
クレジットカードで支払ったあと、店舗に領収書をお願いしても断られて困った経験はないでしょうか。結論から先にお伝えします。カード決済では、原則として税法上の領収書は発行されません。ただし手元に残るレシートやカード売上票があれば、法人税や所得税の経費として問題なく計上できます。注意が必要なのは消費税の仕入税額控除です。こちらはカード会社から届く請求明細書やWeb明細では認められず、店舗(カード加盟店)が発行した適格請求書等を保存する必要があります。つまり「どの書類を残せばよいか」の答えは、法人税・所得税、消費税、印紙税、電子帳簿保存法という用途ごとに変わります。この記事では国税庁の質疑応答事例と一問一答をもとに、用途別の判断基準を早見表で整理しました。あわせて2026年10月から控除できる割合が変わる経過措置、電子帳簿保存法で見落としやすい保存義務、店舗側が領収書を発行するときの書き方まで解説します。読み終えたときには、手元のレシート1枚をどう扱えばよいか迷わなくなります。答えを急いで知りたい方は「用途別に見る残すべき書類の早見表」の節から確認してください。
目次
結論:カード決済で領収書は発行されませんが経費計上はできます
クレジットカード決済では、店舗に領収書を発行する義務がありません。カード払いは代金の受け渡しを後日にまわす信用取引であり、商品を引き渡した時点では店舗が金銭を受け取っていないためです。領収書は金銭を受け取った事実を証明する書類なので、受領事実がない場面では発行できません。
とはいえ、領収書がなければ経費にできないわけではありません。法人税や所得税の計算では、取引の事実を確認できる証拠書類があれば経費として認められます。レシートやカード売上票(お客様控え)が、その証拠書類にあたります。「領収書という表題の紙がないと経費にならない」という思い込みが、カード払いの経理でもっとも多い誤解です。
領収書が発行されない理由は信用取引だからです
国税庁は質疑応答事例のなかで、クレジット販売の場合の領収書について次のように示しています。「クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が『領収書』となっていても、第17号の1文書には該当しません」という内容です。第17号の1文書とは、印紙税の課税対象になる「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」を指します。
つまりカード決済の場面で店舗が渡す紙は、法律上の「金銭の受取書」ではありません。この考え方が、後述する収入印紙の要否にも結び付きます。根拠は国税庁「クレジット販売の場合の領収書」で確認できます。
店舗が任意で発行してくれるケースもあります
発行義務がないだけで、発行が禁止されているわけではありません。依頼すれば、サービスとして領収書を作成してくれる店舗も少なくありません。社内ルールで領収書の提出を求められている場合は、支払いの直後に相談しましょう。
ただし店舗が任意で発行した領収書には、「クレジットカード利用」といった但し書きが必要です。この記載がない領収書は金銭の受取書として扱われ、印紙税の課税文書に該当してしまいます。現金とカードを組み合わせて支払ったときの書き方は、領収書で現金とクレジットを併用する場合の書き方で詳しく解説しています。
オンライン購入では自分で領収書データを出力できる場合があります
ECサイトや航空券の予約サイトでは、購入履歴の画面から領収書や購入明細のPDFを自分でダウンロードできる仕組みが一般的です。この場合は店舗に依頼する必要がありません。
なお国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)は、「当該ECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えありません」と示しています。サイト側でいつでも確認できる状態が保たれているかが判断の分かれ目です。購入履歴の表示期間には制限があることも多いため、実務ではダウンロードして自社で保存しておくほうが安全です。
用途別に見る残すべき書類の早見表
カード払いで受け取る書類は、用途によって使える場面と使えない場面が分かれます。まず全体像を表で確認してください。
| 書類 | 法人税・所得税の経費計上 | 消費税の仕入税額控除 |
| レシート(適格簡易請求書の要件を満たすもの) | ◯ | ◯ |
| カード売上票(お客様控え・利用伝票) | ◯ | 登録番号などの記載がなければ × |
| 店舗が発行した領収書(「クレジットカード利用」の記載あり) | ◯ | 適格請求書の要件を満たせば ◯ |
| カード会社の請求明細書・Web明細 | ◯(補助資料) | ×(国税庁が明示) |
| 出金伝票 | 補助的に ◯ | × |
電子帳簿保存法の扱いは、紙で受け取ったものは書類保存、データで受け取ったものは電子取引データとしての保存になります。カード会社の請求明細書は明細データ自体の保存が必要で、個々の領収書データは別途保存します。印紙税は、店舗が発行した領収書に「クレジットカード利用」の記載があれば不要ですが、記載を欠くと課税文書に該当します。
とくに注意したいのは「カード会社の請求明細書・Web明細」の行です。法人税や所得税の経費計上では支払いの裏付けになりますが、消費税の仕入税額控除には使えません。以下、書類ごとに理由を確認します。
