
11月は秋から冬へと季節が移り変わる時期で、ビジネスシーンの手紙やメールでも季節感を伝える時候の挨拶を上手に使うことで、相手に丁寧な印象を与えることができます。
例えば社外向けの正式なメールでは、11月上旬・中旬・下旬それぞれの気候に合った挨拶文を添えることで、季節の移ろいに触れながら相手の健康や繁栄を気遣うことができます。
また、社内メールや親しい取引先とのやりとりでは、少しカジュアルな表現で季節感を出すと親しみやすさが増すでしょう。
本記事では、11月の時候の挨拶について詳しく解説し、ビジネスメールや手紙でそのまま使える文例を11月上旬・中旬・下旬別に多数ご紹介します。
まずは時候の挨拶の基本ルールやビジネスマナー上の注意点を整理し、その後に各時期ごとのフォーマルな文例とカジュアルな文例を解説付きで示していきます。
季節の挨拶を上手に活用しつつ、実務にも役立つ情報を盛り込みましたので、ぜひ最後までお読みください。
目次
時候の挨拶とは?ビジネス文書における役割と基本マナー
時候の挨拶とは、手紙やメールの冒頭で季節や天候に触れながら相手の安否や繁栄を気遣うための文章です。
日本には春夏秋冬それぞれの季節に独特の表現が数多くあり、ビジネスにおいても季節感のある挨拶文を添えることで、形式ばりがちなやりとりにも心配りや丁寧さを演出できます。
特に11月は秋の終わりから冬の始まりへと向かう季節であり、「寒さ」「冬」といった言葉を織り込んだ挨拶がよく用いられます。ビジネス文書で適切な時候の挨拶を使うポイントとマナーを押さえておきましょう。
ビジネスシーンで時候の挨拶を使う意義
取引先に送る手紙や案内状、あるいはあいさつメールでは、冒頭に季節の挨拶文を入れる習慣があります。
これは単に季節を述べるだけでなく、「季節の変化に伴いお体をご自愛ください」「貴社のご繁栄をお喜び申し上げます」などといった形で、相手への気遣いや祈念の気持ちを伝える役割があります。
ビジネスの文章は用件を簡潔にまとめがちですが、最初に時候の挨拶を一文添えることで季節感が生まれ、受け取った相手に柔らかな印象を与えることができます。
また、丁寧な書き出しのおかげで本題にもスムーズに入りやすくなるという効果もあります。
ビジネスメールでの扱い:必要な場合と省略の判断
近年ではEメールやチャット(LINE等)で業務連絡をする機会も多く、こうしたオンラインツールでは冗長さを避け簡潔に用件を伝えることが重視されます。
そのため、ビジネスメールでは必ずしも時候の挨拶が必要というわけではありません。
特に社内向けのメールや緊急の用件では、時候の挨拶よりも迅速さや明確さが優先されます。
ただし、取引先への丁寧な案内メールや、ご無沙汰している相手への久しぶりのメールなど、改まった場面ではメール本文の冒頭に季節の挨拶を入れると良いでしょう。
メールで時候の挨拶を用いる場合は、次のような点に注意します。
宛先や状況に応じて使い分ける
ビジネスメールでも、フォーマルな案内や依頼のメールでは時候の挨拶を入れると丁寧です。一方、日常的な連絡や返信では簡潔さを優先し、「お世話になっております」程度の挨拶にとどめることも一般的です。
他の定型挨拶との組み合わせ
メール冒頭の定型句である「いつもお世話になっております。」や「突然のメールにて失礼いたします。」などは、状況に応じて時候の挨拶と組み合わせます。例えば、「いつもお世話になっております。
朝夕はめっきり冷え込む季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」のように続ければ、ビジネスメールらしい簡潔さを保ちつつ季節感も伝えられます。
社外メールではまず「お世話になっております。」で名乗りつつお礼を述べ、その後に一文だけ季節の様子に触れると自然でしょう。
挨拶が長くなりすぎないよう注意
メール本文全体が長くなると読み手の負担になるため、時候の挨拶は1〜2文程度に留めます。特にメールでは手紙よりもスクロールせず内容を把握できることが好ましいため、季節の描写に凝りすぎず簡潔にまとめるのがポイントです。
「〜ですが、お元気でお過ごしでしょうか。」と問いかける形や、「〜となりました。」と事実を述べる形で端的に季節感を伝えましょう。
