領収書の基礎知識

領収書の送り方:郵送の方法や正しいマナー・注意点を解説

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ビジネスの場面において、取引先から領収書の郵送を頼まれる場面があります。このようなとき、どういった方法で送ればよいのでしょうか。

本記事では、領収書の郵送方法やマナー、注意点を解説します。領収書の郵送を依頼されたときにスムーズに対応できるように、基礎知識を学んでおきましょう。

領収書の郵送は可能?

結論からお伝えすると、領収書は郵送しても問題ありません。送り方に関する決まりはないため、普通郵便での郵送が可能です。

現金を送付する場合は郵便法で「現金書留」で送る必要があると定められていますが、領収書自体は現金ではないため普通郵便で送ることができます。

領収書の送り方:郵送方法

領収書の送り方:郵送方法

上で説明した通り、領収書を送付する際は普通郵便でも問題ありません。しかし金銭に関わることなので、普通郵便は避けたほうがよいと考える方も多くいます。そこで次は、普通郵便以外の領収書の送り方を3つご紹介します。

  • 簡易書留
  • レターパック
  • 特定記録

1つずつ詳しく見ていきましょう。

 簡易書留

「簡易書留」とは、引受けから配達までを追跡できる送り方です。インターネットで荷物の配達状況が確認できるため、領収書がしっかりと相手側に届いたか確認できるというメリットがあります。また受け取る際にサインもしくは受領印が必要となるので、確実に本人に渡せるのもメリットでしょう。

さらに、郵便物が破損したり届かなかったりしたときには最大5万円までの賠償を受けられます。追跡機能を利用したい方や万が一に備えて補償額を設定しておきたい方におすすめの郵送方法です。

参照:書留 | 日本郵便株式会社

 レターパック

「レターパック」も、簡易書留と同様に追跡サービスで配達状況を確認できる送り方のひとつです。A4サイズの書類を送付するのに適しており、日本全国一律の料金が設定されています。

レターパックには「レターパックプラス」と「レターパックライト」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

レターパックプラスレターパックライト
料金全国一律600円全国一律420円
配達方法対面での配達サインもしくは受領印が必要郵便受けへの投函サイン・受領印が不要

参照:レターパック | 日本郵便株式会社

特定記録

「特定記録」とは、郵便物やゆうメールの引受けを記録するサービスです。引受けの記録として受領証が発行されるため、郵便物を差し出した記録を残したい場合におすすめの送り方です。先にご紹介した簡易書留やレターパック同様に、追跡機能で配達状況の確認もできます。

そして何よりも、基本料金+210円で利用できるのがメリットでしょう。領収書のみの送付であれば、簡易書留やレターパックに比べて安く送れるのが特徴です。

参照:特定記録 | 日本郵便株式会社

領収書の郵送NGな方法

領収書を宅配便で送ることは、郵便法第4条で禁止されています。その理由は、領収書が「信書」に当たるからです。信書とは領収書をはじめとした請求書の類、証明書、ダイレクトメールなどが該当します。

そのため、信書と定められているものは宅配便で送ってはいけません。信書に該当する領収書も宅配便で送ると法律違反となる可能性があるため、宅配便で領収書を送ることのないよう注意しましょう。

参照:郵便法 | e-Gov 法令検索

領収書の送り方:封筒の書き方

領収書の送り方:封筒の書き方

続いては、領収書の送り方や封筒の書き方、マナーをご紹介します。

関連リンク:宛名なし・あり領収書の正しい書き方を解説!【見本付き】訂正方法や注意点もご紹介

住所

縦書き横書き
郵便番号枠内に記載枠がない場合は右上枠内に記載枠がない場合は左上
住所郵便番号枠から1文字分ほど下げて書く丁目や番地は漢数字左から2文字分ほど空けて書く丁目や番地は英数字

縦書きや横書きに関わらず、郵便番号を記載する枠があれば枠内に郵便番号を記載します。なければ、縦書きの場合は封筒の右上に書きましょう。住所は郵便番号枠から1文字分下げた位置から書き始めます。丁目や番地は漢数字で記入し、建物名や階数も正式に記入しましょう。

横書きの場合は、左上に送付先の郵便番号を記載します。住所は左から2文字分ほど空けて書き始め、縦書きの場合とは異なり数字は英数字を採用します。しかし建物名や階数は縦書き同様、省略せず正式に書きましょう。

会社名・個人名

会社名や個人名を書く場合は、個人名が封筒の中央に来るように調整して記入します。所属部署名や役職なども記載する必要があるので、順番に解説していきます。ちなみに会社名や個人名の記入方法は、縦書き・横書き共に同じです。

