領収書の基礎知識

フリーランス・中小企業経営者必見!領収書の依頼方法と発行時の注意点を徹底解説

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領収書 依頼

フリーランスや中小企業の経営者にとって、領収書は仕事のお金のやりとりを記録する重要な書類です。領収書は、経費管理や税金対策、取引の証明など様々な場面で役立ちます。

例えば、経費として計上するためには領収書が証拠となりますし、税務調査の際にも適切に保管された領収書があれば安心です。また、クライアントとの金銭の受け渡しを明確にすることで信頼関係の維持にもつながります。

本記事では、領収書の正しい依頼方法や発行時の注意点について、フリーランスや中小企業の経営者が知っておくべきポイントをまとめて解説します。
領収書の基本知識から、実際の依頼文のテンプレート、2023年に始まったインボイス制度における領収書の扱いまで、わかりやすく説明します。カジュアルな語り口で進めますので、肩の力を抜いて読み進めてください。領収書の疑問やよくあるミスを解消し、スムーズに領収書を扱えるようになりましょう。

目次

領収書の基本知識

まずは領収書に関する基本的な知識を押さえておきましょう。

領収書とは?

領収書とは、代金を確かに受領したことを証明するための書類です。商品やサービスの提供に対してお金を受け取った側(受領側)が発行し、取引内容や受け取った金額などを記載します。簡単に言えば、「お金を受け取りました」という証明書のようなものですね。領収書があることで、「確かにこの取引で○○円支払いました」という事実を証明できます。

請求書やレシートとの違い

日常的に目にする書類には、領収書のほかに請求書やレシートがあります。それぞれ役割が異なるので違いを理解しておきましょう。

請求書

請求書は、取引先に代金のお支払いを請求するための書類です。例えばフリーランスがクライアントに仕事の報酬を請求する際に発行します。請求書には支払うべき金額や支払い期限、振込先などが書かれていますが、お金を受け取った証明にはなりません。あくまで「これだけ支払ってくださいね」という通知です。

領収書

領収書は上記のようにお金を受領した証明の書類です。請求書で請求された金額を実際に支払った後、受け取った側から発行されます。請求書と領収書は一連の流れで使われ、支払い前に請求書、支払い後に領収書を受け取ることが多いです。

レシート

レシートは、お店のレジでもらう細長い紙のことです。購入した商品名や個数、金額、日時などの明細が印字されています。一種の領収書と言えますが、通常宛名(あてな)が書かれていない点が正式な領収書との違いです。

一般的にレシートには自分の名前や会社名は入らず、店舗情報と購入内容のみが記載されています。小さな買い物ではレシートだけでも経費の証明になりますが、ビジネス上の取引では宛名入りの領収書をもらうことが多いです。

なお、領収書とレシートの両方を同時にもらうことは通常できません。例えばお店でレシートを受け取った後に「やっぱり領収書もください」とお願いすると、通常はレシートと引き換えに領収書を発行してもらう形になります。これは、同じ支払いに対して二重に証明書類を発行すると経理上混乱を招くためです。

領収書が必要なケースとそうでないケース

ビジネスをする上で、いつでもどんな支払いでも領収書が必要かというと、実はそうではありません。以下に一般的なケースを紹介します。

領収書が必要なケース

現金で支払った場合や、経費精算・確定申告のために支出の証拠を残しておきたい場合は、必ず領収書をもらいましょう。特にフリーランスや中小企業では、少額でも積み重ねると大きな経費になります。後で税務署から質問されたときに説明できるよう、取引の証明として領収書を受け取って保管しておくことが重要です。また、取引先から「領収書をください」と求められた場合も、発行側は対応する必要があります。

領収書が不要なケース

銀行振込やクレジットカード払いの場合は、厳密には領収書をもらわなくても支払いの証拠を示すことができます。例えば、銀行振込の際に発行される振込明細書(ATMの利用明細やネットバンキングの振込記録)は、それ自体が支払いの証拠になります。

