
法人税申告書の作成と聞いて、山のような書類と難解な専門用語に頭を抱えていませんか。「税理士に任せるしかない」と諦めてしまう前に、少しだけ視点を変えてみましょう。
実は、法人税申告は、決められたルールに従って数字を動かす「パズル」のようなものです。この記事を最後まで読めば、あなたはそのパズルを解くための「設計図」と「攻略法」を手に入れることができます。
この記事を読み終えたとき、あなたは法人税申告の一連の流れを完全に理解し、どの書類が何を意味し、どの数字がどこから来てどこへ行くのかを自信を持って説明できるようになります。もう、税務署からの通知に怯える必要はありません。
ここで解説する5つのステップは、会計の専門家でなくても実践できるよう、専門用語をかみ砕き、具体的な手順に落とし込んでいます。あなたの会社の決算書さえ手元にあれば、誰でも申告書作成の第一歩を踏み出せるようになります。
目次
ステップ1 申告の土台作り すべての源泉となる「必要書類」の完璧な準備
法人税申告書の作成は、何もないところから数字を生み出す作業ではありません。申告書に記載されるすべての数字は、その事業年度の企業活動を記録した「決算報告書」という土台から転記され、組み立てられます。したがって、この最初のステップである書類準備の正確さが、申告全体の品質を決定づける最も重要な要素となります。
申告プロセスは、決算日というゴールから逆算して考えるのではなく、日々の記帳というスタートラインから始まっています。会計ソフトなどを活用して日々の取引を正確に記録し、期末に帳簿を締め、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を確定させることが、すべての出発点です。
日々の会計処理の精度が低ければ、その上に建てられる申告書という建物も、もろく不安定なものになってしまいます。正確な申告は、正確な月次決算の積み重ねの先にあるのです。
申告書作成をスムーズに進めるためには、まず以下の書類群を一つの場所に集め、準備を万端に整えることが肝心です。これらが手元に揃っているだけで、後の作業効率は劇的に向上します。
決算報告書
申告書の「母」とも言える、最も重要な書類群です。会社の財政状態と経営成績をまとめたもので、ここから多くの数字が申告書へと転記されます。
- 貸借対照表 (B/S)
- 損益計算書 (P/L)
- 株主資本等変動計算書 (S/S)
- 個別注記表
勘定科目内訳明細書
決算報告書に記載された各勘定科目の残高について、その詳細な内訳(取引先、金額、内容など)を示す書類です。税務調査が行われる際には、必ずと言っていいほど確認される重要資料です。
法人事業概況説明書
会社の事業内容、役員構成、従業員数、経理の状況などを税務署に説明するための書類です。会社のプロフィールシートのような役割を果たします。
適用額明細書
税額控除や特別償却など、租税特別措置法に定められた税の優遇制度を適用する場合に、その計算根拠を示すために添付が必要となる書類です。
消費税申告書
課税売上高が1,000万円を超えるなど、消費税の納税義務がある法人(課税事業者)が提出する書類です。
これらの書類は、申告における役割や目的によって分類できます。以下の表は、申告に必要な書類を一覧化したチェックリストです。これを使って、漏れなく準備を進めましょう。
| 書類区分 | 書類名 | 概要と目的 |
| A. 決算書類 | 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表 | 会社の財政状態と経営成績を示す、申告の基礎となる書類。 |
| B. 申告書本体 | 法人税及び地方法人税申告書(別表一~) | 税額を計算し、申告するためのメインフォーム。 |
| C. 補足説明資料 | 勘定科目内訳明細書 | 決算書の内容を勘定科目ごとに詳細に説明する書類。 |
| C. 補足説明資料 | 法人事業概況説明書 | 会社の事業内容、役員、経理状況などを説明する書類。 |
| D. その他税金 | 消費税申告書 | 課税事業者が消費税を申告・納税するための書類。 |
| E. 税理士依頼時 | 税務代理権限証書 | 税理士に申告を依頼した場合に提出する書類。 |
ステップ2 最重要プロセス 会計上の「利益」を税務上の「所得」に変換する

法人税申告において、多くの人がつまずく最大のポイントは、「利益」と「所得」の違いを理解することです。会社が会計帳簿に基づいて計算した「税引前当期純利益」と、税金の計算対象となる「所得金額」は、必ずしも一致しません。
