続的に支払う報酬のことです。支払う側(企業)と受け取る側(顧問としての専門家)の双方に立場を分けて、それぞれどんな影響があるのかを解説します。

支払う側(企業)の立場での影響

中小企業の経営者として、自社が顧問に支払う顧問料についてインボイス制度が影響してくるポイントは主に消費税の扱いです。インボイス制度開始後、顧問先である企業は、顧問から受け取る請求書が「適格請求書(インボイス)」でない場合、その支払額に含まれる消費税分の控除が受けられなくなります。

例えば、毎月の顧問料が10万円で、その中に消費税が含まれている契約だったとしましょう(内訳:本体価格約9万909円+消費税約9,091円=合計10万円)。インボイス制度への対応前は、その9,091円分の消費税を仕入税額控除として計上できていたかもしれません。

しかし、もし顧問がインボイス発行事業者として登録しておらず適格請求書を発行できない場合、その9,091円の控除が認められなくなるのです。

控除ができないということは、企業側にとって実質的なコスト増を意味します。これまでは消費税分は後で取り戻せていたものが、今後は戻ってこないため、その分負担が増える計算です。

このため支払う側の企業としては、顧問(取引相手)がインボイス発行事業者かどうかが非常に重要になってきます。具体的な影響としては次のようなケースが考えられます。

顧問に対しインボイス対応を求める

「適格請求書を発行してほしい」、つまり顧問が適格請求書発行事業者として登録することを求めるケースです。インボイスを発行してもらえれば、これまで通り顧問料に含まれる消費税分の控除を受けられるため、企業側の税負担は増えません。

取引関係の見直し

残念ながら折り合いがつかない場合、別のインボイス発行事業者の顧問に依頼する、つまり顧問先を変更する決断をする企業も出てくるでしょう。インボイス制度への非対応が原因で取引停止や契約解除になるケースも考えられます。

支払う側として大事なのは、「顧問料に消費税が含まれているかどうか」と「その消費税の仕入控除が受けられるか」です。インボイス制度の下では、顧問からの請求書が適格請求書でないと消費税は控除不可になるため、経理上のコスト増をどう吸収するかが課題になります。

受け取る側(顧問・フリーランス専門家)の立場での影響

次に、顧問料を受け取る側、すなわち税理士・コンサルタント・フリーランスなど顧問として報酬を得ている立場への影響です。こちらのポイントは「自分がインボイス発行事業者になるべきかどうか」が焦点となります。

免税事業者(年間売上が1,000万円以下で消費税の納税義務が免除されている事業者)であるようなフリーランスや個人事業主の場合、インボイス制度開始前は顧問料にかかる消費税を納める必要がありませんでした。

顧問料をクライアントから受け取る際、請求書に消費税額を明示していないか、明示していてもそれは自分の収入として手元に残せていたわけです。

しかしインボイス制度開始後、クライアント企業がインボイス発行を強く求めてくることが予想されます。自分が適格請求書発行事業者として登録しないままだと、クライアントはあなたへの支払いに含まれる消費税分を控除できず負担が増えてしまうからです。

その結果、先述のように「登録してくれないなら顧問料を減額してほしい」あるいは「契約を見直したい」という話が持ち上がる可能性があります。

一方で、インボイス発行事業者として登録すると「課税事業者」となり消費税の納税義務が発生します。今まで免税事業者として消費税を納めずに済んでいた人は、今後は受け取った顧問料の消費税分を税務署に納める必要が出てくるということです。

例えば月々10万円の顧問料を受け取っていた場合、インボイス発行事業者になればその中の消費税相当額(約9,091円)を後日納税しなければなりません。つまり実質手取り額が減ることになります。

受け取る側として具体的に考えられる対応・影響は以下のようなものです。

インボイス発行事業者として登録する(課税事業者になる)

クライアントにインボイスを発行できるようになります。クライアントから見ると歓迎され取引継続・新規獲得もしやすくなるでしょう。ただし自身は消費税の申告・納税が必要となるため、手取り収入の目減りや事務負担の増加があります。

