
「損益計算書では黒字なのに、なぜか手元の現金が足りない」。多くの経営者が一度は抱えるこの切実な悩み。その答えは、会社の血液ともいえる「お金の流れ」を正確に把握することにあります。利益という数字の向こう側にある現金の動きを可視化するツール、それがキャッシュフロー計算書(C/F)です。
この記事を読み終える頃には、あなたは「会社のお金はどこに消えたのか?」という問いに明確に答えられるようになります。単に書類の作り方を学ぶだけではありません。
自社の財務状況を診断し、資金繰りの課題を発見し、黒字倒産のリスクを回避するための、戦略的な経営判断力を身につけることができるでしょう。「キャッシュフロー計算書」と聞くと、専門的で難しいと感じるかもしれません。
しかし、ご安心ください。この記事は、会計の専門家ではない経営者や担当者のために、基礎の基礎から実践的な作成方法までを、一つひとつ丁寧に解説します。さあ、数字に追われる経営から、数字を使いこなす経営へと、大きな一歩を踏み出しましょう。
目次
なぜキャッシュフロー計算書が重要なのか?利益だけでは見えない会社の真実
キャッシュフロー計算書の作り方を学ぶ前に、なぜこの書類が会社の存続にとって不可欠なのかを理解することが重要です。その理由は、利益と現金の間に存在する、時に致命的となる「ズレ」にあります。
恐怖の黒字倒産と利益と現金の致命的なズレ
黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、支払いに必要なお金が不足し、会社が倒産してしまう状況を指します。過去の調査では、倒産した企業の約半数が黒字倒産だったというデータもあり、これは決して他人事ではありません。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。原因は、会計上の利益計算で用いられる発生主義と、実際の現金の入出金タイミングを捉える現金主義が異なるためです。
例えば、100万円の商品を販売し、代金の支払いが2ヶ月後だとします。会計上(損益計算書)では、商品を納品した時点で100万円の「売上」と利益が計上されます。しかし、あなたの会社の銀行口座に現金が入金されるのは、2ヶ月も先のことです。
その間にも、仕入れ代金や従業員の給与、家賃などの支払いは待ってくれません。これらを支払う現金が手元になければ、たとえ帳簿上は黒字でも、会社は立ち行かなくなってしまいます。この「利益はあるのにお金がない」という危険な状態をいち早く察知し、未然に防ぐための強力な武器が、キャッシュフロー計算書なのです。
経営の羅針盤となる財務三表
会社の経営状態を正しく把握するためには、3つの重要な決算書を総合的に見ることが不可欠です。これらは財務三表と呼ばれ、それぞれが異なる役割を担っています。
まず「損益計算書(P/L)」は、一定期間(例:1年間)の経営成績を示し、どれだけ儲かったか(利益)がわかります。次に「貸借対照表(B/S)」は、特定の日(例:決算日)時点での財政状態を示し、会社がどのような資産を持ち、それがどのような負債と純資産で賄われているかがわかります。
そして「キャッシュフロー計算書(C/F)」は、一定期間のお金の流れを示します。期首から期末にかけて、貸借対照表の現金が「なぜ」「どのように」増減したのかを説明する役割を持ちます。
この3つは互いに深く関連しています。貸借対照表が期首と期末の「静止画(スナップショット)」だとすれば、損益計算書はその期間の「成績表」です。そして、キャッシュフロー計算書は、期首の静止画から期末の静止画に至るまでの「動画(ムービー)」であり、なぜ現金残高が変わったのかというストーリーを語ってくれます。
この3つを一体として読み解くことで、初めて会社の全体像が明らかになります。特にキャッシュフロー計算書は、利益という結果だけでなく、その背景にある現金の動きという「プロセス」を解明してくれるため、経営判断において極めて重要なのです。
この書類を理解し、活用することは、経営者の思考様式そのものを変革させ、キャッシュを最優先に考える思考へとシフトさせる、強力なツールとなり得るのです。
書類名 | わかること | 時間軸 |
