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確定申告の期限はいつまで?所得税・消費税の提出期間から遅れた時の対処法を解説

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支払調書

確定申告の期限は一つだけではありません。e-Taxや郵送、窓口での提出方法による違いから、万が一遅れた場合のペナルティと賢い対処法まで、この記事一本で確定申告の「いつまで」という不安を完全に解消します。

確定申告の期限が迫ると、「間に合わなかったらどうしよう」という不安で頭がいっぱいになってしまうビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。ペナルティを課されたり、余計な税金を払うことになったりする事態は、誰しも避けたいはずです。

この記事を最後までお読みいただければ、令和6年分(2025年提出)の正確な申告期限を把握できるだけでなく、提出方法ごとの最終リミット、万が一遅れた場合に損失を最小限に抑える具体的な方法、そして申告後に間違いに気づいた際の正しい修正手順まで、網羅的に理解できます。

税金の専門知識がない方でも、一つひとつのステップをわかりやすく解説しているため、もう確定申告の期限に怯える必要はありません。この記事を読み終えたとき、あなたは自信を持って確定申告に臨めるようになっているでしょう。

目次

2025年(令和7年)提出の確定申告、基本の期限を正確に把握する

確定申告と一言でいっても、対象となる税金は所得税だけではありません。個人事業主やフリーランスの方は消費税、資産の贈与があった方は贈与税の申告も必要です。それぞれの税金で申告期間や納付期限が異なるため、まずは基本となるスケジュールを正確に理解することが重要です。

所得税の確定申告期限 原則と2025年の特例

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税を行うのが原則です。

しかし、この日付は固定ではありません。申告期間の開始日である2月16日や最終日の3月15日が土曜日、日曜日、祝日にあたる場合は、その翌平日まで期限が延長されます。このルールを理解しておくと、毎年慌てずに済みます。

令和6年分(2024年分)の確定申告について見てみましょう。申告期間の開始日である令和7年(2025年)2月16日は日曜日にあたります。そのため、開始日は翌日の2月17日(月)にずれ込みます。また、最終日の3月15日は土曜日です。したがって、最終日も翌々日の3月17日(月)まで延長されます。

結果として、令和6年分の所得税の確定申告期間は、令和7年(2025年)2月17日(月)から3月17日(月)までとなります。この期間内に申告書の提出と納税の両方を完了させる必要があります。

個人事業主は要注意 消費税・贈与税の申告期限

個人事業主やフリーランスの方にとって、所得税と同じくらい重要なのが消費税の申告です。所得税と消費税では申告と納付の期限が異なるため、混同しないよう特に注意が必要です。

個人事業主の消費税および地方消費税の申告・納付期限は、原則として翌年の3月31日です。令和6年分(2024年分)の場合、令和7年(2025年)3月31日(月)が期限となります。所得税の期限から約2週間後と覚えておくとよいでしょう。

この期限の違いは、それぞれの税金の性質を反映しています。所得税が個人の1年間の利益に対して課されるのに対し、消費税は事業者が顧客から預かった税金を国に納める手続きです。そのため、年間売上の集計後、納税額を計算するための期間が少し長く設けられています。

また、親族などから財産の贈与を受けた場合には贈与税の申告が必要です。贈与税の申告期間は所得税と同じく、令和7年(2025年)2月17日(月)から3月17日(月)までです。ただし、申告書の受付自体は2月3日(月)から開始されます。

払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」はいつからできる?

確定申告は、税金を納めるためだけの手続きではありません。源泉徴収などで納めすぎた税金を取り戻すための「還付申告」も確定申告の一環です。例えば、会社員の方が医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)を適用する場合などが該当します。

還付申告は、税金を納める申告とは異なり、対象となる年の翌年1月1日から5年間提出することができます。つまり、令和6年分の還付申告であれば、令和7年1月1日から令和11年12月31日までいつでも申告が可能です。

さらに、還付申告は納税のための申告期間(2月17日から3月17日)を待つ必要がありません。税務署の準備が整い次第、2月17日よりも前から提出できます。e-Taxを利用する場合、例年1月上旬から申告データの送信が可能になります。税務署の混雑を避け、早く還付金を受け取るためにも、準備ができ次第、早めに申告することをおすすめします。

2025年 確定申告の主なスケジュール

所得税及び復興特別所得税

  • 申告期間: 2025年2月17日(月)から3月17日(月)
  • 納付期限: 2025年3月17日(月)
  • 振替納税の場合の振替日: 2025年4月23日(水)

消費税及び地方消費税(個人事業主)