レシートと適格簡易請求書
レシートには購入した商品名、個々の価格、消費税額、合計金額が印字されているのが一般的です。記載事項が適格簡易請求書の要件を満たしていれば、仕入税額控除の証拠書類として使えます。表題が「領収書」でも「レシート」でも扱いは変わりません。
レシートで足りる理由は、小売業や飲食店業のように不特定多数の相手と取引する事業では、適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付できると定められているためです。レシートと領収書の違いは、領収書とレシートの違いと経費精算での注意点でも整理しています。
クレジットカード売上票(お客様控え・利用伝票)
店頭でカードを使うと渡される控えは、「クレジット売上票」「お客様控え」「利用伝票」などと呼ばれます。名称は端末によって異なりますが、いずれも店舗(カード加盟店)が発行した書類です。ここがカード会社の請求明細書との決定的な違いです。
売上票は支払いの事実を示す書類として、法人税や所得税の経費計上に使えます。一方で仕入税額控除に使う場合は、登録番号や税率ごとに区分した消費税額などの記載がそろっているかを確認してください。決済情報のみを印字する仕様も多く、記載事項を満たさないケースがあります。その場合はレシートや適格請求書をあわせて保存しておく必要があります。
店舗が発行した領収書
店舗が任意で発行した領収書も、記載事項が適格請求書の要件を満たしていれば仕入税額控除に使えます。表題ではなく記載内容で判断する点は他と同じです。
注意点は、レシートと領収書の両方を受け取ってしまう二重発行です。1つの取引で2枚の証拠書類が残ると、経費の二重計上につながります。領収書を発行してもらう場合は、社内で片方を無効として管理するルールを決めておきましょう。インボイス制度に対応した領収書の記載方法は、インボイス制度に対応した領収書の書き方で確認できます。
カード会社の請求明細書とWeb明細は仕入税額控除に使えません
毎月カード会社から届く請求明細書や、会員サイトで確認するWeb明細は、仕入税額控除の証拠書類になりません。国税庁は次のように示しています。「クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)が作成・交付する書類ではなく、当該他の事業者(カード加盟店)の氏名又は名称及び登録番号が記載された書類にも該当しないため、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません」という内容です。
続けて「クレジットカード会社の作成した請求明細書を保存することにより仕入税額控除の適用を受けることはできません」「課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)から受領した適格請求書等を保存することで、仕入税額控除の適用が認められます」とされています。明細を作成しているのは商品やサービスを売った店舗ではなくカード会社だからです。
詳細は国税庁「クレジットカード会社からの請求明細書」で確認してください。「明細があるから大丈夫」と考えず、店舗から受け取った書類を必ず残す運用に切り替えてください。Web明細そのものの保存方法やカード会社ごとの扱いは、クレジットカードのWeb明細を電子帳簿保存法に対応させる保存ルールで解説しています。
高速道路の利用が多頻度な場合の例外的な取扱い
例外もあります。国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)は、高速道路の利用について「高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難なときは、消費税法上、クレジットカード会社から受領するクレジットカ―ド利用明細書と利用した高速道路会社などの任意の一取引に係る利用証明書をダウンロードし、併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えない取扱いとなっています」と示しています。
ただし同じ箇所で、ダウンロードした利用証明書自体も電子帳簿保存法の要件を満たして保存する必要があると注意喚起されています。明細と1件分の利用証明書をセットで保存する運用を組み立ててください。
消費税の仕入税額控除で必要になる書類
インボイス制度のもとでは、支払い方法が現金でも銀行振込でもカード払いでも、仕入税額控除の要件は変わりません。適格請求書発行事業者から交付された適格請求書等を保存することが条件です。
適格請求書と適格簡易請求書の記載事項
国税庁が示す適格請求書の記載事項は、書類作成者の氏名または名称および登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、税率ごとに区分して合計した税込対価または税抜対価の額および適用税率、税率ごとに区分した消費税額等、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の6項目です。