損益計算書(P/L) | 一定期間の収益、費用、利益(経営成績) | 期間(フロー) |
貸借対照表(B/S) | ある一時点での資産、負債、純資産(財政状態) | 時点(ストック) |
キャッシュフロー計算書(C/F) | 一定期間の現金の増減理由(お金の流れ) | 期間(フロー) |
キャッシュフロー計算書の基本構造 3つの活動でお金の流れを把握する
キャッシュフロー計算書は、会社のお金の出入りを次の3つの活動に分類して表示します。この構造を理解することが、自社の財務状況を正しく読み解く第一歩です。
営業活動によるキャッシュフロー 本業の稼ぐ力
営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)は、商品やサービスの販売、仕入れ、人件費や経費の支払いなど、会社の本業からどれだけの現金を生み出しているか、あるいは使っているかを示します。
ここは会社の稼ぐ力を示す最も重要な項目です。営業CFがプラスであれば、本業で得た現金で経費を賄えている健全な状態です。逆にマイナスであれば、本業の活動を維持するために、どこかから資金を補填しなければならない危険な状態を示唆します。企業の生命線ともいえる部分であり、常にプラスであることが理想です。
投資活動によるキャッシュフロー 将来への布石
投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)は、会社が将来の成長のためにどれだけ投資しているかを示します。具体的には、工場の設備投資、店舗の出店、有価証券の購入や売却といった活動による現金の動きです。
成長を目指す企業にとって、投資CFはマイナスになることが一般的です。これは、将来の利益を生むために、積極的に資金を投じている証拠であり、前向きなマイナスと捉えられます。
一方で、プラスの場合は、資産を売却して現金を得ていることを意味します。もし営業CFがマイナスなのに投資CFがプラスであれば、本業の赤字を補うために資産を切り売りしている可能性があり、注意が必要です。
財務活動によるキャッシュフロー 会社の資金繰り戦略
財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)は、事業活動を支えるための資金調達や返済に関する現金の動きを示します。銀行からの借入れや返済、株式の発行、配当金の支払いなどがこれにあたります。
財務CFがプラスであれば、新たに資金を調達したことを意味します。マイナスであれば、借入金を返済したり、株主に配当を支払ったりしたことを示します。この項目を見ることで、会社がどのように資金をやりくりしているか、その戦略がわかります。
これら3つのキャッシュフローを組み合わせることで、会社の活動がどのようなストーリーを描いているのかを読み解くことができます。営業活動で稼いだお金を元手に、将来のために投資し、借金を返済しているのか。
それとも、本業が振るわず、借金や資産売却でなんとか凌いでいるのか。キャッシュフロー計算書は、数字を通じて会社のリアルな物語を語ってくれるのです。
キャッシュフローパターンで分析する会社の健康診断
3つのキャッシュフローのプラス(+)とマイナス(-)の組み合わせを見ることで、企業の現在の健康状態や成長ステージを診断できます。以下に代表的な8つのパターンを示します。自社の状況がどれに当てはまるかを確認してみましょう。
営業CF | 投資CF | 財務CF | 考えられる企業の状態 |
+ | – | – | 優良企業型:本業で稼いだ資金で投資と借入返済を賄っている、最も理想的な状態。 |
+ | – | + | 成長企業型:本業の利益に加え、資金調達も行い、積極的に事業拡大投資を行っている段階。 |
+ | + | – | 事業改善型:本業で稼ぎつつ、不採算事業の資産を売却し、借入返済を進めている。スリム化の段階。 |
+ | + | + | 事業転換型:本業は好調だが、大きな事業転換のために資産売却と資金調達を同時に行っている可能性がある。 |
– | + | + | 要改善企業型:本業が赤字で、資産売却や借入で資金を補っている危険な状態。早急な対策が必要。 |