フォーマルとカジュアル:表現の違いと使い分け
時候の挨拶には、大きく分けて漢語調(かんごちょう)と口語調(こうごちょう)の2種類の表現があります。
漢語調とは、四字熟語的な季節の語を使った格式高い表現で、末尾に「〜の候」「〜の折」「〜のみぎり」などを付ける形が典型です。
一方、口語調は日常的な語彙で柔らかく述べる表現で、「〜な季節になりましたね」「〜が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか」のように会話に近い語り口になります。
フォーマルなビジネス文書では漢語調の挨拶が一般的です。特に社外向けの手紙や送付状、改まったメールでは「〜の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」といった形で書き出すと丁寧な印象を与えます。
一方、社内向けメールや親しい取引先へのカジュアルなメールでは、漢語調ではなく口語調で構いません。
「秋晴れの心地よい季節となりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」のように柔らかい文章にすると、親しみやすく温かな雰囲気になります。
相手との関係性によって表現を調整することも大切です。たとえば気心の知れた取引先担当者へのメールであれば、時候の挨拶にご自身の近況や相手との共通の話題を織り交ぜるのも効果的です。
「朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。
お変わりなくお過ごしですか? 先日の展示会ではありがとうございました。(後略)」というように、一言近況やお礼を添えれば、単なる定型文より真心が伝わります。
ただしビジネス上のメールですので、くだけすぎた表現や私的すぎる話題は避け、あくまで業務の延長で許される範囲のカジュアルさに留めるのがマナーです。
時候の挨拶の基本ルールと注意点
時候の挨拶を書く際には、以下の基本ルールとマナー上の注意点にも気を配りましょう。
季節感と言葉遣いの一致
挨拶文には、その時期の季節感が反映された言葉を使います。11月であれば紅葉、落ち葉、朝晩の冷え込み、初霜、冬の足音といった表現が季節にマッチします。実際の気候に合った言葉を選ぶのも大切です。
暖冬であまり寒くない時には「寒さが厳しくなってまいりました」より「日が短くなってきました」のような表現がしっくりくる場合もあります。なるべくその時期らしい情景を思い浮かべて言葉を選びましょう。
使用時期に合った時候の語を選ぶ
漢語調の場合、伝統的な季節の語が多数ありますが、それぞれ使える期間があります。例えば「晩秋の候」は11月上旬(立冬前の晩秋)に適し、「初冬の候」は11月下旬(冬の初め)に使うといった具合です。
各時期の気候や暦に応じた表現を選ぶことで、より自然な挨拶となります。この記事の後半で11月上旬・中旬・下旬に分けて代表的な表現を紹介しますので、参考にしてください。
繰り返しを避ける
手紙の場合、冒頭の時候の挨拶と結び(末尾)の挨拶文で同じフレーズを繰り返さないようにします。
例えば、書き出しで「紅葉の候…」と述べたなら、結びでは紅葉の話題は避け「寒さ厳しき折、お体にお気をつけください。」など別の表現にするのが望ましいです。
同じ言葉の使い回しは文才に欠ける印象を与えかねません。結びの挨拶では、相手の健康や今後の発展を祈る内容で、書き出しとは異なる季節の言葉を選ぶと良いでしょう。
敬語の使い方
時候の挨拶は定型文とはいえ相手への敬意を込める文章ですので、尊敬語・謙譲語のルールに沿った正しい敬語表現を使います。
「ご清栄」「ご健勝」「お慶び申し上げます」などビジネス文書特有の言い回しに慣れていない場合は、文例をそのまま用いるのが確実です。
また社外向けでは「貴社」「皆様方」など相手に応じた呼称を用い、自分のことは「弊社」「私ども」などとへりくだる表現にします。
メールの場合も丁寧語(〜です・ます調)を基本に、親しい間柄でもビジネスであれば最低限の礼儀ある言葉遣いを心がけてください。
以上のポイントを踏まえつつ、次章からは具体的に11月上旬・中旬・下旬それぞれの時候の挨拶とその背景、使える文例を見ていきましょう。
