請求書の管理 見積書の有効期限はどのくらい?有効期限がある理由や記載の注意点を徹底解説 最終更新日: 2023/12/25   公開日: 2023/06/18

見積書に有効期限を定めることで、リスクの少ない取引を行い、取引先の契約を促す効果があります。本記事では、見積書に有効期限を記載する際のポイントや注意点、見積書の作成方法などについてわかりやすく解説します。

一般的な見積書の有効期限

見積書を作成する際、一般的には有効期限を設定します。「見積書に記載された条件で取引ができる期間」を示すものであり、この期間を過ぎてしまうと、再度見積書を作成する
必要があります。

有効期限の長さに決まりはなく、会社の都合によって2週間〜半年程度の間で設定することが一般的です。

見積書に有効期限を設定する理由や目的

見積書の有効期限は必ず設定しなくてはいけないわけではありませんが、以下で説明する2つの理由から、設定することが望ましいと考えられています。

契約成立を促す

取引先に見積書を渡しても、すぐに検討してもらえるとは限りません。「日頃の業務が忙しいから」「じっくりと考えて決めたいから」といった理由で、判断を後回しにされることもあるでしょう。

見積書に有効期限を定めることで、期限内に判断してもらうことを促します。期限までに予算について考えたり、契約のために必要な事項を洗い出したりしようという意識も働く可能性があります。見積書の有効期限を設定し、できるだけスムーズに契約してもらえるようにしましょう。

商品・サービスの価格変動に備える

社会情勢や市場の状況などによって、商品の価格を見直す必要が生じることがあります。特に近年は、物価や人件費の高騰で、今までと同じ価格で商品を提供できなくなっている会社も多いでしょう。

見積書の送付後に取引先の検討が長引くと、このようなリスクに対応することが難しくなります。特に、価格変動が起きやすい原料を使っている商品に関しては、有効期限を設定しないと、十分な利益を出すことができなくなるケースもあるでしょう。

見積書に有効期限を設定して、作成から時間が空いた場合にも価格変動に対応できるように備えることが重要です。

見積書の有効期限に関係する民法第523条について

有効期限を設定した見積書を作成し、取引先に渡した後に撤回すると、民法に抵触する可能性があります。実際に条文を見てみましょう。

(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
引用:民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#Mp-At_523

民法第523条第1項:承諾の期間

前項で紹介した条文のうち「承諾の期間」とは、見積書の有効期限と捉えることができます。「申込み」は、有効期限のある見積書を作成した発行側が行う申込みと捉えます。

第1項には、期間のある申込みを「撤回できない」とあります。つまり、有効期限のある見積書を発行すると、発行側が取引先に対して契約を申し込んだ状態となり、その後に契約の申込みをなかったことにはできないということを意味します。

民法第523条第2項:承諾の通知

第2項の「承諾の通知」とは、見積書に対して「その内容で契約します」と承諾することを指します。

「承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う」とありますが、これは有効期限の設定された見積書は、その期間を過ぎても承諾する旨の通知がなかった場合、効力を失うことを示しています。

見積書の記載方法・必要項目

見積書に記載すべき項目を順番に解説します。

宛名

会社名や住所など、見積書の提出先となる会社の情報を記載します。大きい規模の会社である場合は、部署や担当者の名前まで記載することが大切です。相手に失礼がないように正しい情報を記載することはもちろん「御中」や「様」といった敬称も適切に使いましょう。

作成日

見積書を作成した日付を記載します。同じ取引先に対する見積書を複数回にわたって作成した際は、この作成日で見分けることもあります。毎回忘れずに記載しましょう。

作成者の情報

見積書の作成者の情報を記載します。会社名や住所、連絡先・担当者名などを記載しましょう。

商品の内容・金額

単価・数量・金額などを商品ごとに記載します。合計額や消費税額、最終的に支払うこととなる税込の金額なども明記しましょう。

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見積書の有効期限の設定における注意点

見積書の有効期限を記載する際、注意したいポイントを2つ紹介します。

価格変動が起こる可能性がある

見積書に記載する有効期限の期間に、法的な決まりがあるわけではありません。数週間から数ヶ月の間で設定することが一般的ですが、1年以上の長期間で設定することも可能です。

有効期限を長く設定しすぎると、原材料や人件費の高騰などで、見積書の作成時と同じ価格で商品を提供することが難しくなるケースがあります。また、期限が先だからという理由で取引先が見積書の検討を後回しにしてしまうこともあるでしょう。

しかし、期限を過ぎた見積書は効力がないため、有効期限を短く設定しすぎると、再発行の手間が生じる可能性もあります。これらの点を踏まえ、状況に即した有効期限を設定することを心がけましょう。

提出前にチェックを行う

作成した見積書に誤りがないかどうか、提出前によく確認することも大切です。特に、商品の単価や金額などに入力ミスがあれば、再度見積書を作成する手間が生じます。

後になって間違いに気づけば、取引先に「どうして金額が変更になるのか?」といった不信感を与えることになりかねません。また、前述した通り、有効期限を設定した見積書は発行側の都合で撤回することはできません。無用なトラブルを引き起こさないためにも、見積書は提出前に入念なチェックを行いましょう。

見積書の有効期限が過ぎた場合の対応方法

有効期限を過ぎてしまった見積書は効力を失います。双方に取引をする意思がある場合には、見積書を再発行する必要が生じます。

見積書を再発行する場合、商品の内容が以前と同じであったとしても、金額を更新することがあります。商品が新しい仕様に更新されていたり、取引先が必要としている商品が変わっていたりする可能性もあるため、注意が必要です。

また、見積書を受け取った側が有効期限を過ぎてしまったことに気づいた場合、発行元へ連絡して再発行を打診します。再発行してもらった見積書は、前回と同じように見えても、タイミングによっては金額に違いが生じることもあります。見積書を改めてよく確認し、契約するかどうか判断しましょう。

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取引先と契約を行うために、見積書を発行して、契約するかどうかを検討してもらうことがあります。しかし、業種によってはさまざまな会社に対して見積書を発行することとなるため、発行や管理に手間がかかります。そのような事務仕事に時間を取られてしまうという方も少なくないのではないでしょうか。

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まとめ

見積書に有効期限を設定することで、商品の価格変動に対応したり、取引先に契約を促したりする効果があります。有効期限を設定することは必須ではありませんが、できるだけ設定した方が望ましいと言えます。

また、有効期限を設定した見積書は、自社の都合で勝手に撤回できないという点に注意が必要です。見積書の作成方法を把握し、スムーズな取引を行いましょう。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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