請求書の基礎知識

中間金請求書の書き方とは?インボイス制度・源泉徴収についても解説

公開日:

中間金 請求書 書き方

プロフェッショナルとして認められ、報酬が期日通りに支払われる。その結果生まれる安定したキャッシュフローにより、あなたは本来のクリエイティブな仕事に集中し、ビジネスをさらに成長させることができる。

そのような理想の未来を想像してみてください。中間金の請求書を正しく作成するスキルは、その未来を実現するための強力な武器となり得ます。

請求書作成は、一部の特別な専門家だけができることではありません。多くのフリーランスや小規模事業主が、請求書作成の要点を理解し、かつてはストレスの原因だった請求業務を、クライアントとの信頼関係を築くための重要なツールへと変えています。

中間金の意味、インボイス制度、そして源泉徴収。この3つの柱を正確に理解するだけで、あなたのビジネスは大きく変わるでしょう。

「税金のことは複雑で、もし間違えたらどうしよう」という不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。この記事は、まさにそのような方のために執筆されました。

専門用語を一つひとつ丁寧に解き明かし、具体的な記載例を交えながら、誰でも完璧な請求書を作成できる手順を解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って、プロフェッショナルとしての中間金請求書を作成できるようになっているはずです

そもそも中間金とは?基本を改めて解説

請求書の書き方を学ぶ前に、まずは「中間金」そのものを正確に理解することが不可欠です。この基本を曖昧にしたままでは、クライアントとの間に認識のずれが生じ、予期せぬトラブルにつながる可能性があります。ここでは、中間金の役割から関連用語との違いまで、基礎となる知識を整理します。

中間金の役割と目的

中間金とは、プロジェクトや契約の途中で、代金の一部として支払われる金銭を指します。特に、住宅建築やシステム開発、コンサルティングといった、長期間にわたるプロジェクトで用いられることが多い支払い方法です。

発注者であるクライアントにとっては、一度に全額を支払う金銭的な負担を軽減できるというメリットがあります。一方、受注者である事業者にとっては、プロジェクト進行中の運転資金を確保するという、極めて重要な役割を果たします。

たとえば注文住宅の建築では、工事の骨組みが完成する「上棟」のタイミングで、総工費の30%から40%程度が中間金として支払われるのが一般的です。受注者である住宅会社は、この中間金を用いて資材の購入費や職人への人件費を支払います。

もし中間金の支払いが滞れば、工事が中断してしまう可能性も否定できません。このように、中間金はプロジェクトを円滑に進めるための生命線といえるのです。

M&A(企業の合併・買収)の世界でも中間金という言葉は使われますが、これは仲介会社に支払う手数料の一部を指す場合がほとんどです。基本合意契約が締結された段階などで支払われ、売り手と買い手双方の真剣度を高め、安易な契約離脱を防ぐ効果も期待されます。

「手付金」「着工金」「残金」との明確な違い

プロジェクトの支払いにおいては、中間金以外にもいくつかの名目で金銭がやり取りされます。これらの用語を混同すると、いつ、いくら支払うべきかという認識がずれ、トラブルの原因となります。それぞれの違いを明確に理解しておきましょう。

  • 手付金
    契約を締結した証として、契約時に買主から売主へ支払われるお金です。契約の履行を担保する役割があります。
  • 着工金
    工事やプロジェクトを開始する直前に支払われるお金です。一般的に総費用の30%程度が目安とされます。受注者はこの資金で、本格的な作業開始に向けた準備を進めます。
  • 中間金
    プロジェクトが一定の段階まで進んだ時点(中間地点)で支払われるお金です。これも総費用の30%程度が目安です。
  • 最終金・残金
    すべての作業が完了し、成果物を引き渡す際に支払われるお金です。総費用から、すでに支払われた手付金、着工金、中間金を差し引いた残りの全額がこれにあたります。

このように、支払いはプロジェクトの進捗に合わせて分割されるのが一般的です。どのタイミングで、どの程度の割合を支払うかは契約によって異なるため、必ず契約書で詳細を確認することが重要です。

注意すべき「中間マージン」との混同

ここで一つ、非常に重要な注意点があります。それは「中間金」と「中間マージン」を絶対に混同しないことです。この二つの言葉は響きが似ていますが、意味は全く異なります。

中間金は、プロジェクトの代金の一部を、契約の途中で支払うものです。一方で中間マージンとは、元請け業者が下請け業者に仕事を発注する際に発生する「紹介料」や「仲介手数料」を指します。

