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12月上旬の時候の挨拶とは?ビジネス例文と使い方についても解説

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12月上旬 時候の挨拶

12月に入ると、街は師走ならではの慌ただしさに包まれます。お取引先への手紙やメールを書く際も、こうした季節感を取り入れた時候の挨拶を添えることで、相手に丁寧な印象を与えることができます。

特に送付状(添え状)や社外向けの手紙では、冒頭に時候の挨拶を記すのがマナーです。

本記事では、12月上旬にふさわしい時候の挨拶について、その文化的背景、使い方のポイント、ビジネスシーンでの注意点を解説し、フォーマルな例文も多数ご紹介します。

忙しい師走の時期だからこそ、ひと言添えられた季節の挨拶が「丁寧な人だ」という好印象に繋がり、ビジネス上の信頼感を高めることにも役立ちます。

心のこもった挨拶文を取り入れて、年末のビジネスコミュニケーションをより円滑にしていきましょう。

目次

時候の挨拶とは(文化的背景)

時候の挨拶とは、四季折々の季節感を文章に込めて相手に語りかける、日本ならではの手紙の挨拶表現です。季節の挨拶を冒頭に記す習慣は古くから親しまれており、現在でもフォーマルな手紙や案内状などで受け継がれています。

手紙では通常、「拝啓」などの頭語の後、本文に入る前にこの季節の挨拶文を一文添えます。例えば「師走の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」のように、その時期の気候や行事に触れた言葉を用いるのが特徴です。

この冒頭の文章を「書き出しの挨拶」と呼び、対となるものとして、本文を終えた後、結語(敬具など)の前に添える「結びの挨拶」もあります。

日本には季節を表現する豊かな言葉があり、時候の挨拶では各月に対応した季語が使われます。これらの多くは中国古来の二十四節気に基づいており、暦の上での季節感を反映した表現です(実際の気候より前倒しになる傾向があります)。

例えば二十四節気では11月下旬を「小雪」(しょうせつ)、12月上旬を「大雪」(たいせつ)と呼びます。名前の通り雪にちなんだ季語ですが、地域によっては実際の降雪時期とずれていても挨拶文に用いられます。

12月は旧暦で「師走(しわす)」と呼ばれ、いよいよ冬本番となる時期です。「師走」という語源には諸説ありますが、「師(僧)が走るほど忙しい月」という説が有名で、それほど年末は慌ただしいという意味合いが込められています。

こうした寒冷の候や年の瀬を意識した語句が多く用いられ、相手に季節感とともに丁寧な心配りを伝える役割を果たします。

ビジネスシーンでの時候の挨拶の使い方

手紙・送付状での時候の挨拶

ビジネス文書(手紙や送付状)では、冒頭に時候の挨拶を入れることで、改まった印象の書き出しになります。特に社外の取引先や目上の相手に送る場合、時候の挨拶を添えるのがマナーです。

手紙では通常、頭語「拝啓」の後に続けて季節の挨拶文を書き出します。

漢語調(「~の候」「~の折」「~のみぎり」など)の格式高い表現を用い、続けて「貴社におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます」のように相手の健康や繁栄を慶ぶ定型句を組み合わせるのが一般的です。

その後に本題に入ることで、いきなり要件に入るよりも丁寧でスムーズな導入となります。また、手紙では結びの挨拶として、最後に相手の健康や発展を祈る一文を添えてから結語「敬具」などで締めくくります。

なお、ビジネス書簡の基本構成は「頭語(拝啓)」→「前文(時候の挨拶と安否伺い)」→「本文(用件)」→「末文(結びの挨拶)」→「結語(敬具)」という順序になっています。

これらの形式を踏まえつつ、相手や状況に合わせて失礼のない丁寧な文面を心がけましょう。

ビジネスメールでの時候の挨拶

ビジネスメールの場合、手紙とは異なり、時候の挨拶は必ずしも盛り込まれません。メールは簡潔さが重視されるため、日常的なビジネスメールでは「お世話になっております。」といった挨拶で始め、すぐ本題に入ることがほとんどです。

ただし、初めて連絡する相手へのメールや、季節の挨拶を伝える趣旨のメール(年末年始の挨拶メールなど)では、簡単な季節の言葉を添えると丁寧です。

メールで季節の挨拶を入れる際は、書簡ほど長くせず一文程度に留めます。

例えば「師走に入り、ますますご繁忙のことと存じます。」や「年末の折、何かとお忙しい時期かと存じますが、どうぞご自愛ください。」といった一文を冒頭に加えることで、形式ばった丁寧さが伝わります。

