クレジットカードの基礎知識

法人カード名義人が退職したときに必要な対応とは?

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法人カード 退職

法人カードとは、企業や事業者向けに発行されるクレジットカードのことです。社員や経営者に貸与され、経費の支払いなどビジネス用途で利用されます。便利な反面、カードの名義人が退職した際の取り扱いには注意が必要です。
退職者が持つ法人カードをそのままにしておくと、思わぬトラブルや不正利用につながる可能性があります。本記事では、法人経営者・総務担当者・個人事業主の方向けに、退職や代表交代、廃業時の法人カードの適切な対応方法をわかりやすく解説します。

法人カードの名義人が退職した際に必要な対応

社員が退職するときは、会社から貸与していた法人カードを必ず回収して解約手続きを行いましょう。退職により社員の所属がなくなっても、カード会社には自動的に通知されないため、放置すると退職者がカードを使い続けることも理論上は可能です。ここでは、追加カードのケースや不正利用防止策、個人決済型カードの場合など、具体的な対応ポイントを紹介します。

追加カードの名義人が退職した場合の手続き

従業員に発行していた法人カードの追加カードの名義人が退職した場合、そのカードの利用を停止し速やかに解約手続きを行う必要があります。具体的には、退職日までに総務担当者がカードを回収し、会社としてカード会社へ解約の連絡をします。追加カードは契約上会社が発行を受けているものなので、退職後であってもそのカードで発生した利用代金の支払い責任は契約者である会社や事業主側に残ります。

解約せずに放置すると、退職者がカードを使った際の代金や年会費を会社が支払い続けるリスクがあるため注意しましょう。また、多くのカード会社では名義人の退職時に届け出をするよう規約で定められており、届け出を怠ると規約違反となる可能性もあります。必ず会社側からカード会社へ退職者のカード解約を届け出てください。

退職者の法人カード不正利用を防ぐための対策

万が一、退職した社員が法人カードを返却せずに手元に残していたり、退職直前にカードを悪用したりすると、会社に損害が発生しかねません。そのような不正利用を防止するためにも、退職が決まった段階で以下の対策を講じましょう。

カードの即時利用停止

退職者からカードを回収したら、その場でハサミを入れて使えないようにするか、カード会社に連絡して一時停止措置を取ります。必要に応じて退職日前でも利用限度額を引き下げるなどの対応も検討します。

最終利用状況の確認

退職者のカードの直近の利用明細を確認し、不審な支払いがないかチェックします。退職日までに利用が確定している経費については清算手続きを行い、それ以降は新しい担当者のカードに切り替えましょう。

社内ルールの整備

社員が退職する際の法人カード回収・解約の手順を社内規程として定めておきます。誰がいつカード会社へ連絡するかを明確にし、カードの管理台帳から退職者の名前を速やかに削除することも大切です。

個人決済型法人カードの解約の必要性

法人カードには、大きく分けて法人口座から引き落とされるタイプと個人口座(社員個人の口座)から引き落とされるタイプの2種類があります。後者は「個人決済型」と呼ばれ、社員が一時的に立替払いをして後から会社に精算する形式です。名義人が個人であっても、このカードは企業の福利厚生や業務用に発行されたものなので、退職時にはやはり解約が必要です。

個人決済型法人カードの場合、退職者本人の銀行口座から利用代金が引き落とされる仕組みですが、カード自体の契約者は会社または事業主です。

退職後に解約せず放置すると、会社側はそのカードの年会費を払い続けることになり、不正利用の監視もしにくくなります。退職と同時にカードを回収・破棄し、カード会社へ退会(解約)の手続きを行ってください。名義人が個人だからといって油断せず、会社として責任を持って対応しましょう。

法人の代表者が変更になった場合の対応

会社の代表取締役など法人の代表者が交代した場合も、法人カードの名義変更や再発行の手続きが必要です。多くの法人カードは申込時に代表者個人の信用情報を元に審査が行われ、代表者個人を本会員(契約者)として発行されています。

そのため、代表者が変わったにもかかわらず旧代表者名義のカードを新代表者が使い続けることはできません。放置すると会社として規約違反となり、カードの利用停止や強制解約につながる可能性があります。