フォーマルなビジネス向け表現と、カジュアルなメール向け表現の両方を紹介しますので、シチュエーションに合わせて活用してみてください。
11月上旬の時候の挨拶(季節感と文例)
11月上旬(11月1日〜10日頃)は、秋も終盤に差し掛かり冬の気配が少しずつ感じられる時期です。日中は秋晴れの穏やかな天気が続くこともありますが、朝晩は急に冷え込む日が増えてきます。
紅葉は地域によりますが見頃を迎えるところも多く、落ち葉が舞う景色に深まる秋を実感する頃でしょう。11月7日頃には二十四節気の立冬(りっとう)を迎え、暦の上では秋が終わり冬が始まります。
したがって11月上旬の時候の挨拶には、「晩秋」「暮秋」など秋の終わりを示す言葉や、「立冬」の語を用いた表現がよく使われます。
また秋の花である菊(皇帝ダリアや菊花展の季節)に触れた挨拶や、澄んだ秋空の心地よさに言及した言葉もこの時期らしい季節感を演出できます。
フォーマルな表現(11月上旬)
ビジネスで社外向けに送る正式な手紙やメールでは、11月上旬に相応しい漢語調の挨拶として次のような表現があります。
「晩秋の候(ばんしゅうのこう)」
「晩秋」とは秋の終わり、晩秋の季節を指す言葉です。立冬(11月7日頃)の前日まで使える表現で、「晩秋の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」のように用います。
この例文は「秋も終わりの頃、御社がますますご繁栄のこととお慶び申し上げます」という意味で、11月初旬のビジネス挨拶にふさわしい一文です。季節の移ろいに触れつつ相手企業の繁栄を喜ぶ内容になっており、丁寧で好印象を与えます。
「暮秋の折(ぼしゅうのおり)」
「暮秋」も晩秋と同じく秋の暮れを意味します。「〜の折」は「〜の時期に」という意味の漢語調表現です。
「暮秋の折、皆様におかれましてはご健勝の由、何よりに存じます。」とすれば、「秋も暮れゆくこの頃、皆様がお元気でお過ごしとのことで何よりです」というニュアンスになります。
取引先の担当者個人と言うより相手会社全体を気遣う表現で、社交辞令として適切です。
「立冬の候(りっとうのこう)」
「立冬」は暦の上で冬に入る日で、11月上旬(だいたい11月7日頃)に当たります。立冬以降の上旬には「立冬の候」を使った挨拶が可能です。
「立冬の候、貴社いよいよご発展のこととお慶び申し上げます。」という言い回しは、「冬の始まりの時節となりましたが、御社がますます発展されていることをお喜び申し上げます」という意味になります。
秋から冬への変わり目という季節感を伝えながら、相手企業の発展を祝うフォーマルな一文になります。
これら漢語調の挨拶は文章冒頭の「拝啓」に続けて書き出すのが一般的です(メールの場合は拝啓は省略することもあります)。たとえば手紙なら「拝啓 晩秋の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。…」というように続けます。メールでも「晩秋の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
いつも大変お世話になっております、◯◯株式会社の△△です。」という順序で書けば丁寧です(固い印象にはなりますが、重要な案内メールなどではこのような形式も用いられます)。
カジュアルな表現(11月上旬)
社内向けのメールや、親しい関係の取引先への連絡では、もっとくだけた口語調で11月上旬らしい季節の挨拶を伝えてみましょう。
ポイントは、秋の終わりとはいえまだ過ごしやすい気候であること、でも朝夕は冷えるので体調を気遣うこと、この2点を簡潔に盛り込むことです。
秋晴れや紅葉に触れる
例えば「秋晴れの心地よい日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。」と書けば、爽やかな秋晴れの天候を伝えつつ相手の近況を問う優しい響きになります。
「秋晴れ」「爽やかな季節」は11月上旬にぴったりのポジティブな季節感です。
最後を「でしょうか。」という問いかけにすると、相手に寄り添う柔らかい印象を与えます。
