インボイス制度の導入により、見積書、請求書など帳票の記載内容や発行方法などが大きく変わりました。では、見積書に消費税額を含めた金額を記載する必要はあるでしょうか。本記事では、総額表示義務、見積書に消費税を記載する方法、見積書のテンプレートについて紹介します。
目次
総額表示義務とは
総額表示義務とは、消費税を含む価格表示を消費税課税事業者に義務づける制度です。つまり、商品やサービスを購入する際に、本体価格だけでなく、実際に支払う総額がわかりやすくなることが目的です。また、「税抜き」や「税込」が混在すると、同一商品の価格を消費者が比較しづらくなることも背景にありました。
この総額表示義務は2004年4月から始まっています。しかし、消費税率が8%から10%に引き上げられた際、値札の貼り替えや消費税の計算など、事業者の手間を軽減するために特例が設けられました。
つまり、2013年10月から2021年3月までは、「税抜価格」「本体価格」「xxx円+税」といった価格の表示が認められていました。しかし、2021年4月から再び総額表示が義務とされています。
総額表示により、消費者は商品やサービスを購入する際にいくら支払う必要があるのかを、値札や広告を見ただけですぐに理解できるようになり、同じ商品の価格を比較することも簡単になります。
参照:
令和3年4月1日より、税込価格の表示(総額表示)が必要になります!|財務省
見積書の消費税を含めた総額表示は義務ではない
見積書、契約書、請求書については、消費税を含めた総額表示は義務ではありません。
国税庁は、総額表示の義務付けについて、以下のように述べています。
(引用)総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する値札や店内掲示、チラシあるいは商品カタログにおいて、「あらかじめ」価格を表示する場合を対象としていますから、見積書、契約書、請求書等については、総額表示義務の対象とはなりません。(消法63) |
なお、特定の顧客に対する見積書でも、消費税を含めた価格を事前に表示しておくと、取引金額に誤解が生じにくくなるため、税込み価格と税別価格の両方を明確に表記しておくのがよいでしょう。
見積書に消費税を記載する方法
総額表示義務で「税込価格である旨」を表示することは必須ではなく、商品またはサービスの税込価格が表示されていれば特に問題ありません。ただし、見積書に関しては、総額表示義務がないため、税込価格だけを表示すると誤解が生じる可能性があります。そのため、税込価格を表示する際は税込であることを明確にする方がよいでしょう。
具体的な記載方法は、以下の例を参考にしてください。
見積書には、お見積金額(税込み価格)を明記し、小計、消費税(〇%)、合計金額を記載します。
具体的な記載方法は、以下の例を参考にしてください。
お見積金額の記載例
「お見積金額」は、上記の記載例の他に、以下のように表示することも可能です。
- ¥495,000(うち消費税額等¥45,000)
- ¥495,000(税抜価格¥450,000)
- ¥495,000(税抜価格¥450,000、消費税額等¥45,000)
- ¥495,000(税抜価格¥450,000、消費税率10%)
- ¥495,000(税込価格¥495,000)
見積書の作成は、テンプレートを利用すると、記載ミスや計算ミスを減らせます。
テンプレートについて、後ほど紹介します。
消費税込みの総額表示が求められるケース
消費税込みの総額表示とは、事業者が不特定多数の人々に対して商品やサービスの価格を示す際に、税込み価格の表示を義務付けるものです。つまり、一般の消費者に価格を提示する際には、消費税を含む総額を明示する必要があります。
具体的には消費者に商品を販売したり、サービスを提供したりする場合、小売価格を表示する際には総額表示が求められます。これは、消費者が購入する際に支払う総額が明確に分かるようにするためです。表示媒体は、不特定多数の人々に向けたものであれば、すべて対象となります。商品の本体に貼る値札、店頭の表示、チラシや広告などが含まれます。
取引の際に特定の相手に渡す見積書、契約書、請求書、領収書などは、事前に不特定多数の人に価格を表示するものではないため、総額表示の義務はありません。ただし、広告やホームページなどに「お見積り例」を表示する場合は、不特定多数の人々に価格を事前に示すことになるため、総額表示が必要です。
見積書の基本的な書き方と無料テンプレート
見積書には決まったデザインや書式はありませんが、通常、以下の内容を記載します。
- 見積り先の宛先
- 見積書の発行日、見積書番号/通番
- 提出者の会社名、住所、電話番号など .
- 提出者の会社捺印 .
- 見積書の有効期限
- 見積り金額(税込).
- 商品名、商品の数量・単価、商品の金額
- 小計
- 消費税など
- 合計金額
- 備考
見積書は、テンプレートを利用すると、必要な項目を入力するだけで簡単に作成できます。作成した見積書は、PDF形式に変換してメールで送信でき、必要に応じて郵送することも可能です。
関連リンク:見積書の書き方・作り方を無料のテンプレートを用いてわかりやすく解説!ポイントや注意点も!
見積書についてよくある質問
見積書についてよくある質問を2つ紹介します。
よくある質問①:見積書に消費税を記載する必要はありますか?
見積書については、消費税を含めた金額を表示する義務はありませんが、取引金額に誤解を避けるためには、事前に消費税を含めた価格を表示しておくことが望ましいです。
よくある質問②:見積書に消費税を記載する方法は?
「お見積金額¥〇〇〇(税込)」と記載しますが、その他にも、「¥〇〇〇(税抜価格¥△△△」、「¥〇〇〇(税抜価格¥△△△、消費税額等¥◇◇)などの表示方法があります。詳しくは、本記事の「お見積金額の記載例」をご覧ください。
経理業務の効率化なら「INVOY」
見積書は、自社の商品やサービスを顧客に提案するための重要な書類です。弊社のサービス「INVOY」では、見積書や請求書、納品書などの書類を無料で作成・管理する機能を提供しています。画面の指示に従って情報を入力するだけで、簡単に見積書や請求書を発行できます。INVOYは、経理業務の効率化を目指す方に特におすすめです。さらに、INVOYは経理や経営に役立つさまざまな機能も提供しています。複雑になりがちな入出金管理をスマートにし、業務の効率化に役立つINVOYをぜひご利用ください。
まとめ
見積書に関しては原則として消費税の記載は必要ありません。国税庁のホームページでも、見積書については消費税の総額表示義務の対象外とされています。ただし、取引先との誤解を避けるためには、合計金額に税込・税抜の表示を行うことが望ましいです。見積書では、「見積金額 ¥〇〇〇(税込)」と明確に記載し、小計、消費税額、合計金額を記載しましょう。これらは見積書の中でも重要な項目ですので、注意して作成しましょう。
請求書が2枚にわたる場合の正しい書き方を徹底解説
「請求書が2枚にわたる場合、どうやって書けばいいのだろう…」「ページが分かれると見栄えが悪くなるので…