名義変更または再発行の手続き

代表者交代時には、カード会社に問い合わせて名義変更が可能か、または一度解約して新規契約が必要かを確認しましょう。これはカード会社によって対応が異なります。名義変更が認められている場合は、所定の変更届に加え、新旧代表者に関する書類を提出する必要があります。

一般的に要求される書類の例としては、代表者変更届、会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、新代表者の本人確認書類(運転免許証など)などがあります。カード会社によっては、旧代表者名義のカード契約を一旦解約し、新代表者名義で新しく法人カードを申し込むよう指示されることもあります。その場合でも会社の登記事項証明書は提出が求められることが多いため、事前に取得しておくと手続きがスムーズです。

財務管理上の注意点

代表者が変更になる際には、法人カードに関する支払い状況や利用状況も確認しておきましょう。旧代表者名義のカードで支払っていた定期料金(例えばクラウドサービスやサブスクリプション費用など)がある場合、新代表者のカードや別の決済手段に決済方法を切り替えてから旧カードを解約することが重要です。

うっかり決済手段を変更せずにカードを止めてしまうと、サービス料金の支払いが滞り業務に支障をきたす恐れがあります。また、旧代表者のカードにポイントプログラムが付与されている場合、解約と同時にポイントが失効するケースもあります。貯まっているポイントが多い場合は、解約前に利用しておくなど有効活用を検討しましょう。財務管理の面でも、新体制への移行に伴いカード情報を最新の状態に更新し、社内の管理帳簿や経費精算システムに反映させることを忘れないでください。

個人事業主が廃業した場合の対応

個人事業主が廃業した場合の対応

個人事業主が廃業した場合は、法人カード(ビジネスカード)の契約も基本的に終了させる必要があります。法人カードは事業を営む人向けのカードですので、事業を辞めてしまえばそのカードを保持し続ける理由がなくなります。個人事業主として廃業届を提出したら、タイミングを見てカード会社へ連絡を入れ、カードの解約手続き(退会手続き)を行いましょう。

廃業時に確認すべきこと

廃業にあたり法人カードを解約する前に、未精算の経費や未払いの決済が残っていないか確認することが大切です。まず、カードの最終利用明細をチェックし、事業用に支払った経費がすべて整理されているかを確認します。もし事業をやめる直前にカードで支払ったものがあれば、事業資金で最終精算を済ませておきましょう。

また、カードで支払っていた各種料金(公共料金や携帯電話料金、サブスクリプションサービスなど)がある場合、廃業後にそのサービス自体を解約するか、支払い方法を変更しておきます。カードを解約してしまった後に引き落としが発生すると支払いが滞ってしまうため、事前にすべての継続課金を洗い出して対処しておくことが重要です。

法人カード解約の手続き

個人事業主のカード解約手続きは、カード裏面のコールセンターへの電話や会員サイト上での申し込みで行います。最近ではオンラインで解約手続きを完結できるカード会社も増えていますが、場合によっては書面での手続きが必要です。

電話連絡をすると解約届が郵送されてくるケースもあるので、指示に従って書類に記入・返送してください。解約手続き後でも、カードに未払い残高がある場合は口座からの引き落としが残高ゼロになるまで続きます。廃業に伴い銀行口座も閉じる予定がある場合は、最後のカード支払いが完了するまで口座を維持しておくようにしましょう。

具体的な手続きの流れ

具体的な手続きの流れ

ここでは、退職や代表交代、廃業時に法人カードを適切に処理するための具体的な手順をまとめます。状況に応じて多少手続きは異なりますが、基本的な流れは共通しています。

カード会社への連絡方法

カードの回収と利用停止

まずは退職者や旧代表者から法人カードを回収します。手元にカードが戻ったら、すぐにカード会社に連絡して該当カードの利用停止措置をとりましょう。多くの場合、カード裏面の問い合わせ先に電話することで利用停止や解約の手続きを開始できます。最近ではウェブ上の会員ページから追加カードの停止・解約申請ができるカード会社もあります。