このうち適格簡易請求書では、適用税率と消費税額等はいずれかの記載で足り、交付を受ける事業者の氏名または名称の記載は不要とされています。詳しい要件は国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」と、国税庁インボイスQ&A 問58(適格簡易請求書の記載事項)で確認できます。
宛名の記載が不要になる業種
適格簡易請求書を交付できるのは、小売業や飲食店業、タクシー業などを営む事業者です。不特定かつ多数の相手と取引する性質があるため、宛名を書かないレシートで要件を満たす形が認められています。
そのため「宛名がないレシートだから経費にできない」という判断は誤りです。逆に、取引先を特定して商売をする事業者からは、宛名まで記載された適格請求書を受け取る必要があります。売り手側として交付義務をどう果たすかは、クレジットカード決済でインボイスの発行義務はあるかで整理しています。
少額特例:税込1万円未満は帳簿の保存だけで足ります
税込1万円未満の課税仕入れについては、適格請求書の保存がなくても、必要事項を記載した帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。これを少額特例と呼びます。
対象になるのは、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者です。基準期間は個人事業者ならその年の前々年、法人なら前々事業年度を指します。特定期間は個人事業者なら前年1月から6月まで、法人なら前事業年度の開始の日以後6月の期間です。なお特定期間の判定に、給与支払額の合計額による判定は使えません。
適用期間は令和5年10月1日から令和11年9月30日までに行う課税仕入れです。判定は1回の取引単位で行うため、5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入した場合は合計12,000円となり、対象外になります。また少額特例はインボイスの保存を不要にする措置であり、発行事業者の交付義務を免除するものではありません。詳細は国税庁「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要」で確認してください。
免税事業者から仕入れた場合の経過措置は2026年10月から70%になります
適格請求書発行事業者ではない相手からの課税仕入れでも、一定割合を控除できる経過措置があります。この控除できる割合が令和8年度税制改正で見直され、適用期限が2年間延長されました。控除できる割合は次のとおりです。
| 期間 | 控除できる割合 |
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以降 | 0%(控除できません) |
インターネット上には、改正前のスケジュールにもとづく古い控除割合が数多く残っています。2026年10月1日からの割合は、上記のとおり70%です。
あわせて上限も変わりました。一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)が、その年または事業年度で1億円(改正前は10億円)を超える場合、その超えた部分の課税仕入れには経過措置を適用できません。この上限は令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。根拠は国税庁「令和8年度税制改正特集」で公開されています。
収入印紙は不要ですが「クレジットカード利用」の記載が条件です
カード決済にともなって発行された領収書には、収入印紙を貼る必要がありません。金額の大小は関係なく、5万円を超える取引でも同じです。ただし条件があります。
印紙が不要になる理由
先に触れたとおり、カード払いは信用取引であり、店舗が金銭を受け取った事実がありません。国税庁は「表題が『領収書』となっていても、第17号の1文書には該当しません。したがって、この領収書には印紙を貼付する必要はありません」と示しています。課税文書そのものに当たらないため、金額に応じた印紙税を考える必要がないという順序です。
金額を見て「5万円を超えたから印紙が必要」と考えるのは、この順序を逆に理解している状態です。まず課税文書に該当するかどうかを判断してください。
記載を欠くと課税文書に該当します
例外は記載漏れです。国税庁は「なお、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を『領収書』に記載しないと、第17号の1文書に該当することになります」と明示しています。「クレジットカード利用」「カード決済」といった但し書きがない領収書は、外形上は現金を受け取った受取書と区別できないためです。
課税文書に該当するのに印紙を貼らずに交付すると、過怠税が課される場合があります。発行する側は但し書きの記載を業務手順に組み込み、受け取る側も記載の有無を確認しましょう。印紙の具体的な書き方や電子領収書の扱いは、カード払いの領収書に収入印紙が不要な理由と正しい書き方で詳しく解説しています。
電子帳簿保存法でカード明細を保存するときに見落としやすい点
Web明細やダウンロードしたPDFは、電子帳簿保存法の電子取引に該当します。ここに実務で見落としやすい論点が2つあります。
カード利用明細データ自体も保存の対象になります
