
下請法を遵守することは、単に法律違反を避けるための手続きではありません。むしろ、公正な取引関係を構築し、信頼できるパートナーとの協力体制を強化することで、企業の持続的な成長を確実にするための戦略的な一手と言えます。
法令遵守が徹底された企業は、安定したサプライチェーンを維持し、企業としての評判を高めることができます。そして、予期せぬ法務リスクや社会的な信用の失墜といった経営の混乱から自社を守ることが可能になります。
しかし、その重要性を認識しつつも、「自社は大丈夫だ」と考えている企業は少なくありません。公正取引委員会は近年、下請法違反に対する監視をかつてないほど強化しています。
違反企業への勧告件数は過去最高水準で推移しており、トヨタや日産といった日本を代表する大企業グループでさえも勧告を受け、その事実が公表されています。この現実は、いかなる企業も例外ではないという厳しい事実を示しています。
この記事では、下請法違反という見えにくい経営リスクからあなたの会社を守るための具体的な方法を解説します。
複雑に思える法律の基本から、親事業者に課せられた義務と禁止行為、そして公正取引委員会が実際に指摘した具体的な違反事例まで、法務の専門家でなくとも理解できるよう、一つひとつ丁寧に説明します。
この記事が、あなたの会社が法令を遵守し、健全な事業活動を続けるための羅針盤となることを目指します。
目次
下請法の基本:そもそも下請法とは?
下請法の具体的な違反事例を理解するためには、まず法律がどのような目的で、どのような取引を対象としているのか、その基本的な構造を把握することが不可欠です。
下請法が重要である理由
下請法の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」です。この名称が示す通り、法律の主な目的は、資本力や交渉力で優位に立つ「親事業者」が、その力を不当に利用して立場の弱い「下請事業者」に不利な取引を強いることを防ぐ点にあります。
下請事業者の利益を保護し、公正な取引環境を確保することを通じて、日本経済全体の健全な発展に貢献することが、この法律の最終的な目標です。
この法律は、公正で自由な競争を促進するための基本法である「独占禁止法」を補完する特別な法律として位置づけられています。
独占禁止法には「優越的地位の濫用」という考え方があり、取引上優位な立場にある事業者が、その地位を利用して相手方に不利益を与える行為を禁止しています。下請法で禁止されている行為の多くは、この優越的地位の濫用に該当するものです。
しかし、独占禁止法に基づいて「優越的地位」があることを証明し、違反を認定するには、多くの時間と複雑な調査が必要になるという課題がありました。そこで、より迅速かつ効果的に下請事業者を保護するために下請法が制定されました。
この法律は、「優越的地位にあるかどうか」という主観的で証明が難しい判断を、事業者の「資本金」と「取引内容」という客観的で形式的な基準に置き換えています。これにより、法律の適用対象かどうかが明確になり、当局は簡易かつ迅速に手続きを進めることが可能になったのです。
この仕組みは、親事業者にとって「うちは優越的地位にはない」という言い訳が通用しないことを意味し、コンプライアンス上のリスクを格段に高める重要なポイントです。
親事業者と下請事業者の定義
下請法では、取引を発注する側を「親事業者」、受注する側を「下請事業者」と呼びます。ただし、これは単なる呼称の問題ではありません。ある企業が親事業者または下請事業者に該当するかどうかは、一般的な「親会社」や「下請け」といったイメージではなく、法律で定められた「資本金」の基準によって厳密に定義されます。
下請法の対象となる取引とは?