なお、メールでは手紙のような頭語や結語(拝啓・敬具)は使用しない点にも注意しましょう。

参考

親しい友人・家族に宛てたプライベートな手紙では、ビジネスほど改まった表現にせず「朝夕めっきり冷え込んでまいりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」など口語調の季節の挨拶にすることもあります。

相手との関係性に応じて、時候の挨拶も文体を使い分けましょう。

ビジネスシーンでの注意点

ビジネスで時候の挨拶を用いる際には、以下の点に注意しましょう。

季節・時期に合った表現を選ぶ

12月上旬にはその時期に即した挨拶を用い、他の月の季語を誤って使わないようにしましょう。

フォーマルな言葉遣いを心がける

ビジネス書簡では「ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」のような硬い表現を用い、「お元気ですか?」など砕けた表現は避けましょう。

メールでは長文を避ける

メールでは長い時候の挨拶は控え、必要な場合でも一文程度に留めましょう。

頭語と結語を忘れずに

書簡では頭語と結語を正しく対応させ、「拝啓」で始めたら「敬具」で結ぶことを忘れないようにしましょう(「謹啓」で始めたら「謹言」など、頭語に応じた結語を用います。メールでは頭語・結語は不要です)。

前向きな表現を使う

季節の話題に触れる際はネガティブな内容を避け、相手を気遣う前向きな表現を心がけましょう。

以上のポイントを踏まえて時候の挨拶を活用すれば、形式的になりすぎず相手への配慮が伝わるビジネス文書となります。特に年末の忙しい折にひと言添えられた気遣いの表現は、相手に好印象を与えるでしょう。

(※新年の挨拶状では「謹賀新年」などの賀詞を用いるのが一般的ですので、12月中の挨拶状と混同しないようにしてください)

12月上旬に使える時候の挨拶表現

12月上旬に使える時候の挨拶表現

12月上旬の手紙に用いることのできる代表的な季語(漢語調の挨拶表現)をいくつか挙げます。それぞれ時期に応じた意味合いを持ち、ビジネス文書の書き出しに広く使われています。

師走の候(しわすのこう) 

12月を意味する雅な表現「師走」を用いた時候の挨拶。12月全般で使用できます。

向寒の候(こうかんのこう)

日毎に寒さが加わってまいりました頃という意味で、晩秋から初冬にかけて使われる挨拶表現です。

初雪の候(はつゆきのこう) 

初雪の時期に用いる挨拶で、初冬の寒さが本格化したことを伝えます。

大雪の候(たいせつのこう) 

二十四節気の一つ「大雪」(12月7日頃)にちなむ挨拶で、冬の寒さが一段と増す頃を示します。

孟冬の候(もうとうのこう) 

「冬の初め」という意味で、11月中旬から12月上旬にかけて使われる挨拶です。

小雪の候(しょうせつのこう) 

二十四節気の「小雪」(11月下旬頃)の名称を用いた挨拶で、冬が始まったばかりの時期を表します。

これらの漢語調の定型表現以外にも、「各地から初雪の便りが届く季節となりました」「師走に入り、寒さも一段と厳しくなってまいりました」などといった文章表現で季節感を伝えることもできます。

例えば次のように季節の情景に触れつつ相手の様子を伺う書き出しも一案です。

街路樹も葉を落とし、すっかり冬景色に変わりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。
木枯らしの吹きすさぶ日々が続いておりますが、風邪など召されておりませんでしょうか。

重要なのは、12月上旬という時期にふさわしい気候や風物を押さえた上で挨拶に織り込むことです。

なお、12月も中旬・下旬へと移るにつれて、時候の挨拶に用いる季語も変化します。12月中旬には「短日の候」(日暮れが早くなった時期)や「寒気の候」(寒気が一段と強まる頃)、12月下旬には「冬至の候」(冬至の時節)や「歳末の候」(年末)などが使われます。送る時期に合わせて適切な表現を選ぶようにしましょう。

12月上旬に使える結びの挨拶(締めの言葉)