その負担を埋め合わせるために顧問料を値上げ(+10%)交渉することも考えられますが、クライアント側の事情もあるため慎重な話し合いが必要です。

現状のまま免税事業者でいる

あえて登録せずインボイスを発行しない選択です。この場合、一部の顧問契約が解消されたり、報酬額の引き下げ要求を受け入れざるを得なかったりするリスクがあります。特に法人顧客が多い場合は仕事減少に直結しやすいでしょう。

一方、顧客が個人や消費者メインであったり、ごく親しい中小企業のみで理解を得られる場合は、登録しなくても影響が小さいケースもあり得ます。

一時的・短期的な様子見

実はインボイス制度には経過措置(後述)もあり、2023年からしばらくの間はインボイスが無い取引でも一部控除が認められる期間があります。

そのため「すぐには登録せず様子を見て、必要そうなら途中で登録する」という対応も選択肢です。ただし取引先との信頼関係や、後述する経過措置の期間・条件も考慮する必要があります。

受け取る側の専門家としては、顧問先とのコミュニケーションが非常に大切です。インボイスに対応しない場合はなぜ対応しないのか、取引先にどんな影響があるのかを説明し理解を求める必要がありますし、対応する場合も報酬額や契約条件の見直しについて話し合いが必要になるでしょう。

課税事業者と免税事業者の違いとインボイス対応の分岐点

課税事業者と免税事業者の違いとインボイス対応の分岐点

前章でも少し触れましたが、「課税事業者」と「免税事業者」というキーワードがインボイス制度では重要になります。それぞれの違いと、インボイス制度への対応で分かれるポイントを押さえておきましょう。

課税事業者と免税事業者の違い

課税事業者

消費税の納税義務がある事業者を指します。基本的には前々年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える事業者が該当します。

課税事業者は売上にかかる消費税を国に納める義務がありますが、仕入れや経費で支払った消費税は仕入税額控除として差し引くことができます(この控除にインボイスが必要になるというのが今回の制度です)。

免税事業者

前々年度の課税売上高が1,000万円以下など一定要件を満たし、消費税の納税が免除されている事業者です。

免税事業者は請求書や領収書を発行する際、基本的に消費税額を明示しなくても構いません(仮に消費税相当分を受け取っていたとしても、その分を国に納めなくてよいという立場です)。個人事業主や創業間もない小規模企業には免税事業者が多く含まれます。

インボイス制度下では、適格請求書(インボイス)を発行できるのは「課税事業者」でかつ税務署に登録を受けた事業者のみとなります。

免税事業者はそのままではインボイスを発行できません。

ですが、免税事業者であっても任意で登録申請を行えばインボイス発行事業者になることは可能です(その場合、自動的に課税事業者として今後消費税を納める義務が発生します)。

インボイス対応で迫られる分岐点

顧問料のやり取りにおける分岐点は、まさに「免税事業者が課税事業者に転向してインボイス発行事業者になるか否か」です。ここで判断が分かれるのは主に現在免税事業者であるフリーランスや小規模事業者の方々でしょう。

既に課税事業者である場合

もともと年間売上高が1,000万円を超えているような顧問業(例えば比較的大きな税理士法人やコンサル会社)であれば、自動的に消費税納税義務があるため基本的にはインボイス発行事業者への登録申請を済ませているはずです。

この場合は引き続き適格請求書を発行し、取引先にも提供する対応となります。特に大企業相手の顧問契約であれば、先方から強くインボイス発行を求められるため対応必須だったでしょう。

免税事業者の場合

今回もっとも悩ましいのがここです。あなたが免税事業者(売上1,000万円以下)で、現在顧問料を受け取っている側だとしましょう。インボイス制度が始まった今、選択肢は「このまま免税事業者でいる」か「課税事業者になってインボイス発行事業者に登録する」かの二択です。

インボイス発行事業者に登録する決断をすれば、取引先からは歓迎されます。適格請求書発行事業者として登録すると、税務署から登録番号が付与され、それを請求書に記載することでインボイスを発行できます。

