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行政書士への報酬は源泉徴収不要?税理士との違い・経費処理や記帳代行まで徹底解説

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行政書士 源泉徴収

行政書士(ぎょうせいしょし)に仕事を依頼するとき、「報酬に源泉徴収は必要なの?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、行政書士に支払う報酬には原則として源泉徴収が不要です。

この点は弁護士や税理士など他の士業への支払いと異なるため、戸惑う方も多いでしょう。
本記事では、行政書士報酬が源泉徴収不要な理由を法的根拠とともにわかりやすく解説します。また、行政書士と税理士の業務範囲の違いを整理し、行政書士には確定申告の代理が依頼できない理由も確認しましょう。

さらに、行政書士に記帳代行を依頼する際の注意点や、行政書士への支払いを経費として計上する方法についても解説します。

記事の後半では、請求書発行・支払管理・帳簿作成を簡単にするクラウドサービス「INVOY」もご紹介。行政書士を目指す人・すでに開業している行政書士・中小企業の経営者まで、ぜひ最後までお読みください。

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行政書士への報酬に源泉徴収が不要な理由

行政書士への報酬には基本的に源泉徴収が不要です。これは法律で明確に定められており、他の専門士業への支払いと扱いが異なります。

所得税法第204条では、特定の専門家に支払う報酬・料金について、支払う側があらかじめ所得税を源泉徴収し、税務署に納付しなければならないと規定されています。

しかし、その規定に列挙されている職種の中に行政書士は含まれていません。弁護士や税理士への報酬は源泉徴収の対象ですが、行政書士への報酬は法律上その対象外なのです。

源泉徴収の対象となる主な士業(専門家)を見てみると、次のような職種が挙げられています

  • 弁護士(外国法事務弁護士を含む)
  • 司法書士
  • 税理士(税務相談・申告の専門家)
  • 公認会計士
  • 社会保険労務士
  • 弁理士(発明の特許手続の専門家)
  • 土地家屋調査士
  • 測量士・建築士
  • 不動産鑑定士
  • 技術士
  • ※上記のほか「これらに類する者」(政令で定められる職種)も含む

このように法律で明示的に列挙された多くの士業が源泉徴収の対象となっていますが、行政書士はそこに含まれていません。そのため、会社や個人事業主が行政書士に業務を依頼して報酬を支払う際には、支払額から所得税を天引き(源泉徴収)する必要はありません。

例えば、弁護士や税理士に10万円の報酬を支払う場合、約1万0210円(10.21%)を所得税等として源泉徴収し、差引約8万9790円を支払う必要があります。しかし、行政書士の場合は10万円をそのまま支払えば良いということです。

なぜ行政書士だけが対象外なの?と不思議に思うかもしれません。明確な公式理由は示されていませんが、行政書士の業務は官公署への提出書類の作成など「書類作成代行」が中心であり、税務や司法の専門業務とは性質が異なるためとも考えられます。

また、行政書士の報酬は一回限りの手続代行などスポット業務も多く、継続的なサービス提供による所得という色彩が薄いことも背景にあるかもしれません。

いずれにせよ法律上はっきりと除外されていますので、行政書士への支払いは契約金額どおり満額を支払い、所得税の源泉徴収は行わなくてOKです。依頼者(支払う側)にとっても、源泉徴収に関わる手間(税額の計算や納付)が省けるメリットがあります。

税理士しかできない確定申告代理 – 行政書士に依頼できない理由

税理士しかできない確定申告代理 – 行政書士に依頼できない理由

「経理も大変だし、ついでに確定申告も行政書士にお願いできないかな?」と思う方もいるかもしれません。しかし、確定申告書の作成や税務署への提出代理は行政書士には依頼できません。これは法律で定められた税理士(ぜいりし)の独占業務に該当するためです。

税理士法という法律では、税務に関する次のような業務は税理士のみ(※)が行えると規定されています

  • 顧客に代わって税金の申告を行う「税務代理」
  • 確定申告書など税務書類の作成代行
  • 税務相談に応じること

(※正確には税理士のほか、公認会計士や弁護士で税理士登録をした者も含まれます。)

つまり、お金をもらって他人の確定申告書類を作成したり提出したりすることは、税理士でなければ違法となってしまいます。行政書士は書類作成のプロですが、税務申告に関する書類作成は税理士の専属分野となるため、たとえ依頼されても対応できないのです。

なお、確定申告書の提出そのものは本人以外でも可能です。たとえば家族や社員が代理で税務署に持参して提出するといったことはできます。しかし、申告内容を検討したり書類を作成する行為は税理士以外には許されていません。

依頼する側としても、行政書士に無理にお願いしようとせず、税務の専門家である税理士に任せるようにしましょう。

行政書士の側でも、うっかり確定申告の代行を引き受けてしまうと税理士法違反となりかねません(無資格で税務業務を行えば税理士法違反として処罰の対象にもなります)。

お客様に頼まれた場合は、「それは税理士の先生にお願いしてください」と丁寧に説明する必要があります。また、行政書士としては税理士と連携して業務を分担することも大切です。