手紙や挨拶状では、本題を終えた後に結びの挨拶として、相手の健康や発展を祈る一文を添えてから結語(敬具など)で締めくくるのが丁寧です。

12月上旬の結びの挨拶には、寒さや年末に触れつつ相手を気遣う表現や、来る新年への願いを込めた表現などが用いられます。以下にビジネスシーンで使える結びの挨拶の例を挙げます。

寒冷の折、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。

歳末の折から、何卒お身体をご自愛くださいますようお願い申し上げます。

末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り致します。

師走のみぎり、良いお年をお迎えになられますようお祈り申し上げます。

これらはいずれも、厳しい寒さや多忙な年末の時期に相手の健康・繁栄を気遣う表現です。

「良いお年をお迎えください」をより丁寧に言い換えたフレーズを盛り込むなど、年末ならではの締めくくりの言葉で結ぶと、より礼儀正しい印象となるでしょう。

結びの挨拶は長くなりすぎないよう1文で簡潔にまとめ、必ず結語(敬具など)の直前に記します。

以上、12月上旬に使える書き出しの挨拶と結びの挨拶について説明しました。続いて、時候の挨拶に関するよくある疑問にQ&A形式でお答えします。

よくある質問

Q1. ビジネスメールでは時候の挨拶を省略しても良いですか?

A. 形式ばった時候の挨拶は、日常的なメールでは省略されることも多いです。特に社内メールややり取りの頻繁な相手には、毎回季節の挨拶を入れる必要はありません。

ただ、初めて連絡する相手へのメールや、礼儀を重んじる場面、季節のご挨拶が目的のメール(年末のご挨拶メールなど)では、簡単でも時候の挨拶を冒頭に添えると丁寧な印象になります。

Q2. 時候の挨拶の文章はどの程度の長さが望ましいですか?

A. 基本的には一文から二文程度が適切です。あまり長々と季節の描写を続けると、本題が埋もれてしまい、かえって冗長な印象を与えかねません。

ビジネス文書では、簡潔さと丁寧さのバランスが重要ですので、季節の言葉+相手の安否や繁栄を慶ぶ一文に留めましょう。メールの場合はさらに短く、一文で済ませるのが無難です。

Q3. 12月上旬以降は挨拶表現を変えるべきでしょうか?

A. 時候の挨拶は月の中でも上旬・中旬・下旬で細かく季語が設定されています。可能であれば送付時期に合わせて挨拶文を調整するのが理想です(例:12月中旬なら「短日の候」、下旬なら「歳末の候」など)。

とはいえ、「師走の候」は12月全般で使える便利な表現ですので、迷ったときはこの表現を用いるとよいでしょう。

また、年末が近い時期であれば、結びの挨拶で年越しや新年に触れる表現(先述の「良いお年を~」等)を入れるのも効果的です。

Q4. 手紙で会社宛ての場合、「貴社」と「御社」どちらを使えば良いですか?

A. 文面では「貴社」を用いるのが正式です。「御社」は口頭で企業を指す際の敬称なので、文章中では使いません。

例えば手紙の書き出しも「貴社ますますご清栄のことと…」となり、「御社ますます~」とは書かないので注意しましょう(メール本文でも同様です)。

なお、社名+様(〇〇株式会社様)と宛名を書く場合でも、本文中では「貴社」で統一します。

時候の挨拶が求められる主な場面

12月上旬の時候の挨拶が特に活躍するのは、以下のようなビジネスシーンです。

書類送付時の添え状

請求書や提案書などを郵送・送付する際に添える送り状(カバーレター)。例文1のように、冒頭で季節の挨拶を述べてから本題(書類送付の旨)に入ります。

年末の挨拶状

日頃お世話になっている取引先などに対し、年末に送る挨拶状(お礼状)。例文2のように、一年間の感謝を述べつつ時候の挨拶を盛り込みます。

ビジネスメール

フォーマルな案内メールや季節の挨拶メール。例文3では、件名や冒頭で簡単に季節に触れてから本題を伝えています。

応募書類の送付

履歴書や提案書などを企業に送る際の添え状。例文4のように、応募の旨を丁寧に伝える前に季節の挨拶を入れると好印象です。

こうした場面では、季節の挨拶を適切に使うことでビジネス文書としての完成度が高まり、相手への心配りも伝わります。

12月上旬の時候の挨拶の例文(ビジネス文例)