同様に、クレジットカードの利用明細や決済完了メールなども記録として残ります。このため、振込やカード決済では取引先も領収書を発行しないケースがあります。

また、請求書に「請求書兼領収書」と明記されていて、支払ったことが記録される場合(スタンプやサインで支払い済みの印がある場合)も、別途領収書を受け取らなくても良いことがあります。

ただし、「領収書が不要なケース」であっても、領収書を発行してもらってはいけないわけではありません。たとえば銀行振込の支払いでも、取引先に依頼すれば領収書を発行してもらえる場合があります(法律上、現状では領収書の発行は義務ではありませんが、取引マナーとして応じてもらえることが多いです)。

自社の経理ルールや取引先の対応によっては、振込やカード決済でも領収書をもらっておくと安心な場合もあります。必要に応じて柔軟に判断しましょう。

領収書を依頼する際の注意点

仕事で取引先にお金を支払ったのに領収書が手元にない場合、後から「領収書をください」とお願いすることになります。領収書を依頼する際には、いくつか注意すべきマナーやポイントがあります。

正しい依頼方法(メール、チャット、電話など)

領収書の発行をお願いする方法はいくつかありますが、一般的にはメールでの依頼が丁寧で確実です。メールであれば依頼内容を相手が見返せますし、発行側も後で確認しやすいためです。特に正式な取引先や初めて依頼する場合はメールが無難でしょう。また、最近ではチャットツール(LINEやSlackなど)で気軽に依頼するケースも増えています。

親しい間柄や緊急の場合はチャットでひと言お願いしても良いですが、ビジネスマナーとして基本的な礼儀は忘れずに。電話で直接依頼する方法もありますが、記録が残らないため後で「言った・言わない」のトラブルにならないよう、電話後に「先ほどお電話でお願いしました件」とメールやメッセージで念のため確認を送っておくと安心です。

依頼時に伝えるべき項目

領収書を依頼する際には、相手に何を記載してもらいたいかを明確に伝える必要があります。具体的には以下の情報を伝えましょう。

宛名

領収書に記載してもらう自分(自社)の名前です。自営業の方なら屋号や自分の氏名、法人なら正式な会社名を伝えます。宛名の指定がないと「上様」などと書かれることもありますが、経費証明としては自分の名前があったほうが望ましいです。

金額

支払った金額を正確に伝えます。消費税込みの金額なのか税抜きなのか、請求書の金額と相違ないか確認しましょう。相手も記録は持っているでしょうが、念のため伝えてあげると親切です。

但し書き

但し書きとは、「何の代金として受け取ったお金か」を記載する欄です。例えば「ウェブサイト制作費として」「○月分コンサルティング料として」など、取引の内容に応じた文言を指定します。適切な但し書きがあることで、後から見返したときに領収書の内容がわかりやすくなります。

日付(必要に応じて)

通常、領収書の日付は発行日(お金を受け取った日)になりますが、特に指定があれば伝えます。多くの場合、支払日=領収書発行日となるため、指定しなくても問題ありません。

送付方法

領収書を紙で郵送してほしいのか、PDFなど電子データで送ってもらうのか希望があれば伝えます。最近はPDFで発行してメール送付してもらうことも増えています。

失礼にならない依頼の仕方

領収書をお願いする際は、下手に出て丁寧に依頼するのが鉄則です。相手にとって領収書発行は手間になる場合もあるので、感謝と配慮の気持ちを伝えましょう。具体的には、メールやメッセージで「お忙しいところ恐れ入りますが、○○の件につきまして領収書をご発行いただけますと幸いです。」といったクッション言葉を使うと丁寧です。

決して「領収書早く送ってください!」のように高圧的にならないよう注意しましょう。また、取引から時間が経ってしまった場合は「大変恐縮ですが〇月〇日にお支払いした件で領収書を頂戴できますでしょうか」と一言添えて、遅れて依頼する非礼をわびる姿勢も大切です。

依頼のタイミングと期限

領収書の依頼は、できるだけ早く行うのが基本です。支払いが完了したらすぐにでも依頼しましょう。時間が経つと相手も経理処理を終えてしまい、発行が後回しになる可能性があります。また、年度末や確定申告直前にバタバタしないためにも、領収書はその都度きちんと集めておく習慣をつけると安心です。