中間マージンは、発注者であるクライアントが直接目にすることは少ない費用ですが、最終的な工事費やプロジェクト費用には含まれています。たとえば、大手ハウスメーカーに外壁塗装を依頼した場合、実際に施工を行うのは下請けの塗装専門業者です。

このとき、ハウスメーカーは下請け業者への発注管理などの名目で、工事費から一定の割合を中間マージンとして受け取ります。

この言葉の誤用は、クライアントに不信感を抱かせる原因になりかねません。あなたがプロジェクトの途中で必要な支払いを「中間マージンを請求します」と伝えてしまったら、クライアントは「なぜ仲介手数料を払う必要があるのか」と誤解し、信頼関係を損なう可能性があります。

請求するのは、あくまでプロジェクトの対価の一部である「中間金」です。言葉を正確に使い分けることは、プロフェッショナルとしての信頼を保つ上で非常に大切です。

テンプレート付 中間金請求書の完璧な書き方と必須項目

中間金の基本を理解したところで、いよいよ請求書の具体的な書き方に進みます。請求書は、単にお金を請求するだけの書類ではありません。あなたの仕事の正確さやプロ意識を伝える「顔」としての役割も担っています。ここでは、誰が見ても分かりやすく、法的に有効な請求書を作成するための必須項目と記載例を解説します。

請求書の基本構成要素

まず、どのような請求書にも共通する基本的な項目から確認しましょう。これらの項目が一つでも欠けていると、経理処理が滞ったり、正式な書類として認められなかったりする可能性があります。

項目内容記載例
宛名取引先の正式名称を記載します。会社名の場合は「御中」、個人の場合は「様」をつけます。株式会社〇〇 御中
請求書番号あなたが管理しやすい任意の番号をつけます。プロジェクト名と日付を組み合わせるなど、ルール化すると便利です。INV-202509-001
発行日請求書を作成・発行した日付を記載します。取引先の締め日に合わせるのが一般的です。2025年9月20日
発行者情報あなたの氏名または屋号、住所、電話番号などを記載します。〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3<br>〇〇デザイン 鈴木一郎<br>TEL: 090-1234-5678
取引年月日実際にサービスを提供した日や、納品した日を記載します。中間金の場合は、契約で定められたマイルストーンの達成日などが該当します。2025年9月15日

これらの項目を請求書の上部に分かりやすく配置するのが基本です。特に請求書番号は、後日問い合わせがあった際に、どの取引について話しているのかを迅速に特定するために不可欠です。

明細の書き方のコツ

請求書の心臓部ともいえるのが「明細」欄です。この部分が曖昧だと、クライアントは何に対して支払いを行うのかが分からず、支払いをためらってしまうかもしれません。

例えば、「コンサルティング費用として」という記載では不十分です。「〇〇プロジェクト 中間金(ワイヤーフレーム制作完了分)」のように、具体的に記載することが重要です。

ポイントは、「誰が読んでも」「何の対価なのか」が明確に分かるように書くことです。プロジェクト名、支払いの名目(中間金であること)、そしてどの作業フェーズに対する支払いなのかを明記しましょう。これにより、請求内容の透明性が高まり、クライアントは安心して支払い手続きに進むことができます。

金額表記のルール

金額は、請求書の中で最も重要な情報です。間違いがないことはもちろん、改ざんを防ぎ、内訳が明確に分かるように記載する必要があります。

金額を記載する際は、3桁ごとにカンマを打ち、「500,000」のように表記することで桁数が分かりやすくなります。また、改ざんを防止するために、金額の前に「¥」マーク、後ろに「-」や「也」をつけるのが一般的です(例: ¥550,000-)。

さらに、金額の内訳として、「小計(税抜金額)」「消費税」「合計金額」をそれぞれ分けて記載します。これにより、経理処理がスムーズになります。

  • 小計: ¥500,000
  • 消費税(10%): ¥50,000
  • 合計金額: ¥550,000

このように内訳を明確にすることは、後述するインボイス制度や源泉徴収の計算においても非常に重要になります。

振込先と支払期限の明記

請求内容が完璧でも、振込先が分からなければ支払いは行われません。また、支払期限がなければ、いつまでに支払われるか分からず、あなたの資金計画に影響を及ぼします。

振込先情報として、銀行名、支店名、預金種別(普通・当座など)、口座番号、口座名義(カタカナでフルネーム)を正確に記載します。

支払期限は、契約時に取り決めた支払サイト(例:月末締め翌月末払い)に基づき、「〇年〇月〇日までにお支払いをお願いいたします」と明確な日付を記載します。これらの情報を請求書の下部に「お振込先」「お支払期限」といった見出しをつけて記載しましょう。振込手数料をどちらが負担するのか(例:「恐れ入りますが、振込手数料は貴社にてご負担いただけますようお願い申し上げます」)を一言添えておくと、より丁寧な印象を与えます。