国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)は、事業に関連するクレジットカードの利用明細データを受領した場合について、「クレジットカードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当することから、その電磁的記録の保存が必要です」と示しています。
明細は個々の取引を集約した書類ですが、それ自体が保存の対象になります。会計ソフトに数字を取り込んだあとに明細データを消してしまう運用は、この要件を満たしません。
個々の取引の領収書データは別途保存が必要です
同じ問いのなかに、さらに重要な指摘があります。「その利用明細データに含まれている個々の取引についても、請求書・領収書等データ(取引情報)を電磁的に授受している場合には、クレジットカードの利用明細データ等とは別途、その保存が必要となります」という内容です。
つまり明細データを保存しても、個々の領収書データの保存義務は消えません。加えて同一問では、電子取引で仕入税額控除の適用を受けるには、登録番号や消費税額など適格請求書等として必要な事項を満たすデータの保存が必要とされています。原文は国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の問5で確認できます。
印刷して紙で保管する方法は認められていません
かつては電子取引のデータを出力した書面で保存する方法も認められていました。しかし国税庁は「令和3年度の税制改正後は、当該出力した書面等の保存措置が廃止され、当該出力した書面等は、保存書類(国税関係書類以外の書類)として取り扱わないこととされました」と示しています。
Web明細を印刷してファイリングするだけでは要件を満たしません。データにタイムスタンプが付与されていない場合は、受領者側でタイムスタンプを付与するか、事務処理規程にもとづいて適切にデータを管理する対応が求められます。電子帳簿保存法の全体像は、電子帳簿保存法における領収書の保存義務で確認できます。
検索機能の要件が不要になる事業者もあります
電子取引のデータは検索できる状態で保存する必要がありますが、規模の小さい事業者には緩和措置があります。国税庁は「判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が 5,000 万円以下の事業者……については、全ての検索機能の確保の要件が不要とされる」と示しています。
自社が緩和措置の対象になるかどうかで、必要なシステムの水準が変わります。売上高の規模を確認したうえで保存方法を設計してください。
クレジットカード払いの仕訳例
書類の扱いが整理できたら、次は帳簿への記録です。カード払いは「利用した日」と「口座から引き落とされる日」が別なので、仕訳も2段階に分かれます。
複式簿記の場合
税込11,000円の消耗品をカードで購入し、翌月に口座から引き落とされたケースで考えます。利用日には、支払い義務の発生を未払金として記録します。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 利用日 | 消耗品費 | 11,000円 | 未払金 | 11,000円 |
| 引落日 | 未払金 | 11,000円 | 普通預金 | 11,000円 |
個人のカードを事業の支払いに使ったときは、未払金の代わりに事業主借を使う方法もあります。法人カードを使った経理処理の考え方は、法人カードの領収書と経理処理のポイントで解説しています。
単式簿記(簡易帳簿)の場合
単式簿記では、現金や預金の出入りを中心に記録します。カード払いは引き落とされた日に経費として記録する方法が簡便です。
| 日付 | 摘要 | 経費の科目 | 金額 |
| 引落日 | ○○店 消耗品 カード払い | 消耗品費 | 11,000円 |
ただし年末や期末に近い利用は、利用日と引落日で年度が変わってしまいます。利用日の属する年度の経費として調整してください。レシートを紛失して支払いの記録しか残っていない場合の対応は、領収書がない場合の経費精算の方法を参考にしてください。
レシートや売上票の保管期間の考え方
集めた書類は一定期間の保存が必要です。保存すべき年数は一律ではありません。
保管期間は事業形態や申告方法で変わります
保存期間は、法人か個人事業主か、青色申告か白色申告か、さらに欠損金が生じた事業年度かどうかといった条件で変わります。同じレシートでも、事業者の状況によって必要な年数が違うということです。「何年」と一律に覚えるのではなく、自社に当てはまる区分を確認する進め方をおすすめします。年数の根拠は国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」で公開されているので、申告前に自社の区分を照らし合わせてください。
データで受け取った書類は電子帳簿保存法の要件で保存します
紙で受け取ったレシートや売上票は、書類としてそのまま保存します。一方でPDFやWeb明細のようにデータで受け取ったものは、電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存する必要があります。保存の入口が2つに分かれる点を社内ルールに反映させておきましょう。取引先ごと、日付ごとに整理できる保存先を先に決めておくと、税務調査の対応もスムーズになります。
