会計の基礎知識

多く請求(過剰請求)されたらどうする?違法性と返金義務、誤請求の対処法と原因・防止策

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多く請求

取引先から届いた請求書の金額が「多く請求」されていると気づいたら、誰でも不安になります。予定より高い金額を請求される過剰請求は、企業の経理担当者やフリーランスにとって頭を悩ませる問題です。
こうした誤った請求(誤請求)が起きた場合、ニュースでも時折見かけるように大企業でも発生し得る問題です。

例えば、システム障害で同じ請求が二重に行われたり、料金改定時の設定ミスで本来より多く請求してしまったケースなど、規模の大小を問わず起こり得るトラブルでもあります。では、そのような事態になったとき法的にはどのように扱われ、返金してもらえるのでしょうか?

反対に、うっかり自分が取引先に過剰請求をしてしまった場合、どのように対応すれば信頼関係を損なわずに問題を解決できるでしょうか。

本記事では、過剰請求は違法になるのか、返金義務が発生するケースについて解説します。さらに、過剰請求など誤請求が発覚した際の具体的な対処手順を、請求を受けた側と請求した側の双方の視点で説明します。

最後に、そもそも誤請求はなぜ起こるのか、その原因と防止策を紹介し、誤請求を減らすためのチェックリストを提示します。日々の請求業務に携わる方が安心して取引できるよう、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 過剰請求は違法?返金義務があるケースとないケース

まず、「過剰請求」(本来の金額以上の請求)は法律的に問題があるのか見てみましょう。結論から言えば、誤って多く請求して相手から受け取ったお金は、法律上返還する義務が生じます。 日本の民法では、正当な理由なく他人の財産によって利益を得て、他人に損失を及ぼした場合、それを「不当利得」として返還しなければならないと定められています(民法703条)。

簡単に言えば、「間違いや根拠のない請求で多く受け取ったお金は返しましょう」という当然のルールが法律で明文化されているわけです。つまり、請求ミスなどで本来受け取るべき以上に金銭を受け取った場合、その過剰分は相手に返金しなければならないのです。

これは、過剰請求が意図的なものであっても単なるミスであっても原則同じです。万一、過剰請求に気づきながら返金に応じない場合、法律上、不当利得返還義務に違反することになります。特に過剰に受け取った側がそれを知りながら返還しない場合(民法704条でいう「悪意の受益者」)、その間の利息分も含めて返還しなければならない可能性があります。

また、悪質な場合は詐欺などの刑事問題に発展する可能性も否定できません。たとえ刑事事件にならなくとも、返金を拒めば取引先や顧客からの信用を失い、今後の取引関係に大きな悪影響を及ぼします。

返金義務があるケースとして典型的なのは、以下のような状況です。

請求ミスによる過剰請求
単純な計算違いや入力ミスで、本来の金額より多く請求してしまった場合。
例:商品Aを10個納品し1個1,000円であるはずが、数量を誤って100個として請求書を発行してしまった。

二重請求・重複請求
同じ代金を誤って二度請求し、相手が重ねて支払ってしまった場合。明らかに一方は過剰な入金となるため、その分は返還しなければなりません。

契約金額以上の請求
事前に合意した契約や見積もりの金額を超えて請求している場合。たとえば契約書で総額50万円と決まっているのに、請求書が55万円になっていれば超過分5万円は根拠のない請求です。
(例えば契約範囲外の追加作業を事後に独断で請求書に加えたような場合、その追加分に相手の合意がなければ過剰請求に当たります。)

一方で、返金義務がないケース(過剰請求とは言えないケース)もあります。以下のような場合には、法的に返金に応じる必要はないでしょう。

正当な請求である場合
請求額が高いと感じても、それが契約どおりまたは正当な計算に基づくものであれば過剰請求ではありません。例えば「思ったより高額だ」と感じても、契約上その金額で合意して提供したサービスであれば返金義務は生じません。

購入者の都合による返金要求
商品やサービスに問題がなく、単に「やっぱり支払いを取り消したい」といった購入者側の都合による返金要求は、法律上応じる義務はありません(訪問販売のクーリングオフ適用など特別な場合を除く)。
過剰請求とは関係ない理由での返金要求には、基本的に対応しなくても違法ではないのです。

