
最近は、自由な働き方をする人が増え、副業に興味をもつ方も多くなりました。副業で稼ぐ金額は人それぞれですが、場合によっては確定申告をして納税をする必要もあり、経費の額が納める税金額に影響してることをよく理解しなければなりません。ここでは、副業での経費計上について、どのような支出が経費として認められるのか、具体例を挙げながらご紹介します。
目次
経費とは?
経費とは、材料の仕入れや道具の購入など、収入を得るためにかかった費用のことを指します。確定申告でその年の所得を申告する際は、収入金額から経費を差し引いて計算し、それをもとに納めるべき税金の額が決まります。
これは、副業で得た収入に関しても同様に、経費を差し引いた額で所得を計算することとなるため、事業所得以外の収入がある方は経費の計算漏れがないように注意しましょう。
副業が該当する所得の例
副業で収入を得ている場合、どのような内容の仕事かによって所得の種類は変わってきます。代表的な副業の種類をいくつか挙げ、どの所得に該当するのかご紹介します。
副業の内容 | 該当する所得の種類 |
アルバイト、パート | 給与所得 |
個人が営む仕事(フリマアプリでの販売、ショップ経営、ライター、イラストレーター、キッチンカー、ハンドメイド品の販売、SEなど) | 雑所得または事業所得 |
マンション、アパート、駐車場の貸し付け | 不動産所得 |
株の売買や配当金 | 譲渡所得、配当所得 |
FX取引 | 雑所得 |
個人が営む仕事の場合、雑所得に該当するのか、それとも事業所得に該当するのか迷う場合もあるでしょう。これは、仕事の規模や継続性があるか、反復性があるかなどを総合的にみて判断し、これに該当する場合は事業所得となります。あくまでも副業としての収入であれば、雑所得に該当する場合が多いです。
副業で経費が認められる所得
本業・副業を問わず、所得はその内容によって10種類に分けられています。この中で、経費の計上が認められているのは以下の3つです。
・雑所得
・事業所得
・不動産所得
これらの所得について、もう少し詳しく見ていきましょう。
雑所得
基本的に、副業で得る所得の多くは雑所得に該当します。所得の種類は全部で10種類あるとお伝えしましたが、他の9つに当てはまらない所得は雑所得となります。
さらに、事業所得に該当しない不動産貸付による所得や、年金収入(一部を除く)もこれに含まれます。
雑所得の経費計上はどこまで?具体例や条件、申告時の注意点を解説
事業所得
事業所得は、言葉のとおり事業を営んで得た所得のことを指します。農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などに従事して、以下の状態にあるものが事業所得として扱われます。
・継続した期間安定した収入がある
・営利を目的としている
・本業と同等の時間を費やしている
・社会的に認知された職業である
以上に該当する場合は、雑所得ではなく事業所得として認められる可能性があります。
事業所得とは?雑所得との違い、確定申告の方法とメリットを解説
雑所得と事業所得の違いは?
副業の場合、事業所得と雑収入の区別は難しく、同じ内容の仕事でも以上の条件に合致するかどうかで変わってきます。
簡単に言うと、事業所得の場合は継続して安定した収入があること、本業と同じくらいの時間を費やしていることなどで認められる場合がありますが、一時的な収入であれば雑所得に分類されます。
たとえば、フリマアプリでの販売について、例を見ながら確認しましょう。自宅で出た不要品を出品して一時的な収入があった場合は雑収入に該当します。一方、売れそうなものを安く仕入れて、利益が出るような価格で出品し販売し、生計が立てられるくらいの収入が継続的にある場合は事業所得に該当する可能性があります。
不動産所得
アパート、マンション、駐車場、土地、船舶、飛行機などを貸し付けて得る所得のことを、不動産所得といいます。また、これらに付随する、地代家賃や更新料、返還義務がない敷金なども含まれます。
下宿もまた不動産所得になり得ますが、これは部屋の貸し付けのみといったケースに限られます。食事の提供を含めた家賃収入など、不動産所得に該当しないサービスを同時に提供している場合は、事業所得や雑所得の扱いになります。
副業で経費はいくらまで計上できる?
