会計の基礎知識

雑費と消耗品費の使い分けについて解説!仕分け方法も紹介

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経理業務を行う上で、使い方に迷いやすい勘定科目として「雑費」があります。本記事では、雑費と消耗品費の使い分けや具体的な仕訳方法などをわかりやすく解説します。「雑費はいくらまで計上していい?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

雑費について

雑費とは会計処理や家計簿において使われる勘定科目の一種であり、適切な勘定科目が他にない場合に使用されます。少額で雑多な支出や一時的な支出などに使われることが一般的です。

法人や個人事業主が事業を営む上では、仕訳帳・現金出納帳といった帳簿を作成します。帳簿には事業で生じたお金の取引を記録する必要があり、勘定科目はそれらの取引をわかりやすく分類するために使われるものです。

勘定科目は「書籍を購入した際は新聞図書費」「電気代を支払った時は水道光熱費」などと使い分けますが、雑費はどのような時に使用するものであるのか掴みにくい傾向にあります。計上する前に、当てはまる取引や、計上時のルールなどをチェックすることが大切です。

雑費として計上するもの

雑費として計上するものとして、一般的に以下の支出が挙げられます。

・適切な勘定科目が見当たらないもの
・一時的に発生したもの
・少額のもの
・雑多なもの

前述した通り、雑費は他の勘定科目に当てはまらないものを計上します。なお、適切と思われる勘定科目が他にある場合でも、少額である場合や雑多である場合には、雑費として計上することもあります。

例として、オフィスの清掃を清掃業者に依頼した際の費用について考えてみましょう。清掃にかかった費用は外注費などとして計上することが一般的ですが、他に外注費として計上するべきものがない場合は、清掃だけのために外注費を使用する必要性を感じません。そのような理由から、清掃など一時的で少額の支出を雑費として計上することもあります。

また、以下をはじめとする支出も雑費として計上される傾向にあります。

・お守り、お札などの購入代金
・ゴミの回収費用
・キャンセル代
・解約違約金
・クレジットカードの年会費

消耗品費について

消耗品費とは、文房具や日用品などさまざまな物品に対して使用される勘定科目です。

消耗品費として計上するためには「使用可能期間が1年未満」もしくは「取得価額が10万円未満」のいずれかの条件に該当する必要があります。例えば、すぐに使い切るコピー用紙やティッシュペーパー、ガソリンなどは「使用可能期間が1年未満」に該当するため、消耗品費として計上することが可能です。

パソコンなどは長い期間使うことを前提とするため、消耗品費として計上するためには「取得価額が10万円未満」の条件に該当しなくてはいけません。10万円を超えてしまった場合は固定資産に該当し、減価償却といった特別な処理を行う必要があることを覚えておきましょう。

参照:消耗品費 | 国税庁
  :No.2100 減価償却のあらまし | 国税庁

消耗品費として計上するもの

消耗品費として計上する際の例として、以下のようなものが挙げられます。

・文房具
・コピー用紙
・ティッシュペーパー
・ガソリン
・事務机、イス
・パソコン、関連機器

前項で解説した通り、パソコンやその関連機器といった高額なものは10万円未満であることを確認してから計上しましょう。

なお、ボールペンや事務机といった事務に関わる物品に関しては「事務用品費」として計上する場合もあります。会社のルールや過去の仕訳を確認してから計上するようにしましょう。

雑費と消耗品費の限度額について

雑費には法的な限度額が設けられていません。しかし、取引を雑費として計上しすぎると事業の経営状況を把握しにくくなる点に注意が必要です。決算書には各勘定科目とそれに対する金額が記載されますが、雑費とその金額が記載されているだけでは、何にどれだけ使ったのか読み取れないためです。

また、経営状況を把握しにくくなるのは税務署にとっても同じです。「この会社は必要以上の経費を計上しているのではないか」「正しい会計処理を行っていないのではないか」などと思われてしまう可能性もあります。税務調査などで怪しまれることのないよう、雑費の計上は経費の5~10%程度に納めるといいでしょう。

同様に消耗品費も限度額が定められていないため、前述した消耗品の条件に該当するものであり、かつ事業に必要なものであれば限度なく計上できます。なお、雑費と同じく考えなく計上してしまっては経営状況を把握しにくくなるため注意しましょう。