取引先企業にとっては安心材料となり、今後も契約継続・新規契約に有利に働くでしょう。ただし、一度課税事業者になると原則2年間は免税事業者に戻ることができない点に注意が必要です(※任意で課税事業者を選択した場合、少なくともその課税期間と翌課税期間の計2期間は継続しないといけません)。

消費税の納税負担が発生して「思った以上に大変だ…」となっても簡単には元に戻れないため、収支シミュレーションをしっかり行ってから決めましょう。

また、一度課税事業者になった後に高額な設備投資(100万円超の資産購入など)をすると、その後さらに一定期間戻れないといった規定もあります。

いずれにせよ戻りにくい決断であることは覚えておきましょう。

免税事業者のまま維持する場合、すぐに消費税の納税や煩雑な手続きが増えることは避けられます。しかし繰り返しになりますが、取引先から見るとあなたの発行する請求書では消費税の控除ができない状態です。

このままでは契約更新時に不利になったり、新規顧問契約の獲得で選ばれにくくなったりするリスクがあります。

「うちは取引先も零細企業でインボイスとか気にしないから…」と思っていても、取引先側が今後成長して課税事業者になったり、税理士に相談してインボイス非対応の取引を見直す流れが出てくる可能性もあります。

免税事業者のままでいる方は、自分の顧客層や取引先の状況をよく分析し、このままで支障ないか慎重に判断しましょう。

なお、免税事業者がインボイス発行事業者へ登録するタイミングですが、2023年10月~2029年9月末までの間であれば特例的に手続きが簡略化されています。

本来は「課税事業者になる届出」と「適格請求書発行事業者の登録申請」の両方が必要ですが、この期間内であればインボイス発行事業者の登録申請だけで課税事業者への変更もまとめて行える措置があります。

つまり、「やっぱり登録しよう」と思ったときに比較的スムーズに手続きできる期間がしばらく続くということです。とはいえ前述の通り、一度登録すればしばらく戻れない点は同じですので、安易に飛び込まず慎重にご判断ください。

顧問契約を見直すポイント(インボイス対応編)

インボイス制度の開始に伴い、既存の顧問契約についても見直しが必要になるケースがあります。ここでは、インボイスの有無や顧問料の金額調整、そして経過措置の活用など、契約内容をチェック・変更する際のポイントを紹介します。

インボイス発行の有無を契約で明確に

まず確認したいのは、契約上インボイス(適格請求書)の発行について取り決めがあるかという点です。インボイス制度開始前に結んだ契約書には、もちろん「適格請求書」などという言葉は出てきませんでした。

しかし制度開始後は、契約書にインボイス対応に関する条項を盛り込むことが推奨されます。

たとえば、顧問契約書に以下のような内容を追加・確認すると良いでしょう。

顧問側(受注側)は適格請求書発行事業者として登録しているか否か。また、適格請求書を発行する義務について定める。

顧問料の金額は消費税抜きなのか税込みなのかを明記する。税込みの場合は適格請求書発行事業者でなくなった場合の扱いを決めておく。

インボイス制度に関連して契約当事者間で必要な情報提供(例えば顧問側のインボイス登録番号の通知)や書類の交付について取り決める。

もし既に結んでいる契約があってインボイス制度への対応が触れられていない場合、覚書(追加契約)や通知書などの形で上記の点を改めて文書化しておくと安心です。契約書にお互いの役割や義務を書いておくことで、後々のトラブル防止につながります。

顧問料の報酬額調整(消費税分の扱い)

顧問料の金額設定も見直しポイントの一つです。インボイス制度によって消費税の扱いが変わることで、適正な報酬額を再設定する必要があるかもしれません。

顧問側が課税事業者になりインボイス発行する場合

これまで消費税を受け取っていなかった(免税事業者だった)なら、今後は顧問料に消費税を上乗せして請求する形に変更するかどうかを検討します。例えば月額顧問料10万円(消費税なし)だった契約を、月額10万円+消費税1万円=11万円に改定するイメージです。