インボイス制度(適格請求書)の対応について

インボイス制度(適格請求書)の対応について

2023年10月1日から施行されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、特に事業者間の取引に大きな影響を与えています。この制度を理解しているかどうかは、ビジネスの継続性にも関わる重要な問題です。ここでは、インボイス制度の基本から、請求書に具体的に何を追加すべきかまでを分かりやすく解説します。

インボイス制度とは何か?なぜ対応が必要なのか?

インボイス制度とは、簡潔に言うと「消費税の計算をより正確にするための新しいルール」です。この制度の核心は「仕入税額控除」という仕組みにあります。事業者は、商品を販売したりサービスを提供したりした際に顧客から預かった消費税を国に納めます。

しかし、その際に自身が仕入れや経費で支払った消費税分を差し引くことができます。この差し引きが「仕入税額控除」です。

インボイス制度の開始後、あなたの取引先(買手側)がこの仕入税額控除を受けるためには、あなた(売手側)が発行した「適格請求書(インボイス)」が必要になりました。もしあなたがインボイスを発行できなければ、取引先はあなたに支払った消費税分を控除できず、結果として税負担が増えてしまいます。

これがなぜ重要かというと、取引先は税負担を避けるために、「インボイスを発行できる事業者」と優先的に取引したいと考えるようになるからです。つまり、インボイス制度への対応は、単なる事務手続きの変更ではなく、取引先から選ばれ続けるための重要なビジネス戦略そのものなのです。

適格請求書に必ず追加すべき項目

適格請求書(インボイス)を発行するためには、前章で解説した基本的な請求書の項目に加えて、以下の三つの情報を追加する必要があります。

  1. 登録番号
    税務署に申請して取得する「T」から始まる13桁の番号です。これが、あなたが適格請求書発行事業者であることの証明になります。
  2. 適用税率
    取引内容ごとに、消費税率が10%なのか、軽減税率の8%なのかを明記します。
  3. 税率ごとに区分した消費税額等
    10%対象の取引の消費税額と、8%対象の取引の消費税額を、それぞれ分けて合計額を記載します。

例えば、標準税率10%の商品と軽減税率8%の商品を同時に請求する場合、以下のように記載します。

(明細)

  • 商品A (10%対象): ¥10,000
  • 商品B (8%対象): ¥5,000

10%対象合計 ¥10,000 (消費税額 ¥1,000)

8%対象合計 ¥5,000 (消費税額 ¥400)

合計金額 ¥16,400

この三つの項目が追加されて初めて、その請求書は「適格請求書(インボイス)」として法的に認められます。

免税事業者が知っておくべきこと

ここで重要なのは、適格請求書を発行できるのは、税務署に登録申請を行った「適格請求書発行事業者」に限られるという点です。そして、この登録ができるのは「課税事業者」だけです。これまで年間の課税売上高が1,000万円以下で消費税の納税を免除されていた「免税事業者」は、原則として適格請求書を発行できません。

免税事業者のままでは、取引先が仕入税額控除を受けられないため、取引を敬遠されたり、消費税分の値引きを要求されたりする可能性があります。そのため、多くの免税事業者が、取引を維持するために自ら課税事業者となり、適格請求書発行事業者として登録する道を選んでいます。

これは、あなたのビジネスの状況や主要な取引先との関係性を考慮して判断すべき重要な経営判断です。インボイス制度への対応は、請求書の書式を変えるだけの話ではなく、事業のあり方そのものを見直すきっかけになるといえるでしょう。

フリーランス・個人事業主必見 源泉徴収と消費税の計算・記載方法

フリーランスや個人事業主が請求書を作成する上で、インボイス制度と並んで混乱しやすいのが「源泉徴収」です。特に、消費税と源泉徴収税額が絡む計算は間違いが起きやすいポイントです。ここでは、正しい計算方法と請求書への記載方法を、具体的な例を挙げて解説します。