仮に相手から領収書をもらい忘れていて後日依頼する場合でも、遅くとも支払い後1〜2週間以内には連絡するのが望ましいでしょう。あまりに経ってから依頼すると相手の負担にもなりますし、最悪発行を断られるケースもゼロではありません。特に年をまたぐと経理処理が締まってしまうことがあるため要注意です。

領収書発行の具体的なテンプレート

領収書発行の具体的なテンプレート

ここでは、実際に領収書を依頼するときに使える文例を紹介します。メール、チャットツール、手紙それぞれの場面に応じたテンプレートを用意しましたので、状況に合わせてご活用ください。

メールでの依頼文テンプレート

件名:領収書発行のお願い(○月○日分 ○○代金)

○○株式会社 ○○部 ○○様
平素より大変お世話になっております。△△(自分の名前)です。

先日は○○の件でお世話になりありがとうございました。
さて、○月○日付でお支払いしました○○代金につきまして、領収書を発行していただきたくご連絡差し上げました。
誠にお手数をおかけして恐縮ですが、下記の内容にて領収書の発行をお願いできますでしょうか。


領収書宛名: △△△(自社名や氏名)
金額: ¥○○,○○○(税込)
但し書き: ○○代として
発行日: ○年○月○日(支払日)

上記内容にてご対応いただけますと幸いです。
ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

△△(自分の署名)
住所:〒xxx-xxxx 東京都〇〇区…
電話:03-xxxx-xxxx
メール:yourname@example.com

このメール例では、件名で「何の領収書をお願いしたいのか」が一目で分かるようにしています。本文では丁寧な挨拶から始め、支払い済みであることと領収書発行をお願いしたい旨を述べています。記(追伸)の部分で宛名や金額など必要事項を箇条書きにして伝えることで、相手も対応しやすくなります。

チャットツール(LINE・Slack)での依頼例

チャットで依頼する場合は、メールほどかしこまった文章でなくても構いませんが、最低限の丁寧さは保ちましょう。例えば以下のようなメッセージ例が考えられます。

こんにちは。先日お支払いした○○の件ですが、領収書を発行していただいてもよろしいでしょうか?
お手数をおかけしてすみません。宛名は「△△(自分の名前 or 会社名)」で、金額は¥○○○○、但し書きは「○○代として」でお願いできますと助かります。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いします!

このように、チャットでは改まった挨拶は簡略化しつつも、お願いの文であることが伝わるように絵文字などは避けて丁寧な言葉遣いを心がけます。文末も「よろしくお願いします!」と少しカジュアルにすることで、親しみやすさを出しつつ失礼のない範囲に収めています。

手紙での依頼例

正式な書面として領収書発行を依頼する手紙を書く場合、ビジネス文書の形式で丁寧に伝えます。近年はメールで事足りることが多いですが、あえて手紙で依頼するケースもごく稀にありますので、一つ例を示します。

〒123-4567 東京都○○区○○町1-2-3  

○○株式会社 経理部 御中  

平素よりお世話になっております。△△(自分の会社名・屋号)の○○と申します。  

早速で恐縮ですが、○年○月○日にお支払い致しました下記代金につきまして、領収書を発行いただきたくお願い申し上げます。  

―――――――――――――――  

    記  

・お支払い日: ○年○月○日  

・お取引内容: ○○代金(但し書き:「○○代として」)  

・お支払い金額: ¥○○,○○○(税込)  

・領収書宛名: △△(自社名または氏名)  

―――――――――――――――  

ご多用のところ誠に恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。  

〒987-6543 ○○県○○市△△町4-5-6  

△△(自分の屋号・会社名)  

代表 ○○ ○○  

手紙では、頭語や時候の挨拶は簡略化し、用件を明確に伝えることを優先しています。フォーマットとしては上記のように自分と相手の住所・名前を明記し、本文中でお願いをする流れです。メールと同様、箇条書きで要点を書いてあげると相手もひと目で依頼内容を把握できます。最後は結びの挨拶で丁寧に締めましょう。

インボイス制度における領収書の扱い

続いて、インボイス制度における領収書の扱いについて解説します。2023年10月より日本でスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、フリーランスや中小企業にも影響を与える新しい消費税のルールです。この制度によって領収書(請求書)の発行・保存方法が大きく変わりました。

インボイス制度とは?