消耗品費が多くなりすぎてしまう場合や、多様な種類の物品が消耗品費として含まれてしまう場合には、新たに専用の勘定科目を設定することも有効です。例えば、従業員の制服のクリーニングが大量に発生するようであれば「クリーニング費」といったオリジナルの勘定科目を作成し、消耗品費と区別することもできます。

以上のように雑費や消耗品費には限度額が設けられていませんが、全体の経費の金額や各勘定科目とのバランスを加味して、総合的に判断することをおすすめします。

雑費の仕訳方法

ここからは実際の仕訳方法について解説します。

・区役所にゴミの回収費用として小口現金から1,000円を支払った

借方貸方摘要
雑費 1,000小口現金 1,000ゴミ回収

発生する頻度が高くない支出は、上記のような仕訳で雑費として計上します。貸方には小口現金や普通預金など、支払の方法に応じた勘定科目を記入しましょう。

・クレジットカードの年会費として普通預金口座から税込1,100円が引き落とされた(税込方式)

借方貸方摘要
雑費 1,100普通預金 1,100○○カード年会費

クレジットカードの年会費など消費税が課税されるものに関しては、税込方式・税抜方式のどちらかを採用しているかによって対応方法が異なります。税込方式の場合には上記のように税金を含めた金額を使い、まとめて雑費として計上しましょう。

税抜方式の場合には経費と消費税を分け、消費税は「仮払消費税」として計上することとなります。

消耗品費の仕訳方法

消耗品費の具体的な仕訳方法について解説します。なお、税込方式を採用している会社であると仮定し、どれも税込金額として扱います。

・文房具屋で3,300円分のコピー用紙を現金で購入した

借方貸方摘要
消耗品費 3,300現金 3,300A文具店 コピー用紙

コピー用紙は1年未満で使い切る可能性の高いことから、 上記のように消耗品費として計上します。摘要欄には購入した店舗や内容について記載しましょう。

・家電量販店で77,000円のパソコンを現金で購入した

借方貸方摘要
消耗品費 77,000現金 77,000B電機 パソコン

パソコンは高価で長年使うものであるため、文房具などと同じ勘定科目に計上することに対して違和感を感じる方もいるかもしれません。しかし今回は10万円未満のパソコンであると仮定しているため、上記のように消耗品費として一括で経費にしましょう。

雑費と消耗品費を使い分けるポイント

重要度

事業にとって重要度の高いものは消耗品費、低いものは雑費として計上することが一般的です。

例えば、パソコンの購入は頻度が高いものではなく「ある年度にたまたま1回購入しただけ」というケースも多いでしょう。一時的に発生した支出であるという雑費の条件に当てはまっていますが、多くの事業にとってパソコンは重要度の高いものであることから、パソコンの購入代金を雑費として計上するのは違和感があります。10万円未満であれば消耗品費として計上しましょう。

また、現場で使用する工具や機械類など、それがなくては仕事ができないといったものに関しても重要度が高いと言えます。これらの経費は、少額でも雑費ではなく消耗品費として計上するといいでしょう。

金額

少額のものは雑費、それ以外のものは消耗品費として使い分けることもできます。

明確な基準が存在しているわけではありませんが、数万円以上の高額なものが雑費として計上されるのは違和感があります。2万円未満のものを雑費、2万円以上10万円未満のものをできるだけ消耗品費とするなど、ある程度の基準を設けてもいいでしょう。

本記事でも紹介した雑費の例で考えると、クレジットカードの年会費や、何らかのサービスのキャンセル代など、比較的少額と思われる経費を雑費として計上している傾向にあるとわかります。

なお、雑費と消耗品費を使い分ける方法に法的な基準が定められているわけではなく、実際に使われていることの多い考え方を例に解説しています。会社の考え方などにもよるため、参考程度として考えてください。また、会社によっては明確なルールではなく感覚的な問題として扱う場合もあるため、状況に応じた対応を心がけましょう。

雑費を使う際の注意点

雑費は便利な勘定科目ではありますが、雑費の金額が多すぎると税務署などから「これは何に使った経費なのか?」と疑われやすいものでもあります。そのため、雑費を計上する際は何に対して支払いを行なったのか、摘要に詳細を入力することが大切です。

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まとめ

雑費は明確なルールが存在しないことから、扱いに迷いやすい勘定科目と言えます。しかし多くの物品を計上できるなど他の勘定科目にない使い方ができることから、覚えておくと便利な勘定科目です。本記事などを参考に、雑費の使い方をマスターしましょう。

この記事の投稿者:

reg@olta.co.jp

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