事業資金が足りなくなり、すぐに現金を用意したい場合、法人カードの現金化という手段を思い付く方もいるでしょう。しかし、結論から言うと、法人カードの現金化には多くのリスクがあり、おすすめしません。ここでは、なぜ法人カードの現金化が危険なのか、その理由や安全な資金調達の方法について解説します。
目次
法人カードの現金化はカード会社の規約違反に当たる
法人カードの現金化とは、法人カードのショッピング枠を使って換金性の高い商品を購入し、その商品を売り払って現金に変えることを指します。
どうしても手元に現金をすぐに用意したい場合、こうした手段を思い付くかもしれませんが、これはカード会社の規約違反にあたり、判明した場合はカードの利用停止等のペナルティを受ける可能性があります。
例として、三井住友カード会員規約を見てみましょう。
第2章 カードの管理
第6条 (カードの貸与と取扱い)
(引用)3.会員は、現⾏紙幣・貨幣の購⼊、または、現⾦化を⽬的として商品・サービスの購⼊(当該商品等を 転売しあるいは委託販売する等その名⽬の如何を問わないものとします)その他これらと実質的に同視 できる取引などにカードのショッピング枠を使⽤してはならず、また違法な取引に使⽤してはなりません。本項で禁⽌される現⾦化を⽬的とするカード利⽤には、次の各号に定めるものに係る利⽤が含まれ ますが、これらに限られません。 |
引用:三井住友カード会員規約等
現金化とキャッシングは何が違う?
「キャッシング」は、カードのキャッシング枠を使って現金化する手段ですが、これは法人カードの現金化とは全く別のものです。
先ほどもご紹介したように、法人カードの現金化は規約違反となりますが、キャッシングはカード会社の規約を順守した上で行うことができる現金化の手段です。具体的に、その違いを見てみましょう。
現金化 | キャッシング | |
カード会社の規約 | 認められていない | 順守している |
手数料・金利 | 月利換算で10~20%程度 | 年利15~20%程度 |
安全性 | 低い | 高い |
キャッシングの場合、金利は貸金業法に基づいて設定されており、上限が定められている中で決められています。必要となる個人情報は適切に管理されているため、流出しないように厳重に保護されています。
一方、法人カードの現金化は、規約違反によるペナルティのリスクだけでなく、高い手数料やカードの不正利用、個人情報の流出などの懸念もあり、あまり良い手段とは言えません。
このように、キャッシングと法人カードの現金化とでは、カード会社の規約に則っているかどうかなど大きな違いがあります。
法人カードで現金化をする6つのリスク
法人カードの現金化は、カード会社の規約違反となり、それが判明するとペナルティが課される可能性があるだけでなく、以下のリスクも伴います。
- 手数料が高い
- 規約違反が判明した際に一括で返済する必要がある
- 詐欺等に巻き込まれる可能性がある
- 会社の信用情報に傷がつく
- 利用料金を一括払いしなければならないことが多い
- 経費で計上することができない
手数料が高い
法人カードの現金化に伴う手数料は、10~20%が相場です。キャッシングの金利より低いと感じるかもしれませんが、これは大きな間違いです。現金化の手数料は年利ではなく月利換算であり、キャッシングの年利15~20%程度に比べるといかに高額であるかが分かるでしょう。
利用のたびに次の月の支払いに手数料として引かれるため、これを埋めるための資金を用意しなければなりません。一時的に法人カードで現金化をしてその場をしのいだとしても、手数料の準備で資金繰りが難しくなる可能性があります。
規約違反が判明した際に一括で返済する必要がある
法人カードの利用枠は大きいことが多く、現金化が判明してペナルティとして一括返済を要求されると、支払いができず困った事態になりかねません。
一時しのぎの資金繰りのために行ったことが、後に規約違反で一括返済という結果を招くと、経営自体が難しくなる可能性があります。
詐欺等に巻き込まれる可能性がある
現金化サービスを行う業者を通じて法人カードの現金化を行うと、詐欺や犯罪に巻き込まれるリスクもあります。なぜなら、現金化業者の中には悪質なところも珍しくなくないからです。
現金化業者の案内に従って商品を購入し渡したにもかかわらず現金が振り込まれなかった、というケースもあるため注意が必要です。
さらに悪質な業者の場合、個人情報の悪用や空取引などの詐欺行為をはたらくことも考えられ、知らないうちに詐欺に加担していた、というケースもあります。悪意はなくとも詐欺への加担で警察沙汰になる可能性も認識しておいた方が良いでしょう。
会社の信用情報に傷がつく
規約違反をして会社の信用情報に傷がつくと、いわゆる「ブラックリスト入り」してしまう可能性があります。ブラックリスト入りしてしまうと、新しいクレジットカード契約は難しくなり、その後の業務にも差し支える事態に発展します。
クレジットカードがあるかどうかで、業務の効率性は大きく変わってきます。取引を円滑に進めるためにも、これは絶対に避けなければなりません。
利用料金を一括払いしなければならないことが多い
個人のクレジットカードの場合、ショッピング枠で購入した商品の引き落としは分割払いやリボ払いに変更することも可能です。しかし、法人カードの場合、分割払いやリボ払いはできず、一括払いとなります。
法人カードの現金化のために利用した金額は、一括での支払いとなることを忘れてはなりません。資金繰りのために現金化をしたとしても、利用金額が大きければ翌月の支払いが厳しくなるといった悪循環を招く恐れがあり、非常にリスクも大きいと言えます。
経費で計上することができない
法人カードで購入した商品は、基本的には経費として計上できますが、現金化のために購入したものに関しては経費計上が認められません。
そのため、現金化業者に支払う金銭についても経費にはならず、会社にとっては損失ばかり増える原因となります。
資金が必要な場合、安全に調達する方法は?