インボイス制度とは、事業者間の取引において消費税の仕入税額控除を受けるために、適切な請求書類を発行・保存することを義務付ける制度です。簡単に言えば、「ちゃんと消費税額が明記された請求書(インボイス)を発行・保存しないと、支払った側が消費税を経費(仕入税額控除)にできなくなる」という仕組みです。

これにより、消費税を納める事業者(課税事業者)は取引の際に相手から適格請求書(いわゆるインボイス)をもらい、それを保存しておく必要があります。

フリーランス・中小企業に与える影響

フリーランスや中小企業でも、取引先が課税事業者であればインボイス制度の影響を受けます。具体的には、あなたが適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として税務署に登録していない場合、あなたが発行する領収書や請求書では取引先が消費税の控除を受けられなくなります。

そのため、取引先によっては「インボイス発行事業者でないなら取引額の消費税分(10%)は支払えません」といった対応をされるケースも出てきます。実際、インボイス制度開始以降、フリーランスが仕事を受注する際に「適格請求書発行事業者であること」が条件になることも増えています。

一方で、自身が課税売上高が少ない免税事業者(年間売上1,000万円以下)であるフリーランスの場合、インボイス発行事業者になるかどうかは任意です。しかし取引先との関係を考えると、登録してインボイスを発行できるようにしたほうが仕事に繋がりやすいという判断もあります。中小企業でも同様に、取引先からの要請があればインボイス発行事業者になることを検討すべきでしょう。

インボイス対応の領収書の記載要件

インボイス制度に対応した領収書(適格請求書)には、従来の領収書よりも詳しい情報を記載する必要があります。具体的には以下のような項目を領収書に盛り込むことが求められます。

適格請求書発行事業者の登録番号

インボイス発行事業者には税務署から登録番号(Tから始まる番号)が付与されています。領収書や請求書にはこの番号を必ず記載します。これがないと取引先はその領収書をインボイスとして認められません。

発行者の氏名(名称)・住所

これは従来から必要な項目ですが、発行者(お金を受け取った側)の正式な名称や住所を明記します。会社名や屋号、代表者名などを記載します。

取引年月日

いつの取引に対する支払いなのか日付を明記します。通常は領収書の発行日=支払日となります。

取引内容

何に対する支払いかを具体的に書きます。これは但し書きの欄に記載する形で問題ありません。商品やサービスの内容を簡潔に書き、「軽減税率」の対象が含まれる場合はそれも明記します(例えば飲食料品を含む場合は「※軽減税率対象」と付記)。

税率ごとの金額と消費税額

支払い金額に消費税が含まれている場合、その内訳を示します。具体的には、10%対象の部分と8%対象の部分がある場合、それぞれの税抜金額と適用税率を記載し、それぞれの消費税額を明記します。例えば「税抜金額:¥100,000(適用税率10%)、消費税額:¥10,000」といった具合です。単一税率の場合も、「(税込価格)は消費税○○円と本体価格○○円で構成」といった記載が望ましいでしょう。

領収書の宛名

インボイス制度では、基本的に取引先(支払い側)の名前も請求書類に記載することが求められています。領収書の場合も、できるだけ相手の会社名や氏名を明記しましょう。ただし、不特定多数の消費者相手の取引(例:小売店のレシート)のように一件ごとの取引額が3万円未満の場合は、宛名の記載は必須ではない簡易インボイスとして扱われます。

以上をまとめると、インボイス対応の領収書は「だれが」「いつ」「誰に」「何のために」「いくら(税額内訳)」をきちんと書いたものと言えます。フォーマット自体は従来の領収書と似ていますが、登録番号や消費税額の明記といった点が追加されているイメージです。

インボイス制度下で領収書を発行・受領するポイント: 自分が発行する側であれば、登録番号取得と記載漏れに注意しましょう。特にフリーランスの方は手書きの領収書を使っている場合、フォーマットを見直す必要があります。