ある取引が下請法の適用対象となるかどうかは、「取引の内容」と、取引当事者双方の「資本金の区分」という二つの条件を同時に満たすかどうかで決まります。
対象となる取引は、大きく分けて以下の4種類です。
- 製造委託
事業者が販売または自家使用する物品の製造や加工を他の事業者に委託すること。 - 修理委託
事業者が請け負った物品の修理や、自家使用する物品の修理を他の事業者に委託すること。 - 情報成果物作成委託
プログラム、デザイン、映像コンテンツなどの情報成果物の作成を他の事業者に委託すること。 - 役務提供委託
運送、情報処理、ビルメンテナンスなど、顧客に提供するサービスを他の事業者に委託すること。
これらの取引に加えて、両社の資本金が以下の表のいずれかの組み合わせに該当する場合に、下請法が適用されます。自社の取引が対象になるかどうかを正確に判断するために、この表は極めて重要です。
表1: 下請法適用対象の資本金区分
取引内容 | 親事業者の資本金 | 下請事業者の資本金 |
製造委託、修理委託、一部の情報成果物作成委託・役務提供委託(※政令指定) | 3億円超 | 3億円以下(個人事業主を含む) |
製造委託、修理委託、一部の情報成果物作成委託・役務提供委託(※政令指定) | 1,000万円超 3億円以下 | 1,000万円以下(個人事業主を含む) |
情報成果物作成委託、役務提供委託(上記以外) | 5,000万円超 | 5,000万円以下(個人事業主を含む) |
情報成果物作成委託、役務提供委託(上記以外) | 1,000万円超 5,000万円以下 | 1,000万円以下(個人事業主を含む) |
出典: 公正取引委員会ウェブサイト
公正取引委員会の勧告に学ぶ11の禁止事項【具体的事例つき】

下請法では、親事業者が下請事業者に対して行ってはならない行為を11項目にわたって具体的に定めています。これらはすべて、下請事業者に責任がないことが前提です。ここでは、各禁止事項の定義と、実際に問題となった違反事例をあわせて解説します。
1. 受領拒否
受領拒否とは、発注した物品やサービスについて、下請事業者に責任がないにもかかわらず、その受け取りを拒否する行為です。発注後の一方的なキャンセルや納期の延期要請も、この受領拒否に含まれる場合があります。
具体的な違反事例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 親事業者の都合(在庫過多、生産計画の変更など)を理由に、すでに発注済みの製品の受け取りを拒否する。
- 正式な発注書を出す前に「内示」で部品を準備させ、親事業者のプロジェクトが中止になったことを理由に、完成した部品の引き取りを拒否する。
2. 支払遅延
支払遅延はいわゆる「60日ルール」として知られています。親事業者は、物品やサービスを受け取った日(受領日)から60日以内に定められた支払期日までに、代金を支払わなければなりません。このルールは、親事業者側の社内検査や請求書の処理状況とは一切関係なく適用されます。
支払遅延に該当する違反事例は以下の通りです。
- 「月末締め翌月末払い」の支払サイトを設定している場合、月初めの1日に納品されると支払いが61日目となり、違反になる。
- 下請事業者からの請求書提出が遅れたことを理由に、支払いを遅らせる(支払期日の起算日はあくまで「受領日」)。
- 支払期日が金融機関の休業日にあたる場合に、下請事業者の同意なく一方的に翌営業日に支払いをずらす。
このルールで最も注意すべきは、起算日の厳格さです。支払遅延のカウントは、親事業者が検収を終えた「検収日」ではなく、物品を受け取った「受領日」から始まります。品質検査に時間がかかるなどの社内事情は、法律上、一切考慮されない点を理解しておく必要があります。
3. 代金の減額
代金の減額とは、発注時に決めた代金を、発注後に下請事業者の責任なく減額する行為です。これは、公正取引委員会からの勧告理由として最も多い違反行為の一つです。
以下のような行為は代金の減額と見なされます。
- 「協力金」「システム利用料」「振込手数料」といった名目で、事前の書面合意なしに代金から一方的に差し引く。
- 「リベート」や「販売奨励金」といった名目で、実質的に支払額を減らすよう要求する。
- 単価改定に合意した後、その新しい単価を、改定前に旧単価で発注した分にまでさかのぼって適用し、差額を差し引く。