店舗側がカード決済で領収書を発行するときの注意点
ここからは売り手(カード加盟店)の視点です。顧客から領収書を求められたとき、発行してよいのか、何を書けばよいのかを整理します。
「クレジットカード利用」の但し書きを必ず入れます
発行する場合は、「クレジットカード利用」という但し書きを必ず記載してください。記載がなければ金銭の受取書として扱われ、印紙税の課税文書に該当します。テンプレートの段階で但し書きを固定しておくと、記載漏れを防げます。
インボイス制度に対応させるなら、登録番号や税率ごとに区分した消費税額などの記載事項もそろえます。買い手が仕入税額控除を受けられるかは、売り手が発行する書類の記載内容にかかっています。
二重発行と再発行のリスクを管理します
レシートを渡したうえで領収書も発行すると、同じ取引に証拠書類が2枚生まれます。買い手側で経費が二重に計上されるリスクがあるため、レシートを回収するか、領収書に注記を入れる運用が安全です。
再発行する場合は「再発行」と明記し、誰がいつ何枚発行したかを追える記録を残しておきましょう。
ポイントや現金との併用時の金額の書き方
ポイントを使って支払われた場合は、ポイント利用分を値引きとして処理するのか、支払いの一部として処理するのかで記載する金額が変わります。社内で扱いを統一してください。現金とカードを併用したときは、それぞれの金額を分けて記載します。現金部分だけは金銭の受領事実があるため、印紙税の判断も分けて考える必要があります。書き方の具体例は、領収証の正しい書き方と記入例で確認できます。
INVOYで領収書を無料で発行する手順
請求書作成サービスのINVOYでは、領収書もあわせて無料で作成できます。取引先や金額を入力すると、但し書きを含む領収書をPDFで出力できるため、記載漏れを防ぎながら発行できます。登録番号を設定しておけば、インボイス制度の記載事項を満たした書類を継続して発行できます。発行履歴がサービス上に残るので、再発行の管理にも役立ちます。
よくある質問
カードの利用明細だけで経費にできますか?
法人税や所得税の経費計上では、明細を支払いの裏付けとして使えます。ただし消費税の仕入税額控除には使えません。国税庁は、請求明細書の保存によって仕入税額控除の適用を受けることはできないと明示しています。控除を受けるには、店舗(カード加盟店)から受け取った適格請求書等を保存してください。
5万円以上のカード払いでも収入印紙は不要ですか?
不要です。カード払いは信用取引であり、金銭の受領事実がないため課税文書に該当しません。金額の大小は判断に影響しません。ただし「クレジットカード利用」の旨を記載しないと課税文書に該当するため、但し書きが条件になります。
Web明細を印刷して紙で保管してもよいですか?
紙に印刷しただけでは要件を満たしません。令和3年度の税制改正で、電子取引データを出力した書面による保存措置は廃止されました。データのまま電子帳簿保存法の要件を満たして保存してください。
レシートを紛失した場合はどうすればよいですか?
まず店舗に再発行や購入履歴の提示を相談します。難しい場合は、カードの利用明細と出金伝票を組み合わせて、取引の内容と金額、相手先を記録に残します。ただし消費税の仕入税額控除は店舗が発行した適格請求書等がなければ適用できないため、少額特例の対象になるかを確認してください。
領収書とレシートはどちらを保管すべきですか?
どちらか一方で足ります。判断基準は表題ではなく記載事項です。適格請求書または適格簡易請求書の要件を満たしているほうを残してください。品目や税率が印字されているレシートのほうが要件を満たしやすいため、レシートを正として保管する運用でも問題ありません。
請求書のカード払いで支払いを先延ばしできる「INVOYカード払い」
取引先への支払いをクレジットカードに置き換えられれば、資金繰りを改善できます。INVOYカード払いは、銀行振込で支払っていた請求書をカード払いに切り替えられるサービスです。
支払いを最大60日間後ろ倒しできます
INVOYカード払いを使うと、支払いを最大60日間後ろ倒しできます。振込日は最短当日から30日後まで指定できるため、入金と支払いのタイミングを調整しやすくなります。詳しい料率や利用条件は、請求書カード払い「INVOYカード払い」の詳細で確認できます。
まとめ
クレジットカード決済では領収書が発行されませんが、経費計上はできます。要点を振り返ります。
カード払いは信用取引で金銭の受領事実がないため、店舗に領収書の発行義務はありません。法人税や所得税の経費計上は、レシートやカード売上票で対応できます。消費税の仕入税額控除では、カード会社の請求明細書やWeb明細は使えず、店舗が発行した適格請求書等の保存が必要です。収入印紙は金額を問わず不要ですが、「クレジットカード利用」の記載を欠くと課税文書に該当します。電子帳簿保存法では、明細データ自体の保存と個々の領収書データの別途保存の両方が求められます。免税事業者からの仕入れに使える経過措置は、2026年10月1日から控除できる割合が70%に変わり、上限も1億円に引き下げられます。用途ごとに答えが変わる論点なので、迷ったときは早見表に戻って確認してください。



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