  • 申告期間: 2025年1月1日(水)から3月31日(月)
  • 納付期限: 2025年3月31日(月)
  • 振替納税の場合の振替日: 2025年4月30日(水)

贈与税

  • 申告期間: 2025年2月17日(月)から3月17日(月)
  • 納付期限: 2025年3月17日(月)
  • 振替納税: 対応不可

提出方法で変わる最終リミット!e-Tax・郵送・窓口のデッドライン

提出方法で変わる最終リミット!e-Tax・郵送・窓口のデッドライン

確定申告の期限は3月17日(月)ですが、実は提出方法によって「本当の締め切り時間」が異なります。期限ギリギリになってしまった場合、どの方法を選ぶかが申告が間に合うかどうかを左右する重要な判断になります。それぞれの最終リミットを正確に把握しておきましょう。

最も締め切りが遅い e-Tax(電子申告)

最も時間的な猶予があるのが、国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用する方法です。e-Taxの場合、申告期限最終日の24時00分までに送信を完了すれば、期限内申告として認められます。

e-Taxには、時間的な柔軟性以外にも多くのメリットがあります。税務署の閉庁時間を気にせず、メンテナンス時間を除き24時間いつでも自宅から申告できます。また、税務署への移動時間や窓口での待ち時間がなく、郵送や窓口提出に比べて還付金の入金が早い傾向にあります。

e-Taxでの申告は約3週間、その他の方法では1か月から1か月半が目安です。さらに、青色申告特別控除で最大65万円の控除を受けるための要件の一つにもなっています。

e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとそれを読み取るためのICカードリーダライタ、または対応スマートフォンが必要です。もしマイナンバーカードがない場合でも、事前に税務署で職員と対面による本人確認を行い、「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらうことで利用可能になります。

日付が重要 「郵送」は消印有効

確定申告書を郵送で提出する場合、申告期限最終日の通信日付印(消印)があれば、期限内申告として扱われます。つまり、3月17日中に税務署に到着していなくても、3月17日の消印が押されていれば問題ありません。

この方法は、期限当日の日中まで作業をしていても、郵便局の窓口に持ち込めば間に合う可能性があるという利点があります。ただし、いくつか注意点があります。確定申告書は「信書」にあたるため、「郵便物(第一種郵便物)」または「信書便物」として送付する必要があり、宅配便やゆうパックなどでは送れません。

申告書の控えに税務署の収受印が必要な場合は、切手を貼った返信用封筒と申告書の控えを同封することを忘れないようにしましょう。通常の郵便窓口が閉まっている時間帯でも、一部の大きな郵便局に設置されている「ゆうゆう窓口」を利用すれば、土日や夜間でも消印を押してもらうことが可能です。

最も締め切りが早い 税務署窓口・時間外収受箱

税務署の窓口に直接持参して提出する方法は、最も締め切り時間が早くなります。受付は税務署の開庁時間内に限られるため、原則として申告期限最終日の17時00分までに提出する必要があります。

この方法には、職員に書類の内容をその場で簡単にチェックしてもらえる可能性があるというメリットがありますが、申告期間の終盤は大変混雑するため、長時間待たされることを覚悟しなければなりません。

もし17時を過ぎてしまった場合でも、諦める必要はありません。多くの税務署には「時間外収受箱」が設置されています。この箱に期限日の閉庁後から翌開庁日の朝までに投函すれば、期限内申告として扱ってもらえます。書類の作成が当日夜までかかってしまった場合の最終手段として覚えておくとよいでしょう。

もし期限に遅れたら?ペナルティの種類と計算方法を完全理解

どれだけ気をつけていても、やむを得ない事情で確定申告の期限に遅れてしまうことはあり得ます。その場合に何が起こるのかを正しく理解しておくことは、パニックに陥らず、冷静に対処するために不可欠です。期限を過ぎた申告は「期限後申告」として扱われ、いくつかのペナルティが課される可能性があります。

期限後申告で課される2つのペナルティ

確定申告の義務があるにもかかわらず期限内に申告しなかった場合、主に2種類のペナルティが課せられる可能性があります。

一つは、申告義務を果たさなかったこと自体に対する罰金的な税金である「無申告加算税」です。もう一つは、本来納めるべき税金を法定納期限までに納付しなかったことに対する利息相当の税金である「延滞税」です。これらは別々のペナルティであり、状況によっては両方が課されることもあります。

無申告加算税 自主的な申告が損失を最小化する鍵

無申告加算税の税率は、いつ、どのような状況で申告したかによって大きく異なります。この税率の仕組みは、単なる罰則ではなく、納税者が自ら誤りに気づき、できるだけ早く行動することを促すための巧妙な制度設計になっています。納税を先延ばしにすればするほど、金銭的な負担が段階的に増加していくのです。