時効など法的請求期限が過ぎた場合
過剰請求があったとしても、長期間相手が気づかず何年も経過してしまったケースでは、法律上の返還請求権が時効消滅している可能性があります。
一般的に商取引における金銭債権は5年で時効となるため、それを過ぎた返金要求には法的義務は及ばない場合があります。

以上のように、過剰請求があった場合は基本的に速やかに返金する義務があると考えてください。うっかり起こったミスであれば誠実に対処することが信頼維持につながりますし、故意であればなおさら早急に是正しなければ法的リスクが高まります。

では、実際に過剰請求が発覚した場合にはどのように行動すれば良いのでしょうか。次に、具体的な対応手順を見ていきます。

2. 過剰請求・誤請求が発覚したときの対応手順

過剰請求・誤請求が発覚したときの対応手順

次に、万が一過剰請求などの誤請求が発覚した場合の具体的な対応方法を説明します。これは請求を受けた側(お客様側)と請求を発行した側(企業・フリーランス側)で立場によって取るべき行動が異なります。それぞれの視点で、適切な対処フローとポイントを押さえておきましょう。

誤って多く請求された場合(請求を受けた側)の対処法

取引先やお店からの請求額が明らかに多すぎる場合、慌てず冷静に対処することが大切です。以下に、請求を受けた側としての返金要求の手順と交渉のポイントを示します。

請求内容と契約を再確認する

まずは本当に過剰請求かどうか確認しましょう。手元の請求書や領収書の金額が、契約書・注文書・見積書などと比べて多くなっていないか突き合わせます。商品やサービスの数量、単価、消費税額などもチェックしてください。自分の勘違いや見落としでないかを確かめることが第一歩です。

早めに連絡し事実を伝える

過剰請求の疑いが濃厚であれば、できるだけ早く請求をしてきた相手先(取引先の経理担当者や担当営業、カスタマーサポートなど)に連絡します。電話やメールで構いませんので、「◯月◯日の請求書番号XXXについてお伺いしたいことがあります。契約では○○のはずですが、請求額が□□円多いようです」といった具体的な金額と内容を伝えましょう。事実関係を冷静に指摘し、確認をお願いする姿勢で伝えるのがポイントです。

証拠となる書類や記録を用意する

交渉をスムーズに進めるため、契約書や見積書、メールのやり取りなど過剰請求を裏付ける資料があれば手元に用意します。相手から詳細を求められた場合、すぐに提示できるよう準備しておきます。

返金を依頼し交渉する

請求額に誤りがあることが確認できたら、超過分の返金または請求額の修正を依頼します。口頭での謝罪や訂正の約束だけでは不安な場合、「差額○○円を返金いただけますでしょうか」と具体的にお願いしましょう。
交渉のポイントとして、感情的にならず冷静かつ丁寧な言葉遣いで伝えること、法律上不当な請求である旨を穏やかに示唆することが挙げられます。例えば「お手数ですが、不当利得に当たるかと思いますのでご対応よろしくお願いいたします」といった言い回しも検討できます。
例えば、本来の契約金額が100万円なのに請求書に110万円と記載されていた場合、「契約上の金額は100万円かと思いますので、差額の10万円をご返金いただけますでしょうか」といった形で伝えると相手にも内容が明確に伝わります。

合意内容を書面やメールで残す

返金に応じてもらえることになったら、いつまでにどのような方法で返金するか確認し、その合意内容をメールなど文章で残しておきます。後日のトラブル防止のため、口頭で済まさず記録を残しましょう。

解決しない場合は専門機関に相談

もし相手が明らかな過剰請求にも関わらず返金に応じない、話し合いに応じない場合は、泣き寝入りせず第三者に相談します。
消費者であれば消費生活センターや国民生活センター、事業者間取引であれば弁護士や専門の相談窓口に早めに相談し、法的な返還請求(不当利得返還請求や場合によっては詐欺での被害届)も視野に対応を検討しましょう。

以上が、請求を受けた側の基本的な対処フローです。多くの場合、相手も単純なミスに気付いて迅速に対応してくれるはずですが、万一スムーズにいかない場合でも毅然と対応する準備が大切です。

過剰請求してしまった場合(請求を発行した側)の対処法

次に、自分が請求書を発行する立場で誤って多く請求してしまった場合の対応策です。企業の経理担当者やフリーランスの方は、うっかりミスに気づいた時点で速やかに対処し、相手への影響を最小限に留める努力が求められます。以下の手順で誠意ある対応を行いましょう。