順番項目
1行目会社名株式会社○○
2行目部署名営業部
3行目役職名部長
4行目個人名△△ 様

基本的には上記の書き方ですが、会社名や部署名が短い場合は1行にまとめても構いません。1行目に会社名→部署名を記入するとよいでしょう。また役職名も個人名の上に書いても問題ありません。4文字までの役職であれば、「部長 △△ 様」と封筒の中央に書きます。会社名や名前を間違えると失礼にあたるので、誤字脱字がないか確認しながら丁寧に記入しましょう。

敬称

会社名や個人名を正しく記入するのはもちろんですが、敬称の使い方にも注意が必要です。特によく見かける「様」と「御中」は、しっかりと使い分けられるようにしておきましょう。

  • 様:個人への敬称(△△様)
  • 御中:企業や部署など組織への敬称(株式会社○○ 御中、株式会社○○ 営業部 御中)

ここで大切なのは、「様」と「御中」は併用しないことです。宛名に会社名や部署名が入っていても、個人宛である場合は「様」を選択します。

  • 正)株式会社○○ 部長 △△ 様
  • 誤)株式会社○○ 部長 △△ 御中
  • 誤)株式会社○○ 部長 御中 △△ 様

部署名はわかるが担当者の名前がわからない場合は、「株式会社○○ 営業部 ご担当者様」と記載します。敬称の使い分けや正しい位置を理解し、適切に記入しましょう。

領収書在中

領収書が同封されていることがわかるように、封筒の表面に「領収書在中」と記載することがあります。必須ではありませんが、受け取った相手が何の書類か把握しやすいので、記載しておくと親切でしょう。

また、記載する場所に関しては特に決まりはありません。しかし縦書きの場合は封筒の左下に、横書きの場合は右下に記載するのが一般的です。封筒の色にもよりますが、文字の色は目立つように青色が好ましいです。

裏面

封筒の裏面には、差出人の情報を記載します。記載する項目と書き方を表にまとめました。

項目縦書き横書き
封かん日・左上に縦書きで記載する・左上に横書きで記載する
郵便番号・枠内に記載する
・枠がない場合は封筒の中央に記載する
住所・郵便番号の下に記載する
会社名、部署名、役職名、個人名・住所よりも名前を大きく記入する
・住所と文字の終わりを揃える
封字・封筒を綴じた箇所に「〆」をつける

基本的には表面に記載する内容と同じですが、封かん日と封字の記載が裏面の特徴です。封かん日は「8/30」ではなく「8月30日」と記載しましょう。また封字は「〆」のほかに「締」や「封」も一般的に使われます。領収書の送付であれば、「〆」と書いておくと間違いないでしょう。

領収書の送り方:送付状の作り方

領収書の送り方:送付状の作り方

次は、領収書の送り方を解説します。領収書を送る際は、送付状と呼ばれる挨拶文を同封するのがマナーとされています。領収書のみを送付すると失礼に当たる可能性があるため注意しておきましょう。

関連リンク:送付状のテンプレート(個人宛てもあり)書き方もわかりやすく解説

送付状の書き方

送付状に記載する項目は、次の6つです。

  1. 送付日:書類を送付する日付
  2. 宛先:企業名、部署名、役職名、個人名
  3. 件名:「領収書送付のご案内」など送付状のタイトル
  4. 挨拶や書類同封の旨:時候の挨拶や感謝の言葉、書類同封の旨
  5. 同封書類の内容と枚数:書類の内容と枚数
  6. 差出人:企業名、住所、電話番号、メールアドレス、担当者名
  • 送付日

送付状の右上に、書類を送付する日付を記入します。

  • 宛先

企業名や部署名、役職名、個人名を送付状の左上に書きます。

例)株式会社○○ 営業部 部長 △△様

  • 件名

何の書類が同封されているか一目でわかるように、「領収書送付のご案内」や「領収書送付のお知らせ」といったタイトルを書きます。本文よりも大きめの文字で記入すると見やすいです。

  • 挨拶や書類同封の旨

タイトルの下には、時候の挨拶や感謝の言葉を記載します。

頭語の「拝啓」から始まり日頃の感謝の言葉を伝えた後、入金のお礼、領収書を同封している旨を書きましょう。

最後は結語として「敬具」と書きます。

  • 同封書類の内容と枚数

本文の後、同封されている書類の内容と枚数を箇条書きで伝えます。

箇条書きの前と後ろには「記」と「以上」を付けることも忘れないでおきましょう。

  • 差出人

封筒の書き方では裏面に記載した差出人の情報を、送付状では右下に記入します。

一般的には企業名や住所、電話番号、メールアドレス、担当者名を書くとよいでしょう。

送付状の例

上でお伝えした項目をもとに、送付状の例を見てみます。

送付状の例_receipt

領収書の送り方:封筒のマナー

領収書の送り方:封筒のマナー

ここからは、領収書の送り方に関する封筒のマナーを見ていきましょう。

  • 封筒を折る場合は三つ折り
  • 長形3号か角形2号を使用
  • 封筒のいれ方・向き

1つずつ詳しく解説していきます。

折る場合は三つ折りで(開くと書類の上側が見えるように)