また、受け取る側としては、相手が発行した領収書に上記の項目が揃っているか確認することが大切です(自社が課税事業者で仕入税額控除を受ける場合)。もし必要事項が足りない場合は、発行側に問い合わせて訂正や追加をお願いすることも検討しましょう。

領収書発行時の注意点

領収書発行時の注意点

次に、あなた自身が取引先に領収書を発行する立場になったときの注意点を解説します。フリーランスや小さな事業を営んでいると、自分で領収書を切る場面もあるでしょう。以下のポイントを押さえて、正しい領収書発行を心がけてください。

領収書の必須記載事項

領収書には決まった様式はありませんが、ビジネス文書として最低限記載すべき情報があります。主な必須項目は次のとおりです。

宛名

お金を支払った相手の名前を書きます。相手から指定があればその名前を、特に指定がなければ基本的には取引先の会社名や担当者名を書きましょう。「上様」は極力避け、正式名称を記載するのがベターです。

日付

領収書を発行した日付(=金銭を受領した日)を記入します。日付がないといつの取引か不明になってしまうため必ず入れましょう。

金額

受け取った金額を記載します。手書きの場合は「¥50,000-」のように通貨記号や桁区切りを明確にし、後ろにハイフン(-)を付けたり、「也(なり)」を付記して改ざんされないよう工夫します。印字の場合も桁数の間違いがないよう注意してください。なお、消費税込の金額なのか税抜金額なのかも明確にしましょう(通常は税込みで記載し、必要に応じて税額を別途明記)。

但し書き

何の代金として受領したかを簡潔に書きます。「○○代として」「○○料金」など、取引の内容がわかるようにしましょう。

発行者情報

領収書を発行する側の情報です。具体的には、発行者の会社名または氏名、所在地、連絡先などを記載します。印刷された領収書用紙を使う場合、あらかじめ社名や住所が入っていることが多いですね。また、社判(会社の印鑑)を押すケースもありますが、法律上は押印は必須ではありません。とはいえ、ビジネス習慣として押印されていると信頼感が増すため、用意できるなら押すと良いでしょう。

税務上の正しい書き方

税務上問題のない領収書にするために、いくつか注意すべき書き方のポイントがあります。

消費税の扱い

受け取った金額に消費税が含まれている場合、領収書に「税込」や「消費税額○○円を含む」などと記載しておくと親切です。特にインボイス発行事業者の場合は、前述したように税率ごとの金額と税額を記載することが求められます。

一方、自分が免税事業者で相手に消費税を請求していない場合は、その旨を領収書に記載する決まりはありませんが、「(※当方は適格請求書発行事業者ではありません)」などと注記しておくと相手も理解しやすいでしょう。

収入印紙の貼付

領収書に記載する金額が5万円以上(税抜金額)に及ぶ場合、原則として領収書に所定の収入印紙を貼らなければなりません。例えば5万円を超える現金の受領には200円の印紙が必要です。印紙を貼ったら必ず割印(消印)をして、再利用できないようにします。

ただし、支払い方法が銀行振込やカード決済で現金の授受がない場合や、領収書をPDFなど電子データで発行する場合は、収入印紙は不要です。これは紙の文書としての領収書ではなく電子記録であるため、印紙税の課税対象にならないからです。

訂正の仕方

万が一、手書き領収書で金額や宛名を書き間違えた場合は、二重線で該当箇所を消して正しい内容を記載し、訂正印(訂正箇所にかかるように押印)を押しましょう。修正液の使用は避け、訂正があったことが分かる形にします。相手に渡す領収書で誤字があったときは、きれいに書き直したものを再発行する方が望ましいです。

NG例(こんな領収書はダメ)

誤った領収書の書き方をしてしまうと、後々トラブルになることがあります。以下にNG例を挙げますので気をつけましょう。

宛名が空白のまま

宛名欄が空白だと、誰に発行した領収書かわからなくなります。場合によっては他人に転用されるリスクもあります。「上様」も避けたほうが無難です(少額の会計ならまだしも、ビジネス取引では失礼にあたることがあります)。