源泉徴収の対象となる報酬とは

源泉徴収とは、報酬を支払う側(クライアント)が、支払う金額からあらかじめ所得税などを天引きし、本人に代わって国に納税する制度です。

すべての報酬が対象になるわけではなく、所得税法で定められた特定の業務に対する報酬が対象となります。フリーランスで多いのは以下のような業務です。

  • 原稿料、デザイン料、講演料
  • 弁護士、公認会計士、税理士などへの報酬
  • プロスポーツ選手、モデル、外交員などへの報酬

自身が提供しているサービスが源泉徴収の対象になるか不明な場合は、国税庁のウェブサイトで確認するか、税務署や税理士に相談することをお勧めします。

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収される税額は、支払われる報酬の金額によって計算方法が異なります。税率は所得税と復興特別所得税を合わせたものです。

  • 支払金額が100万円以下の場合
    源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%
  • 支払金額が100万円を超える場合
    源泉徴収税額 = (支払金額 – 100万円) × 20.42% + 102,100円

例えば、報酬が30万円の場合は、「300,000円 × 10.21% = 30,630円」が源泉徴収税額となります。

請求書への源泉徴収額の書き方

ここが最も重要なポイントです。源泉徴収税額を計算する際の「支払金額」には、消費税を含める場合と含めない場合があります。そして、それはあなたの請求書の書き方によって決まります。原則として、報酬額と消費税額が明確に区分されていない場合、消費税込みの金額が源泉徴収の対象となります。

しかし、請求書で報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、例外として、消費税抜きの報酬額のみを源泉徴収の対象とすることができます。この違いが、あなたの手取り額に直接影響します。具体的な例で見てみましょう。

【例】報酬10万円(税抜)の請求書を作成する場合

不適切な記載例として、報酬額と消費税額を分けていないケースが挙げられます。「ご請求額 ¥110,000(税込)」とだけ記載した場合、源泉徴収税額は税込の11万円に対して計算されます。計算式は「110,000円 × 10.21% = 11,231円(1円未満切り捨て)」となり、手取り額は「110,000円 – 11,231円 = 98,769円」です。

一方で、報酬額と消費税額を明確に分けて記載するのが適切な方法です。

  • 小計(報酬額): ¥100,000
  • 消費税(10%): ¥10,000
  • 合計: ¥110,000
  • 源泉徴収税額: -¥10,210
  • ご請求金額: ¥99,790

この場合、源泉徴収税額は税抜の10万円に対して計算されます。計算式は「100,000円 × 10.21% = 10,210円」となり、実際に振り込まれる金額は「110,000円 – 10,210円 = 99,790円」です。

ご覧の通り、請求書の書き方を工夫するだけで、手取り額に1,021円の差が生まれます。もちろん、源泉徴収はあくまで所得税の前払いですから、確定申告で最終的な税額は精算されます。

しかし、日々の運転資金が重要なフリーランスにとって、目先のキャッシュフローを改善する上で、この知識は非常に有効です。請求書には必ず、報酬額と消費税額を分けて記載する習慣をつけましょう。

トラブルを未然に防ぐ契約と支払い条件の定め方

トラブルを未然に防ぐ契約と支払い条件の定め方

完璧な請求書を作成しても、その支払いが遅れたり、金額について意見の相違が生じたりしては意味がありません。実は、請求に関するトラブルの多くは、請求書を送る前の段階、つまり契約時に原因があります。ここでは、請求書をスムーズに回収し、健全な取引関係を築くための契約のポイントを解説します。

契約書に明記すべき支払い条件

請求書は、契約内容を実行するための一つの手続きに過ぎません。その大元となる契約書が曖昧であれば、請求の根拠も揺らいでしまいます。中間金の支払いトラブルを防ぐために、契約書には以下の支払い条件を必ず、そして明確に記載しましょう。

  • 支払総額
    プロジェクト全体の報酬額を明記します。「〇〇円(消費税別)」のように、税抜か税込かもはっきりさせます。
  • 支払いの分割方法とタイミング
    「いつ、いくら支払うのか」を具体的に定めます。「プロジェクトの途中で中間金を支払う」といった曖昧な表現は避け、「本契約締結後5営業日以内に着手金として金30万円、ワイヤーフレームの検収完了後5営業日以内に中間金として金30万円、最終納品物の検収完了後5営業日以内に残金40万円を、それぞれ支払う」のように具体的に記載します。
  • 支払方法
    「甲(発注者)が指定する銀行口座への振込にて支払う」など、支払い手段を特定します。振込手数料の負担についても記載しておくと親切です。
  • 支払期日
    「請求書受領月の末日締め、翌月末払い」など、具体的な支払サイトを定めます。