ここまででご紹介したように、法人カードの現金化には大きなリスクがあります。もし、資金繰りに困った時は、他の方法を検討し、安全に資金調達ができるよう進めましょう。今回は、キャッシングを除いた主な資金調達の手段を3つ解説します。
①カードローン
カードローンは、それぞれ定められた利用限度額の範囲内で、自由に借入や返済ができる融資サービスです。クレジットカード会社や消費者金融、銀行などが提供しています。利用限度額については、利用するクレジットカード会社や消費者金融等が利用者の状況に応じて判断するため、実際にいくら使えるのかは審査を受けなければ分かりません。
カードローンを利用する方法
カードローンが利用できるかどうかは、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者による審査で判断されます。ブラックリストに入っているなど、信用情報に傷がついている場合は審査に通らない可能性もあるため、必ずしも誰もが利用できるとは限りません。カードローン利用までの流れは、以下のとおりです。
- 申し込みを行う
- 審査結果を待つ
- 契約をする
- 借入をする
- 返済をする
審査をクリアし契約が完了すると、利用限度額の範囲内で自由に借り入れることができます。返済は、貸金業者の指定する日にちまでに決められた額を入金していくこととなります。
借り入れや返済はATMやインターネットを通じて簡単に行えるため、必要に応じて速やかに利用できる点が便利です。返済は、利息分を追加した額となり、借り入れた金額や期間によっても変わるため、事前にしっかり把握しておく必要があります。
カードローンを利用するメリット・デメリット
カードローンは審査に通ればATMなどを介して気軽に借り入れできる点がメリットですが、返済のことを考えて無理なく利用できる範囲で借りる必要があります。もし、返済が遅れてしまうと信用情報に傷がつき、今後の利用に影響する可能性があるからです。
カードローンは担保や保証人なしで利用でき、審査にかかる期間も短い場合が多いですが、利用限度額が低い傾向にあったり、利息が高くなったりする点にも注意が必要です。
②ビジネスローン
ビジネスローンは、事業のための資金繰りを目的とした融資サービスです。カードローンが個人向けの融資サービスであるのに対し、ビジネスローンは事業資金に目的を絞っている点が特徴です。
融資額が大きくなることが多い分、審査はカードローンよりも厳しくなり、事業の内容や財務状況をもとに審査が行われます。
ビジネスローンを利用する方法
ビジネスローンを利用する流れは、カードローンとほぼ同じです。しかし、担保や保証人が必要になる場合が多い点が異なります。
審査をクリアすれば、限度額内で自由に借り入れることができ、貸金事業者が定める日に決められた額を返済します。
ビジネスローンを利用するメリット・デメリット
ビジネスローンは、カードローンよりも限度額が高額になりやすいため、これから新規事業を始める場合や高額な設備投資が必要な場合に便利です。
しかし、多額のお金を借りることができる分、審査については厳しくなり、担保や保証人が必須となる可能性が高いです。
③ファクタリング
ファクタリングとは、売掛債権を売って現金に変えることを指します。売掛債権とは、提供した商品やサービスの対価を後払いで受けとる権利のことを言い、この権利をファクタリング会社に売却して現金を調達する仕組みです。
ファクタリングを利用する方法
ファクタリングを行う場合、まずはファクタリング会社の選定から始めることとなります。サービスの内容や手数料はそれぞれ会社ごとに異なるため、複数の会社を比較しながら決めましょう。
実際の流れは、以下のとおりです。
- ファクタリング会社の選定
- 申し込み
- 審査
- 契約
- 売掛債権の売却
- 資金の受け取り
ファクタリングには手数料がかかるため、受け取れる現金は手数料を差し引いた額となります。
ファクタリングを利用するメリット・デメリット
ファクタリングは、比較的スムーズに手続きができ、早ければ即日に現金化も可能な点がメリットです。担保や保証人は不要な場合が多く、審査もさほど厳しくない傾向にあります。ローンのように融資という形ではないため、信用情報に傷がつく心配もありません。
しかし、ファクタリングを行っていることが取引先に知られると、その後の関係性に影響が出る可能性があります。手数料が割高だと感じるケースも多いため、注意しましょう。
法人向けカードの決済なら「INVOYカード払い」
INVOYカード払いとは、受け取った請求書の支払いを最大60日間後ろ倒しにできるサービスです。差し迫った請求書の支払いを後ろ倒しにすることで、資金繰りの改善に期待できます。請求書をカードで支払うことで、相手方への支払いはINVOYが速やかに行います。カード決済のタイミングまでにカード利用分の費用を用意しておけばよいため、資金繰りに余裕が生まれビジネスチャンスを逃しません。
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まとめ
法人カードの現金化は、カード会社の規約違反にあたるため、おすすめしません。カードの利用停止や残金の一括請求、詐欺に巻き込まれる可能性など多くのリスクがあり、会社の信用問題に発展するどころかその後の経営にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
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