事例:大手自動車メーカーが陥った30億円の減額
過去には、大手自動車メーカーが下請事業者36社に対し、下請事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、総額30億円を超える代金を減額していたとして、公正取引委員会から勧告を受けた事例があります。
この事例は、違反の規模が極めて大きくなる可能性と、法務体制が整っているはずの大企業でさえ基本的な違反を犯す危険性があることを示しています。下請事業者から減額への「同意」を得ていたとしても、優越的な地位を背景とした実質的な強制であれば、何ら正当化されないことを肝に銘じるべきです。
4. 不当な返品
不当な返品とは、受け取った物品を、下請事業者に責任がないにもかかわらず返品する行為です。
具体的な違反事例には、次のようなものがあります。
- シーズン商品を扱うアパレルメーカーが、シーズン終了後に売れ残った商品を下請事業者に引き取らせる。
- 親事業者側の設計変更により不要になった部品を、納品後に返品する。
5. 買いたたき
買いたたきとは、同種または類似の物品やサービスに対して通常支払われる対価に比べ、著しく低い代金を一方的に定める行為を指します。
以下のような状況は、買いたたきに該当する可能性があります。
- 大量発注を前提とした単価で見積もりを取っておきながら、実際にはごく少量しか発注しない。
- 通常より短い納期を指定し、下請事業者に残業などの追加コストが発生しているにもかかわらず、その費用を価格に反映しない。
- 原材料費やエネルギーコストが著しく高騰している状況で、下請事業者からの価格改定交渉に一切応じず、価格を据え置く。
事例:大手出版社が指摘された一方的な単価引き下げ
大手出版社のKADOKAWAは、下請事業者21名に対し、十分な協議を行うことなく一方的に単価を約6.3%から39.4%引き下げたとして、公正取引委員会から勧告を受けました。この事例は、価格交渉のプロセスが重要であることを示しています。
特に昨今の経済情勢では、「買いたたき」の解釈が変化している点に注意が必要です。公正取引委員会は、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を取引価格に反映しない取引が「買いたたき」に該当するおそれがあることを明確にしています。
これは、かつてのように最初から不当に安い価格を提示するだけでなく、経済状況の変化に対応せず価格を据え置くという「不作為」も違反とみなされる可能性があることを意味します。企業の購買部門は、市況を反映したダイナミックな価格交渉を行うことが、コンプライアンス上不可欠となっています。
6. 購入・利用強制
購入・利用強制とは、品質維持など正当な理由がないのに、親事業者が指定する製品やサービスを下請事業者に強制的に購入・利用させる行為です。
具体的な違反事例は以下の通りです。
- 取引継続の条件として、親事業者の製品や関連会社が販売する商品を購入させる。
- 自社が指定する保険やリースサービスへの加入を義務付ける。
7. 報復措置
報復措置とは、下請事業者が親事業者の違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、取引数量を減らしたり、取引を停止したりするなど、不利益な取り扱いをすることです。
以下のような行為が報復措置に該当します。
- 下請事業者が公的機関に相談したことを知り、「密告したな」などと言って今後の取引を打ち切る。
- 違反の申告があった直後に、明確な理由なく発注量を大幅に削減する。
8. 有償支給原材料の対価の早期決済
この禁止行為は、親事業者が下請事業者へ原材料などを有償で支給している場合に、その原材料の代金を、それを使って製造された製品の代金の支払期日よりも前に支払わせたり、相殺したりする行為を指します。
具体的な違反事例としては、以下が挙げられます。
- 原材料を支給した直後に、まだ下請事業者が製品を製造している段階で、その原材料費を代金から差し引く。
- 半年分の原材料をまとめて買い取らせ、その代金を前払いさせる。
9. 割引困難な手形の交付
割引困難な手形の交付とは、代金の支払いを手形で行う際に、一般の金融機関で割り引くことが困難な、支払期日までの期間が長すぎる手形を交付する行為です。