顧問先の中小企業から経理全般の相談を受けたときは、自分の担当領域(記帳代行や官公署提出書類の作成など)と税理士に任せる領域(決算書の作成や税務申告など)を分けて対応すると良いでしょう。

行政書士と税理士の業務範囲の違い

行政書士と税理士は、いずれも事業者のサポートを行う専門家ですが、その業務範囲(できること)には大きな違いがあります。簡単に言えば、行政書士は主に法律書類・手続の専門家、税理士は主に会計・税務の専門家です。

それぞれの主な業務内容をまとめると次のとおりです

行政書士の主な業務(できること)

  • 官公署(役所)に提出する許認可申請書類の作成・提出代行
  • 各種契約書や議事録、内容証明郵便などの権利義務に関する文書の作成代行
  • 行政手続に関する相談(事前準備や必要書類の案内など)

※行政書士は法律で定められた「業務独占資格」ではありませんが、行政書士でなければ作成できないと法律で定められている書類も存在します。

税理士の主な業務(できること)

  • 会社や個人事業の帳簿作成・記帳に関する指導や代行
  • 決算書や確定申告書など税務書類の作成(税理士の独占業務)
  • 法人税・所得税・消費税など税金に関する相談業務
  • 税務調査の立会いや税務署との交渉代理
  • 経営全般の財務アドバイスや節税対策の提案

このように、行政書士は事業運営に必要な各種許認可や契約など「書類手続」のプロであり、税理士はお金にまつわる「税務・会計」のプロです。

例えば、会社設立時には行政書士に定款の作成や許認可申請を依頼し、開業後の経理や税金面は税理士に任せるというように、必要に応じて使い分けると良いでしょう。

両者の役割分担を理解し、適切な専門家に依頼することで、ビジネスをスムーズに進めることができます。

また、前述のとおり税務申告は税理士にしかできないため、行政書士が関与している案件でも税理士のチェックや協力が必要になる場面があります。逆に、税理士だけでは対応できない許認可の取得や法務的な書類作成については行政書士が力を発揮します。

なお、中には行政書士と税理士の両方の資格を持つ専門家(ダブルライセンス)も存在します。そのような方に依頼すれば、一人で許認可申請から税務相談までワンストップで対応してもらえるケースもあります。

ただし、このようなダブルライセンスの士業は決して多くないため、一般的には行政書士と税理士は別々に探して依頼することになるでしょう。

お互いの専門分野を補完し合うことで、中小企業の経営者にとって心強いサポート体制が築けるでしょう。

行政書士に記帳代行を依頼するときの注意点

行政書士に記帳代行を依頼するときの注意点

経理の中でも日々の記帳作業(帳簿への取引記録)は、税理士でなくても代行が可能です。そのため、行政書士がオプションサービスとして記帳代行を受け付けているケースもあります。

実際、記帳代行そのものは税理士の独占業務ではないため、行政書士に依頼しても法律違反にはなりません。日々の仕訳入力や領収書整理程度であれば、行政書士や専門の記帳代行業者に任せることができます。

しかし、行政書士に記帳代行を依頼する際にはいくつか注意すべきポイントがあります。まず、記帳代行といっても税務相談や決算書の作成は含まれないことを理解しましょう。行政書士にできるのはあくまで日々の取引を帳簿に記録する作業までです。

記帳代行の延長で「この費用は経費になるかどうか」「節税のためにどう処理すべきか」といった税務的な判断やアドバイスを行うことは行政書士にはできません(税理士法違反となります)。

また、記帳内容をもとに決算書や申告書を作成するのも行政書士には不可です。こうした最終的な会計処理・税務処理は、必ず税理士に引き継ぐ必要があります。

したがって、行政書士に記帳代行を頼む場合は、あらかじめ税理士と連携してもらえるか確認することが大切です。例えば、行政書士が記帳したデータを年末に税理士へ引き継ぎ、税理士が決算・申告業務を行うという流れを取れば問題ありません。

行政書士と税理士がうまく役割分担して協力すれば、経営者としては日々の経理負担を減らしつつ、適切に税務申告まで完了できます。

もう一つの注意点は、行政書士によって経理スキルや使用する会計ソフトに差があることです。税理士は日常的に会計数値を扱っていますが、行政書士はメイン業務が書類作成であるため、記帳代行の経験や体制は事務所ごとに異なります。

依頼する際は、どのようなソフトやフォーマットで記帳してくれるのか、後で税理士や自社内で帳簿を引き継ぎやすい形になっているか、といった点を確認すると良いでしょう。

場合によっては、最初から税理士に経理一式を任せてしまった方が効率的なケースもあります。行政書士への記帳代行委託は、「普段の経理は行政書士にお願いし、税務申告だけ税理士に依頼したい」という場合などに選択肢となります。

