「会社を設立したばかりだけど法人カードを作りたい」「個人事業主でも法人カードが作れるのか不安」と思っている方も多いでしょう。クレジットカードを持つと、経費管理が簡単になり、ポイント還元などのメリットも得られます。しかし、中小企業が法人カードを選ぶ際には、注意すべきポイントがあります。
この記事では、クレジットカードの選び方を詳しく解説し、カードを持つメリットとデメリットもご紹介します。
目次
【そもそも】中小企業向けと大企業向けのクレジットカードの違い
法人カードには、コーポレートカード・ビジネスカードの2種類があり、それぞれ対象となる企業規模が異なります。コーポレートカードは大企業向け、ビジネスカードは個人事業主や中小企業向けのクレジットカードです。
両カードの主な違いとして、利用限度額と追加カードの発行可能枚数が挙げられます。コーポレートカードは、ビジネスカードよりも利用枠が広く、年会費も高く設定されています。また、法人カードは基本的に名義人のみが使用できるため、他の社員が利用する際に追加カードの発行が必要です。この際、ビジネスカードでは発行可能枚数に制限がある場合が多いですが、コーポレートカードでは20枚以上の発行が可能なケースもあります。そのため、条件を事前に確認しておくことが重要です。
関連リンク:コーポレートカード(法人カード)とは?ビジネスカードや個人カードとの違いを紹介
中小企業のクレジットカードの選び方
中小企業がクレジットカードを選ぶ際の重要な要点を確認しましょう。ここからは中小企業向けの法人カードの選び方について、以下の9つのポイントに分けて詳しく解説します。
最も重要な3つのポイント
1. 維持費(年会費・ポイント還元率・追加カード手数料)
2. 限度額
3. 追加カード発行可能枚数
次に確認したい3つのポイント
4. 申し込み基準
5. 審査期間
6. 国際利用
お得に便利に使うための3つのポイント
7. 優待特典
8. 保険
9. 電子マネー対応
それぞれのポイントをしっかり押さえて、自社に合ったクレジットカードを選びましょう。
最も重要な3つのポイント
カードによってそれぞれ特徴が異なるため、以下の重要なポイントを比較してから検討するのがおすすめです。
1. 維持費
2. 限度額
3. 追加カード発行可能枚数
1. 維持費
維持費として考慮すべき項目には、年会費、ポイント還元率、そして追加カード手数料があります。特典が魅力的でも、高額な維持費はカードを長期間使い続ける上で大きな負担になります。
逆に、年会費が無料でも、ポイント還元率が低いカードは実質的なメリットが少ないです。まずは企業が法人カードにどれだけの予算を充てられるか、またどの程度の支出が見込まれるかを計算しましょう。
1-1. 年会費
年会費は経費として処理できるものの、少ない方がコストの負担を抑えられます。そのため、会社の財務への影響を踏まえて法人カードを選ぶことが重要です。一般カードの多くは年会費無料です。一部の支払いにのみ使う場合や付帯サービスを利用しない場合には一般カードで十分でしょう。
ゴールドカードは年会費が2,000円から数万円ですが、初年度は無料の場合もあります。法人カードの中で最高ランクであるプラチナカードの場合、年会費は数万から十数万円に及びます。
1-2. ポイント還元率
ポイント還元率は、利用額が多い事業者にとって重要な要素です。還元率が1.0%以上のカードは、高い還元率を誇る法人カードと考えられます。支払い額が少ない事業者にはそれほど影響はありませんが、利用額が大きい場合、還元率が0.1%異なるだけでも年間で受け取るポイントに大きな差が生まれます。
月に50万円を法人カードで支払うと、還元率が0.5%なら1ヶ月で2,500ポイント、1年で30,000ポイントです。還元率が0.6%の場合は、1ヶ月で3,000ポイント、1年で36,000ポイントがもらえます。還元率が0.1%違うだけで、年間で6,000ポイントの差が生まれます。
1-3. 追加カード手数料
追加カード手数料は、カードの種類によって異なります。追加カード1枚ごとに年会費が必要なものもあり、カードを発行する際に発行手数料がかかる場合もあります。
例えば、アメリカン・エキスプレスの場合、ビジネス・ゴールド・カードの追加カード1枚につき年会費が13,200円(税込)かかります。追加カードを複数の社員に発行する予定がある場合は、親カードの年会費と追加カードの年会費を合わせた総額が予算内に収まるカードを選ぶことが大切です。事前にこれらの費用を確認し、予算に合ったカードを選びましょう。
参照:追加カードのご案内・お申し込み|ビジネス・カード- アメリカン・エキスプレス(アメックス)
2. 限度額
法人カードには、それぞれ設定された利用限度額があります。限度額が高いことが必ずしも良いとは限らず、自社のニーズに合った金額であることが重要です。一般カードの年間利用額は300万〜500万円程度で、初めて法人カードを持ちたい場合に便利です。