誤請求の事実確認

まずは請求書の内容と取引実態を再チェックし、どこに間違いがあったのかを特定します。取引先から指摘を受けた場合はもちろん、社内で発覚した場合も、請求書番号や金額、契約内容などを突き合わせ、過剰請求が事実か確認します。

迅速に取引先へ連絡・謝罪

誤請求が判明したら、できるだけ早く取引先に連絡を取り、事情を説明して謝罪します。電話であれば「弊社の請求に誤りがあり、大変申し訳ございません。現在正しい金額を確認しております」と早期に伝えましょう。
この段階での誠実な謝罪が、相手の不信感やクレームの高まりを防ぐ重要なポイントです。調査に時間がかかる場合でも一報を入れ、「追って正式なご案内をいたします」と伝えておきます。

社内関係者への報告と調査

誤請求の原因を把握し再発防止策を講じるため、社内の関係部署にも速やかに報告します。経理担当内でミスがあったなら上司に報告し、営業担当など契約内容を共有すべき部署とも情報を共有します。システムのエラーであればシステム担当に連絡し、根本原因を調査します。

お詫び状の作成・送付

口頭での謝罪に加え、正式な文書(お詫び状)を作成します。お詫び状には、誤請求が発生したことへの謝罪と、自社の責任である旨、そして今後同様のミスを防止する対策を簡潔に盛り込みます。作成したお詫び状は早急に取引先へ送付し、誠意を形で示しましょう。ビジネス上の信頼関係を維持するためにも文書での謝罪は有効です。

正しい請求書の再発行

誤っていた部分を修正した正しい金額の請求書を新たに作成し、相手に再発行します。再発行する請求書には「再請求書」や「訂正後請求書」である旨を明記し、誤りのないことを念入りに確認してください。以前の誤請求分と見比べて、項目や金額の抜け漏れがないよう注意しましょう。再発行した請求書は、お詫び状と一緒に送付し、先方に正しい金額を正式に案内します。

返金・差額精算の実行

既に相手が過剰分を支払ってしまっている場合は、速やかに返金処理を行います。返金方法は相手の希望に沿うのが原則です。一般的には銀行振込で差額を返金するケースが多いですが、小額であれば次回の請求時に相殺(値引き)する方法を取ることもあります。
ただし、この相殺は相手から希望された場合に限定すべきです。誤請求した側から「次回に繰り越します」と提案すると、過剰分を手元に残そうとしている印象を与えかねず失礼に当たります。現金書留や手渡しなど、相手が望む方法で確実に差額を返金しましょう。返金の際には「この度はご迷惑をおかけしました」と改めて謝罪の意も伝えることを忘れずに。

帳簿への記録(仕訳)と社内処理

返金が完了したら、自社および先方双方で正しく経理処理を行います。返金した金額について、自社では一時的な支出科目(例えば「仮払金」等)で計上し、先方では一時的な受け取り科目(「仮受金」等)で処理しておく必要があります。後日正しい勘定科目に振り替えることで帳簿を是正します。
こうした仕訳を怠ると、決算時に帳尻が合わなくなる恐れがあるため注意しましょう。また、社内で発生原因を分析し、再発防止策を周知徹底することも大切です。なお、過剰請求額がごく少額で取引先がお返し不要と申し出た場合は、その金額を自社の経理上「雑収入」等として計上し処理する方法もあります。ただし本来返金すべきお金には変わりありません。
トラブル防止のため、金額の大小にかかわらずこちらから積極的に返金を提案し、けじめをつけることが望ましいでしょう。

以上が、請求を発行した側として過剰請求が発覚した際の一連の対応手順です。迅速かつ丁寧な対応を心がければ、大半の取引先は誠意を理解してくれるでしょう。過剰請求は起こしてしまったこと自体はマイナスですが、その後の対応次第では信頼関係を維持・回復することも可能です。

特に、こちらから誤請求を発見して先に申し出た場合には、「正直に報告してくれた」と評価され信頼を高めるケースもあります。隠さず速やかに申し出る姿勢が肝心です。以上のように適切に対処すればトラブルは収束しますが、そもそも誤請求は起こさないに越したことはありません。そこで最後に、誤請求が起こる原因と防止策について確認しておきましょう。