まず領収書や送付状を折って封筒に入れる場合、三つ折りにするのがマナーです。書類の下側から3分の1ほど折り、その後上側を折りたたみます。こうすることで、相手が書類を開いたときに上側が見えるようになり、書類の内容をスムーズに読んでもらうことが可能になります。

長形3号か角形2号を使う

ビジネスの場面において領収書を送る際は、長形3号もしくは角形2号のどちらかの封筒を選択しましょう。

  • 長形3号:A4サイズの書類を三つ折りにしたときにちょうど入る封筒
  • 角形2号:A4サイズの書類がそのまま入る封筒

上記の2つのサイズの封筒であれば、どちらに入れて送付しても問題ありません。また、封筒の色は、黒や青色で書いた「領収書在中」という文字が見えやすいように、白または薄い青色の封筒を選ぶのが適切です。赤色の封筒は「赤字」(支出が収入を上回る状態)を連想させるため、避けましょう。

封筒の入れ方・向き

封筒の入れ方や向きに注意を払うのもビジネスマナーです。基本的に封筒は裏から開けて中身を取り出すため、取り出す際に書類の表面が手前になっていると開きやすいでしょう。

また書類の書き出しが最初に目に入るほうが読みやすいので、裏側から見て書き出しが右上に来るように封筒に入れるのが基本です。

領収書を郵送する際に注意すべきポイント

領収書を郵送する際に注意すべきポイント

最後は、領収書を郵送する際に注意すべきポイントを5つご紹介します。

  • 領収書の控えを保管する
  • 会社宛の場合は部署・担当者まで記入する
  • 切手の料金に注意する
  • クリスタルパックを使用する
  • 郵送後に連絡を入れる

領収書の控えを保管する

領収書の控えは、原則7年間の保管が法律で定められています。そのため相手に領収書を送った後、確定申告書の提出期限の翌日から7年間は必ず領収書の控えを保存しておきましょう。

ただし、青色繰越欠損金が生じた事業年度や白色申告をした年度に災害損失金額が生じた場合は、10年間の保管が必要です。

参照:No.5930 帳簿書類等の保存期間 | 国税庁

会社宛ての場合は、部署・担当者まで記入

「領収書の送り方:封筒の書き方」の部分でもお伝えしましたが、会社宛に領収書を郵送する場合は部署名や担当者名まで記載するようにしましょう。部署名や個人名が抜けていると、領収書が担当者に渡るまで時間がかかってしまう可能性があるためです。

担当者の名前がわからない場合は、部署名まで記入して「ご担当者様」とします。領収書の郵送後、確認の連絡を入れる際にも部署名と個人名がわかるとスムーズにやり取りできるので、可能な限り記載しておきましょう。

切手の料金

書類の重さによって切手の料金が異なる点にも注意が必要です。切手の料金が不足していた場合、差出人に返却されるか受取人が差額を負担するかのどちらかになります。

戻ってきたときは不足分の切手を貼りなおして再度郵送すればよいですが、二度手間になり到着までに時間がかかってしまいます。また相手側が負担することになると、非常に迷惑をかけてしまいます。郵送する前は重さを量り、必ず不足がないように切手を用意しましょう。

参照:2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります。 | 日本郵便

クリスタルパックを使用

クリスタルパック(OPP袋)とは、防湿性や耐水性がある薄い透明フィルムのことです。雨の日に封筒が濡れて中身の領収書が汚れるとよくないため、クリスタルパックに入れるなどの工夫をするのがおすすめです。さまざまなサイズがあり封筒に合うクリスタルパックが販売されています。領収書は金銭に関わる重要なものなので、ぜひ活用してみてください。

郵送後に連絡

領収書の郵送を終えたら、郵送完了の連絡を入れることも1つのポイントです。連絡を1本入れることで相手側を待たせる心配もなく、スムーズなやり取りが可能になります。

連絡方法はメールがおすすめです。電話でも問題ありませんが、領収書が紛失したなどの万が一に備えて文章で残しておくと、トラブルになるリスクを回避できます。郵送した日付や郵送方法を記載してメールで伝えるとよいでしょう。

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まとめ

今回は、領収書を郵送する方法やマナー、注意点を解説しました。領収書は普通郵便で送ることが可能ですが、あまりおすすめの方法ではありません。簡易書類やレターパック、特定記録で郵送するのが好ましいでしょう。

さらに送り方にも注意が必要です。封筒に書く内容は間違えないように丁寧に記入し、マナーとして送付状の同封も忘れないようにしましょう。領収書を送る際は切手の料金を必ず確認し、郵送後に連絡を入れることをおすすめします。また法律に則って領収書の控えは必ず保管しておきましょう。

この記事の投稿者:

nakashima

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