これらの条件を事前に双方で合意し、書面に残しておくことが、あらゆるトラブルに対する最も有効な予防策です。請求書は、この契約書という「脚本」に基づいて発行される「指示書」なのです。脚本がしっかりしていれば、指示書で揉めることはありません。

支払遅延を防ぐためのコミュニケーション

契約書を整えるだけでなく、日々のコミュニケーションも支払遅延を防ぐ上で重要です。中間金の支払い時期が近づいてきたら、「来週、〇〇の工程が完了予定ですので、その後、中間金のご請求書をお送りします」といった形で事前に連絡を入れておくと、相手方も準備がしやすくなります。

請求書を送付したら、「本日、中間金のご請求書をメールにてお送りいたしましたので、ご確認のほどよろしくお願いいたします」と一報を入れましょう。これにより、請求書の見落としを防ぎます。支払期日の数日前に、「〇月〇日期日の請求書の件、お支払いの準備状況はいかがでしょうか」と丁寧なリマインドを送るのも有効な場合があります。

また、契約書に「支払いが期日より遅れた場合、年率〇%の遅延損害金を請求できる」という一文(遅延損害金条項)を加えておくだけでも、支払いを促す心理的な効果が期待できます。

もし支払いが遅れた場合の対処法

どんなに準備をしても、支払いが遅れてしまうことはあり得ます。その際は、感情的にならず、冷静に、段階的に対応することが重要です。

事実確認と丁寧な催促

まずはメールや電話で、「〇月〇日期日の請求書のお支払いが確認できておりませんが、状況はいかがでしょうか」と確認します。単なる失念や経理上の手続きミスであることも多いため、最初は柔らかい口調で問い合わせましょう。

書面での催促

それでも支払いがない場合は、催促状を送付します。いつ、何の代金が、いくら未払いであるかを明確に記載し、再度支払いを要請します。

内容証明郵便の送付

複数回の催促にも応じない場合は、「内容証明郵便」を利用します。これは、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に差し出されたかを日本郵便が証明する制度です。法的な措置を検討しているという強い意思表示となり、相手方にプレッシャーを与えることができます。

専門家への相談

ここまでしても解決しない場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。少額であれば、裁判外紛争解決手続(ADR)などを利用する方法もあります。重要なのは、契約書、メールのやり取り、催促の記録など、すべての証拠を時系列で整理しておくことです。これらは、万が一法的な手続きに進んだ際に、あなたの主張を裏付ける重要な資料となります。

まとめ 

中間金の請求書作成は、単なる事務作業ではありません。あなたのビジネスの健全なキャッシュフローを支え、クライアントとの信頼関係を構築するための重要なコミュニケーションツールです。この記事で解説した要点を最後に再確認しましょう。

  • 基本の理解
    「中間金」はプロジェクトを円滑に進めるための重要な資金です。手付金や着工金との違いを理解し、「中間マージン」と混同しないよう、言葉を正確に使いましょう。
  • 完璧な書式
    請求書には、宛名、発行日、請求書番号、明細、金額、振込先、支払期限など、必須項目を漏れなく記載します。誰が見ても分かりやすい、明確な請求書を心がけましょう。
  • インボイス制度への対応
    適格請求書発行事業者として登録番号を記載し、適用税率と税率ごとの消費税額を明記することは、もはやビジネスの標準です。これは取引先から選ばれ続けるための戦略でもあります。
  • 源泉徴収の正しい知識
    請求書で報酬額と消費税額を明確に分けることで、源泉徴収の対象を税抜きの報酬額のみにできます。これはあなたの手元に残るキャッシュを最大化する重要なテクニックです。
  • 契約こそが土台
    すべての請求は契約に基づきます。支払い条件を契約書に明確に定めることが、トラブルを未然に防ぐ最も確実な方法です。

これらの知識を実践することで、あなたの請求書は「お金をください」という要求書から、「プロフェッショナルな仕事の対価です」という信頼の証へと変わります。自信を持って請求書を作成し、あなたのビジネスをさらに発展させていきましょう。

この記事の投稿者:

hasegawa

請求書の基礎知識の関連記事

請求書の基礎知識の一覧を見る

\1分でかんたんに請求書を作成する/
いますぐ無料登録