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事業運営に大事なキャッシュフロー改善方法を紹介!悪化する要因や企業事例も

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キャッシュフローの改善

安定して事業を営むためには、キャッシュフローの適切な管理が欠かせません。キャッシュフローが改善されることで日々の支払いに追われることなく落ち着いて経営ができるだけではなく、金融機関からの融資も受けやすくなります。本記事では、キャッシュフローの改善方法や、キャッシュフローが悪化する要因、改善した企業の事例などについて紹介します。

事業活動とキャッシュフローの関係は?

事業活動とキャッシュフローの関係を整理するために、まずは「売掛債権回収サイト」と「買掛債務支払サイト」について考えてみましょう。

売掛債権回収サイトとは、代金を受け取れる権利である「売掛債権」が発生した時から、その代金を回収するまでの期間を指します。ビジネスシーンにおいては、多くの取引が掛け取引(商品やサービスの取引を行い、後でその代金をまとめて支払うこと)によって行われているため、売上と代金の回収のタイミングが異なります。サイトが長くなると、商品を提供したのにもかかわらず売上が入金されていないという状態になるため、資金繰りが難しくなる傾向にあります。

反対に買掛債務支払サイトは、商品や原材料などを購入した時から、その代金を支払うまでの期間を指します。売掛債権回収サイトとは逆に、サイトが長くなるほど資金繰りがしやすくなる特徴があります。

まずキャッシュフローについて

キャッシュフローとは、事業を営む上で発生するお金(現金や預金)の流れのことです。

企業の経営状況を把握するためにはさまざまな指標が用いられますが、何よりすぐに使える現金や預金がなければ、事業に必要な支払いが行えません。例えば、オフィスの家賃や光熱費、従業員の給与などの支払いができなければ、事業を継続することが難しくなってしまうでしょう。

したがって、事業を安定して営むためには、このキャッシュフローを把握することが重要と考えられています。キャッシュフローをうまく管理できないと、帳簿上は黒字であるにもかかわらず、支払いが行えず倒産してしまう「黒字倒産」をしてしまうこともあります。

キャッシュフローの3つの区分

キャッシュフローを把握するために、各企業は貸借対照表や損益計算書といった決算書の一種である「キャッシュフロー計算書」を作成します。

キャッシュフロー計算書は3つの項目に分かれています。各項目の意味と、実際に記載する内容は以下の通りです。

営業活動によるキャッシュフロー企業の本業に関するお金の流れを表す・商品の販売で得た収入・収入を得るために生じた支出
投資活動によるキャッシュフロー投資活動に関するお金の流れを表す・有価証券の取得や売却・新しい設備の購入や売却 など
投資活動によるキャッシュフロー資金の調達や返済に関するお金の流れを表す・金融機関などからの借入や返済・株式の発行による収入・社債の発行による収入 など

キャッシュフローが悪化する4つの要因

キャッシュフローが悪化する要因

キャッシュフローが悪化する要因として考えられるものを4つ紹介します。

収入の減少

売上が少なかったり、売り上げてもなかなか代金が回収できなかったりすると、キャッシュフローが悪化する可能性があります。また、金融機関や投資家からうまく資金が調達できないなどの理由でお金が得られないケースもあります。

ビジネスシーンにおいては、企業にお金が入ることを「キャッシュイン」と言います。上記のような理由でお金がなかなか入らないとキャッシュインは減少し、キャッシュフローの悪化を招きます。

支出の増加

キャッシュインとは反対に、お金が出て行くことを「キャッシュアウト」と呼びます。キャッシュアウトの増加も企業のキャッシュフローが悪化する要因になる恐れがあります。

キャッシュアウトの増加として考えられる理由に、原材料の価格や従業員の給与の上昇、設備や備品の過剰な購入などがあります。キャッシュアウトが増加しすぎると、企業に十分な収入があってもキャッシュフローが悪化してしまうかもしれません。

貸し倒れの発生

取引先の経営状況の悪化や倒産などによって売掛債権が回収できないことを「貸し倒れ」と言います。せっかく商品やサービスを売り上げたのにも関わらず、その代金を回収できないと、資金繰りに影響を及ぼすでしょう。貸し倒れを防ぐため、相手の経営状況を確かめてから契約を行ったり、売掛金の保証会社を利用したりといった対策を行うこともあります。

