賃金台帳とは?給与明細との違いや記載方法、保管方法について徹底解説

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従業員のいる会社や個人事業主は、賃金台帳の作成が必須です。今回は、賃金台帳について、法に則った記載方法や保管方法、給与明細との違いをご紹介します。

賃金台帳とは?

賃金台帳とは、労働者の名前や性別などの基本情報や賃金の計算期間や労働日数など従業員への給与支払い状況を記載した書類のことを指します。労働基準法によって、すべての事業所に作成と保存が義務付けられている法定帳簿です。法定帳簿には他にも、「労働者名簿」と「出勤簿」があります。

いずれも労働基準監督署や年金事務所から提出を求められることがあります。会社単位ではなく、事業所単位で必要になるため、確認しておきましょう。

法定四帳簿とは

労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、年次有給休暇管理簿は、法定四帳簿と呼びます。これらは、従業員を雇用している企業はすべて作成・補完することが義務づけられています。

労働者名簿とは、従業員に関わる情報が記載した帳簿です。氏名や生年月日、履歴、性別、住所などを記載します。出勤簿は、従業員の勤怠や残業時間などについて、タイムレコーダーや労働者自らが記録した書類、残業命令書とその報告書などを指します。年次有給休暇管理簿とは、従業員に年次有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日を記載した帳簿です。

賃金台帳の保存期間

賃金台帳の保存期間は5年間です。これは、労働基準法第109条に定められています。

第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
引用:労働基準法 | e-Gov法令検索(労働基準法第109条)

ただ、この「5年」というのは、2020年4月の民法改正に伴って延長されたもので、もともとは3年という決まりでした。現在は、経過措置として労働基準法143条で「当分の間は3年」となっているため、改定されない限りは保存期間が3年でも認められます。

給与明細と賃金台帳の違いとは

賃金台帳は、従業員への給与の支払状況を記録したものだとご紹介しました。それに似た書類として、給与明細書があります。しかし、この2つの書類は、作成を義務づけている根拠となる法律が違い、記載しなければならない情報も異なります。

したがって、賃金台帳が給与明細と似ているからといって、給与明細書を賃金台帳としても併用することは難しいと言えるでしょう。具体的に、賃金台帳と給与明細の違いについて見てみましょう。

賃金台帳の根拠となる法律・記載すべき内容

賃金台帳は、労働基準法の第108条と第109条で作成や保存が義務づけられています。必須となる記載項目もこの法律によって定められており、労働時間数や時間外労働、休日労働、深夜労働などは必ず記載しなければなりません。

給与明細書の根拠となる法律・記載すべき内容

給与明細書については、所得税法第231条で、支払明細書の交付が義務付けられています。賃金台帳のように、労働時間数の記載は必須ではありませんが、健康保険法や厚生年金法、労働保険料徴収法という他の法律によって控除額や保険料の計算書として交付しなければなりません。そのため、基本給をはじめ手当てやその額、源泉徴収額、保険料などが記載され、実際に口座振込が行われる額について書かれるのが一般的です。

賃金台帳の作成義務がある事業者とは

パートやアルバイトなど就業形態に関わらず、基本的に従業員が1人でもいる場合は賃金台帳の作成が義務付けられています。ただし、日雇い労働者や管理監督者については、除外できる項目もあります。

賃金台帳の作成方法

ここからは、賃金台帳の具体的な書き方について見ていきましょう。

賃金台帳に必ず記載すべき項目と書き方

従業員の名前・性別

全ての従業員の名前と性別を記載します。社員番号などがある場合は、それも併せて記入することで、誰の帳簿かが明確にしやすくなります。

賃金の計算対象期間

日雇い労働者以外は、給与計算を行う対象期間の記入をします。給与の計算を行う締め日の設定は会社ごとに自由に決めることができますが、原則、毎月一定の期日に給与を支払うもしくは1ヶ月に最低1回以上給与を支払うことという要件に従うこととなります。

労働日数・勤務時間数

先程の賃金の計算対象期間で労働者が実際に勤務した日数と時間について記載します。これは、就業規則で定めた所定日数ではありません。有給休暇の場合は、通常の労働とみなし労働日数と労働時間に含めますが、有給であることが分かるように括弧で囲うなどして記載します。

時間外勤務時間

労働基準法で定められた法定勤務時間は、1日8時間・週40時間までとなっています。これを超えて働く場合、36協定の締結が必要です。法定労働時間を超えた労働時間は、時間外労働時間となります。

深夜・休日勤務時間

法定休日や雇用契約上の休日に出金した場合は、休日出勤となります。また、午後10時から朝の5時までは深夜勤務時間としてカウントされます。これも、時間外勤務と同様に、割増料金の支払いが義務付けられており、正確に記載する必要があります。

基本給・手当・所定時間外割増賃金

月給で働く従業員は、基本給に加え毎月定額支給される手当とともに「基本賃金」を記載します。基本賃金は、月によって変動しない給与です。時給制の従業員は、労働時間に時給を掛けた金額を基本給として記載するのが通例です。時間外手当などの割増賃金がある場合は、所定時間外割増賃金の部分に記載します。

税金や保険の控除額

社会保険料や税金など、給与から差し引かれるものについて、記載します。企業年金や欠勤による減額した給与などもここに含みます。

賃金台帳の作成

賃金台帳については、記載すべき項目が満たされており、記載のルールも守られていれば、書式については自由です。しかし、不備をなくすためにも、テンプレートを使うと安心です。厚生労働省のホームページでも、賃金台帳のテンプレートを入手することができます。常時雇用の従業員と日雇い従業員とで様式が異なるため、その点については注意しましょう。

主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省

賃金台帳の保管方法と罰則

賃金台帳の作成は、従業員を雇用する事業主の義務です。もし、不備があった場合、どのような罰則があるのでしょうか。

賃金台帳の保管方法

賃金台帳の保管は、紙だけでなく電子でも認められます。しかし、電子保管する場合は、以下の条件があることを踏まえて行いましょう。

・画面表示ができ、印刷できること
・労働基準監督官による臨検時はすぐに提出できること
・故意または間違いにより消去・書き換えがされないこと
・長期間保存できること

電子での保管は、コストの節約や保管場所の確保の問題に対処できる便利な方法ですが、確実に安全に保管できる環境を整えなければなりません。セキュリティ対策には十分に注意しましょう。

賃金台帳に関する罰則

労働基準法第120条では、賃金台帳に関する罰則規定が定められています。記入すべき項目が漏れていたり、その内容に虚偽がある場合などは、賃金台帳作成義務違反にあたり、30万円以内の罰金となるため注意しましょう。

参照:労働基準法 | e-Gov法令検索(労働基準法第120条)

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まとめ

賃金台帳は、従業員のいる事業主には必須の帳簿です。これに違反すると、罰則の対象になるため注意しましょう。賃金台帳は、給与明細書と似ている部分もありますが、根拠となる法律や必須となる記載事項が異なるため、併用することは基本的にできません。適正な賃金台帳を作成するためにも、テンプレートを活用して確実に必要事項を埋めて保管されることをおすすめします。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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