厚生年金の加入条件について解説!加入義務のある企業や対象にならない場合

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厚生年金は、従業員を雇用するすべての企業・組織が加入しているわけではありません。厚生年金保険の対象となる条件によって、加入義務が生じることもあれば、任意で加入できる場合もあります。ここでは、厚生年金保険の加入条件や、加入手続きについてご紹介します。

厚生年金とは

厚生年金は、会社員などが病気やケガなどに備える社会保険の一部であり、公的年金制度の1つでもあります。老齢や障害、死亡を対象とした給付で、年金を受け取る時期に差し掛かった時に国民年金による給付に上乗せして厚生年金を受け取ることができます。

公的な年金制度は、全国民が該当する国民年金と、国民年金に上乗せされる厚生年金の2階建てとなっています。国民年金は20歳以上60歳未満が加入しますが、厚生年金は下限年齢なく70歳未満まで加入できます。

国民年金の保険料は、厚生年金の加入に該当しない、自営業や無職などの第一号被保険者が直接負担するのに対し、厚生年金の加入者である第二号被保険者は事業者と保険料を折半するのも特徴です。また、厚生年金の保険料は給与によって異なり、毎月支払われる給与からあらかじめ差し引かれるため、直接納付することはありません。

参照:年金生活者支援給付金制度 特設サイト | 厚生労働省
   国民年金と厚生年金の仕組み | 厚生労働省

厚生年金に加入するメリット

厚生年金に加入するメリットについて、まず従業員側の視点から見てみましょう。

厚生年金の場合、毎月支払う保険料の半分は会社が負担してくれます。国民年金保険料を支払うよりも、負担額が少なくなるケースも少なくありません。また、配偶者が扶養に入っている場合、配偶者については保険料の負担がないのも大きなメリットです。配偶者は、年金を受け取る年齢に達したとき、国民年金を受け取ることができます。

厚生年金は一見、会社側の負担が大きいのではないかと思われるかもしれません。しかし、実はメリットもあります。会社にとって、従業員が長く安心して働ける環境を整えることは、存続に関わる大きなポイントにもなります。

厚生年金に加入できる事業所であることが、従業員の将来に安心をもたらし、従業員の生活の質を高め健康の促進にもつながっていきます。仕事をすることへのモチベーションにも大きく影響を及ぼし、意欲的に良い仕事ができる環境になることで会社の質も高まります。

確かに、保険料の負担の面で言えば会社側の負担も発生しますが、この会社側の保険料負担については経費として認められるため、むしろメリットになるとも考えられます。

厚生年金保険の加入条件

厚生年金保険に加入するのは、条件を満たす事業所で働く会社員や公務員です。すべての会社員が厚生年金に加入できるわけではありません。加入条件について、もう少し具体的に見てみましょう。

事業所の条件

加入義務のある事業所

厚生年金保険に強制的に加入することとなる事業所のことを、強制適用事業所と呼びます。強制適用事業所にあたるのは、以下の2つのいずれかに該当する企業や組織です。

・法人事業所で常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用するもの
・常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店等の個人事業所
引用:事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構

ここに当てはまる従業員とは、1週間の労働時間や労働時間が一定以上ある人のことを指します。なお、法人の場合は、1人でも従業員がいれば強制適用事業所になります。

常時5人以上の従業員を雇っている個人の事業所でも、クリーニング業や旅館、飲食店、理容店、農業、林業などは強制適用事業所とはみなされません。2022年10月までは、法律や会計に関わる士業の個人事業所は該当しませんでしたが、今は強制適用事業所となっています。

任意で加入できる事業所

強制適用事業所に該当しなくても、条件を満たせば厚生年金保険の適用事業所になることができます。その条件とは、以下のとおりです。

・従業員の半数以上からの同意を得ること
・事業所が申請すること
・厚生労働大臣の認可を得ること

この3つの条件を全て満たすと、任意で加入することが可能です。任意適用事業所になると、それ以降は基本的に全従業員が厚生年金の加入対象者となり、加入に同意しなかった従業員も加入しなければなりません。ただし、従業員は健康保険または厚生年金保険のどちらかだけ加入することも可能です。