ゴールドカードは限度額が500万〜1,000万円前後で、一般カードよりも利用枠が広がります。プラチナカードは一律の限度額がない場合も多く、審査によって希望の利用限度額が設定できるため、税金なども含め支払いを一元化したい企業におすすめです。
3. 追加カード発行可能枚数
追加カードを発行することで、個人が立て替えをする必要がなくなり、経費の管理がより明確になり、利便性が向上します。しかし、追加カードが発行できないもの、または上限枚数が設定されているものもあります。
数人が利用することを前提にカードを選ぶ場合は、追加カードの発行上限も確認しましょう。代表者や役員のカードだけで良いのか、全社員分の追加カードが必要なのか、事業の形態に応じて必要なカード枚数を明確にすることが重要です。
次に確認したい3つのポイント
次に確認したいポイントは、以下の3つです。
4. 申し込み基準
5. 審査期間
6. 国際利用
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
4. 申し込み基準
中小企業が法人カードを選ぶ際には、申し込み基準を確認することが重要です。法人カードの審査では、一般的に以下の3つのポイントが重要視されます。
- 代表者個人の信用情報
- 企業の経営実績
- 企業の財務状況
中小企業が法人カードを作る場合、会社の信用と代表者の信用の両方がチェックされるため、代表者自身も問題がないかきちんと確認することが大切です。
ただし、審査基準は極めて機密性が高いため、条件を満たしたからといって必ずカードが発行されるとは限りません。
5. 審査期間
法人カードの審査は時間がかかることがあり、具体的な発行日数は決まっていません。通常は2〜3週間かかるとされますが、2週間以内や1ヵ月以上かかる場合もあります。申し込み時に入力ミスや不備があるとさらに時間がかかるため、注意が必要です。
現在、法人カードの申し込みは主にオンラインで行われますが、一部では書面で郵送する場合もあります。オンライン申請の方が迅速に手続きできる傾向にありますので、急ぎで準備したい場合は、必要書類について事前に確認しておきましょう。
6. 国際利用
将来的に海外で法人カードを使用することを考えている場合、世界シェア1位のVisaや2位のMastercard®をおすすめします。主に国内で利用するのであれば、日本発の国際ブランドであるJCBでも十分対応可能です。
アメリカン・エキスプレスやDiners Clubは、主要ブランドに比べて利用できる店舗が少ないものの、ステータスの高さや空港ラウンジの無料利用といった特典があるため、出張の多い中小企業には適しています。
参照:クレジットカード市場シェア(2024年):Visa vs Mastercard vs その他
お得に便利に使うための3つのポイント
クレジットカードをお得に便利に使うために、以下のポイントを確認しておくことをおすすめします。
7. 優待特典
8. 保険
9. 電子マネー対応
それぞれについて詳しく説明します。
7. 優待特典
ステータスの高い法人カードは、空港ラウンジの利用、ホテル間の荷物配送、宿泊料金の割引、コンシェルジュサービス、Amazonと提携したサービスなど、幅広い優待サービスが利用可能です。ただし、ステータスが上がるほど年会費も高くなる傾向があります。
特典が豊富だからといって、年会費の高いカードを無理に選ぶと、持て余す場合もあるでしょう。事業内容に合った優待特典を選ぶことが大切です。
8. 保険
法人カードには、個人カードと同様にショッピング保険や海外旅行傷害保険が付帯しています。通常、追加の手続きや利用料は不要です。ショッピング保険はオフィス用品もカバーし、中小企業のコスト削減に役立ちます。海外旅行傷害保険は、怪我や事故の補償に加え、個人賠償責任保険や携行品損害保険を含むことが一般的で、特に海外出張が多い企業には便利です。
保険を選ぶ際は、カード利用時に保険が適用される「利用付帯」と、カードを持っていれば保険が適用される「自動付帯」の違いを理解し、自社に合ったカードを選びましょう。
9. 電子マネー対応
社員用に追加カードを発行する際は、電子マネー対応のカードを選ぶと便利です。電子マネー対応カードは、スマホやカードリーダーで簡単に決済できるため、実際のカードを持ち歩く手間が省けます。また、リアルカードを紛失するリスクも減少します。
電子マネーにはプリペイド型、ポストペイ型、デビット型がありますが、法人カードで利用可能なのはポストペイ型です。具体的には、QUICPay、Apple Pay、iDなどがあります。これらのポストペイ型電子マネーは、対応している店舗が多いため、立替による小口現金の取り扱いが不要になります。
中小企業がクレジットカードを持つメリット
中小企業がクレジットカードを持つメリットは、以下の5つです。
1. 経費管理の効率化
2. 限度額の高さ
3. ポイント還元
4. 追加カードの発行
5. 優待特典
それぞれのメリットを見ていきましょう。
関連リンク:法人カードとは?種類やおすすめカード20選を紹介!