これは、企業会計のルールと税法のルールに目的の違いがあるためです。会計が企業の財政状態を正しく示すことを目的とするのに対し、税法は公平な課税を実現することを目的とします。
このルールの違いから生じるズレを調整し、会計上の利益を税務上の所得に変換する作業こそが、法人税申告の核心です。そして、この重要な調整作業を行うための書類が、「別表四(所得の金額の計算に関する明細書)」なのです。
別表四は、いわば会計の世界(損益計算書)と税務の世界(税額計算)をつなぐ「架け橋」の役割を果たします。この橋を正しく、かつ丁寧に架けることで、最終的に算出される納税額の信頼性が担保されます。
税務調査官が申告書を確認する際、最も注意深く見るのがこの別表四です。なぜなら、ここには「なぜ当社の利益と所得は違うのか」という理由が、すべて数字で物語られているからです。
加算や減算の一つひとつが、税務署に対する具体的な説明となっています。したがって、別表四を正確に作成することは、単なる計算作業ではなく、税務当局との円滑なコミュニケーションとリスク管理の観点からも極めて重要です。
別表四の作成は、以下の流れに沿って進めます。
スタート地点の設定 利益の転記
まず、損益計算書に記載されている「税引前当期純利益」の金額を、別表四の一番上にある「1 当期利益又は当期欠損の額」の欄に転記します。これが、すべての計算の出発点となります。
加算項目の調整 税法上、費用と認められないものを足し戻す
次に、会計上は費用(損金)として処理したものの、税法上は損金として認められない項目を、利益に「加算」します。これを「損金不算入」と呼びます。
代表例1 法人税等
事業年度中に支払った法人税、地方法人税、道府県民税、市町村民税は、会計上は「租税公課」などの費用として計上されます。しかし、税金の計算上、これらの税金自体を損金にすることは認められていません。そのため、費用計上した金額を「損金経理をした納税充当金」などの項目で加算(足し戻し)します。
代表例2 交際費の損金不算入額
取引先との接待などに使われる交際費は、税法で損金にできる上限額が定められています。資本金1億円以下の中小法人の場合、年間800万円または飲食費の50%のいずれか大きい金額までが損金として認められます。この上限を超えた部分は損金不算入となり、別表十五で計算した超過額を別表四で加算します。
代表例3 減価償却の超過額
建物や機械などの固定資産について、会社が計上した減価償却費が税法上の償却限度額を超えている場合、その超過分は損金として認められません。この超過額は別表十六で計算し、別表四で加算します。
その他、役員への賞与など、税法上の要件を満たさない役員給与や、一定額を超える寄附金なども加算の対象となります。
減算項目の調整 税法上、収益と見なされないものを差し引く
加算とは逆に、会計上は収益として計上されているものの、税法上は収益(益金)と見なされない項目や、税法上特別に損金として認められる項目を、利益から「減算」します。これを「益金不算入」や「損金算入」と呼びます。
代表例1 受取配当等の益金不算入額
他の法人から受け取った配当金は、配当を支払った側の法人で既に課税された後の利益から支払われています。これに再度課税すると二重課税になるため、受け取った配当金の一部または全部は益金に算入しない(課税対象から除く)ことができます。この金額を別表八(一)で計算し、別表四で減算します。
代表例2 法人税等の還付金
前期に納めすぎた法人税等が還付された場合、会計上は「雑収入」などの収益として処理されることが一般的です。しかし、これは単に払い過ぎた税金が戻ってきただけなので、税務上は益金とは見なされません。そのため、収益計上した還付金額を減算します。
代表例3 欠損金の繰越控除
過去の事業年度に赤字(欠損金)が生じている場合、その赤字を当期の黒字(所得)から差し引くことができます。これは非常に重要な節税策であり、別表七(一)で繰越欠損金の管理と控除額の計算を行います。計算された控除額を、別表四の最終段階で所得金額から減算します。
ゴール 所得金額の確定
以上の調整を経て、最終的な税額計算の基礎となる「所得金額」が算出されます。計算式で表すと以下のようになります。
所得金額 = 当期利益 + 加算項目 – 減算項目
この計算結果が、別表四の下部にある「52 所得金額又は欠損金額」の欄に記載され、次のステップである税額計算へと引き継がれます。
