請求書の基礎知識

請求書は領収書の代わりになる?重要性や領収書との違い、注意点を解説!

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請求書 領収書の代わり

書類の作成方法によっては、請求書を領収書の代わりとして扱うことも可能です。今回は請求書と領収書の違いや、書類を扱う上での注意点などについて解説します。

請求書は領収書の代わりになるの?

書類としての役割や発行するタイミングが異なるため、基本的に請求書は領収書の代わりにはなりません。本来請求書は代金の支払いを求める際に発行する書類であり、領収書は代金を受け取った際に発行する書類という違いがあります。

しかし、クレジットカード払いや銀行振込の場合は、請求書と明細書によって経理業務を行えます。この場合は明細書によって支払いを確認できるため、領収書がなくても構いません。

また「請求書兼領収書」として発行されているものや、請求書に「済」「了」などと書かれているものは、請求書・領収書の両方の役割を持ちます。

領収書代わりにする際の注意点

金銭や有価証券を受け取ったことを証明する受取書や領収書には、金額に応じた印紙税が課税されます。5万円以上の金額が記載されている場合は、印紙税を収めるための収入印紙を貼り付けましょう。「請求書兼領収書」や「済」「了」などと記載する請求書を発行する場合も同様です。

なお、紙に印刷せずにメールやシステムなどでやり取りする領収書に関しては、収入印紙を貼り付ける必要はありません。

また、店舗で買い物をして領収書が発行された場合、請求書と明細書が揃っていたとしても領収書としては使用できません。

参照:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

領収書の重要性について

領収書は代金が支払われたことの証明として、商品を提供した側から購入した側へと発行する書類です。ビジネスシーンにおいて重要な書類であり、記載する項目や保管期間などが法律で定められています。領収書の役割や重要性について整理してみましょう。

領収書の役割とは

領収書は、商品やサービスの対価となるお金が支払われたことを証明する書類です。受け取った領収書は以下をはじめとする場面で用いられます。

  • 社員が経費を請求する
  • 経理担当者が経費を計上する
  • 税務調査時に調査官が確認する

法人は受け取った領収書を原則として7年間保管しなくてはいけません。

参照:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

領収書がないとどうなる?

領収書がないと代金を支払ったことを証明できません。例えば、領収書なしで社員の経費精算ができる会社があったとしましょう。事務用品を1万円分買ったのにもかかわらず、会社には3万円分買ったと申告し、差額の2万円を自分の財布に入れるといった社員が現れるかもしれません。

また、税務調査が入った際は、過去に申告した内容が正しいものであったのかどうか調査されることになります。その際は、仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿に記載された取引が正しいことを確認するために、領収書をはじめとする書類を調査官がチェックします。領収書を適切に保管できていないと「経費を不正に計上しているのでは?」と疑われてしまうかもしれません。税金を追加で支払うことになる可能性もあることを覚えておきましょう。

請求書と領収書の違いは?

請求書と領収書は、どちらも商品を提供する側が発行する書類である点は同じですが、書類が持つ役割や、発行するタイミングが異なります。

違いについてはこちらでも解説しています。

参照:請求書は領収書の代わりに利用できる?役割の違いや扱い方を徹底解説

請求書は支払いを求めるときに使う

請求書は、商品やサービスの提供が終わっている時、その代金の支払いを求めるために発行する書類です。必ずしも請求書を発行する必要はありませんが、ビジネス上の慣習やトラブル防止といった観点から、さまざまな取引で用いられています。

領収書は支払い完了時に使う

領収書は、商品やサービスの代金が支払われた後に、それを証明する目的で発行する書類です。

民法では「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と定められています。つまり、支払いを行った側は領収書を請求する権利があります。

参照:民法 | e-Gov法令検索(第四百八十六条)

領収書と請求書の経費精算における扱いについて

領収書と請求書について、おさえておきたいポイントを2つ解説します。

請求書に「収入印紙」が必要な場合も

金銭を受け取った際の領収書には、その金額に応じた印紙税が課税されると定められています。取引の金額が5万円以上の領収書には「収入印紙」と呼ばれる証票を貼り付けなくてはなりません。

請求書は印紙税の課税対象ではないため、収入印紙を貼り付ける必要はありません。しかし、請求書であっても領収書の役割をあわせ持つものに関しては収入印紙が必要です。具体的には「請求書兼領収書」として発行されたものや、請求書に「済」「了」などと記載することで領収済であることを示しているものがあります。

なお、このような請求書であっても、メールやメッセージアプリなどを通じて電子的にやり取りを行う場合は収入印紙は必要ありません。

参照:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

原則7年間の保管義務がある

領収書は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保管しなくてはいけません。例えば、3月決算の会社は5月末までに確定申告書を提出するため、7年後の5月末まで領収書を保管する必要があります。

なお、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度は、10年間保管を行います。

また、個人事業主は青色申告であれば7年(前々年分の事業所得が300万円以下の方は5年)、白色申告であれば5年です。

参照:

No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

領収書の代わりに経費になるのは?