解約または名義変更の申し出

カード会社の担当者に、カード名義人の退職・代表者交代・廃業の事実を伝え、該当カードの処理方法を確認します。追加カード(社員用カード)の場合は解約手続き、本会員カード(代表者名義カード)の場合は名義変更または契約の取り直しが必要になります。カード会社から指示された手続きに従いましょう。

必要書類とスケジュール

必要書類の準備

手続きに必要な書類があれば準備します。社員の追加カード解約のみであれば特別な書類提出は不要なケースが多いですが、代表者の変更手続きでは前述のように変更届や登記事項証明書、新代表者の本人確認書類などが求められます。個人事業主の廃業による解約でも、カード会社から届く解約届(書類)に記入し返送する必要がある場合があります。

手続きのスケジュール管理

カード会社への届け出や書類提出はできるだけ早めに行いましょう。退職日や代表交代の正式な日付が決まっている場合、その前後で手続きが完了するのが理想です。代表者の変更手続きでは必要書類の取得に時間がかかることもありますので、余裕をもって準備してください。解約手続きを依頼してから完了までに数日~数週間かかる場合もあるため、その間にカードを利用しないよう注意します。

ケース別: それぞれの立場での対応ポイント

退職する社員がいる場合(会社側の対応)

退職者には最終出勤日までに法人カードを会社に返却させます。総務担当者や経理担当者はカードの利用明細を確認し、必要な経費精算を済ませたうえでカード会社に解約を申請します。退職者本人が個人決済型カードを利用していた場合は、社員にも自分名義で登録していた支払い(例: 携帯電話料金など)がないか確認してもらい、あれば別の支払い方法に変更するよう促します。退職後にカード関連の請求や連絡が本人に行かないよう、会社側で一括して対応することがポイントです。

代表者が交代する場合(新代表者側の対応)

新しい代表者は、旧代表者名義の法人カードをそのまま使えないため、早急に自分名義の法人カードを準備する必要があります。まず旧代表者のカードは会社として利用停止・解約手続きを行い(旧代表者にもカードを返却してもらいます)、次にカード会社の案内に従って名義変更手続きを進めます。名義変更ができない場合は、新代表者名義で新規に法人カードを申請します。

新代表者となった方は、自身の信用情報で再審査を受ける形になるので、場合によっては限度額など利用条件が変更になる可能性も念頭に置いておきましょう。また、旧代表者のカードで支払っていたサービスが停止しないように、速やかに新しい決済手段へ切り替えることも忘れずに行います。

個人事業主が廃業する場合(事業主本人の対応)

個人事業を廃止する際は、事業主自身がカード会社に連絡し手続きを進めます。廃業届提出後に速やかにカード解約を申請し、必要書類が送られてきたら記入・返送します。解約申請をする前に、事業に関連する継続課金や契約をすべて確認し、必要に応じて解約や支払い方法の変更を済ませておきます。

廃業後は売上がなくなるため、カード利用分の支払いが滞らないよう解約までの間も口座残高に注意が必要です。最後の請求額が引き落とされたことを確認したら、カード契約の終了と併せて関連する口座の整理など次のステップに進みましょう。

まとめ

社員の退職、代表者の交代、そして個人事業主の廃業といった場面では、法人カードの適切な管理と手続きが欠かせません。退職者や旧代表者に法人カードを使われ続けるリスクを放置すると、会社や事業主が思わぬ負担や損害を被る可能性があります。

こうした事態を防ぐために、日頃から法人カードの利用状況を把握し、従業員の入退社や経営体制の変更時には速やかにカード会社への連絡・手続きを行いましょう。

企業としては、事前に社内で法人カード管理のルールを確立し、担当者を決めておくことがリスク管理上有効です。退職や代表変更の際のチェックリストを用意し、カードの回収・解約が確実に行われるようにしておけば安心です。

法人カードは経費管理に便利な反面、管理を怠るとトラブルの種にもなり得ます。適切な対応と迅速な手続きを心がけて、安心・安全に法人カードを活用しましょう。

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この記事の投稿者:

hasegawa

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