先にご紹介した雑所得・事業所得・不動産所得に該当する副業であれば、経費の計上が可能です。副業で得る収入のために支出したものがあれば、基本的に経費として認められます。経費として認められる上限額は特に決まっていないため、支払ったものがあればきちんと記録を保存しておきましょう。
副業の経費として計上できる支出の例
基本的に、副業の収入のために発生する支出はすべて経費になります。当然ながら、業務に関係のないプライベート用の支出は経費になりません。しかし、支出の内容によっては、業務とプライベートの両方に関わるものもあります。経費として計上できるかどうか迷ったら、以下の例と照らし合わせながら確認してみましょう。
支出の全額が経費になるものの例
副業のために以下の支出が生じた場合は、基本的に全額経費として認められます。
具体的な支出の内容 | |
共通 | ・インターネット上やチラシに掲載する広告料 ・取引先との打ち合わせや接待時に発生する飲食代 ・仕事で使用する文房具や書籍 ・仕事で使用する携帯電話やインターネットの通信費 ・仕事で関わりのある人に送るお中元やお歳暮の費用 ・10万円未満のパソコンやデスクなど |
販売業 | ・商品の仕入れ費用・商品の発送、梱包費用 ・商品の保管のために借りている倉庫の賃料 |
不動産業 | ・賃貸物件の固定資産税、不動産取得税 ・貸借人負担分以外の水道代、ガス代、電気代・管理会社に支払う管理手数料 |
支出の一部が経費になるもの
自宅の一部が仕事場になっている場合の家賃・光熱費や、1台の携帯電話でプライベート用と仕事用を兼用している場合などは、支出の一部を経費として計上することが可能です。
経費はあくまでも業務のための支出に限られるため、プライベートで支出する部分は差し引かなければなりません。これを、家事按分と言います。
副業の経費として計上されるか判断しにくい例
経費の中には、事業に関係があるものかどうか判断しにくく、計上すべきか迷ってしまうものもあります。具体的に、見ていきましょう。
経費計上できる支出
食事は生きる上で不可欠なものですが、その目的によっては経費として認められる場合があります。例えば、カフェスペースで行う仕事のために支払ったコーヒー代や、仕事関係者との打ち合わせを兼ねて行った飲食代は経費になります。
また、副業で着用するスーツや鞄などは、プライベートで着用しなければ経費にできる可能性があります。
経費計上できない支出
事業との関連性がないプライベートな支出は経費にすることができません。例えば、健康診断の費用やプライベートな旅行、家族や友人と行う外食、健康診断費、所得税、住民税、交通違反の罰金、借入金の元本の支払いなどは経費にならないため区別しておきましょう。
副業所得が20万円を超えたら確定申告を
副業をして、所得が20万円を超える場合は、確定申告を行う必要があります。所得は、収入から経費を差し引いた額となるため、たとえ副業収入が20万円以上だったとしても経費を差し引いて20万円以下になれば確定申告は不要です。
「副業の収入はバレないだろう」と、確定申告をせず放置するのは危険です。本来納めるべき税金を納付していないとして、「無申告加算税」や「延滞税」が発生する可能性があります。
確定申告の節税上のメリット
確定申告には青色申告と白色申告があります。事業所得に該当する場合は青色申告を選ぶことができ、白色申告に比べると節税につながりやすくなります。具体的に、青色申告のメリットを3つご紹介します。
最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
青色申告を選択すると、条件を満たすことで最大65万円の控除を受けることができます。この控除が適用になると、課税所得額が下がり、所得税の減額につながります。また、住民税や国民健康保険料も抑えることが可能です。
青色事業専従者給与の特例が利用できる
家族が従業員として働き給与を支払っている場合、その支払う給与額は経費として計上することができます。白色申告の場合は一定金額での控除となるため、全額経費にできる青色申告のメリットは大きいと言えるでしょう。
赤字の繰り越しが最大3年間行える
青色申告をすると、赤字は最大3年間繰り越すことが可能です。ただ、副業の場合、たとえ赤字が出たとしても本業として給与所得があればそちらから差し引くことができるため、赤字を繰り越すことはあまりないでしょう。
確定申告時の注意点
確定申告が必要なほど副業で収入を得ているのであれば、青色申告でそのメリットを享受したいと思うのは当然のことです。しかし、雑所得に該当する場合、青色申告ができないため注意しましょう。
また、事業所得や不動産所得による収入があっても、青色申告ができる体制を整えていないと確定申告に間に合わなくなります。青色申告をするには、事前に届出を提出し、複式簿記での記帳をすることとなります。事前にしっかりと準備を整えましょう。
事業とプライベートの両方にかかわる費用には家事按分
先ほど、事業とプライベートの両方にかかわる費用は、一部のみ経費に計上できることをご紹介しました。一部のみを経費として計上するには、どのように計算すればよいのか把握しておきましょう。
家事按分が必要なケース
以下のような費用は、事業とプライベートの両方に関わることがあります。しかし、プライベートで使う部分まで全て経費にすることはできません。例えば、家賃であれば業務で使うスペースの割合で計算するなど、合理的な説明がつく範囲で経費を計上する必要があります。