1. 経費管理の効率化
法人カードを使うことで経費の引き落とし口座を一括管理でき、経費の計上漏れが減り、立替精算が不要になり、経費管理を効率化できます。個人カードを使用すると、領収書の提出や精算が必要になり、管理の手間やミスのリスクが増大します。
また、現金精算では、紛失や盗難の危険も。従業員や経費担当者が少ない中小企業こそ、法人カードによる経費管理の簡略化が効果的です。
2. 個人カードより限度額が高い
法人カードは、個人カードよりも利用限度額が高く設定できるため、会社の経費の使用に適しているカードです。個人カードでは限度額を超えてしまうと利用できないリスクがありますが、法人カードなら限度額に余裕があります。
限度額に達した場合でも、会社で経費を管理しているため、別の支払い方法で柔軟に対応可能です。支払いが多い事業ほど、法人カードのメリットを実感できます。
3. ポイント還元を受けられる
法人カードでも、個人カードと同じように、利用額に応じてポイント還元があります。個人カードよりも利用額が大きいため、還元ポイントが高額になり、経費削減に役立ちます。還元ポイントは支払いに充てるか、ギフト券や優待券に交換して従業員に還元することも可能です。
4. 追加カードを発行できる
法人カードは一般的に代表者専用ですが、追加カードを発行することで従業員も利用可能です。これにより、経費管理が効率化され、従業員が立替や経費申請をする手間が大幅に減少します。
具体的には、経費の精算がスムーズになり、管理業務の負担が軽くなるため、従業員のストレスが軽減され、全体的な満足度が向上します。追加カードの利用は、業務の効率化と従業員の快適な働き方を実現するための効果的な手段です。
5. 優待特典がある
法人カードには、ポイント還元とは別にさまざまな優待特典が利用できるものもあります。たとえば、ゴールドやプラチナカードでは、空港ラウンジの利用、ホテルやレストランの割引など、充実した特典があります。しかし、これらのカードは年会費が高くなる傾向があります。
ステータスの高いカードは外見的には魅力的ですが、中小企業の場合、特典やステータスに過度にこだわる必要はなく、コストパフォーマンスを重視する方が実用的です。
中小企業がクレジットカードを持つデメリット
維持費がかかる
法人カードを導入する際に年会費、追加カードの年会費、発行手数料が必要です。ハイステータスカードの場合、年会費が10数万円になることもありますが、月に換算すると約1万円です。
基本的に年会費は経費として計上できますが、できるだけ年会費の負担が少ない法人カードを検討している場合は、年会費が数千円程度の法人カードもあるので、コストを抑えつつ利用できるカードを検討するのも良いでしょう。
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まとめ
中小企業やスタートアップがビジネスを拡大しつつコストを抑えるためには、法人クレジットカードの選び方が重要です。年会費、還元率だけでなく、追加カードの手数料や限度額、付帯サービスの内容もカードによって大きく異なるため、自社のニーズにマッチしたカードを選ぶことが必要です。
たとえば、「追加カードの利用額制限が必要か」「将来的な支出の増加が見込まれるか」など、自社の条件を整理し、適切なクレジットカードを利用してください。
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