会社員の場合、毎年やってくる年末調整をよく分からずに提出している、という方もいるのではないでしょうか。民間の医療保険や生命保険をかけている人は、還付金が戻ってくることを楽しみにしているかもしれませんが、もしかするとそれ以上に還付される可能性もあります。ここでは、還付金とは何なのか、還付金の申請や控除のことについてご紹介します。
目次
還付金とは何か?
還付金とは、本来支払うべき税金よりも多く納税した場合に、戻ってくるお金のことを言います。給与以外の所得がない会社員なら年末調整で、それ以外の会社員や自営業者等は確定申告によって、納めるべき所得税が明らかになりますが、実際に納めた税金が上回っていた場合に受け取れる仕組みです。
年末調整で還付金が戻ってくる理由
多くの会社員は、毎月のお給料から概算で所得税が引かれています。年末調整では、一年間の給与所得から色々な控除を差し引いて、本来の年間所得を計算します。すると、本来の所得税額が既に支払った源泉所得税額よりも少なくなることがあります。この場合、税金の払いすぎということとなり、払いすぎた税金が還付されるのです。
逆に、本来の所得税額が毎月差し引かれていた源泉所得税額よりも多い場合には、税金を追加して支払う必要が出てきます。
会社員でも、給与の総額が2,000万円を超える方や災害免除法で税金の猶予や還付を受けた方は年末調整の対象になりません。この場合は、確定申告によって還付金の有無を確認することとなります。
年末調整の対象になる会社員の多くは、12月の給与もしくは翌年の1月の給与と同時に還付もしくは徴収が行われます。
確定申告ができる期間
所得税法における確定申告の期間は毎月2月中旬から3月中旬までの1ヶ月のうちに手続きをするようになっていますが、還付申告についてはこの期間に関係なく行うことができます。還付があるにも関わらず、気づかずに時間が経ってしまったとしても、還付の該当する翌年1月1日から5年間の間であれば還付申告が可能です。
確定申告で還付金が受け取れる場合
一般的な給与所得のみの会社員であっても、還付金が受け取れるケースがあります。「自分は給与しか収入がないから確定申告の必要はない」と思っている人の中にも、確定申告によって還付金が受け取れる可能性があるということです。
例えば、自身や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合の医療費控除、国や地方公共団体などに寄付をした場合(ふるさと納税を含む)の寄付金控除などは、意外と多くの人が当てはまります。控除にはその他にもさまざまな種類があるため、年末調整では受けられない控除について気になる方は調べてみましょう。
また、年末調整をしてもらった時に控除書類を提出し忘れた場合でも、確定申告で手続きをすることは可能です。
雑損控除
盗難や横領、災害で被害を受けた方のための控除です。災害での被害とは、震災、風水害、冷害、落雷、火災、人為による異常なもの(火薬類の爆発など)、生物(害虫など)による異常なものなどが該当します。そして、盗難や横領も控除の対象ですが、これに詐欺や恐喝は含まれていません。
控除できる金額の計算方法は、以下のとおりです。
・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-総所得金額等×10% ・(災害関連支出の金額--保険金等の額)-5万円 |
この2つのうち、いずれか多い金額が雑損控除の適用になり、損失が大きすぎて1回で控除しきれない場合は翌年から3年まで繰り越すことも可能です。
参照:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁
寄付金控除
寄付金控除の適用になるのは、「特定寄付金」を支払った場合となります。特定寄付金とは、国・地方公共団体・特定公益増進法人などに対する寄付のことを指します。これ以外には、政治活動、認定NPO法人、公益社団法人への寄付や、復興指定会社の株式取得等でも寄付金控除の対象となります。
控除できる金額の計算方法は、以下のとおりです。
・その年の特定寄付金額の合計 ・その年の総所得金額等の40%相当額 |
この2つのうち、いずれか低い金額から2,000円を差し引いた金額が寄付金控除として認められます。
参照:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁
特定支出控除
職務を行うための、以下に該当する支出は一定額を超えると所得控除の適用になります。
・一般の通勤者として通常必要と認められる通勤のための支出 ・職務上の旅費 ・転勤に伴う転居のために必要な支出 ・職務に直接必要な技術や知識を得るための研修を受けるための支出 ・職務に直接必要な資格を取得するための支出 |