繊維業で90日、その他の業種で120日を超えるような長期手形を交付することが、これに該当する可能性があります。なお、2024年11月以降は業種を問わず60日を超える手形が割引困難な手形と見なされる方向で運用が見直されています。
10. 不当な経済上の利益の提供要請
この行為は、下請代金の支払いとは別に、自己のために金銭やサービス、その他の経済的な利益を下請事業者に不当に提供させることを指します。
以下のような要請が違反となる可能性があります。
- 自社の決算対策や社内イベントなどを理由に、「協賛金」や「協力金」の提供を要請する。
- 業務委託契約の内容に含まれていないにもかかわらず、下請事業者の従業員を自社の業務へ無償で派遣させるよう要求する。
事例:近年急増する「金型の無償保管」問題
近年、公正取引委員会が特に問題視しているのが、製造業において長年の商慣行とされてきた「金型の無償保管」です。親事業者が、長期間発注予定のない金型を下請事業者に無償で保管させ続ける行為が、「不当な経済上の利益の提供要請」にあたるとして、勧告が相次いでいます。
これは、これまで業界の「当たり前」とされてきた慣行が、法律の解釈の進化によって明確な違反行為と認定された典型例です。自社の商慣行が、現在の法規制に照らして問題ないか、定期的に見直す必要があります。
11. 不当なやり直し
不当なやり直しとは、下請事業者に責任がないにもかかわらず、発注の取り消しや内容変更を行ったり、納品後に無償でやり直しをさせたりして、その費用を下請事業者に負担させる行為です。
違反事例としては、以下のようなケースがあります。
- 親事業者側の都合や顧客の要望が変わったという理由で、追加費用を支払わずにデザインのやり直しを命じる。
- 仕様書の記載が曖昧だった部分について、親事業者側の解釈で「仕様と違う」として無償での修正を強いる。
違反は「禁止行為」だけではない!親事業者に課せられた4つの義務
下請法コンプライアンスは、前述の11の禁止行為を避ける(してはいけないことをしない)だけでは不十分です。法律は同時に、親事業者が積極的に果たすべき4つの「義務」(しなければならないこと)も定めています。これらの義務を怠ること自体が、法律違反となります。
書面交付の義務
親事業者は、発注する際に、委託内容、下請代金の額、支払期日、納品場所などの必要事項をすべて記載した書面(「3条書面」と呼ばれる発注書など)を、直ちに下請事業者に交付しなければなりません。口頭での発注は、たとえ後から書面を出したとしても、それ自体が違反となる可能性があります。
公正取引委員会の調査では、この書面の不交付や記載不備が、違反行為として最も多く指摘されています。これは非常に重要な点です。なぜなら、支払遅延や不当な減額といったより深刻な違反の多くは、最初の発注段階で書面を交付しないという基本的な義務違反から始まっているからです。
明確な書面がなければ、後から親事業者が一方的に取引条件を変更しやすくなります。したがって、この書面交付義務の徹底こそが、下請法コンプライアンスの第一歩であり、最も重要な防衛線なのです。
支払期日を定める義務
親事業者は、下請事業者との合意のうえで、物品などを受領した日から数えて60日以内の、できる限り短い期間内に支払期日を定めなければなりません。
書類の作成・保存義務
親事業者は、下請取引に関する給付の内容や下請代金の額などを記載した書類を作成し、2年間保存する義務があります。これは、万が一トラブルが発生した際の証拠となり、当局の調査にも対応するために必要です。
遅延利息の支払義務
万が一、支払期日までに代金を支払えなかった場合、親事業者は受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの期間について、年率14.6%の割合による遅延利息を下請事業者に支払わなければなりません。
下請法に違反した場合に何が起こるのか
下請法に違反すると、企業は多岐にわたる深刻なリスクに直面します。その影響は、単なる金銭的な負担にとどまりません。
公正取引委員会による調査と指導・勧告
下請事業者からの申告や定期的な書面調査により違反の疑いが生じると、公正取引委員会や中小企業庁による調査が行われます。違反が認められた場合、その内容に応じて行政措置が取られます。
比較的軽微な違反であれば、非公開で改善を促す「指導」が行われますが、違反が悪質または影響が大きいと判断されると、是正措置を求める公式な「勧告」が出されます。