– | – | + | 再建・ベンチャー型:本業はまだ赤字だが、将来性を見込んで資金調達を行い、先行投資している段階。 |
– | + | – | 事業縮小・撤退型:本業が不振で、資産を売却して借入金を返済している。事業の整理段階。 |
– | – | – | 過去の遺産活用型:過去の潤沢な利益(内部留保)を取り崩して、赤字補填、投資、借入返済を行っている。 |
このフレームワークを使えば、単なる数字の羅列が、自社の戦略的な立ち位置を示す羅針盤に変わります。
実践!キャッシュフロー計算書の作り方(間接法)
ここからは、いよいよキャッシュフロー計算書の具体的な作り方を解説します。作成には「直接法」と「間接法」の2種類がありますが、ここでは中小企業にとって現実的で作成しやすい「間接法」に絞って説明します。
中小企業におすすめの間接法とは
直接法と間接法の違いは、主に「営業活動によるキャッシュフロー」の表示方法にあります。直接法は、売上による収入や仕入れによる支出など、主要な取引ごとに現金の出入りを直接集計する方法です。お金の流れが直感的にわかりますが、作成には総勘定元帳などから取引データを一つひとつ集計する必要があり、非常に手間がかかります。
一方、間接法は、損益計算書の「税引前当期純利益」をスタート地点とし、そこに現金の動きを伴わない項目や営業活動以外の項目などを加減算して調整する方法です。損益計算書と貸借対照表があれば作成できるため、比較的簡単です。
多くの上場企業も間接法を採用しており、まずは自社のお金の流れを把握するという目的であれば、間接法での作成が最も効率的です。
準備するもの
間接法でキャッシュフロー計算書を作成するために、当期の損益計算書(P/L)、前期末の貸借対照表(B/S)、そして当期末の貸借対照表(B/S)の3つの書類を手元に準備してください。
貸借対照表が2期分必要なのは、売掛金や在庫などの資産・負債項目が、期首から期末にかけて「どれだけ増減したか」を計算するためです。この「増減額」が、キャッシュフローを計算する上で重要な情報となります。
4ステップで完成させる営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローの作成は、キャッシュフロー計算書の中で最も複雑ですが、以下の4つのステップに沿って進めれば大丈夫です。
税引前当期純利益からスタートする
まず、損益計算書に記載されている「税引前当期純利益」の金額を、キャッシュフロー計算書の営業CFの出発点として転記します。これが、利益と現金のズレを調整していくための元となる数字です。
非資金損益項目を調整する
次に、損益計算書で費用として計上されているものの、実際には現金の支出を伴わない項目(非資金損益項目)を調整します。代表的なものは「減価償却費」です。減価償却費は、会計上の費用ですが、実際に現金が社外に出ていったわけではありません。
そのため、利益から差し引かれてしまっている減価償却費を、足し戻し(加算)ます。その他、貸倒引当金の増減額などもここで調整します。
営業外の損益項目を調整する
損益計算書の税引前当期純利益には、本業の営業活動とは直接関係のない収益や費用(営業外損益や特別損益)が含まれています。これらを一度除外するために調整します。例えば、受取利息及び配当金は本業の儲けではないためマイナス(減算)し、支払利息は資金調達に関する費用なのでプラス(加算)して一旦取り消します。
固定資産売却損益など投資活動に関わる項目もここで調整します(売却益はマイナス、売却損はプラス)。これらの項目は、後ほど投資CFや財務CFの区分で正しく計上されます。
運転資本の増減を調整する
ここが最も重要で、利益と現金のズレを生む最大の要因である「運転資本」の変動を調整します。前期と当期の貸借対照表を比較し、各項目の増減額を計算して加減算します。
売上債権(売掛金など)が増加した場合、売上は立ったが現金回収がまだの状態なので、手元現金は増えていません。そのため、増加額をマイナス(減算)します。逆に減少した場合は、過去の売掛金が回収できたことを意味するため、減少額をプラス(加算)します。