・家賃
・水道光熱費
・通信費
・ガソリン代
・車検費用 など
特に副業の場合、専用の店舗や車を持たず、プライベートと兼用していることが多いです。
家事按分の計算の仕方
家事按分の計算方法は、副業にどの程度の時間を費やしているか、またはどのくらいのスペースを使用しているかなどの基準に基づいて、合理的に説明できる方法で計算する必要があります。
例えば、自宅で副業をしている場合、どのくらいの時間を費やしているのか、どのくらいのスペースを使用しているのかという基準から計算することが可能です。
例1:副業のためのスペースから家賃経費を計算する場合
自宅の総面積が100㎡で、そのうち副業のために20㎡のスペースを使っていたと仮定します。すると、副業で使う面積の割合は20%であり、家賃の20%は経費として計上することが可能です。仮に家賃が10万円だった場合の計算式は以下のとおりです。
10万円×20%=2万円/1ヶ月 |
例2:副業に充てる時間から家賃経費を計算する場合
毎日どのくらいの時間を副業に充てているのか、その時間を計算し、按分率を求め計算するという方法もあります。例えば、1週間あたり合計40時間を副業に充てている場合、以下の按分率となります。
1週間…24時間×7日=168時間40時間÷168時間=0.238… |
この計算により、按分率はおよそ20%であることが分かります。家賃の一部を経費にする場合は、1ヶ月あたりの家賃の20%を求めれば算出できます。
例3:副業に充てる時間から電気代の経費を計算する場合
電気代の家事按分は、1つ前の家賃経費の計算例を踏まえると簡単です。副業に充てる時間から按分率20%を導き出した場合、1ヶ月あたりの電気代から20%分を計算すれば容易に算出することができます。
家事按分の変動
家事按分の計算は、基準とする数量の設定次第で結果は大きく異なります。同じ家賃でも、副業のために使うスペースから算出するのか、それとも副業に充てる時間から算出するのかで、経費計上できる金額は変わるでしょう。
家事按分の計算は、合理的であれば「使用時間」「使用日数」「使用時間」など、どの基準を用いても問題ないとされています。できるだけ節税につなげるためにも、複数の基準で按分計算を行ったのち、効果的とされる基準で計算されることをおすすめします。
副業の経費にまつわるポイント
経費を確実に、きちんと計上するために知っておきたいポイントをまとめてご紹介します。
経費計上のタイミング
経費は、取引が発生したタイミングで計上するのが基本です。クレジットカード決済のように後で引き落としが行われるものについても、商品やサービスを購入したその日に計上するようにしましょう。
経費の書類の保管
経費が発生した証拠となる請求書や領収書、小切手控、預金通帳などの関係書類は、一定期間保存しておく義務があります。
白色申告の場合は確定申告期日の翌日から原則5年間、青色申告の場合は原則7年間です。また、適格請求書発行事業者は、受け取った請求書・発行した請求書ともに7年間保管しなければなりません。これらは、電子帳簿保存法のルールに基づいて保管しておく必要があります。
領収書の紛失
受け取ったはずの領収書を紛失した場合は、以下の方法で対処することが可能です。
出金伝票に支払い記録を残す
領収書を紛失しても、出金伝票にその記録を残しておけば、経費として計上することができます。日付、金額、取引内容などを記載して保管しておきましょう。ただし、出金伝票の場合、適格請求書ではないため、課税事業者が消費税の仕入額控除を受けることができません(1万円未満の課税仕入れや簡易課税制度を選択している場合はこの限りではない)。
レシートで代用する
領収書とともにレシートを受け取った場合は、レシートが領収書代わりになります。捨てずに保管しておきましょう。
領収書の再発行を依頼する
取引先が応じてくれるようなら、領収書の再発行を依頼するのも1つの方法です。ただし、再発行を受け付けていないところも多いため、あらかじめホームページ等で確認しましょう。
購入証明書・支払証明書の発行を依頼する
取引先にもよりますが、購入証明書や支払証明書を発行してくれる可能性があります。発行にあたり手数料がかかる場合があり、そもそも対応していないケースも考えられます。
領収書は再発行できる?依頼された際、紛失した際の対応と注意点を解説!
経理業務の効率化なら「INVOY」
「INVOY」は、請求書の発行から受取、支払いをスムーズかつ簡単に行えるクラウド請求書プラットフォームです。電子帳簿保存法にも対応しているため、経費が発生する取引は「INVOY」を経由すると非常に効率的。経理の管理の手間を大幅に省くことが可能です。
また、取引先へ発行する請求書も、必要な情報を入力するだけで簡単に発行することができます。ビジネスの取引に便利な機能のほとんどは無料プランで利用することができるため、副業収入の管理を行いたい人にもおすすめです。
まとめ
副業で得た収入は、申告をして税金を納める対象となります。できるだけ節税をするために、収入を得るために発生した経費はきちんと管理しましょう。副業の場合、家賃や光熱費など経費に計上できるかどうか分かりにくい部分も多くなりがちです。今回ご紹介した内容を参考に、正しく経費を計算し、確定申告に備えましょう。
法人カードは債務整理後でも作れるのか?自己破産・任意整理後の…
事業経営において法人カードは便利なツールですが、経営状況の悪化により返済が困難になると、自己破産を検…