ただしこの値上げ交渉は、クライアントにとってコスト増になるため慎重に行う必要があります。

逆に税込10万円(消費税分は内包)と契約書にあった場合、インボイス発行事業者となるとその10万円の中から消費税1万円を納める形になるため、実質の受取額が減ることになります。

この場合、契約上は税込据え置きなので報酬額の変更は難しいですが、顧問側としては痛手になります。

いずれにせよ契約時に税込・税抜のどちらで金額設定しているかをまず把握し、必要なら双方納得の上で金額を調整しましょう。

顧問側がインボイス非対応のままの場合

この場合も、お互いの納得感が大事です。インボイス制度は法律上の義務ではありますが、顧問契約は双方の信頼で成り立っています。「消費税分どうしますかね?」と率直に話し合い、折り合いをつけることが円満な見直しにつながるでしょう。

経過措置の活用を検討

経過措置とは、インボイス制度導入後の一定期間について設けられた特別ルールのことです。これはインボイス制度への移行を円滑にするために、2023年10月1日から6年間にわたり段階的に適用されます。

具体的には、インボイスを発行できない事業者(未登録の免税事業者)との取引であっても、一部の消費税控除を認める措置です。期間と控除できる割合は次のとおりです。

2023年10月1日~2026年9月30日: 本来控除できるはずだった消費税額の 80% を控除可能
2026年10月1日~2029年9月30日: 本来控除できるはずだった消費税額の 50% を控除可能
2029年10月1日以降: 0%(控除不可) ※完全にインボイスが無い取引は控除対象外

この経過措置のおかげで、制度開始直後からいきなり取引NG!という極端な状況は緩和されています。顧問側が未登録でも、しばらくは取引先企業も一部控除を受けられるため、完全な損にはなりません。

契約見直しの際には、この経過措置期間をどう扱うかもポイントです。例えば「経過措置期間中(~2026年9月までは)現行価格で据え置き、期間終了後に改めて報酬見直し」など、段階的な対応を決めるケースも考えられます。

あるいは「経過措置の50%控除が終わる2029年までにはインボイス発行事業者になることを視野に入れる」など、中長期の計画として織り込むこともできます。

まとめると、顧問契約の見直しでは(1)インボイス発行への対応有無の確認、(2)顧問料金額(税抜・税込)の再設定、(3)経過措置期間の取り扱いの3点が重要になります。クライアントと顧問双方がWin-Winとなるよう、この機会に契約内容をじっくり点検してみてください。

インボイス制度対応に必要な請求書の記載内容と保存義務

インボイス制度対応に必要な請求書の記載内容と保存義務

次に、実務的な話としてインボイス制度に対応した請求書(適格請求書)の書き方と保存義務について解説します。どんな項目を請求書に書かなければいけないのか、発行・保存にあたっての注意点は何か、しっかり押さえておきましょう。

インボイス(適格請求書)に必要な記載項目

インボイス制度では、「これらの情報がきちんと書かれた請求書でないと控除を認めませんよ」という記載事項のルールがあります。適格請求書として有効な書類にするために、以下の項目を漏れなく記載しましょう。

適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
(発行者である自社の正式名称・氏名と、税務署から交付されたインボイス発行事業者登録番号)

取引年月日
(顧問料を請求する対象期間や請求日。通常は請求書の発行日や取引日を記載)

取引内容
(何に対する顧問料なのかを具体的に。例: 「税務相談顧問料(○年○月分)」など。軽減税率の対象品目がある場合はそれとわかるよう記載)

税率ごとに区分した対価の合計額と適用税率
(消費税率ごとに、税抜金額の合計とその税率を示します。通常顧問料は標準税率10%のみでしょうが、仮に軽減8%のものが混ざる場合は分けて書きます)

税率ごとに区分した消費税額等
(上記の税抜金額に対する消費税額を税率別に計算して記載します。端数処理は基本1円未満切り捨て)