棚卸資産(在庫)が増加した場合、現金を使って在庫を仕入れたが、まだ売れていない状態です。手元現金が減っているため、増加額をマイナス(減算)します。逆に減少した場合は、過去の在庫が売れて現金に変わった状態なので、減少額をプラス(加算)します。
仕入債務(買掛金など)が増加した場合、商品を仕入れたが支払いはまだの状態で、支払いを猶予してもらった分、手元現金が減っていないため、増加額をプラス(加算)します。逆に減少した場合は、過去の買掛金を支払った状態なので、手元現金が減ったことを意味し、減少額をマイナス(減算)します。
この間接法による作成プロセス自体が、「なぜ利益と現金が違うのか?」という経営者の根源的な問いに対する、具体的な答えそのものになります。各調整項目が、その「ズレ」の理由を一つひとつ金額で示してくれるのです。
投資・財務キャッシュフローの作成と最終チェック
営業CFが完成したら、残りの2つを作成します。これらは通常、貸借対照表の関連項目の増減や、総勘定元帳、固定資産台帳などから直接的な現金の動きを把握して記載します。
投資キャッシュフローは、固定資産の増減を確認します。新たに設備を購入すれば、その支出額をマイナスで計上し、資産を売却すれば、その収入額をプラスで計上します。財務キャッシュフローは、借入金の増減を確認します。銀行から新たに借り入れをすれば、その金額をプラスで計上し、借入金を返済すれば、その返済額(元本部分)をマイナスで計上します。
最後に、3つのキャッシュフローの合計額が、貸借対照表の「現金及び現金同等物」の期首残高と期末残高の差額(増減額)と一致するかを必ず確認してください。これが一致すれば、キャッシュフロー計算書は正しく作成されています。
最もつまずきやすいポイントの徹底解説
キャッシュフロー計算書の作成において、特に非会計担当者が混乱しやすいポイントがいくつかあります。ここを乗り越えれば、理解は一気に深まります。
なぜ「減価償却費」を足し戻すのか?非現金支出費用の謎
これは最もよくある疑問です。「費用なのに、なぜ足すのか?」と混乱するかもしれません。減価償却費は、会計上のルールに基づき、高額な資産(機械や建物など)の購入費用を、その資産が使用できる年数(耐用年数)にわたって分割して費用計上するものです。
簡単な例で考えてみましょう。100万円の機械を現金で購入したとします。現金が出ていくのは、購入したその時だけです。しかし、会計上(損益計算書)では、例えば10年間にわたって毎年10万円ずつ「減価償却費」として費用を計上します。
購入の翌年、損益計算書には10万円の費用が計上されますが、その年に実際に10万円の現金が会社から出ていったわけではありません。
間接法は、この「実際には現金が出ていっていない費用」がすでに差し引かれている損益計算書の利益からスタートします。そのため、利益の数字を実際の現金の動きに合わせるために、現金支出のなかった減価償却費の分を足し戻して(加算して)あげる必要があるのです。
なぜ「売上債権の増加」がマイナスになるのか?利益と入金のタイムラグ
これも混乱しやすいポイントです。「売上が増えているのだからプラスではないのか?」と考えてしまいがちです。ここでも、利益と現金のズレが関係しています。売上債権(売掛金)とは、商品を販売したものの、まだ代金を受け取っていない「後でもらえる権利」のことです。
例えば、期首の売掛金が0円で、年間の売上がすべて掛取引で1,000万円だったとします。期末に売掛金が200万円残っていた場合、これは1,000万円の売上のうち、実際に現金として回収できたのは800万円で、残りの200万円はまだお客様のところにある、ということを意味します。
損益計算書の利益は1,000万円の売上を元に計算されていますが、実際の現金収入は800万円です。利益の数字と現金の現実には200万円の差があります。このズレを修正するため、キャッシュフロー計算書では「売上債権の増加額」である200万円をマイナス(減算)するのです。
フリーキャッシュフロー(FCF)とは?企業の真の「自由なお金」
キャッシュフロー計算書を分析する上で、非常に重要な指標がフリーキャッシュフロー(FCF)です。これは、会社が本業で稼いだ現金から、事業を維持・成長させるための投資に使った現金を差し引いた、会社が自由に使えるお金がいくらあるかを示します。