税務調査の通知を受ける前に自主的に申告した場合、納付すべき税額の5%が課されます。これは、税務署が動く前に自ら申告した場合に適用される、最も軽いペナルティです。

税務調査の通知を受けた後、実際に調査が入る前に申告した場合は、納付すべき税額の10%(50万円を超える部分は15%)が課されます。令和5年分以降の申告では、税率が細分化され、より高額な所得に対するペナルティが重くなっています。

税務調査後に申告または税額の決定があった場合は、最も重い税率が適用されます。納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)が課され、こちらも令和5年分以降はさらに税率が引き上げられています。このように、税務署からの指摘を待つのではなく、自ら行動を起こすことでペナルティを大幅に軽減できることがわかります。

さらに、重要な救済措置があります。期限後申告であっても、以下の要件をすべて満たす場合は、無申告加算税が免除されます。

  • 法定申告期限から1か月以内に自主的に申告していること
  • 期限後申告にかかる税金を、法定納期限までに全額納付していること
  • 過去5年間に無申告加算税や重加算税を課されたことがないこと

万が一遅れてしまっても、1か月以内であれば実質的なペナルティを回避できる可能性があるため、諦めずにすぐ行動することが何よりも大切です。

延滞税 1日ごとに増える利息相当の税金

延滞税は、法定納期限(所得税の場合は3月17日)の翌日から、実際に税金を納付する日までの日数に応じて計算される、利息のような性質を持つ税金です。申告が遅れるだけでなく、納税が遅れると1日単位で金額が増えていきます。

税率は2段階に分かれており、納期限の翌日から2か月を経過する日までは比較的低い利率(令和4年から令和7年は年率2.4%)、それを過ぎると高い利率(同年率8.7%)が適用されます。

延滞税は、申告と納税の両方が完了するまで発生し続けるため、期限後申告を行う際は、申告書を提出すると同時に納税も済ませることが、負担を最小限に抑えるポイントです。

青色申告者は要注意 承認が取り消されるリスク

個人事業主やフリーランスの方にとって、金銭的なペナルティ以上に深刻なのが青色申告の承認取り消しリスクです。青色申告は、最大65万円の特別控除や赤字の3年間繰越など、多くの税制上の優遇措置を受けられる制度です。

しかし、2年連続で期限内に申告書を提出しなかった場合、青色申告の承認が取り消されることがあります。一度承認が取り消されると、その後の再申請には手間がかかり、少なくとも1年間は白色申告者として、これらの優遇措置を受けられなくなります。これは、無申告加算税や延滞税の支払いよりも、長期的にはるかに大きな経済的損失につながる可能性があります。

どうしても間に合わない!期限延長や納税猶予の救済措置

どうしても間に合わない!期限延長や納税猶予の救済措置

災害や病気など、自分ではどうすることもできない理由で申告や納税が困難になるケースもあります。税法には、こうしたやむを得ない事情を抱える納税者のための救済措置が用意されています。期限に間に合わないと諦める前に、利用できる制度がないか確認しましょう。

災害や病気など やむを得ない理由がある場合の「期限延長」

地震、台風といった自然災害や火災、あるいは納税者本人や税理士の重い病気など、やむを得ない理由によって期限までに申告・納付ができない場合、申請によって個別に期限を延長してもらうことができます。これを「個別指定による期限延長」といいます。

この制度を利用するには、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。申請が承認されると、そのやむを得ない理由がなくなった日から2か月以内の範囲で期限が延長されます。

この手続きは、単なる遅延ではなく、正当な理由があることを税務署に伝え、正式な手続きを踏むという点で重要です。何も連絡せずに期限を過ぎてしまうと「無申告」と見なされますが、この申請を行うことで、ペナルティを課されることなく申告・納税の猶予を得られます。

納税資金が足りない時の選択肢 「振替納税」と「延納」

申告書の作成は間に合ったものの、納税資金の準備が期限に間に合わないというケースも考えられます。このような場合に備えて、納税を少し先延ばしにできる制度があります。

振替納税

事前に「預貯金口座振替依頼書」を税務署に提出しておくことで、指定した金融機関の口座から自動で税金を引き落としてもらう制度です。この制度の最大のメリットは、実際の引き落とし日が法定納期限の約1か月後になる点です。

例えば、令和6年分の所得税の場合、納付期限は令和7年3月17日ですが、振替納税を利用すると、実際の引き落とし日は令和7年4月23日(水)になります。消費税の場合は、納付期限3月31日に対し、引き落とし日は令和7年4月30日(水)です。