落ち葉や紅葉の情景を描写する
もう一つの例として「木々の葉が色づき始め、街路には枯葉が舞い散る季節となりましたね。」と始める表現があります。紅葉が始まり落ち葉が舞う様子を描写した文章です。
このまま続けて「◯◯様にはますますご活躍のことと存じます。」などと繋げれば、季節感と相手への配慮が両立した挨拶文になります。
社内報告メールであれば「朝夕はめっきり冷え込むようになりましたが、体調など崩されていませんか。」といった具合に相手の体調を気遣う結びにしても良いでしょう。
例文(カジュアル・11月上旬)
「枯葉舞い散る季節、皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。」
(落ち葉が舞う11月上旬の景色を表現しつつ、相手の様子を問う定番フレーズ)
「秋晴れの日が続き、過ごしやすい季節となりましたね。いつもお世話になっております。」
(爽やかな秋晴れの気候に触れ、続けて日頃の感謝を述べることで自然な書き出しに)
ビジネスメールでは、カジュアルとはいえ最低限「お世話になっております」などの礼儀は示しつつ、堅苦しすぎない表現に留めるのがポイントです。
11月上旬ならではの明るい秋の情景を織り交ぜることで、読み手に季節を感じさせることができます。
11月中旬の時候の挨拶(季節感と文例)
11月中旬(11月11日〜20日頃)は、日ごとに秋が深まり寒さも増してくる時期です。
暦の上では既に冬に入っていますが、実際の気候としては晩秋から初冬への過渡期といえます。木々の葉は赤や黄色に色づき、地域によっては落葉が進みます。
朝晩の冷え込みが一層厳しくなり、初霜が降りる地域も見られるでしょう。空気がひんやりとして冬の気配を感じる日もあれば、晩秋の名残で冷たい雨がしとしと降る日もあります。
11月中旬の季節感を表すキーワードとしては「初霜」「冷たい雨」「落ち葉」「冬支度」などが挙げられます。
フォーマルな表現(11月中旬)
11月中旬のフォーマルな時候の挨拶には、晩秋から初冬への移行期特有の漢語調の言葉を使います。代表的な表現をいくつか見てみましょう。
「冷雨の候(れいうのこう)」
「冷雨」は晩秋から初冬にかけて降る冷たい雨のことです。11月中旬には寒々とした雨の日も増えるため、この表現が使われます。
「冷雨の候、皆様におかれましてはご健勝のこととお喜び申し上げます。」と書けば、「冷たい雨の降る時節となりましたが、皆様が健やかでいらっしゃることをお喜び申し上げます」という意味の挨拶になります。
雨で冷える陽気に触れつつ相手の健康を慮る一文で、中旬の季節感をよく表しています。
「初霜の候(はつしものこう)」
「初霜」とはその年に初めて降りる霜のことです。晩秋から初冬への季節の変わり目を象徴する現象で、11月中旬頃に初霜を迎える地域もあります。
「初霜の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。」という挨拶文は、「今季初めての霜が降りる時期となりましたが、御社がますます発展されていることを喜んでおります」という意味合いです。
寒さが本格化し始める中でも相手企業が発展していることを祝す、格調高い表現となります。
「深秋の折(しんしゅうのおり)」
中旬は秋も深まった頃合いですので、「深秋(しんしゅう)」という言葉も使えます。
「深秋の折、平素よりのご愛顧に厚く御礼申し上げます。」のように用い、「秋も深まってまいりましたところ、平素のご厚情に深謝いたします」という内容を伝えることができます。
ビジネス文では季節の挨拶に続けて感謝の言葉を入れる構成もよく使われますので、このように繋げると自然です。
フォーマルな挨拶では、これらの漢語調表現を冒頭に据えたあと、「日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。」など感謝や謝辞につなげてから本題に入るパターンが多いです。
11月中旬は一年の終盤に近づいているため、「今年も残すところあと僅かとなりましたが…」といった年末を意識した前置きを加えるケースもあります。例えば「今年も残すところあと二ヶ月余りとなりました。