書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
(請求書を受け取る相手の会社名や氏名を記載します。宛名にあたる部分です)

以上が適格請求書の必須6項目です。今までの請求書と大きく違うのは、「登録番号」「適用税率」「消費税額」の3つが新たに必要になった点でしょう。従来は税率欄や消費税額を明示していなかったケースもあるかと思いますが、インボイス制度ではこれらを省略できません。

顧問料の請求書であれば、例えば「〇月分顧問報酬 100,000円(税抜)」と書き、その横に「消費税10% 10,000円」などと明示する形になります。登録番号については、税務署から交付された13桁の番号(Tから始まる番号)を忘れずに自社情報のところに記載しましょう。

請求書の保存義務と実務上の注意点

適格請求書を発行・受領したあとは、その請求書を一定期間保存する義務があります。具体的には原則として7年間の保存が必要です(消費税法上、仕入税額控除のための保存要件として定められています)。

紙の請求書で受け取った場合はファイリングして保管、PDF等の電子データでもらった場合は規定に沿って電子保存することになります。

実務上の注意点として、以下の点に気をつけましょう。

保存方法の確認

電子データで請求書を受領した場合は、電子帳簿保存法のルールにも適合した保存が必要です。例えばタイムスタンプを付与する、改ざん防止措置を講じたシステムで保存する等の要件があります。

紙で保存する場合も、紛失や退色に注意して保管しましょう。INVOYのようなクラウドサービスを使えば、受け取った請求書をデータ管理しつつ法律要件も満たすことが可能です(後述)。

請求書の形式

手書きやエクセルで作成しても構いませんが、記載漏れがないよう注意しましょう。とくに登録番号は忘れやすいポイントです。また、印紙税などの観点で領収書を発行する場合、インボイスとごちゃまぜにならないよう整理が必要です(顧問料の請求書自体には印紙税は基本的にかかりませんが、現金受領の領収書には金額次第で収入印紙が必要です)。

相手の登録番号確認

顧問先や取引先から受け取った請求書に記載の登録番号が正しいか確認することも重要です。国税庁の公開サイトで登録番号から事業者名を検索できますので、「番号が間違っていて控除が受けられない」なんてことがないようチェックすると安心です。

経理処理での区分

インボイスを受け取った取引と、インボイスのない取引は経理上区分しておくと後々楽です。具体的には、仕訳を入力する際に「この取引は適格請求書あり(全額控除可)」とか「適格請求書なし80%控除(経過措置)」など、メモや区分欄で管理しておくイメージです。

会計ソフトによってはインボイス対応のチェックボックスがあったりしますので活用しましょう。

以上のように、正しい記載の請求書を発行・受領し、それをきちんと保存することがインボイス制度対応の肝となります。慣れないうちは項目が多くて大変かもしれませんが、一度フォーマットを整備してしまえばあとはルーチン作業です。次章で紹介する電子インボイスサービスなどもうまく取り入れて、手間を減らしつつ確実な対応を心がけましょう。

よくある疑問Q&A

最後に、インボイス制度と顧問料に関してよくある疑問をQ&A形式でまとめました。制度に対応する上で経営者やフリーランスの方が抱きがちな質問について、簡潔に回答します。

Q1: インボイスに未対応の顧問と、このまま取引を続けても大丈夫?

A1: 法律上、インボイス未対応の相手と取引してはいけないということはありません。取引自体は続けても問題ありません。ただし、これまで述べたようにインボイスがないと支払側で消費税の控除が受けられないデメリットがあります。

そのため支払う企業側はコスト増となり、この状況が長引くと関係悪化の恐れもあります。経過措置期間中(~2026年9月は80%控除可、~2029年9月は50%控除可)であれば、ある程度は控除が効くので急に大問題にはなりにくいです。

しかし2029年10月以降は完全に控除不可となるため、その前には何らかの決断が必要でしょう。

インボイス未対応の顧問と続ける場合は、経過措置期間内に今後の方針を双方で話し合っておくことをおすすめします。「いつまで待つ」「料金はどうする」などを明確にしておけば、トラブルを避けつつ関係を続けやすくなるでしょう。

Q2: 免税事業者のフリーランスだけど、今後インボイス制度にどう対応すればいい?