ステップ3 主要な別表を組み立てる パズルのピースを揃える
別表四が申告書の「エンジン」だとすれば、これから説明する各別表は、そのエンジンを動かすための重要な「部品」や、車の状態を示す「計器類」に相当します。
別表四の計算に必要な数字を提供したり、申告全体の情報を補足したりする役割を担っており、これらを先に、あるいは並行して作成することで、申告書全体の作成プロセスが論理的かつスムーズに進みます。
別表二 同族会社等の判定に関する明細書
この書類は、会社の株主構成を明らかにし、その法人が税法上の「同族会社」に該当するかどうかを判定するために作成します。同族会社とは、少数の株主グループによって株式の大部分が保有されている会社を指し、日本の中小企業の多くがこれに該当します。
この判定が重要なのは、同族会社に該当する場合、「留保金課税」という特別な税制の対象になる可能性があるためです。留保金課税とは、会社が利益を配当せずに内部に留保しすぎると、その留保した金額に対して追加で課税される制度です。
別表二では、株主名、住所、持ち株数、議決権の割合などを記載し、上位3位までの株主グループの持ち株割合が50%を超えるかどうかで判定を行います。
別表五 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
別表五は、会社の「税務上の純資産」の変動を記録する、非常に重要な書類です。別表五(一)は利益積立金額(税務上の利益の蓄積)と資本金等の額の変動を、別表五(二)は未払法人税等などの租税公課の納付状況を管理します。
この書類は、いわば会社の「税務上の内部留保の履歴書」です。最も重要なポイントは、前期の申告書に記載された「差引翌期首現在額」が、当期の別表五の「期首現在額」と完全に一致していなければならない点です。
ここがずれていると、当期の計算全体が誤っていることになり、税務署からの指摘は免れません。別表四の所得計算(特に留保項目)と密接に連動しており、申告書全体の整合性をチェックする検算の役割も果たします。
別表七 欠損金の繰越控除に関する明細書
この書類は、過去の事業年度に生じた税務上の赤字、すなわち「欠損金」を管理し、当期の黒字(所得)と相殺(損金算入)するために使用します。これは、法人にとって最も強力な節税策の一つです。
青色申告の承認を受けている法人は、過去10年以内に発生した欠損金を、将来黒字が出た事業年度の所得から控除することができます。例えば、3年前に1,000万円の赤字を出し、当期に800万円の黒字が出た場合、この800万円の黒字と過去の赤字を相殺し、当期の課税所得をゼロにすることができます。
残った200万円の赤字は、さらに翌期以降に繰り越せます。別表七(一)では、過去の事業年度ごとに発生した欠損金額、これまでに控除した額、当期に控除する額、そして翌期に繰り越す残額を正確に記載します。
勘定科目内訳明細書 数字の「裏付け」を示す証拠書類
勘定科目内訳明細書は、貸借対照表や損益計算書に記載されている各勘定科目の残高について、その詳細な内訳を記載する16種類の書類群です。これは、申告書に記載された数字の「裏付け」となる証拠書類であり、税務署が申告内容の妥当性を判断するための重要な情報源となります。
税務署は、この内訳書を精査し、異常な取引や不自然な残高がないかを確認します。例えば、役員への貸付金が多額に残っていたり、使途不明の仮払金が長期間放置されていたりすると、「会社のお金が不適切に流用されているのではないか」という疑念を抱かれ、税務調査のきっかけとなり得ます。
作成にあたっては、預貯金、売掛金、買掛金、固定資産など、科目ごとに定められた様式に従って記載します。すべての取引を個別に記載する必要はなく、多くの場合、金額の大きい取引先から順に記載するルールが設けられています。
例えば、売掛金や買掛金は相手先別の期末残高が50万円以上のものを個別に記載し、それ以外は「その他」として一括で計上することが認められています。ただし、役員や関係会社との取引については、金額の多寡にかかわらず個別に記載する必要があるなど、注意が必要です。
ステップ4 最終ゴール 別表一で税額を確定させる

これまでのステップで、申告書というパズルの主要なピースがすべて揃いました。いよいよ、最終的な申告書である「別表一(各事業年度の所得に係る申告書)」を完成させる段階です。別表一は、これまでの複雑な計算結果を集約し、最終的な法人税額と地方法人税額を算出して申告するための、いわば申告書の「表紙」であり「結論」です。