金額の単位や税込み・税抜き不明

金額だけ数字が書かれていて通貨単位(¥)や税込等の注記がないと、後で「この金額は税込み?税抜き?」といった混乱を招きます。必ず円マークや「(税込)」の表示を入れるようにしましょう。

発行者の情報不足

発行元の社名や連絡先が全く書かれていない領収書は信頼性に欠けます。税務署に提出する証拠にもなりませんので、名前・住所等は省略せず記載しましょう。

ただのメモや付箋に書いたもの

極端な例ですが、正式な領収書用紙ではなくメモ書きや付箋に金額を書いただけでは正式な領収書とは言えません。必ず然るべき用紙に必要事項を記入してください。

二重発行

同じ取引に対して領収書を二重に発行するのもNGです。万一、相手から「領収書を紛失したので再発行してほしい」と頼まれた場合は、再発行した領収書に「再発行」「○月○日発行分の再発行」などと注記しましょう。何も書かずに再度発行すると、同じ経費を二重に計上されてしまう恐れがあります。

電子領収書と紙の領収書の違い

現代では領収書も電子化が進んでいます。電子領収書とは、PDFファイルやメール本文など電子的な形で発行される領収書のことです。電子領収書と紙の領収書には以下のような違いがあります。

形式と受け渡し

紙の領収書は手渡しまたは郵送で受け渡します。一方、電子領収書はメール送信やオンラインダウンロードで渡すため、スピーディーで紛失しにくい利点があります。

印紙税

前述のとおり、電子領収書には収入印紙が不要です。高額取引でも印紙代を節約できるメリットがあります。ただし、受領側で紙に印刷した場合でも、発行側がデータで渡していれば問題ありません。

信憑性

紙の場合は社判の押印などで「本物感」を出しますが、電子領収書でも発行元の正式なデータであれば法的に有効です。メールで送る場合は、PDFにパスワードをかけるなど改ざん防止策を講じる会社もあります。

保存方法

紙の領収書はファイルや箱に整理して保管しますが、電子領収書はPCやクラウド上でデータ保管します。2022年の電子帳簿保存法の改正により、電子で受け取った領収書は電子データのまま保存することが求められるようになりました。印刷して保存する方法から、きちんとデータを保存・管理する方法に変わりつつありますので、受け取る側も注意が必要です。

どちらの形式でも、それぞれメリットがあります。取引先の状況に応じて「紙が良いか電子が良いか」を相談して決めると良いでしょう。特に遠方のクライアント相手であれば電子領収書の方が迅速ですし、お互いの事務負担も軽減されます。

まとめ

領収書の依頼方法から発行時の注意点まで、駆け足で解説してきました。最後にポイントをおさらいしましょう。

領収書は経費管理・税務対策・取引証明の三拍子で大切な書類です。請求書やレシートとの違いを理解し、必要な場面で漏れなく受け取ることが重要です。領収書が必要なときは、メールなど適切な手段で丁寧に依頼し、宛名や金額、但し書きなど必要事項をしっかり伝えましょう。この記事で紹介したテンプレートを活用すれば、失礼のない依頼ができるはずです。

また、自分が領収書を発行する際も、今回挙げた必須項目や正しい書き方に注意して、正式な書類を作成してください。インボイス制度の開始に伴い、領収書や請求書の扱いもアップデートが必要です。登録番号や消費税の明記など、新しいルールに対応したフォーマットを整備しましょう。

よくある間違いとしては、「宛名を書き忘れた」「収入印紙を貼り忘れた」「もらい忘れて後から慌てて依頼した」といったケースがあります。こうしたミスを防ぐには、日頃から領収書チェックリストを作る、取引のたびに領収書を確実にもらう習慣をつける、といった工夫が有効です。

最後に、領収書のやりとりをスムーズに行うためにはコミュニケーションと気配りが大切です。お願いするときは丁寧に、発行するときは相手の立場になって分かりやすく。領収書を正しく活用し、経理業務をスッキリさせて、本業に専念できる環境を整えましょう。あなたのビジネスにとって、本記事の内容がお役に立てば幸いです。さっそく次の取引から実践してみてください。

この記事の投稿者:

nakashima

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