これらの支出が、年間の給与所得控除額×1/2を超えると、超えた金額が所得金額から控除される仕組みです。
参照:No.1415 給与所得者の特定支出控除|国税庁
医療費控除
自身や配偶者、家族に支払った医療費が一定額を超えた場合に適用となる控除です。また後ほど詳しくご紹介します。
参照:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
住宅借入金特別控除等
住宅ローンを利用してマイホームを取得・新築・増改築した場合、要件を満たすと所得控除が受けられます。控除額や控除期間は住みはじめた年によって変わるため、お住まいの地域の役場のホームページや税務署のホームページ等で確認しましょう。
参照:No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等|国税庁
関連リンク:控除とは何か?種類や控除額の計算方法を簡単にご紹介
年末調整の適用漏れがあった場合
年末調整では、控除が受けられる状態にあっても適用漏れが起こる可能性があります。例えば、生命保険料控除の証明書を提出し忘れたり、給与以外の社会保険料控除を忘れていたり、扶養控除等申告書を出したあとで配偶者控除の対象になった場合などが考えられます。
また、住宅を取得してはじめて住宅ローン控除を受ける年度においては、年末調整での控除ができません。そのため、必ず確定申告で手続きをすることとなります。
医療費控除の対象になるか確認する方法
計算方法
自身や配偶者、家族に支払った医療費が一定額を超えた場合に適用となる控除です。該当するかどうかは、以下の計算で求めることができます。
(実際に支払った年間の医療費合計額-保険金等で補填される金額)-10万円 |
もし、総所得200万円未満の場合は、以下の計算に当てはめます。
(実際に支払った年間の医療費合計額-保険金等で補填される金額)-(総所得金額等×5%) |
つまり、保険などで補填されない部分の医療費が年間10万円を超えた場合に医療費控除が適用になるということです。医療費控除は、病気やケガの治療を目的とした費用が対象となり、自分都合で行った美容整形代やサプリメント代は含まれません。
対象範囲
医療費控除の対象となる医療費は、意外と広範囲にわたります。先ほどもご紹介したように、美容整形代やサプリメント等は対象になりませんが、治療を目的としたあん摩マッサージ指圧師などによる施術や介護保険制度で提供された施設・居宅サービス費の自己負担額などが対象になるなど、一度確認する価値はあると言えるでしょう。
還付金の申告に必要な書類
還付金の申告に必要なのは、確定申告書と源泉徴収票、領収書や証明書などの控除関係書類です。源泉徴収票については、提出する必要はありません。確定申告書は、還付申告のために特別なものがあるわけではなく、一般的なものと同じです。
還付金の申告の手順
還付金の申告の流れは以下のとおりです。
1. 確定申告書の必要箇所に記入する
2. 確定申告書を自身の納税地の税務署に提出する
3. 還付金が振り込まれていることを確認する
確定申告書への記載は、手引きや国税庁のホームページ等を参考にしましょう。
還付金の受け取り開始時期
還付金の受け取りは、申告から通常1ヶ月~1ヶ月半程度経って行われます。しかし、e-Taxで還付申告をした場合はこの期間が少し短縮され、3週間程度で済むこともあります。
関連リンク:e-Taxでの確定申告のやり方とは?スマートフォンでの手順や必要なものを紹介
還付金の受け取り方法
還付金は、銀行の口座に振り込まれます。したがって、確定申告書には「還付される税金の受取場所」の欄には銀行名や口座番号等を書きます。もし、公金受取口座の登録が済んでおり、その口座に入金を希望する場合は、「公金受取口座の利用」にチェックするのみで問題ありません。
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近年は、確定申告をe-Taxで行う人が増えています。確定申告だけでなく、さまざまな分野で便利な手段を利用し、効率的に物事を運べる世の中になってきています。
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まとめ
還付金は、本来納めなくてもよい税金を取り戻すことのできるお金です。税金や、その仕組みについて関心がないまま放置しておくと、戻ってくるはずだったお金が戻らなくなるかもしれません。還付金の申告は期限があります。一度、自分が還付金を受け取れる対象になっていないかどうか、確認されることをおすすめします。
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