深秋の折、まずは略儀ながらメールにて御礼申し上げます。」などとすれば、少し時候の挨拶に変化をつけつつ礼儀正しい書き出しになります。
カジュアルな表現(11月中旬)
11月中旬のカジュアルな挨拶では、秋から冬へ移りゆく季節感を口語調で伝えつつ、相手を気遣う文章にします。
中旬は「立冬」を過ぎた後ですので、「暦の上では冬」というフレーズを入れたり、紅葉や落ち葉の情景、冬支度の始まりなどを盛り込むと季節らしさが出ます。
秋の名残と冬の気配を表現
例えば「暦の上では立冬を過ぎましたが、まだ所々に秋の名残を感じる日々が続いていますね。」という書き出しがあります。
これは「暦の上ではもう冬ですが、実際にはまだ秋の雰囲気が残っていますね」という意味で、11月中旬ならではの移り変わる季節を表しています。
この後に「◯◯様におかれましてはお元気でお過ごしのことと存じます。」と続ければ、相手の近況を案じる内容にもなります。
紅葉や冬支度に触れる
また「山々がうっすらと冬化粧を始め、季節の移ろいを感じます。」という表現も中旬の季節感を伝える一文です。
「冬化粧」とは山や木々が雪や霜で白く彩られる様子を指しますが、比喩的に紅葉で色づく様子も含めて晩秋から初冬の景色を表現しています。
この文章に「寒さが増してまいりましたので、どうかご自愛ください。」と付け加えると、季節の描写から相手の体調への気遣いまで一つながりの挨拶になります。
年末を意識した表現
11月中旬になると「今年も残りわずかになってきましたね」といったフレーズを使いたくなる頃です。ビジネスメールでも「今年も残すところあと2ヶ月となりました。
ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」と書けば季節感と丁寧さが出ます。
ただしカジュアルな場面ではあまり仰々しくせず、「今年もあとわずかですね。おかげさまで弊社も忙しくなってまいりましたが、◯◯様はいかがお過ごしでしょうか。」のように続けると、相手への問いかけを交えた自然な文になります。
例文(カジュアル・11月中旬)
「暦は立冬を迎えましたが、晩秋の名残も感じられる今日この頃です。朝夕の冷え込みが厳しくなってまいりましたが、皆様お元気でいらっしゃいますか。」
(冬の始まりと秋の残り香を同時に表現し、寒さの中での相手の健康を気遣う挨拶)
「街路樹の落ち葉が冬の訪れを告げる季節となりましたね。今年も残り少なくなってきましたが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。」
(落ち葉の景色から季節を感じさせつつ、年末が近いことに触れて締めくくる文例)
11月中旬のカジュアル挨拶では、秋から冬への移ろいに触れることで季節感を出せます。相手との関係性次第では「そろそろ暖房を入れ始めました」「先日は初霜を見かけました」など具体的な話題を入れても構いません。
ビジネス相手には踏み込みすぎない範囲で季節の話題を共有しつつ、相手の体調や近況を気遣う言葉で結ぶようにしましょう。
11月下旬の時候の挨拶(季節感と文例)
11月下旬(11月21日〜30日頃)は、いよいよ秋も幕を閉じ本格的な冬の訪れを感じる時期です。気温はさらに下がり、平地でも朝晩は冬並みの寒さになることが増えます。紅葉も終盤を迎え、北日本や山間部では木々が葉を落とし始めます。
北海道や東北の一部では初雪や小雪(少し雪が降ること)が観測される頃でもあり、都市部でも年によっては初氷が張ったりします。陽が沈むのも早くなり、夕方5時頃には薄暗くなるため「日が短くなりました」という表現も季節感としてよく使われます。
11月下旬は旧暦では「霜月(しもつき)」と呼ばれ、冬の入り口に当たります。
この時期の時候の挨拶には、「初冬」「小雪(しょうせつ)」「向寒(こうかん:寒さに向かう)」など冬の始まりを表す語や、深まる寒さを表現する言葉が用いられます。
フォーマルな表現(11月下旬)
11月下旬のフォーマルな時候の挨拶として、以下のような漢語調の表現が適しています。
「初冬の候(しょとうのこう)」
「初冬」とは冬の初めの時期を意味する言葉です。11月下旬から12月上旬にかけて使える季節語で、「初冬の候、貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。」のように用います。