参照:任意適用申請の手続き|日本年金機構

被保険者の条件

加入義務のある人

厚生年金保険が適用になっている会社・組織に雇用されている70歳未満の従業員は、厚生年金への加入が必須となります。これは、任意適用事業所でも同様です。雇用契約書がなくても、常時使用されている従業員は加入義務が生じ、たとえ試用期間中でも報酬が発生している限りは加入することとなります。

加入条件に当てはまらない人

以下に該当する場合、加入条件には該当しませんが、場合によっては厚生年金の加入義務が生じる可能性もあります。

・日雇い労働者の場合
1ヶ月を超える場合は厚生年金に加入することとなります。

・2ヶ月以内の雇用契約の場合
所定の時間を超えて継続使用される場合は厚生年金に加入することとなります。

・4ヶ月以内の季節的事業または6ヶ月以内の臨時事業所で働く場合
最初からこの期間を超えて継続使用される予定の場合は初めから厚生年金に加入します。

・事業所の所在地が一定でない場合

アルバイトやパートが加入しなければならない場合

パートやアルバイトの場合、通常の従業員の所定労働時間や所定労働日数の3/4以上使用される場合、厚生年金に加入しなければなりません。

また、この要件を満たさなくても、以下に該当する場合は厚生年金に加入することとなります。

・1週間の所定労働時間が20時間以上
・雇用期間が2ヶ月以上見込まれる
・賃金が月額8.8万円以上ある
・学生ではない
・特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めている

特定適用事業所とは、1年のうち6ヶ月以上、厚生年金保険の加入条件を満たす従業員の総数が101人以上になると見込まれる企業や組織のことを指します。ここで働く人は、アルバイトやパートでも厚生年金保険の加入対象となります。2024年10月からは、被保険者数が51人以上の企業・組織において短時間労働者の社会保険加入が義務付けられることが決まっており、さらに加入要件が拡大してきています。

任意特定適用事業所とは、特定適用事業所で決められている被保険者数には達しない規模の企業・組織が、同意対象者の過半数で組織されている労働組合からの同意を得て社会保険の加入が認められるようになった事業所のことを指します。

参照:任意適用申請の手続き|日本年金機構

厚生年金の加入手続き

厚生年金保険への加入手続きは、該当する事案が発生してから5日以内に行う必要があります。手続きの流れについて確認し、速やかに対処できるように準備しましょう。必要書類は、管轄の年金事務所窓口への持参、事務センターへの郵送、電子申請で行うことが可能です。

強制適用事業所に該当する場合

強制適用事業所に該当する場合は、その事実が発生してから5日以内に、健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出する必要があります。

・法人の場合…法人(商業)登記簿謄本(コピー不可)
・個人事業所…事業主世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)

参照:新規適用の手続き|日本年金機構

任意適用事業所に該当する場合

任意適用事業所の場合は、従業員の1/2の同意を得たあと、速やかに健康保険・厚生年金保険新規適用届、任意適用申請書、任意適用同意書を提出する必要があります。また、個人事業所の場合は、事業主世帯全員の住民票(コピー不可)、公租公課の領収書(コピー可)も提出します。

参照:任意適用申請の手続き|日本年金機構

加入対象となる従業員を新たに雇い入れた場合

従業員となる者は、事業主に基礎年金通知書(年金手帳)の提出またはマイナンバーカードを提示し、事業主は被保険者資格取得届を管轄の年金事務所へ提出します。提出は、電子申請や電子媒体、郵送でも問題ありません。

参照:就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構

従業員が退職したとき

従業員が退職したときは、事業所が被保険者資格喪失届を作成し、年金事務所へ提出します。これも、郵送や電子申請でも問題ありません。

参照:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構

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まとめ

厚生年金は、従業員の将来の安心やケガ・障害への保障につながる社会保険の1つです。加入できるかどうかは従業員の数や従業員の労働日数・時間などによって異なりますが、該当になる場合は速やかな手続きを要するため注意が必要です。あらかじめ加入条件をよく確認しておくことをおすすめします。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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