3. 過剰請求などの「誤請求」はなぜ起こる?原因と防止策

過剰請求などの「誤請求」はなぜ起こる?原因と防止策

最後に、そもそもなぜ過剰請求のような誤請求が発生してしまうのか、その原因と防止策について確認しましょう。原因を把握し対策を講じておくことで、将来的に同様のミスを減らすことができます。

誤請求が起こる主な原因

日々の請求業務において誤請求が起こる背景には、次のような要因が考えられます。

入力ミス・計算違いなど人為的なエラー

請求書作成時の単純ミスです。数量の桁を間違えたり、金額の入力を誤ったり、計算式の設定ミス(消費税や割引計算の誤り)など、人間が手作業で行う以上どうしてもヒューマンエラーは発生し得ます。
特にエクセルでの手作業計算や転記作業ではミスが起こりやすく、会社の台帳やシステム上のデータと請求書の数字が一致しない原因になります。

複雑な料金体系・契約条件

現在はサービスや取引形態が多様化し、それに伴い料金体系も複雑になっています。例えば段階的な割引、期間限定のキャンペーン価格、オプション料金の有無など、通常価格とは異なる条件があると、その都度正しく反映させる必要があります。
これを失念したり計算を誤ったりすると、請求額が過大または過小になるリスクが高まります。

システムエラーやソフトウェアの不具合

請求書発行システムや会計ソフトの設定ミス・バグなど技術的な原因で誤請求が発生することもあります。本来連携するはずのデータが正しく反映されなかったり、消費税率の更新漏れがあったり、プログラムの不具合で二重計上されてしまうケースも考えられます。
システムに依存して安心しきっていると、こうした見逃しやバグによる誤請求に気付かないことがあります。

決済手段や処理方法の多様化

現金、銀行振込、クレジットカード、電子マネーなど、支払い方法が多様になるほど、その処理に関する事務作業も煩雑になります。例えば、一部前払い・残額後払いのような複雑な支払いスケジュールを管理していると、どこまで請求済みか混乱してしまい、誤って多く請求してしまうことがあり得ます。支払い手段ごとに処理方法が異なる場合も、ミスの温床になります。

請求書の重複発行や手動での再発行

請求書を再発行した際に旧版と新しいものが二重にカウントされてしまったり、送信ミスで同じ請求書を2回送付してしまうなどのヒューマンエラーも原因になります。
特に通常と異なる手順で請求書を作成・発行するとき(システムから出力できず手入力で作り直す場合など)は、普段との勝手が違うため誤りに気づきにくくなります。

契約内容や価格改定の周知漏れ

営業担当が契約内容を変更したり価格を改定したにもかかわらず、その情報が経理担当に共有されていなかった場合、経理は古い情報のまま請求書を発行してしまいます。
その結果、新契約では値引きがあるはずなのに通常価格で請求してしまうなどの過誤が起こり得ます。社内の情報共有不足は誤請求の大きな原因です。

処理件数の過多・確認不足

1人の担当者が短時間に大量の請求書を処理しているような場合、どうしても一件一件を丁寧に確認することが難しくなり、ミスが発生しやすくなります。忙しい月末や決算前など、時間に追われてチェックが疎かになるタイミングも危険です。

故意による水増し請求

上記はいずれもミスによる誤請求ですが、中には意図的に請求額を水増しする悪質なケースも存在します。たとえば実際には発生していない作業や費用を架空計上して請求する、不正な経費を上乗せするなどです。
このような行為は当然ながら許されず、不当利得であると同時に詐欺など不法行為に該当し、発覚すれば損害賠償請求や刑事罰の対象ともなり得ます。本記事ではこうした故意の不正ではなく、ミスによる誤請求を前提に話を進めています。

誤請求を防ぐための対策

上記の原因を踏まえて、企業やフリーランスが取るべき誤請求防止策をまとめます。

ダブルチェック体制の徹底請求書を発行する前に、必ず別の担当者や自分以外の目で内容を確認する仕組みを作りましょう。フリーランスで一人の場合でも、時間をおいてからもう一度見直すなどして、入力ミスや計算ミスを潰すことが重要です。