意味としては「冬の初めの頃となりましたが、御社がますます隆盛であられることを喜んでおります」という挨拶になります。
秋から冬へ季節が移ったことを踏まえつつ、相手企業の隆盛(繁栄して勢いが盛んなこと)を祝う丁寧な表現です。
「小雪の候(しょうせつのこう)」
「小雪」とは二十四節気の一つで、11月22日頃にあたります。文字通り「小さい雪」で、冬の始めにわずかに雪が舞う頃合いという意味です。
「小雪の候、〇〇様におかれましてはご清祥のことと拝察いたします。」とすれば、「小雪がちらつく時節となりましたが、〇〇様が健やかでいらっしゃることとお察し申し上げます」という意味になります。
「ご清祥(ごせいしょう)」は相手の健康がすこやかで幸福であることを指す敬語表現で、個人宛ての挨拶によく使われます。ビジネスでは目上の個人や顧客に対して安否を問う丁寧な言葉として用いると良いでしょう。
「向寒の折(こうかんのおり)」
「向寒」とは「寒さに向かう」、つまりこれから寒さが本格化していくことを意味する言葉です。11月下旬から冬にかけて使用でき、「向寒の折、何卒ご自愛専一にお願い申し上げます。」というように使います。
この例は「寒さが厳しくなる時期ですので、どうか健康に留意くださいますようお願い申し上げます」という内容で、時候の挨拶に続けて相手の健康を願う結びの言葉としても用いられます。
フォーマルな手紙では挨拶→本題→結びという構成になりますが、「向寒の折、お風邪など召されませぬようお祈り申し上げます。」といった結びの挨拶として使われることも多い表現です。
11月下旬は年末が目前に迫った時期でもありますから、ビジネス文では「今年もいよいよ残りわずかとなってまいりました。」といったフレーズを冒頭か結びに入れて、年間の締めくくりが近いことに触れることもあります。
例えばフォーマルなメールの締めで「本年も残すところあと一月となりました。皆々様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」などと書けば、季節の挨拶を兼ねた年末の挨拶として綺麗にまとまります。
カジュアルな表現(11月下旬)
11月下旬のカジュアルな挨拶では、寒さがいよいよ本格化する様子や、日が短くなって冬らしくなった情景を織り交ぜると季節感が伝わります。親しい相手へのメールで用いやすい表現を見てみましょう。
寒さと長い夜の表現
例えば「日が暮れるのが一段と早くなり、夜が長く感じられるようになりましたね。」という文章があります。11月下旬は日に日に日没が早まり、5時前に暗くなるため、誰もが「日が短くなった」と感じる頃です。
このフレーズはそうした季節の実感を共有しつつ、相手に呼びかける形で親しみを持たせています。続けて「お忙しい時期かと存じますが、くれぐれもご自愛ください。」と加えれば、相手を気遣う挨拶として完結します。
冬の足音が聞こえる表現
「冬の足音が近づいてきましたが、皆様お元気でいらっしゃいますか。」という言い方もよく使われます。「冬の足音が近づく」は冬がもうすぐそこまで来ているという比喩表現です。
11月下旬ならではのフレーズで、読み手に季節の変化を意識させる効果があります。
後半は相手の健康を問う定番表現「お元気でいらっしゃいますか」を付けることで、シンプルながら温かみのある挨拶文になります。
年末への触れ込み
カジュアルな文面でも、11月下旬になると年末を意識した一文を添えることがあります。
「今年もいよいよ残り1か月となりましたね。」と書き出してしまい、その後に「◯◯様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」と続ける形です。
ややフォーマル寄りではありますが、親しい相手なら「今年も残り1ヶ月ですね。何かと慌ただしい時期になってきましたが、お元気でお過ごしください。」くらい砕いた表現にしても良いでしょう。
相手との距離感に応じて、堅さとくだけ具合を調整してください。
例文(カジュアル・11月下旬)