この段階に至ると、作業は主に他の別表からの正確な「転記」となります。ここで重要なのは、申告書全体が緊密に連携した一つのシステムであると認識することです。例えば、別表十六(減価償却費の計算)での小さな計算ミスは、別表四(所得の計算)の数字を狂わせ、最終的に別表一(税額の計算)の納税額を誤らせるというように、エラーは川の流れのように下流へと波及します。したがって、各別表間の数字の転記は、細心の注意を払って行わなければなりません。
別表一の作成は、以下の手順で進めます。
基本情報の記入
納税地(本店所在地)、法人名、13桁の法人番号、代表者氏名、事業年度といった基本情報を、間違いのないよう正確に記載します。納税地や法人名に変更があった場合は、旧情報も記載する欄があります。
所得金額の転記
ステップ2で完成させた別表四の最終行「52 所得金額又は欠損金額」に記載された数字を、そのまま別表一の「1 所得金額又は欠損金額」の欄に転記します。この数字が、税額計算のすべての始まりです。
税額の計算
転記した所得金額に、法人税率を乗じて「法人税額」を計算します。ここで、中小法人の場合は軽減税率の適用を忘れてはいけません。資本金1億円以下の中小法人は、年800万円以下の所得部分については15%、800万円を超える部分については23.2%の税率が適用されます。この計算は別表一の次葉(2枚目)で行い、その結果を別表一に転記します。
税額控除の適用
給与等から源泉徴収された所得税がある場合など、納付すべき法人税額から直接差し引くことができる「税額控除」があれば、ここで適用します。例えば、預金の利子から天引きされた所得税は、別表六(一)で計算し、法人税額から控除します。
最終税額の確定
計算された法人税額から、適用される税額控除や、事業年度の途中で納付した中間申告分の税額を差し引きます。こうして算出された金額が、「この申告書により納付すべき法人税額」となります。
地方法人税の計算
最後に、法人税額を課税標準として地方法人税を計算します。法人税額に地方法人税率(10.3%)を乗じて地方法人税額を算出し、同様に中間納付額を差し引いて、最終的に納付すべき地方法人税額を確定させます。
ステップ5 戦略的税務 提出、納税、そして未来の節税へ
申告書が完成すれば、残すは提出と納税です。しかし、賢い経営者の仕事はここで終わりません。申告プロセスを通じて得た知識は、来期以降の「戦略的な税務」、つまり未来の利益を最大化するための強力な武器となります。
申告書の作成が過去の活動を記録する「受動的」な作業であるのに対し、節税対策は未来の税負担を計画的にコントロールする「能動的」な経営活動です。この視点の転換こそが、会社を成長させる鍵となります。
申告書の提出方法 e-Taxは本当におすすめか?
現在、申告書の提出方法には、税務署の窓口へ持参する方法、郵送する方法、そして電子申告(e-Tax)を利用する方法の3つがあります。
結論から言えば、長期的な視点に立てばe-Taxの利用が圧倒的に有利です。e-Taxには以下のようなメリットがあります。
利便性
税務署の開庁時間に縛られることなく、24時間いつでも自宅やオフィスから提出が可能です。
スピード
税金の還付が発生した場合、書面提出では1ヶ月から1ヶ月半かかるところ、e-Taxなら約3週間で入金されるため、キャッシュフロー上有利です。
効率化
多くの会計ソフトはe-Taxとの連携機能を備えており、決算書の作成から申告データの作成、送信までをシームレスに行うことができます。
一方で、e-Taxの利用を開始するには、事前に利用者識別番号の取得や、マイナンバーカードを用いた電子証明書の準備など、初期設定の手間がかかるという側面もあります。しかし、この一度きりの準備を乗り越えれば、その後の申告業務は格段に効率化されます。
知らないと損!中小企業だけの税の優遇措置
税法は、すべての法人に対して一律に適用されるわけではありません。特に、資本金1億円以下などの要件を満たす中小法人には、その経営を支援し、成長を後押しするための多くの税制優遇措置が用意されています。これらの制度を知り、最大限に活用することは、合法的な節税の第一歩です。
以下の表は、中小企業が活用できる主要な税制優遇措置をまとめたものです。自社がこれらの恩恵を受けられるかどうか、必ず確認してください。
| 優遇措置 | 概要 | 中小法人の特例 | 一般法人の場合 |
| 法人税の軽減税率 | 所得に対する法人税率 | 年800万円以下の所得は15% | 所得に関わらず23.2% |