長期の売掛債権回収サイト

商品を販売してから代金を回収するまでの期間が長いことも、キャッシュフローが悪化する要因となり得ます。特に、売掛債権回収サイトの長さに対して買掛債務支払サイトが短いと、支払いを行うための現金を確保するのに苦労するケースがあるでしょう。

キャッシュフローを改善する方法

キャッシュフローを改善する方法

キャッシュフローを改善するための方法をまとめて紹介します。

資金繰り表を作成する

資金繰り表とは、決められた期間で発生する現金での支出・収入についてまとめた表です。お金の流れを可視化することで、今後(数ヶ月程度)の支払いが問題なく行えそうかどうかチェックする役割があります。

資金繰り表によって収支の予定を把握すると、支払いに支障が生じる可能性がある時に早めに現金を確保するなどの対策を行えます。また「売掛金の回収ができていない」など、キャッシュフローが悪化している原因を特定するためにも活用できるでしょう。

各サイトの調整を行う

売掛債権回収サイトは短い方が、そして買掛債務支払サイトは長い方が余裕をもって資金繰りを行えます。取引先に交渉して、各サイトの期間を調整してもらうのも1つの選択肢です。

例えば、売掛債権回収サイトが長すぎると感じる取引先があれば、もう少し短くしてもらえないか交渉することもできます。「お金に困っているから」ではなく「新規事業に挑戦するにあたって、資金繰りを改善したいから」など、信頼関係に影響を及ぼさないような言い方で交渉することが望ましいでしょう。

売上は前払いにしてもらう

売上の一部または全部を先に支払ってもらう方法です。売掛債権回収サイトにかかわらず先に代金を受け取れるため、資金繰りが一気に改善する可能性があるでしょう。

例えば、エステサロンなど個人向けのサービスは、今後提供する予定のサービスの代金をまとめて先に受け取っていることがあります。この方法を採用すると、サービスの料金を上げたり、経費を削減したりしなくても資金繰りが改善するでしょう。

ただし、法人間の取引では基本的に後払いである掛け取引が採用されています。前払いは取引先の支払いを早めることになってしまうため、導入は難しいかもしれません。

無駄な経費を減らす

帳簿や領収書をチェックし、無駄な支出があれば減らすことも重要です。

例えば、より安い家賃のオフィスに引っ越したり、通信環境を見直して、安いプランを提供している会社に乗り換えたりするなどの方法が考えられます。特に、固定費は資金繰りの見通しがつきやすく、削減することで毎月の支出を減らせることから、資金繰りを改善する上で取り組みやすい方法です。

経費を削減しすぎると、生産性や商品の質が低下するリスクがある点に注意が必要です。「光熱費を節約するためになるべくオフィスの電気をつけない」など、過剰な経費削減は控えましょう。

ファクタリングを利用する

ファクタリングとは、ファクタリング業者に売掛債権を売却して、早期に現金を回収する方法です。

本来の支払い期日よりも早く現金が受け取れるため、資金繰りを改善したい時に有効な手段と言えます。入金するまでの期間は即日〜1週間ほどと短めに設定されるのが一般的です。

ただし、ファクタリング業者に手数料を支払うため、本来の売上高よりも受け取れる金額は少なくなります。また、ファクタリングの方法によっては、ファクタリングを利用していることを取引先の企業に知られてしまう点にも注意しましょう。

不良在庫・遊休資産を売却する

ずっと売れ残っている不良在庫は売却し、現金化することを考えます。「不良在庫を売ろうとすると安い価格になるため、かえって損をする」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、安い価格であっても売却して現金を確保した方が、資金繰りに良い影響を与えるケースがあります。また、不良在庫を保管しておくための維持費を削減できるかもしれません。

遊休資産とは、企業が事業用に取得したものの、使っていない資産を指します。遊休資産を売却することで、維持費はもちろん、今後支払うことになる固定資産税を削減することに繋がります。