請求システムやツールの活用

手作業を減らすために、信頼性の高い請求書発行システムや会計ソフトを活用しましょう。自動計算機能やテンプレートを使えばヒューマンエラーの確率を下げられます。ただしシステム任せにせず、ソフトウェアの設定(税率や単価マスタの更新など)は適宜チェック・アップデートするよう心掛けます。

契約・価格情報の共有と更新

社内で契約内容や価格変更があった際は、関連部署間で確実に情報共有するルールを設けます。例えば、営業担当が新しい契約を結んだら、経理担当にメールで通知する、契約管理システムでリアルタイムに情報を更新する、といった仕組みを導入しましょう。

フリーランスの場合も、クライアントとのやり取りで料金や仕様変更があったら、自分の請求台帳にすぐメモし、請求時に見返せるようにします。

業務量の適切な管理

請求処理が特定の担当者に集中しすぎないようにしたり、繁忙期には応援を頼むなど、人員配置やスケジュール管理で余裕を持たせることも大切です。一度に抱える件数を減らすことで、一件ごとに丁寧な確認ができ誤りを減らせます。

再発行時の注意喚起

請求書を再発行するときは、同じ番号を使い回さない、旧請求書には「破棄」などスタンプを押す、といった運用をして重複を防ぎます。異例の対応をするときほど複数人でチェックするクセをつけ、ミス防止に努めましょう。

定期的な研修・教育

経理担当者や請求業務に関わる人には、定期的に注意事項や事例を共有し、ミス防止の意識付けをします。最新の法制度(例:消費税率改定やインボイス制度など)が請求業務に与える影響もアップデートして知識を揃えると、システム設定漏れなどを防げます。

過去事例の共有と定期的な監査

過去に発生した誤請求の事例を社内で振り返り共有したり、請求業務フローを定期的に点検・監査することも有効です。ミスの再発防止だけでなく、潜在的な問題の芽を早期に発見して摘み取ることにつながります。

誤請求防止のためのチェックリスト

最後に、請求書を発行する前に確認しておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめました。経理担当者やフリーランスの皆さんは、請求業務の最終チェックとしてぜひ活用してください。

契約内容との照合
請求書の金額・数量・単価が、契約書や見積書の内容と一致しているか。

割引・特典の反映
キャンペーン割引やサービス追加分の無料提供など、適用すべき値引き・特典を正しく反映しているか。

税金・送料等の計算
消費税の計算ミスや、送料・手数料の入れ忘れ/二重計上がないか確認する。

日付や期間の確認
請求書の発行日、サービス提供期間や納品日などの日付情報が正確か。期間指定の料金であれば対象期間が正しいか。

重複請求の防止
同じ案件について既に請求書を出していないか、今回が初回請求であることを確認する(過去の請求履歴と照合)。

宛先や明細の最終チェック
請求書の宛先(会社名・担当者名)に誤字がないか、請求項目の明細に抜け漏れや過剰な項目が含まれていないか最終確認する。

第三者によるレビュー
可能であれば他の人にチェックしてもらい、誤字脱字や数字の誤りを指摘してもらう。難しければ自分でチェックリストを用いながら見直す。

上記のチェックポイントを一通り確認すれば、過剰請求などの重大なミスはかなり防げるはずです。特に金額や数量のミスは取引先との信頼関係に直結するため、時間をかけてでも丁寧にチェックしましょう。

おわりに

過剰請求(多く請求)は、発生してしまうと法的な問題になり得るだけでなく、取引先との信頼関係を損ねる厄介なトラブルです。しかし、適切な知識と対策があれば、万一誤請求が起きても速やかに是正し被害を最小限に抑えることができます。

ポイントは「早期発見・迅速対応・誠実な謝罪・確実な返金」です。請求を受ける側であれば冷静に事実を確認して正当な権利を主張し、請求する側であればミスを認めて迅速に修正しましょう。

また、そもそも誤請求を起こさないよう予防策を講じることも重要です。二重チェックやシステム活用、社内ルール整備などでミスの芽を事前に摘み、チェックリストを活用してうっかりミスを減らしましょう。そうすることで「多く請求してしまった!」「多く請求されて困った!」という事態を避け、安心してビジネスに専念できる環境を整えることができます。

誠実で正確な請求業務は、企業・フリーランスにとって信用を築く基盤です。今回紹介した内容を参考に、日々の請求管理に役立てていただければ幸いです。

この記事の投稿者:

nakashima

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