A2: まずご自身の顧客(クライアント)の性質を分析しましょう。顧客が法人であればインボイス発行を求められる可能性が高く、遅かれ早かれ課税事業者になってインボイス発行事業者に登録することが現実的と言えます。

一方、顧客が個人や小規模事業者中心なら、急いで登録しなくても取引に影響が出にくい場合もあります。将来的な事業拡大や顧客層の変化も考慮に入れ、インボイス発行事業者になるタイミングを検討しましょう。

迷う場合は経過措置を活用して、2023~2026年の間は様子見しつつ、取引先に「現在は免税事業者だが状況を見て対応を検討している」旨を伝えて理解を得ると良いです。

ただし、取引先が明確にインボイス発行を要望しているなら、信頼維持のためにも早めの登録決断も視野に入れるべきでしょう。

なお、一度課税事業者になったら2年間は戻れない点や、消費税申告の手間が増える点も踏まえ、税理士など専門家にも相談しながら判断することをおすすめします。

Q3: 顧問料のやり取りでインボイス制度に違反すると罰則はあるの?

A3: インボイス制度そのものに「違反したら罰金」「取引禁止」といった直接的な罰則はありません。つまり、適格請求書を発行しなかったからといって顧問や企業が罰せられることは基本的にありません。ただし、消費税の申告において不適切な控除をした場合は税務上のペナルティ(追徴課税など)の対象になります。

インボイスが無いのにあるものとして処理したり、登録番号を不正に使ったりすればそれは違法です。また制度に対応していないことで「経理がずさんな会社だ」と信用を落とすリスクもあります。

罰則うんぬんより、適切な処理をしないと自社・自分の信頼低下や取引機会損失につながると心得て、ルールに沿った対応を心がけましょう。

Q4: インボイス制度が始まって、顧問料の値上げ・値下げ交渉は一般的に行われている?

A4: はい、多くの現場で顧問料の見直し交渉が行われています。 顧問側が課税事業者に転向して「消費税分上乗せ」をお願いするケース、逆に顧問側が未対応で「控除できないからその分値引きを」と求めるケース、両方見られます。

特に士業(税理士・弁護士など)の業界では、インボイス対応を機に顧問料の改定や契約解除が話題になっています。ただし、一律にどちらかに動いているわけではなく、お互いの事情を踏まえた個別の交渉となっています。

重要なのは、一方的に通告するのではなく事前によく相談することです。顧問先との長期的な関係を考え、お互い納得できるラインを探っている企業・フリーランスがほとんどですので、あなたも率直に気持ちや事情を伝えた上で話し合ってみてください。

以上、代表的な疑問について回答しました。他にも「自分の場合はどうなんだろう?」と思うことがあれば、税務署や税理士に相談したり、公的機関のQ&Aページを参照したりすると安心です。インボイス制度への理解を深め、不安や疑問を一つ一つ解消していきましょう。

電子インボイスサービス「INVOY」の活用方法・機能紹介

インボイス制度への対応を万全にするには、信頼できるツールやサービスを活用するのも賢い方法です。ここでは、クラウド請求書サービスの「INVOY(インボイ)」を例に、インボイス対応に役立つ機能や使い方、登録手順、そして無料で使えるメリットをご紹介します。顧問料の請求・管理にも大いに役立つので、ぜひ参考にしてください。

INVOYとはどんなサービス?