計算式は「FCF = 営業活動によるキャッシュフロー + 投資活動によるキャッシュフロー」です。(投資CFは通常マイナスなので、実質的には営業CFから投資額を引く形になります)
FCFがプラスで潤沢にあれば、その資金を借入金の返済、株主への配当、新規事業への投資、あるいは万一の事態に備えた内部留保など、戦略的に活用できます。企業の財務的な体力や柔軟性を示す、重要な健康指標といえるでしょう。
作成したキャッシュフロー計算書を経営に活かす
キャッシュフロー計算書は、作成して終わりではありません。それを読み解き、日々の経営に活かしてこそ、真価を発揮します。
資金繰り悪化のサインを早期に発見する
キャッシュフロー計算書は、会社の健康状態を知らせる早期警告システムとして機能します。特に、営業CFが継続的にマイナスである場合は、本業で現金を生み出せていない危険な兆候です。
また、営業CFがプラスでも、その源泉が仕入債務の急増や売上債権の回収である場合、支払いを先延ばしにしたり、無理な回収をしたりして一時的にプラスになっているだけで、持続可能ではありません。
さらに、営業CFのマイナスを、資産売却(投資CFのプラス)や借入(財務CFのプラス)で補っている状態は、自転車操業に陥っている可能性があります。これらのサインに早く気づくことで、手遅れになる前に対策を講じることができます。
金融機関や投資家からの信頼を高める
中小企業にはキャッシュフロー計算書の作成義務はありません。しかし、自主的に作成し、自社の財務状況を正確に把握している姿勢は、金融機関や投資家からの信頼を大きく高めます。
融資を申し込む際に、返済の原資となる現金をどれだけ生み出す力があるのかをキャッシュフロー計算書で示すことができれば、説得力が格段に増します。これは、より良い条件での資金調達につながる可能性を秘めています。
「資金繰り表」との違いと賢い使い分け
キャッシュフロー計算書とよく似た書類に「資金繰り表」があります。この2つは目的と時間軸が根本的に異なります。キャッシュフロー計算書は、過去の実績を分析するための決算書であり、「前期のお金は、なぜ、どのように動いたのか?」を解明します。
一方、資金繰り表は、未来の予測をするための管理資料です。「来月、支払いに必要なお金は足りるか?」を予測し、資金ショートを防ぐために使います。
この2つは車の両輪です。まず、キャッシュフロー計算書で過去の傾向を分析し、その結果を元により精度の高い資金繰り表を作成するのです。このサイクルを回すことで、会社の資金管理は盤石になります。
まとめ
本記事では、キャッシュフロー計算書の重要性から、具体的な作り方、そして経営への活かし方までを網羅的に解説しました。
まず、利益は現金ではないという会計の原則を理解し、現金の流れを把握することが、黒字倒産を回避する第一歩です。営業・投資・財務の3つのキャッシュフローは、あなたの会社がどのような戦略で活動しているかを示すストーリーであり、そのパターンを読み解くことで、自社の健康状態を診断できます。
間接法での作成プロセスは、損益計算書の利益と、実際の現金残高のズレを一つひとつ解明していく作業であり、作成自体が経営の学びになります。そして、キャッシュフロー計算書は単なる報告書ではなく、資金繰りの問題を早期に発見し、より良い経営判断を下し、金融機関からの信頼を得るための戦略的ツールです。
会社経営とは、未来への航海のようなものです。損益計算書が「どれだけ速く進んでいるか」を示す速度計なら、キャッシュフロー計算書は「燃料がどれだけ残っているか」を示す燃料計です。どんなに速く進んでいても、燃料が尽きれば航海は続けられません。
さあ、まずは自社の直近の決算書を用意し、最初の一歩を踏み出してみましょう。中小企業庁などが提供するExcelテンプレートなどを活用するのも良い方法です。自社の「お金の物語」を正しく読み解き、キャッシュフローを意識した経営を実践することで、不確実な時代を乗り越える、安定した未来を築いてください。
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