本項では、以下の書類が領収書の代わりとして使えるかどうかについて解説します。

  • クレジットカードの利用明細
  • 銀行の振込金受取書・預金通帳
  • 確認メールや画面キャプチャ
  • ご祝儀袋のコピーや挨拶状
  • レシート
  • 出金伝票

クレジットカードの利用明細

店舗でクレジットカードを使って支払った時、レシートと一緒にもらう「クレジット売上票」と書かれた書類です。インボイス制度における適格請求書の要件は満たしていないので、仕入税額控除(売上で生じた消費税から仕入で生じた消費税を差し引くことで、税負担を抑える制度)はできません。しかし、クレジットカードで支払った証明として、受け取った場合には保管を行います。

銀行の振込金受取書・預金通帳

銀行振込では、振込金受取書や振込明細書が発行されます。こちらも法律上は領収書と同じ扱いはできませんが、保管しておくことで、税務調査などの際に間違いなく支払いがあったことを証明しやすくなります。

確認メールや画面キャプチャ

通販サイトなどを通じて取引した際は、オンラインで発行される領収書を保存したり、領収書の画面のキャプチャをしたりすることで、領収書としての役割を果たします。しかし、納品書や注文書ではなく、あくまで領収書として発行されたものを保管するようにしましょう。

祝儀袋のコピーや挨拶状

お祝い金やパーティーの会費など、領収書が発行されない支払いもあります。お祝い金はご祝儀袋のコピー、パーティーの会費は招待状など、関連する書類などを保管しておきましょう。

レシート

レシートは領収書の代わりとして利用できます。登録番号や税率といったインボイス制度に必要な事項が記載されているレシートは、仕入税額控除を行う際にも使えます。また、購入した商品が一覧になっているため、ただ単に「お品代として」などと記載された領収書よりも、信用力が高いケースもあります。

出金伝票

現金を支払った際、その金額や日付・支払い先などをメモしておく書類を出金伝票と言います。領収書がない場合には、出金伝票を作成することでその代わりとすることもあります。

なお、出金伝票は自ら作成するものであるため、税務調査が入った際に「何に経費を使っているのかわからない」「本当に支払ったのだろうか」と思われてしまう可能性もあります。信頼性を保つために、出金伝票の作成時は支払い先や目的などを詳しく書くことをおすすめします。

経費にできるものとそうでないものの違いは?

事業に必要な支払いは経費として計上できます。例えば、よくある経費としては以下のような例が挙げられます。

  • 文房具代
  • 出張のために支払った電車代やホテル代
  • 取引先との交際費
  • 店舗やオフィスにかかる家賃、光熱費
  • 従業員に対する給与

個人事業主の場合は、事業用とプライベート用の支出が曖昧なこともあります。例えば、自分のスマホを仕事でも使っている場合や、自宅をオフィスとしている場合などです。このようなケースでは、事業用に使っている割合を計算し、その分の金額のみ経費として計上することになります。プライベートの支出や、個人にかかる社会保険料などは経費にできない点に注意しましょう。

税額控除のためには領収書が必須

仕入税額控除、及び制度の適用を受けるための条件について解説します。

関連リンク:個人事業主向けの請求書の書き方

消費税法で定められている!

課税事業者が仕入税額控除を行うためには、インボイス制度における適格請求書を保管する必要があります。適格請求書とは、以下の事項が記載された書類のことです。

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称
  • 登録番号  
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額、適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等 
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

領収書にこれらの事項が記載されていないと、その取引が仕入税額控除の対象であると認められません。仕入の際に生じた消費税を控除できないため、税負担が増す可能性があることを覚えておきましょう。

参照:適格請求書等保存方式の概要|国税庁(6ページ)

領収書がなくても税額控除が適用される条件とは?

公共交通機関の運送にかかる3万円未満の費用や、自動販売機・自動サービス機での3万円未満の商品にかかる費用は、適格請求書の交付が困難であるとして、交付義務が免除されています。

ここで言う自動販売機・自動サービス機とは、以下のような例が該当します。

  • 自動販売機での飲み物の購入
  • コインロッカー、コインランドリーの利用
  • ATMでの入出金

これらの取引についてはサービスの提供側に適格請求書を発行する義務がないため、適格請求書がなくても仕入税額控除が認められます。その際は、この特例を利用する旨を帳簿に記録しておきましょう。

参照:2交付義務の免除|国税庁

会計業務を効率化する方法

INVOYは、請求書発行や受取・支払いを行うためのプラットフォームです。会計業務に役立つさまざまな機能によって効率化をサポートします。

銀行口座と連携して入力する

INVOYで保管する書類の情報をCSVに出力し、対応する会計ソフトにアップロードすることで業務にかかる時間を短縮できます。

経営状況を把握する

請求や支出の金額をもとにグラフを作成し、経営に役立てることが可能です。

税区分を指定する

請求書を作成する際、税区分を選択することで適格請求書や従来の区分記載請求書を簡単に作成できます。

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以下のリンクからお気軽にINVOYをご利用ください。

まとめ

請求書と領収書の役割は異なりますが「請求書兼領収書」として発行されているものや「済」「了」などと記載されている請求書に関しては、請求書と領収書の両方の役割を持ちます。

クレジット売上票といったその他の書類も、保管することで支払いの記録を残すことができます。しかし、仕入税額控除を行うためには適格請求書が必要であるため、消費税が課税される課税事業者の方は、規定の項目が記載されている領収書を保管して税負担を抑えることも重要です。

この記事の投稿者:

nakashima

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