実際にビジネス文書で使える12月上旬の時候の挨拶の例文を紹介します。送る相手や媒体(手紙・メール)に応じた表現に注目してください。

例文1(取引先への送付状)

拝啓 初冬の候、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

さて、この度、貴社への○○のご提案書を送付いたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
敬具

例文2(個人宛の年末挨拶状)

拝啓 師走の折、○○様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。本年も格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。年末のご多忙の折とは存じますが、まずは書中にて御礼かたがたご挨拶申し上げます。
敬具

例文3(ビジネスメール)

いつもお世話になっております。株式会社○○の△△です。師走に入り、貴社におかれましては益々ご清栄のことと存じます。早速ではございますが、○○の件につき下記の通りご連絡申し上げます。

例文4(採用応募書類の添え状)

拝啓 師走の折、貴社におかれましてはいよいよご発展のこととお慶び申し上げます。私、△△と申します。

この度、貴社の求人に応募させていただきたく、履歴書および職務経歴書を同封いたしました。ご多用中恐れ入りますが、ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
敬具

これらの例文では、それぞれ挨拶表現や文面のトーンが異なることがわかります。例文1は送付状の冒頭で季語(初冬の候)を用い、続けて日頃の感謝を述べつつ用件(提案書送付)に繋げています。

例文2は年末の挨拶状で、師走の季語とともに一年間お世話になった御礼を盛り込み、より改まった丁寧さを意識した書き出しです。

例文3はビジネスメールの出だしで、「お世話になっております」に始まり、簡潔に時候に触れる一文(師走に入り…)を入れてから本題に入っています。

例文4は採用応募の添え状で、師走の季語を用いつつ、応募書類を送付する旨を丁寧に伝えています。

シーンに応じて表現を使い分けながら、いずれの場合も相手への気遣いが伝わる文章にすることが大切です。

ビジネス挨拶でよく使われる表現の意味

ビジネス挨拶でよく使われる表現の意味

ビジネス文書の時候の挨拶には、決まった敬語表現が使われます。ここでは、文章中によく登場する語句の意味を簡単に説明します。

時下(じか) 

「この頃」「現在」という意味。「時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます」などの形で用いられます。

ご清栄(ごせいえい) 

相手(会社など)の健康と繁栄を祝う表現。「清栄」は「健やかで栄える」という意味で、会社や組織宛の挨拶に使われます(「ご清栄のこととお喜び申し上げます」など)。

ご清祥(ごせいしょう) 

相手(個人)の健康と幸せを祝う表現。「清祥」は「健やかでめでたいこと」という意味で、個人宛の挨拶に使われます(「ご清祥のことと存じます」など)。

ご健勝(ごけんしょう) 

相手が元気で健やかなこと。「健勝」は健康であることを指し、主に個人宛てに用いられます(「ますますご健勝の由、喜ばしく存じます」など)。

ご発展(ごはってん)・ご隆盛(ごりゅうせい) 

 企業や組織がさらに発展・繁栄していくこと。「いよいよご発展のこととお慶び申し上げます」「ますますご隆盛の由、欣喜に存じます」などと用い、相手企業の繁栄を祝う表現です。

末筆ながら(まっぴつながら) 

手紙の結びの定型表現で、「最後になりましたが」という意味。末筆ながら~を述べ、敬具へと繋げます。

これらの定型表現を理解しておくと、決まり文句にも一つひとつ意味があることがわかり、より心のこもった文章を書けるでしょう。

まとめ

12月上旬の時候の挨拶は、年末に向かうビジネスコミュニケーションに季節感と心遣いを添える大切な素養です。

適切な挨拶表現を用いて相手の健康や繁栄を気遣う一文を添えることで、忙しい師走の時期でも丁寧で印象の良い文章になります。

送付状や手紙では格式を守って季節の挨拶を盛り込み、メールでも状況に応じて簡潔に触れることで、ビジネスマンとしてのマナーが伝わるでしょう。本文中でご紹介した例文も参考に、ぜひ実際のビジネス文章に活用してみてください。

形式ばった印象になりがちなビジネス文書ですが、挨拶のひと言ひと言に心を込めることで、相手とのコミュニケーションをより良いものにできます。年末の挨拶は一年間お世話になった感謝を伝える機会でもあります。

丁寧な季節の言葉を添えて、想いの伝わる文章を心掛けましょう。

この記事の投稿者:

hasegawa

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