「日増しに陽が短くなり、冬の訪れを感じる季節となりました。朝晩の冷え込みも一段と厳しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。」
(日照時間の短さと寒さの厳しさに触れ、相手の様子を尋ねる丁寧な表現)
「冬の足音がすぐそこまで聞こえる今日この頃、今年もいよいよ残り一月となりました。どうぞ体調にお気をつけてお過ごしください。」
(冬目前の季節感と年末の挨拶を織り交ぜ、相手の健康を願って締めくくる一文)
11月下旬はビジネス上でも締め括りの時期で慌ただしくなりがちです。カジュアルなメールでも相手の繁忙を思いやる言葉を入れると、より共感の得られる挨拶になります。
「師走目前でご多忙のことと存じます」「年末進行でお忙しい毎日かと存じますが…」といった表現を添えつつ、「くれぐれもご自愛ください」と結ぶとスマートです。
請求書メールの書き方と時候の挨拶の活用
11月は四半期末や年度末(12月)に近づくこともあり、取引先へ請求書を送付するメールを書く機会があるビジネスパーソンも多いでしょう。
そこで最後に、請求書をメールで送る際の書き方とマナーについて簡単に触れつつ、これまで紹介してきた季節の挨拶表現をどのように活かせるか考えてみます。
請求書メールを書くときの基本マナー
取引先に請求書を送付するメールを書く場合、ビジネスメールの基本構成に沿って、以下の点を押さえる必要があります。
件名
メールの件名には「請求書」の文字を入れ、内容が一目で分かるようにします。例えば「【◯◯株式会社】〇月分請求書送付の件」のように、会社名や対象期間を含めると親切です。
宛名と冒頭の挨拶
メール本文では最初に宛名(担当者名など)を書き、その後に「お世話になっております。◯◯株式会社の△△です。」という自己紹介・挨拶を入れます。
ここで今回のテーマである時候の挨拶を加えるなら、「いつもお世話になっております。朝夕はめっきり冷え込むようになってまいりましたが、◯◯様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」といった形にできます。
ただし長くなりすぎると肝心の用件が埋もれてしまうため、「お世話になっております。」の後に一文程度、「冷え込みが厳しくなってきましたので、どうかご自愛ください。」などシンプルな季節の言葉を添えるくらいでも良いでしょう。
用件(請求書送付の旨)
本題では請求書を送付する旨と、その概要を述べます。例えば、「添付にて◯月分の請求書(PDF形式)をお送りいたします。ご査収のほどよろしくお願いいたします。」と簡潔に伝えます。
請求金額や件名と異なる場合は案件名なども記載すると親切です。
また支払期限や振込先について必要に応じて触れます(ただし通常は請求書自体に記載されています)。
結びの挨拶
最後は締めの挨拶で結びます。請求書メールの場合、「取り急ぎご連絡まで」といった略式の結びで終えることもありますが、丁寧にするなら「まずはメールにて請求書を送付申し上げます。ご不明な点がございましたらお知らせください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」などと書くと良いでしょう。また季節柄をもう一度織り交ぜて「朝晩冷え込んでまいりました折、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。」のように結んでも丁寧です。
請求書メールではメール本文に請求書ファイルを添付した旨を必ず明記し、相手に作業(開封・処理)をお願いする立場ですので、押し付けがましくならない丁寧な表現を心がけます。
「お忙しいところ恐れ入りますがご確認のほどお願い申し上げます。」などへりくだった依頼表現を用いると良いでしょう。
請求書メール文例(11月下旬・時候の挨拶入り)
では、11月下旬に取引先へ請求書を送る際のメール文章例を示します。季節の挨拶およびINVOYサービスに触れた要素を織り込み、自然な流れになるよう工夫しています。
件名:【○○株式会社】10月分請求書送付のご連絡
本文
◯◯株式会社
経理部 △△ ◯◯様
いつも大変お世話になっております。〇〇株式会社の□□と申します。