この約1か月の猶予期間には利息もかからず、手続きも一度行えば翌年以降も自動で適用されるため、資金繰りに余裕を持たせたい方には非常に便利な制度です。

延納

振替納税よりもさらに納税を遅らせる必要がある場合、「延納」という制度を利用できます。これは、納付すべき税額の2分の1以上を法定納期限までに納付すれば、残りの税額の納付をその年の5月31日まで延長できる制度です。

ただし、延納期間中は年率0.9%程度の利子税がかかります。利用するには、確定申告書の第一表にある「延納の届出」欄に必要事項を記入して提出します。これらの制度は、フリーランスや個人事業主が直面しがちな期末のキャッシュフロー問題を緩和するために設けられています。計画的に利用することで、無理なく納税義務を果たすことが可能です。

申告後に間違いを発見!状況別・正しい訂正手続きガイド

確定申告書を提出した後で、「経費の計上を忘れていた」「控除の適用漏れがあった」といった間違いに気づくことは珍しくありません。このような場合でも、正しい手続きを踏めば申告内容を修正できます。慌てずに、状況に応じた適切な方法を選びましょう。

訂正申告・修正申告・更正の請求の違いとは

申告内容を訂正する手続きは、主に3種類あります。どの手続きを選ぶかは、「間違いに気づいたのが申告期限の前か後か」そして「修正によって税額が増えるか減るか」という2つの軸で決まります。

訂正申告

申告期限前に間違いに気づいた場合に行う手続きです。税額が増える場合も減る場合も、この方法で対応します。

修正申告

申告期限後に、本来納めるべき税額より少なく申告してしまったことに気づいた場合に行う手続きです。

更正の請求

申告期限後に、本来納めるべき税額より多く申告してしまった(または還付されるべき額が少なかった)ことに気づいた場合に行う手続きです。

期限内なら「訂正申告」でペナルティなし

法定申告期限(令和6年分は令和7年3月17日)より前に間違いに気づいた場合は、最も簡単です。正しい内容で確定申告書一式を再作成し、もう一度提出し直すだけで手続きは完了します。期限内に複数の申告書が提出された場合、最後に提出されたものが正式な申告書として受理されます。事前の連絡や特別な書類は不要で、ペナルティも一切ありません。

期限後に税額が少なかった場合の「修正申告」

申告期限を過ぎてから、売上の計上漏れや経費の過大計上などで税金を少なく申告していたことに気づいた場合は、「修正申告」を行う義務があります。

「修正申告書」を作成し、税務署に提出します。税務調査で指摘される前に自主的に修正申告を行えば、「過少申告加算税」というペナルティは原則として課されません。ただし、追加で納めることになった税額に対しては、法定納期限の翌日から納付日までの期間について「延滞税」がかかります。

そのため、間違いに気づいたら一日でも早く修正申告を行うことが重要です。

期限後に税金を払いすぎていた場合の「更正の請求」

申告期限後に、医療費控除の適用漏れや経費の計上忘れなどで税金を払いすぎていたことに気づいた場合は、「更正の請求」という手続きを行うことで、納めすぎた税金の還付を求めることができます。これは納税者の権利であり、義務ではありません。

この「更正の請求」は、本来の法定申告期限から5年以内であれば行うことができます。これは、税務署が過去の申告内容を調査できる期間と合わせられており、納税者と税務署の双方にとって公平な期間設定となっています。

例えば、3年前に多額の医療費を支払っていたにもかかわらず、控除の申請を忘れていた場合でも、今から「更正の請求書」と医療費の領収書などの証拠書類を提出すれば、税金が還付される可能性があります。過去の申告を見直すことで、思わぬ還付金を受け取れるケースもあるため、覚えておくべき重要な制度です。

ケース別Q&A 確定申告「期限」にまつわるよくある質問

ここでは、確定申告の期限に関して、多くの方が抱える具体的な疑問についてQ&A形式で解説します。ご自身の状況に近いケースを参考にしてください。

初めての確定申告、何から手をつければいいか、相談先は?

初めての確定申告は、何から始めればよいか分からず不安に思うかもしれません。基本的な流れは、まず必要書類を集めることから始まります。源泉徴収票、支払調書、経費の領収書、各種控除証明書(生命保険料、iDeCoなど)を準備しましょう。次に、青色申告か白色申告か、提出方法をe-Tax、郵送、窓口持参のどれにするかを検討します。

申告書の作成は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用すると、計算ミスも少なくスムーズです。最後に、期限内に申告書の提出と納税を済ませます。

もし分からないことがあれば、税務署や税理士、自治体などが開催する無料相談会といった相談先を活用しましょう。国税庁の電話相談センターや、AIが回答するチャットボットなどのオンラインサービスも便利です。

会社員の副業収入、20万円以下なら申告不要は本当?