| 繰越欠損金控除 | 過去の赤字を当期の黒字から差し引く | 所得金額の100%まで控除可能 | 所得金額の50%まで |
| 交際費の損金算入 | 接待飲食費などの経費計上 | 年800万円まで、または飲食費の50%のいずれか有利な方を選択可能 | 飲食費の50%まで |
| 少額減価償却資産の特例 | 備品などの資産購入時の経費処理 | 取得価額30万円未満の資産を年間合計300万円まで一括で損金算入可能 | 原則10万円未満 |
これらの特例を適用するだけで、納税額に数十万円、場合によっては数百万円の差が生まれることもあります。自社の成長のために、これらの制度を戦略的に活用することが求められます。
来期に活かす!決算前にできる節税対策入門
効果的な節税は、決算日を過ぎてから慌てて行うものではありません。事業年度中、特に決算が近づいてきた段階で、計画的に実行することが重要です。以下に、決算前に検討すべき基本的な節税対策をいくつか紹介します。
費用の最適化
未払費用を計上します。今期中にサービス提供を受けたものの、支払いが翌期になる費用(例:従業員の給与の締め後未払分、社会保険料の会社負担分など)を、漏れなく当期の費用として計上します。これにより、当期の利益を適切に圧縮できます。
短期前払費用の特例を活用します。地代家賃や保険料など、継続的なサービスに対して1年分の費用を期末に前払いすることで、その全額を当期の損金として計上できる特例です。ただし、毎期継続して適用するなどの要件があります。
決算賞与を支給します。予想以上の利益が出た場合、その利益を従業員に賞与として還元することで、従業員のモチベーション向上と節税を両立できます。ただし、決算日までに各人への支給額を通知し、決算日から1ヶ月以内に支払うなど、損金算入には厳格な要件があるため注意が必要です。
資産の活用と見直し
備品・消耗品を購入します。パソコンやデスク、ソフトウェアなど、業務に必要なものを計画的に購入します。特に、中小企業であれば30万円未満の資産は「少額減価償却資産の特例」を使って、購入した事業年度に全額を損金にできます。
不要な在庫・固定資産を処分します。長期間売れ残っている不良在庫や、使用していない古い機械などを廃棄処分することで、その資産の帳簿価額を「除却損」として損金に計上できます。倉庫のスペース確保や管理コストの削減にも繋がります。
制度の活用
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)へ加入します。取引先の倒産に備えるための共済制度ですが、支払った掛金が全額損金になるという強力な節税効果があります。多くの企業が活用している代表的な節税策です。
役員報酬を最適化します。役員報酬は、原則として事業年度開始から3ヶ月以内に決定・改定しないと、損金として認められない部分が出てきます。来期の利益計画を立て、それに見合った適切な役員報酬額を、適切なタイミングで設定することが重要です。
まとめ 法人税申告書作成の要点再確認
法人税申告書の作成は、一見すると複雑で難解な作業に思えるかもしれません。しかし、そのプロセスを5つのステップに分解し、一つひとつの意味を理解することで、着実にゴールへとたどり着くことができます。
ステップ1 準備
すべての基本となる決算報告書をはじめ、必要な書類を完璧に揃えることから始めます。土台がしっかりしていれば、その後の作業は格段に楽になります。
ステップ2 所得計算
申告書の心臓部である「別表四」を使い、会計上の利益を税務上の所得へと正しく変換します。加算・減算のルールを理解することが鍵です。
ステップ3 ピース集め
別表二、五、七といった主要な別表を作成し、所得計算の根拠を固め、申告書全体の整合性を確保します。
ステップ4 完成
すべての計算結果を「別表一」に集約し、最終的な納税額を確定させます。各別表からの正確な転記が求められます。
ステップ5 戦略
申告と納税を済ませた後、中小企業の税制優遇措置を最大限に活用し、来期以降の節税対策へと繋げる視点を持つことが重要です。
法人税申告は、一度その流れと論理を理解すれば、決して乗り越えられない壁ではありません。このガイドが、あなたの会社経営における強力な武器となり、税務に対する不安を自信に変える一助となることを願っています。正確な申告は会社の社会的信頼を守り、戦略的な税務は会社の未来を豊かに創り上げます。



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