夜が長く感じられる季節となり、冬の足音がすぐそこまで聞こえてまいりました。朝晩の冷え込みが一段と厳しくなっておりますが、◯◯様におかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、10月分の請求書を本メールに添付PDFにてお送りいたします。弊社では請求書作成にクラウドサービス「INVOY(インボイ)」を利用しておりますため、本メール記載の請求内容はインボイス制度※に準拠した形式で発行しております。
お手数ですがご査収くださいますようお願い申し上げます。
※適格請求書保存方式(令和5年10月施行)に対応した請求書です。
本年も残すところあと1ヶ月となり、何かと慌ただしい時期となってまいりました。◯◯様におかれましてもご多忙のことと存じますが、くれぐれもご自愛くださいませ。
まずは取り急ぎ請求書送付のご連絡まで申し上げます。ご不明な点などございましたらお気軽にお知らせください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
敬具
―――――――――――――――――――
〇〇株式会社 営業部 □□ ○○(自分の名前)
住所:〒XXX-XXXX 東京都○○区○○ …
TEL:03-XXXX-XXXX
Mail:xxxx@example.com
―――――――――――――――――――
上記の文例では、11月下旬にふさわしい「夜が長く感じられる季節」「冬の足音が聞こえてきました」という表現で季節の挨拶を入れています。
その後、請求書を添付した旨を述べ、括弧書きで注釈として「インボイス制度」に対応した請求書であることも記載しています。
これは令和5年10月に施行された適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)に準拠している旨を伝えることで、受領側に安心してもらう意図です。
実際にINVOYなどクラウド請求書サービスを使えば、最新の法令に沿ったフォーマットで請求書を発行できるため、このような説明もスムーズに行えます。
また結びの挨拶では、年末が迫っていることに触れつつ相手の健康を気遣う文を入れました。「まずは取り急ぎ送付のご連絡まで」といった表現で簡潔に締め、ビジネスメールらしい丁寧さを保っています。
まとめ
11月は「霜月」とも呼ばれ、秋の締めくくりから冬の始まりへと移る季節です。その時期ならではの時候の挨拶をビジネスメールや手紙に取り入れることで、日々のコミュニケーションに季節感と温かみを加えることができます。
11月上旬は晩秋の穏やかな気候を背景に紅葉や秋晴れの話題を、11月中旬は冬の気配や初霜・冷雨など移ろいゆく季節の情景を、そして11月下旬は日に日に増す寒さや冬本番の訪れを表現した言葉を用いると、それぞれの時期に合った挨拶になります。
フォーマルな場では「〜の候」「〜のみぎり」といった格式ある文で相手の繁栄や健康を喜び、カジュアルな場では会話調の柔らかい文で相手の様子を尋ねるなど、シーンに応じて表現を使い分けましょう。
また、11月は年末へ向けて請求書発行や各種締め処理が増える時期でもあります。請求書メールの書き方では、丁寧な挨拶と明確な用件伝達を心がけつつ、季節の挨拶を一言添えることでより丁寧な印象を与えることができます。
さらに請求業務自体はINVOYのようなクラウドサービスを活用して効率化することで、メールの内容に集中でき、ミスのない円滑なやり取りにつながります。
忙しいビジネスシーンでも、四季折々の挨拶を大切にすることは日本ならではのコミュニケーションの潤滑油です。
ぜひ本記事で紹介した「11月上旬 時候の挨拶」や「11月中旬 挨拶文例」、「11月下旬 ビジネスメール 挨拶」の数々を参考に、実際の手紙やメールに応用してみてください。
適切な時候の挨拶は、相手に対する心遣いとして必ず伝わり、ビジネス関係をより良好にする一助となるでしょう。寒さが日に日に増してまいりますが、どうぞ皆様もお体に気をつけてお過ごしください。
今後とも円滑なコミュニケーションと良いビジネス関係を築いていくために、本記事がお役に立てば幸いです。
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