INVOY(インボイ)は、中小企業や個人事業主向けのクラウド請求書発行・管理サービスです。Web上で請求書や見積書、領収書など各種帳票を作成・送付・保存でき、2023年のインボイス制度や2024年適用の電子帳簿保存法にも完全対応しています。

特徴的なのは、主要な機能がずっと無料で使える点です。累計で10万を超えるユーザーに利用されており、「請求書業務をこれ一つで簡単にできる」と評判のサービスとなっています。

INVOYでできること(主な機能)

INVOYには、顧問料の請求・支払い管理にも便利な機能がたくさん備わっています。主なものをいくつか紹介します。

簡単な請求書作成・発行

項目を上から順に入力していくだけで、インボイス制度対応の請求書があっという間に作れます。自社情報(登録番号など)や取引先情報を一度登録しておけば、次回から選ぶだけで自動入力されるので手間いらずです。

作成した請求書はPDFで出力できるほか、INVOY上から直接取引先にメール送信することもできます。

テンプレート・ひな型の充実

顧問料の請求書向けのフォーマットや、汎用的な請求書テンプレートが用意されています。適格請求書に必要な「登録番号」「税率」「消費税額」欄もしっかりレイアウトされているので安心です。

自社のロゴや印鑑画像も載せられるなど、見た目も整ったプロ仕様の請求書をワンクリックで作成可能です。

請求書の受取・管理

発行だけでなく、受け取った請求書をINVOYにアップロードして一元管理することもできます。紙の請求書をスキャンして取り込んだり、メールで届いたPDF請求書をドラッグ&ドロップで保存したりするだけで、取引先ごとに整理された帳簿をクラウド上に作れます。

保存したデータは検索も簡単で、電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ付与など)にも対応しているため、紙で保管するより安全かつ省スペースです。

支払い・入金管理

発行した請求書ごとに「入金済み」「未入金」が管理でき、入金予定日が近いものを一覧で確認するといったことができます。さらに特徴的なのが、請求書の「カード払い」機能です。

INVOY経由で発行した請求書について、取引先がクレジットカードで支払える仕組みを提供しており、これを使うと振込作業なしでスピーディーに入金が完了します。顧問料の支払いを毎月銀行振込で行っている場合などにも、このカード払い機能を導入すれば振込手数料の削減や支払いの自動化が期待できます。

各種帳票の発行・管理

請求書以外にも見積書・納品書・発注書・領収書などビジネスに必要な帳票類をまとめて作成・管理できます。例えば新しく顧問契約を結ぶ際の見積書を作って、そのまま請求書に転用…といった流れもスムーズです。発行した帳票はすべてクラウド上に保存されるので、過去の取引履歴を遡って確認するのも簡単です。

以上のように、INVOYを使えば顧問料の請求・回収から経理処理までワンストップで対応できます。特にインボイス制度で追加された項目(登録番号や税額計算)もシステムが自動で挿入・計算してくれるので、手計算ミスや記載漏れの心配がありません。

INVOYの登録手順(始め方)

INVOYの始め方はとても簡単です。インターネット環境さえあれば、1分程度で登録が完了します。大まかな手順は次のとおりです。

公式サイトにアクセスして無料登録

INVOYの公式サイトにある「無料登録」ボタンから新規登録を開始します。メールアドレスと任意のパスワードを入力し、利用規約に同意すれば仮登録完了です。登録用の確認メールが届くので、メール内のリンクをクリックして本登録に進みます。

事業者情報の入力

ログイン後、まず自社(自分)の事業者情報を登録します。会社名(屋号)や住所、電話番号などの基本情報に加え、インボイス発行事業者の登録番号もここで設定できます。適格請求書発行事業者に登録済みの方はお手元の「Tから始まる13桁の番号」を入力しましょう(まだ未登録の場合は空欄でもOK、後から編集可能です)。

取引先の登録

次に顧問料の請求相手となる取引先情報を登録します。会社名や担当者名、メールアドレスなどを一度入力しておけば、請求書作成時に呼び出せるのでスムーズです。もちろん取引先の追加は後からいつでも行えます。

初回の請求書作成

準備が整ったら、さっそく請求書を作成してみましょう。INVOYのダッシュボードから「請求書作成」を選び、ひな型に従って項目を埋めていきます。「件名」「請求日」「支払期限」「請求内容(品目)」など順番に入力し、最後に金額と消費税が自動計算されることを確認します。