自社のニーズやコストに応じて、どちらに依頼すべきか判断しましょう。

行政書士への報酬は経費にできる?仕訳と税務処理のポイント

行政書士に支払う報酬は、基本的に経費として計上することができます。事業に関連して発生した行政書士への依頼費用であれば、会社や個人事業の損金・必要経費として認められます。もちろん私的な支出や違法な目的の支出でない限り、税務上も問題なく経費算入可能です。

実際の経理処理としては、行政書士への支払いを受け取った請求書や領収書に基づき、会計帳簿に費用計上します。勘定科目は、内容に応じて「支払手数料」や「外注費」「○○費(例:開業費、登録免許税等)」など適切な科目を使いましょう。

例えば、行政書士に許認可申請手続を依頼して報酬10万円(+消費税等)を支払った場合、会計上は「支払手数料」などの科目で10万円を費用計上します(借方:支払手数料 100,000円 / 貸方:現金預金 100,000円)。

これにより、その年度の利益が10万円減るため、法人税や所得税の課税所得もその分だけ減少します。

なお、行政書士報酬には源泉徴収が不要であるため、支払い時の源泉税徴収や納付手続きも発生しません。報酬支払額の全額をそのまま経費処理すればOKです。

また、税務上も所得税法204条1項の対象外となるため、支払額が一定以上でも税務署への「報酬の支払調書」の提出は原則不要です。(※税理士や弁護士に支払う報酬では、一定額以上の場合に支払調書の提出義務がありますが、行政書士は対象外です。)

消費税の取扱いについても確認しておきましょう。行政書士から受け取る請求書には通常、報酬額に消費税が加算されています。支払側(依頼主)は、その消費税をいったん行政書士に支払い、行政書士が預かった消費税を国に納める流れです。

自社が消費税課税事業者であれば、行政書士に支払った消費税は仕入税額控除の対象となります。

ただし、2023年10月開始のインボイス制度により、行政書士が発行する請求書が適格請求書(インボイス)でない場合、支払った消費税の控除に制限が生じる点に注意してください。

(行政書士も適格請求書発行事業者の登録は可能です。心配な場合は、取引前にインボイス対応しているか確認すると安心です。)

ちなみに、会社設立前など事業開始前に行政書士へ支払った報酬については、「開業費」として資産計上し、開業後に償却することもできます。

これは任意償却の繰延資産であり、全額を支払った年度に一括で経費に落としても、数年にわたり分割して償却しても構いません。

なお、行政書士(弁護士・税理士などを含む)が報酬の受取に際し発行する領収書については、印紙税が非課税(印紙税法別表第一17号の但書)とされています。

これは事業に関して発行される領収書ではなく、士業が業務上作成する受取書とみなされるためで、収入印紙を貼付しなくても問題ありません。

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最後に、行政書士や中小企業の経理に役立つクラウドサービス「INVOY(インボイ)」をご紹介します。INVOYは、請求書の発行から受取、支払い管理、そして帳簿の作成までをワンストップで行えるオンラインプラットフォームです。

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発行した請求書の入金状況をリアルタイムで把握できます。誰からいつ入金があったか、未回収の請求書はどれか、一目で確認可能です。期日までに入金がない場合のリマインドも自動化でき、売上の入金管理がぐっと楽になります。

受け取った請求書(仕入れ)についても、INVOY上にアップロードして一覧管理できるため、支払漏れを防げます。

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経理とバックオフィス業務にかかる時間を削減し、その分クライアント対応や本業の書類作成に注力できるでしょう。

まとめ

行政書士への報酬と源泉徴収、税理士との役割の違いについて解説してきました。行政書士への支払いは源泉徴収が不要である点や、税務申告は税理士にしか依頼できない点など、押さえておくべきポイントがお分かりいただけたと思います。

行政書士と税理士それぞれの専門分野を理解し、上手に活用することで、事業運営の心強いパートナーとなってくれるでしょう。中小企業の経営者が行政書士と顧問契約を結べば、日常の許認可手続や契約書作成などにおいて継続的なサポートを受けられます。

ただし、税務面については税理士との顧問契約も並行して結び、二人三脚で経営を支えてもらうのがおすすめです。

また、行政書士に記帳代行を頼む場合の注意点として、税務処理は必ず税理士に任せる必要があることや、事前の役割分担の確認が重要であることを述べました。

行政書士への支払いは正しく経理処理すれば経費計上できますので、領収書を保管し、適切な科目で計上しましょう。

そして、請求書発行や経理業務を効率化するツールとしてINVOYをご紹介しました。デジタル技術を活用することで、行政書士も中小企業もバックオフィス業務の負担を軽減できます。ぜひ今回の内容を参考に、日々の実務や経営に役立ててみてください。

疑問や不安を解消し、行政書士との円滑な取引や業務効率化につながれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事の投稿者:

nakashima

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