売掛金を確実に回収する

売掛金を確実に回収できているかどうか「売掛金台帳」などの書類を作成して管理を行いましょう。取引ごとに金額や支払い期限を把握し、もし回収の遅れている売掛金があれば、取引先に早めに連絡します。

売掛金が回収できていない期間が長くなると、うやむやになったり、取引先が倒産してしまったりするリスクもあります。回収状況を定期的に確認し、都度対応していくことが大切です。

資金調達を行う

まとまったお金が必要な時は、銀行・信用組合・信用金庫などから借り入れをして資金調達を行うことも検討します。

また、中小企業や小規模事業者などに向けて融資を行う機関に「日本政策金融公庫」があります。比較的審査が通りやすく、金利も低く設定される傾向があります。また、経営状況が一時的に悪化している事業者や、これから事業を再建していきたいと考えている事業者も対象としているため、キャッシュフローを改善したいと考える際も使いやすいでしょう。

参照:日本政策金融公庫

自己資本を増やす

自己資本とは、企業が保有する資本金や利益剰余といった資本のことです。借入金や買掛金のように返済する必要がないことから、企業自身が保有する「純資産」とも呼ばれます。

一般的に、自己資本の比率が高い企業は経営が安定していて、倒産しにくいとみなされます。そのため、自己資本を増やすことで経営の安定性が増すだけではなく、借入先から信用を得やすくなり、資金が調達しやすくなるかもしれません。

自己資本を増やす方法としては、債務を減らしたり、遊休資産を処分したりすることが挙げられます。

事業用カードを活用する

取引先への支払い方法を、現金からクレジットカードに変更する方法です。クレジットカードの引き落としは翌月以降となるため、実際の支払いを遅らせ、キャッシュフローを改善することに繋がります。

また、ポイントやマイルが貯まるクレジットカードもあるため、現金で支払うよりもお得な可能性もあります。これまでに現金支払いをすることが多かった事業者の方は、クレジットカードで支払える取引がないか見直してみてはいかがでしょうか。

事業用カードを活用してキャッシュフローを改善した事例

事業用カードを活用してキャッシュフローを改善した事例

事業用カードで決済することによってキャッシュフローを改善した事例を3つ紹介します。

建築業のA社

A社では、売掛金が長期にわたって回収できないことで、キャッシュフローに悪影響を及ぼしていました。業界の慣習によって支払いサイトを長く設定する傾向にあるため、売掛金の回収が1年先ということもあるほどです。

しかし、事業用カードで決済することで支払いを先送りにでき、日々の支払いを乗り切れるようになりました。

サービス業のB社

B社は元々資金繰りが厳しく、支払いの重なる月末はいつも落ち着かない気持ちで過ごしていたと言います。資金を調達するために金融機関を回るなど、代表はいつも忙しくされていたようです。

事業用カードで支払いを行うようになってから、支払いを先延ばしにできるようになり、落ちついた気持ちで月末を迎えられるようになりました。資金繰りも改善され、忙しくしていたことから開放されて他のことに時間を割けるようになりました。

IT業のC社

C社はキャッシュフローは問題なかったものの、急に舞い込んだ大型の案件を行うための投資が必要でした。しかし、その時点で受注は確定していなかったため、ファクタリングを行うことも難しかったと言います。

そんな時、事業用カードによって既存の取引の支払いを先送りにすることで、案件に向けた投資を行うための資金が確保できました。無事に案件を獲得でき、ビジネスチャンスを逃すことなく事業を拡大できたそうです。

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まとめ

事業を健全に運営するためには、キャッシュフローを把握して適切に管理することが重要とされています。

キャッシュフローを改善するためには、営業活動によって十分な売上を得ることが大切です。しかし、売上があってもキャッシュフローが悪化したり、資金調達の準備を行うためのまとまった時間を取れなかったりなど、さまざまな事情があるという方も多いのではないでしょうか。

その場合は、売掛金を確実に回収することや、無駄な経費を削減することなどを通じてキャッシュフローが改善する可能性があります。あわせて「INVOYカード払い」の利用もご検討ください。

この記事の投稿者:

nakashima

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