登録番号や会社情報も自動で挿入されているはずです。完成したらプレビュー画面でレイアウトを確認し、そのままPDF発行やメール送信が可能です。

以上で一連の操作は完了です。会計ソフトとの連携機能もありますので、さらに経理業務を効率化したい場合は連携設定を行うこともできます(freeeやマネーフォワードクラウドなど主要ソフトに対応)。初期設定さえ済めば、次回以降の請求業務は驚くほど簡単になるでしょう。

無料で利用できるメリット

INVOY最大の魅力は、これだけ充実した機能を基本無料で使える点です。無料プランでも請求書の発行枚数や取引先の登録数に制限はなく、半永久的に利用できます。小規模事業者やフリーランスにとって、コストをかけずにインボイス対応を完結できるのは大きなメリットです。

無料でもインボイス制度対応済みなので、特別なオプション料金を払わなくても必要事項が入った請求書テンプレートを使えます。「インボイス制度に対応した請求書作成ソフトを導入しなきゃ…でもお金はかけたくない…」という方には、うってつけのサービスと言えるでしょう。

もちろん、INVOYには有料プランも用意されており、銀行口座の自動連携や資金繰りレポート機能など高度な機能を使いたい場合はそちらを検討できます。ただ、顧問料の請求書発行や管理といった基本業務であれば無料プランだけで十分まかなえます。まずは無料で始めてみて、使い勝手を試してから必要に応じてグレードアップすれば良いので安心です。

さらにクラウドサービスなので、ソフトのインストール不要・常に最新バージョンにアップデート済みといった利点もあります。セキュリティ面でも、データセンターでの厳重管理や通信の暗号化など世界基準の対策が講じられているため、機密情報を扱う顧問料の請求でも信頼して利用できます。

まとめ:顧問料のインボイス対応も簡単に!

長文となりましたが、顧問料に関わるインボイス制度対応のポイントを網羅して解説してきました。最後に要点を振り返ってみましょう。

インボイス制度は2023年10月開始の新しい消費税ルールで、適格請求書(インボイス)の発行・保存が仕入税額控除の条件になりました。目的は複数税率への対応と税の公平性確保です。

顧問料の支払側は、インボイスのない顧問への支払いでは消費税控除ができずコスト増になります。対策として顧問に登録を促す、顧問料の値下げ交渉、取引見直し等が考えられます。

顧問料の受取側(顧問本人)は、免税事業者ならインボイス発行事業者に登録するかどうかの決断を迫られます。登録すれば取引上有利ですが税納付義務が生じ、登録しなければ税納付はないものの仕事減のリスクがあります。

課税事業者と免税事業者の違いを理解し、免税事業者の場合はインボイス対応でどのタイミングで課税事業者になるかが分岐点となります。一度課税事業者になると2年間は戻れない点に注意しましょう。

顧問契約の見直しポイントとして、インボイス発行有無の明記、顧問料の税込・税抜の確認と必要な調整、そして経過措置期間を踏まえた将来計画が挙げられます。契約書をアップデートし、双方でよく話し合うことが大切です。

請求書の記載事項は登録番号・適用税率・税額など6つの必須項目を押さえましょう。請求書や電子データは7年間の保存義務があります。記載漏れや保存忘れがないよう、システムを活用するなどして実務対応することが求められます。

Q&Aでは、インボイス未対応の取引を続けるリスクや、免税事業者が今後取るべき対応、罰則の有無、顧問料交渉の実情などを紹介しました。不安な点は専門家に相談しつつ、一つずつクリアにしていきましょう。

INVOYなどの電子インボイスサービスを使えば、インボイス対応の請求書発行や管理が飛躍的に楽になります。無料で使えて機能も豊富なINVOYを活用することで、煩雑な手続きをシステム任せにでき、顧問料のインボイス対応もスムーズに乗り切れるでしょう。

この記事の投稿者:

hasegawa

インボイス制度の基礎知識の関連記事

インボイス制度の基礎知識の一覧を見る

\1分でかんたんに請求書を作成する/
いますぐ無料登録