企業名公表という社会的制裁
下請法違反のペナルティとして最も恐ろしいのは、この「勧告」です。勧告が出されると、原則として、違反した親事業者の企業名と違反事実の概要が、公正取引委員会のウェブサイトで公表されます。
この「企業名公表」がもたらすダメージは計り知れません。法律で定められた直接的な罰金は、例えば調査への虚偽報告などで50万円以下と、大企業にとっては決して大きな金額ではありません。しかし、一度「下請けいじめをする会社」として社会に認知されてしまうと、その影響は甚大です。
ブランドイメージの毀損、消費者からの信頼喪失、メディアによるネガティブな報道、そして企業倫理を重視する優秀な人材の採用難など、目に見えないコストが発生します。
さらに、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)の観点から投資家からの評価が下がる、あるいは取引先がコンプライアンスリスクを嫌って取引を停止するなど、事業活動の根幹を揺るがす事態に発展しかねません。直接的な罰則は氷山の一角にすぎず、その水面下には、企業の評判と信頼を根本から破壊する巨大なリスクが潜んでいるのです。
罰金と損害賠償のリスク
前述の通り、公正取引委員会の調査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合には、50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、行政措置とは別に、下請事業者が民事訴訟を提起し、被った損害の賠償を求められる可能性もあります。
明日から始める下請法コンプライアンス体制の構築

下請法違反のリスクを回避するためには、組織的な取り組みが不可欠です。ここでは、親事業者と下請事業者、それぞれの立場から取るべき具体的なアクションをまとめました。
【親事業者向け】違反を防ぐためのチェックリスト
自社の取引が下請法に抵触していないか、以下の項目を定期的に確認してください。
- 書面交付
すべての発注に際し、法が定める事項を網羅した発注書(3条書面)を「直ちに」交付しているか? - 支払
支払システムは、社内の検収承認日ではなく、納品物を受け取った「受領日」から60日以内に支払いが完了するよう設計されているか? - 価格設定
下請事業者が直面する客観的なコスト上昇(原材料費の高騰など)に対して、価格改定を協議する正式なプロセスが存在するか? - 減額
振込手数料やシステム利用料などを、下請事業者の書面による明確な合意なく、一方的に差し引いていないか? - 社内教育
購買・調達部門の担当者に対して、11の禁止行為に関する定期的な研修を実施しているか?
【下請事業者向け】困ったときの相談窓口一覧
親事業者との取引で不公正な扱いを受けたと感じた場合、泣き寝入りする必要はありません。秘密厳守で相談できる公的な窓口が多数用意されています。
- 下請かけこみ寺
全国中小企業振興機関協会が運営する相談窓口。無料で専門家のアドバイスが受けられます。 - 中小企業庁 違反行為情報提供フォーム
匿名で親事業者の違反が疑われる行為に関する情報を提供できます。 - 公正取引委員会
本局および全国の地方事務所に相談窓口があります。フリーダイヤルも設置されています。 - 下請センター東京
東京都内の事業者を対象に、弁護士による相談や、裁判外紛争解決手続(ADR)による調停も行っています。
まとめ
最後に、本記事の要点を再確認します。
- 下請法は、単なる罰則規定ではなく、公正な取引を通じて企業の持続的な成長を支えるための重要なルールです。
- 法律が適用されるかどうかは、資本金と取引内容という客観的な基準で決まるため、「知らなかった」という言い訳は通用しません。
- 違反行為は、悪意だけでなく、発注書を交付しないといった基本的な事務プロセスの不備から発生することが多々あります。
- 下請法違反の最大のリスクは、罰金ではなく、企業名が公表されることによる深刻で長期的な信用の失墜です。
- この重要な経営リスクを回避する唯一の方法は、定期的な社内教育や業務プロセスの見直しといった、積極的なコンプライアンス体制を構築することです。
下請法が検収7日以内は本当?知らないと損する代金支払いの知識
取引先から「検収は7日以内に行う」と伝えられた際に、それが法律上の義務なのか疑問に思ったことはないで…