会社員の方で、「副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要」と聞いたことがあるかもしれません。これは半分正しく、半分は誤解を含んでいます。

正確には、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでおり、給与所得・退職所得以外の所得(副業の所得など)の合計額が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。

しかし、この場合でも住民税の申告は必要です。所得税のルールと住民税のルールは別であり、住民税にはこの「20万円ルール」の適用がありません。確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村の役所に対して、別途住民税の申告を行う必要があります。

この手続きを忘れると、後から追徴課税される可能性があるため注意が必要です。なお、所得税の確定申告を行えば、その情報が市区町村に連携されるため、別途住民税の申告をする必要はありません。

副業収入は「事業所得」と「雑所得」のどちらで申告すべき?

副業で得た収入を申告する際、それが「事業所得」なのか「雑所得」なのかで税務上の扱いが大きく異なります。

事業所得とは、農業、製造業、サービス業など、反復・継続・独立して行われる活動から得られる所得を指し、社会通念上、事業と認められる規模や収益性があるものが該当します。一方で雑所得は、他の9種類の所得のいずれにも分類されない所得で、単発の講演料や原稿料、趣味の延長線上にあるような小規模な収入などが該当します。

この区別が重要なのは、事業所得でなければ青色申告ができないからです。青色申告をすれば、最大65万円の特別控除や、事業で赤字が出た場合に給与所得など他の黒字の所得と相殺(損益通算)できるといった大きなメリットがあります。どちらに該当するかは、その活動の継続性、営利性、独立性などを総合的に見て判断されます。

フリーランスで数年間無申告です。今からどうすれば?

数年間にわたり確定申告をしていない場合、不安な気持ちは大きいと思いますが、最もしてはいけないのは何もしないことです。税金の時効は原則5年(悪質な場合は7年)ですが、税務署からの督促などがあると時効のカウントが中断するため、時効が成立する可能性は極めて低いとされています。

最善の対処法は、一日でも早く自主的に過去の申告(期限後申告)を行うことです。税務署から調査の連絡が来る前に自ら申告すれば、無申告加算税の税率が最も低い5%に抑えられます。

何年分も遡って申告するのは大変な作業ですので、まずは税理士に相談することをおすすめします。専門家であれば、過去の書類整理から税務署との交渉まで、スムーズに進めるためのサポートをしてくれます。

医療費控除やふるさと納税の還付申告、期限はいつまで?

医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)などは、払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」に該当します。

前述の通り、還付申告は対象となる年の翌年1月1日から5年間行うことができます。例えば、令和2年(2020年)に支払った医療費の控除を忘れていた場合でも、令和7年(2025年)12月31日までであれば申告が可能です。過去の領収書や寄附金受領証明書が残っている場合は、諦めずに申告を検討しましょう。

まとめ 確定申告の期限を乗り切るための重要ポイント

確定申告の期限は、多くの人にとって年に一度の大きなプレッシャーです。しかし、正しい知識を身につけ、計画的に準備することで、不安は大きく軽減されます。最後に、この記事の重要なポイントを再確認しましょう。

自分の申告期限を正確に知る

2025年提出(令和6年分)の所得税の申告・納付期限は3月17日(月)、個人事業主の消費税は3月31日(月)です。税金ごとに期限が違うことを認識しましょう。

提出方法で最終リミットが変わる

e-Taxなら期限当日の24時まで、郵送なら当日の消印が有効、税務署窓口なら原則17時までです。ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

遅れたら、1秒でも早く自主的に申告する

万が一期限を過ぎてしまっても、税務署から連絡が来る前に自主的に申告すれば、ペナルティである無申告加算税を最小限に抑えられます。

納税が難しい場合は、猶予制度を検討する

資金繰りが厳しい場合でも、振替納税や延納といった制度があります。一人で抱え込まず、税務署に相談する選択肢があることを忘れないでください。

間違いは正しく修正できる

申告後のミスは、期限内なら「訂正申告」、期限後なら「修正申告」や「更正の請求」で対応可能です。特に、払いすぎた税金は5年間さかのぼって取り戻せる可能性があります。

確定申告は複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつのルールを理解すれば、決して乗り越えられない壁ではありません。この記事が、あなたの確定申告への不安を解消し、スムーズな手続きの一助となれば幸いです。

この記事の投稿者:

hasegawa

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